ここでは、いまさら説明するまでもなく木材を積んだ運材車は、坂道を利用して単独で降りていくので、帰りの酒井は単行で下りていくことになります。
結局酒井の使命は、行きの空の運材車をここまで運んで行くだけということになるのですが、ここの軌道の勾配が過酷であるだけにかなり大変なものであるようです。私は幸運にもこの列車に便乗する機会を得たのですが、酒井のエンジンが急カーブ+急勾配で咆哮する様は、久々に味わう感動でありました。(涙もんですよ、ほんと。)
集材中の間、愛林の方にいろいろ情報収集を試みたのでありますが、集材機が回りだすと声が聞こえなくなってしまい、あまり詳しく知ることが出来ませんでした。不確かではありますが運行状況については月で15日前後。ただし、全部が酒井の出番というわけではなく、切り出し(屋久杉の伐採)のときはモーターカーで、集材(切り出した屋久杉を荒川に運ぶ)のときに酒井の出番となるので、酒井稼働はその半分の7日くらいということになるらしいです。悪天候によっても当然中止となるので、短い滞在ではかなりリスクが大きいといえます。ちなみに私の場合、3日間滞在して酒井が動いたのは1日だけでした。(あぶねぇ、あぶねぇ。)何ともストレスのたまる撮影ですが、1日でも動いたことを喜ぶべきなのかもしれないですな。気になる酒井の状況ではありますが、状態はすこぶるよい感じです。しかしどうにも部品の補充がつかないことで、この先どうなるかは愛林の方にもよめない感じでした。(修理のためミッションを木曽から取り寄せたというような話もしていたんですが、集材機の音で詳しく分りませんでした・・・。)正直言って、初日に着いたとき荒川でこの酒井を見たときには、普段探しに行く放置機関車とさして変わりがないので、壊れて休車になって動かないのでは思いました。
荒川にいる北陸重機についてもどのような存在なのか詳細を知りたかったのですが、こちらの石塚線は軌道が悪く、脱線してしまって使えないということしか確認できませんでした。やはり酒井の代替機として当初は準備されたのでありましょう。
さて昼を過ぎて、愛林のスタッフが全員戻ってきたところで運材車への積み込みが始まります。この作業を終えるといよいよ山を下るのであります。あまりにも樹木が茂っているので気がつかなかったのですが、いざポイントで待っていると、下ってくる音が背後の山の上から聞こえてきたりして、高度を稼ぐためにかなり蛇行して軌道が敷かれているのが分ります。道さえ確認しておけば先回りしてカットを稼ぐことも出来ますが、苔むして滑る沢や朽ちた樹木を踏み抜いて思わぬアクシデントが発生しそうなので、やめておいた方が無難です。(私はやってしまいましたが・・・。酒井は結構早いです。)特に一人で撮影しに来た人は、もしものために登山カードを提出しておくことをおすすめします。(まじで、危険です。)不測の事態が起こってからでは、周囲に人家もなくハイキング気分で調子にのらないよう注意しましょう。(そう言っている自分だよ、自分。)酒井の通過した後を軌道をたどって荒川を目指すと、寄り道をしなければ、荒川で運んできた屋久杉をトラックに積み込み終えたころに間に合います。最後に酒井をスナップし、トラックが出発するとすぐに酒井は車庫に入れられ、本日の撮影の終了となります。(1回軌道を往復するだけで結構足痛くなりますよ。あっ、おれがデブだからか・・・。)