紅葉は、荒い呼気だけを返して寄越した。
初めてで、無理矢理だ。
気持ち良い、とか、もっと、なんて言葉を期待した訳ではない。
けれど、痛みすら告げてもらえないのは、想像を絶する拒絶だった。
ただ闇雲に締め付けて、異物を押し出そうとする蠢き。
俺を受け入れるまで蕩かすことの出来なった中に、俺は何とか射精を終えた。
肉体的には、良かったのだと思う。
拒絶の締め付けでも、締め付けには変わりない。
堪らなく狭くて、入り口の締め付けは無論。
中の収縮も派手だった。
けれど。
やはり後味が、異常に悪い。
「紅葉……」
眉根が寄ったままの目尻にキスを送る。
「大丈夫か?」
間抜けたセリフを吐くくらいなら、最初からしなければいいのにと、そんな皮肉も出ない。
紅葉は沈黙を守っている。
離れれば、少しは俺を見てくれるかと思って、身体を離す。
精液と鮮血とが、アレに纏わりつくように溢れて出た。
血の方が、多いかもしれない。
「今、綺麗にしてやるからな」
そっと頬に触れて、瞼を撫ぜて。
全く肉体的な反射がないのがわかって。
「紅葉?」
ここにきてようやっと、紅葉が意識を失っているのに気付かされた。
返答がなかったのは、気絶をしていたからだったのだ。
もし、意識があったとしても返答がなかった可能性は高いが。
何故か、安堵して、俺は紅葉の頬に唇を寄せる。
SEXの後にしては冷たすぎる頬で、どれほど紅葉がこの行為を嫌がっていたのかを、
悟らざる得ない。
目が覚めたら、何を言おう。
どう、謝ろう。
許して、貰えるのだろうか。
以前と同じように、俺を大事に思ってくれるのだろうか。
こんな状況になってもまだ、紅葉の優しさに縋ろうとする自分に反吐がでる。
瞬きを数度して、目を覚ます気配のない紅葉を見詰めた。
身体はまだ、戻る気配がない。
このまま女体化したままということはないが、俺が望めばそれも可能だ。
これから先、日や課かな眼差しを注がれるだけならばいっそ。
女の身体でいさせた方が、まだマシなのだろうか。
俺はもう一度大きな溜息をついて、のろのろと紅葉の身体の後始末をしようと立ち
上がる。
紅葉は無論、何より自分自身をも盲目的に縛り付けるだけの恋だとわかってはいる
のに。
どうしても、捨てきれない自分を、どうしたらいいのか。
全く検討もつかないままに。
END
*うわーこんな不幸な終わり方になるとは思いもよらず。
ここのところめっきり、ラブな主壬生が書けません。
ちょっと他の壬生受けサイトさんを覗いた方がいいのかもしれません。
何だかんだ言いながら、女体化を解かずに壬生を拘束したままの
生活も萌と思う、今日この頃。 2008/06/18