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 敏感な上部分を狙って、利き手の中指の腹でゆっくりと撫ぜ上げた。
 「ひゃあっつ!」
 閉じていた花びらが、ぴくんと反応するのが微かに触れていた指の先で知れたので、
紅葉のいい顔を堪能してから再び、下肢に顔を固定する。
 クリトリスから指を外して、次はその下の花びらを覗き込んだ。
 先刻までは一本の線でしかなかった場所が、薄く開いている。
 傷つけないようにそっと、爪の先で開いた。
 赤、というか、ピンク、というか。
 やわらかい肉の色が、俺の視界一杯どころか頭の中をその色一色に染め上げた。
 ぜってー俺のナニなんか、入りっこねーって!と突っ込みを入れたくなる小さな穴が、薄い
襞の中で佇んでいる。
 ごく、と。
 SEXの最中に無意識の内で、唾を飲み込むなんて初めてだと思う。
 ナニが痛いくらいに勃起しているのが、俺の興奮度合いを自覚させた。
 「たつ…まぁ……じろ、じろ……み、る……な……」
 「……やぁ。無理。これを見ないで何を見るんだよ。すんげー興奮する」
 震える華奢な指先を拾って、俺のナニに押し付ける。
 びくっと跳ねるのをそのまま逃がしてやったが、その一瞬触れた指の温もりですら、俺の
ナニは更に硬直を強くした。
 「もぅ……さっさと!」
 「舐めろって?」
 「違う。やあああっつ!」

 べろん、と舐め上げた途端の手放しの嬌声。
 あーもう。
 可愛いなぁっつーか。
 ぶちこみてぇ……。
 アレに血が集って、貧血にでもなりそうだ。
 早く、出させろ!
 楽に、ならせろ!
 と、頭の中とナニがダブルで自己主張する。
 もー少し舌と指で慣らすつもりだったんだけど。
 駄目だ。
 我慢できません。
 ごめんなさい。
 でも、あれだ。
 性欲お馬鹿な高校生の自制なんて、んなもんだろう?
 用意周到に準備した、ローションをぐっと握り締める。
 不穏な空気を感じたのか、紅葉が俺の手元を覗き込むような真似をした。
 「……龍麻?」
 こんな状況になっても、どこか。
 俺を心配する色が残っている。
 双龍としての絆を喜ぶべきか、悲しむべきか。
 微妙な所だろう。
 俺が、愛されている訳ではないのだと。
 思い知らされているような気がするから。
 「んだ?俺に舐められるトコ。そんなに見てーの?」
 言い様ちゅぷっと、舌先を中に差し入れれば、それだけの刺激で紅葉の花びらは派手な
収縮を見せた。
 「馬鹿っつ!」
 ……あー可愛い声。
 鼻血モノの『馬鹿』だね、こりゃ。
 腕で顔を覆ったのを確認して、俺は栓を抜いたローションの容器の先端を紅葉の中に
含ませた。
 異物感にだろう、腕が顔から離れるよりも早く。
 俺は容器をきつく握り締める。
 びゅるるるるっと、音がして。
 紅葉の中へ、大量の潤滑剤が流し込まれた。
 「やああああっつ!」
 それは、紛いもない恐怖の絶叫だった。
 初めて耳にする俺は、驚いて。
 しかし、それ以上に興奮する駄目な男だった。
 闇雲に暴れようとする太股を自分の太股で押さえつけて、華奢な両手首を片手で絞り上げ
て、額をこつんと。
 脂汗の浮んだ紅葉の額にあてる。
 「落ち着け、紅葉」
 焦点の合わない瞳に、根気強く黄龍の瞳で以って沈静を呼びかけた。
 震える唇に、自分の唇を押し当てれば、がりっと嫌な音がして、容赦なく歯というよりは、
牙が立てられる。
 完全な臨戦態勢というよりは、究極の恐慌状態。
 近寄るモノ、皆。
 打ち殺す、みたいな。
 「紅葉……紅葉?落ち着け。いー子だから。俺が、お前を。本当の意味で傷つける事なんて。
  できっこないだろう?」
 「……君だけが、僕を。本当の意味で、傷つけることが出来るのだろうと、思うよ。緋勇」
 初めて出会った頃のように、名を呼ばれて。
 俺が信じて疑わなかった、恐慌状態が、虚構のそれだと知った。
 「僕が、今。どれだけ、気持ち悪いか。吐き気を、唇の皮一枚で、堪えているのかなんて。
  想像もできないんだろうね?」
 「紅葉……」
 一瞬、本当に止めようかと思った。
 それだけ、冷ややかな声だったのだ。

 「何を傷付いたような顔をしてるんだい?傷付くのはこちらだろうに…やめられないのなら、
 早く済ませてくれたまえよ」
 瞳一つ分目線を外されて告げられた。
 そのまま長い睫が慎ましく震え、目が閉じられる。
 「紅葉?」
 再度呼びかけるが、反応はない。
 このまま止められるのならば、止めた方がいいのかもしれない。
 ここまで頑なな拒絶は初めてだったから。
 けれど、ここで止まれるほど俺は紅葉への執着も温くなく。
 男として、人間としても練れていなかった。
 目の前に置かれた極上の餌を前にして、お預けなんてできやしない。
 「入れるぜ」
 一応断って、ゴムもつけずに、紅葉の中へ挿入を始める。
 「つ!」
 入り口を裂いて入り込む、最初だけだった。
 悲鳴らしき物が僅かに上がったのは。
 先端を含ませて、驚くほどの出血があっても。
 その鮮血が太股を伝っても。
 俺が根元までアレをぶちこんで、大きな溜息をついても。
 新たな鮮血を落とさせながら、身体の奥底まで何度も穿っても。


                      

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