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トカラは自然豊かなところではあるが、これといった産業が育たないという悩みは一向に解決されない。それはトカラが置かれている地理的条件が大きく作用している。本土(鹿児島)に一番近い口之島でも204km、船足の速い「フェリーとしま」でも6時間ちょっとかかる。口之島以南の島からだともっとかかる。それに加えて「フェリーとしま」は毎日就航していない。順調にいっても2〜3日に一便である。これがネックとなって、傷むのが早い生鮮食料品や食品関係の産業は成り立たない。加工品がかろうじて鹿児島に送られている現状である。それさえも、販売経路や安定的供給等の問題でなかなか軌道に乗らない。
 いま、トカラの島々でもっとも有望視されているのが畜産である。


 
トカラは日本で最後まで焼畑農業が残っていた地域である(1955年まで行われていた)。 畑で栽培されていたのは、サツマイモ、麦、ウリ、スイカ、それに稗、粟といった雑穀だった。現在でも、主要農産品はサツマイモ、スイカ、田イモ(タロイモ)など変わっていない。粟などの雑穀は今ではほとんど栽培されることはなくなっている。

 稲作(戦前から水田耕作されていたのは宝島のみ、他の島では細々と作られていた)も行われているが、田んぼにする土地が少ないのと、住民の高齢化のため本格的には行われなくなってきている。現在では「フェリーとしま」が鹿児島から運んでくる米を買う家庭が多い。

 どの農産物も自給自足の域を出ないものだが、その中でも唯一現金収入の可能性のあるものとして、
「シイタケ栽培」「早出しトカラビワ栽培」「サンセベリア(別名:トラノオ)」が脚光を浴びている。どちらもまだ端緒についたばかりだが、栽培法を勉強するための見学会を催したりして住民の期待は大きい。

田イモ畑
トカラビワ出荷光景
トカラビワ出荷光景
サンセベリア出荷光景
サンセベリア出荷光景
 
早だしビワ農園早出しビワはトカラの温暖な気候を利用して栽培されている。昭和61年から出荷をはじめ、年々 出荷量も増加し、露地栽培で、しかも出荷時期条件の良さで市場の評価も高い。  サンセベリア(別名:トラノオ)霜に弱く、本土での露地栽培は非常な困難を伴い、その栽培は霜のない地域に限定される。栽培の北限とされるトカラ(十島村サンセベリア(別名:トラノオ))産の露地栽培「トラノオ」は、”気候風土に適し、自然の力で育っているので丈夫で長持ち”と全国の花市場でも人気を得ている。
 
 平成7年より、遊休農地を活用するために始まったサンセベリアの栽培は、平成10年から出荷販売を開始し、平成12年には6月下旬から8月上旬までで11,000本を出荷し、市場評価も高く、高値で取引された。
 

 折からのガーデニングブームの中、
サンセベリアは乾燥に強く、収穫後も急に枯れないことから観葉植物としてだけでなく、墓花としての人気も上昇し、産業としても有望視されている。

 
トカラ周辺の海は東シナ海でも有数の好漁場である。
トカラで漁業の中心となっているのは
「トビウオの流し刺し網漁」である。毎年5〜7月に漁が行われ、この期間に年間の水揚げをしている。これらは鮮魚としてただちに鹿児島へ送られる。他に、一夜干し、干物にも加工され、出荷されている。

 また、トカラならではの漁に、
「ホロ引き漁」も行われている。「ホロ」とは、九州南部の方言で「羽毛」のことである。
羽毛で作った毛ばり(擬餌針)での1本釣りのことを「ホロ引き漁」という。”飛行機”と呼ばれる30cmほどの木製の浮きを長い縄に付け、その”飛行機”に釣り糸を結び、それに「ホロ」を付けて漁船で引っ張るのである。1隻の船で3本の「ホロ」を引く。
「ホロ引き漁」の対象魚は、カツオ、サワラ、シビ、シイラなどの中・大型魚である。

 伊勢エビ、夜行貝、甲イカなどを狙った、昔ながらの
「素潜り漁」も盛んに行われている。

 しかし、これらの漁法はいずれも個人漁の域を出ていない。
 島々の近くの海には九州、四国、和歌山などといったところから大型漁船がやってくる。特に、カツオが獲れる時期には地元の漁船を追いやるようにこれら大型船が来てごっそり獲物を持っていく。地元の漁師たちは、それを横目で見ながら「ホロ引き漁」で細々と漁をしている現状がある。漁業においても、トカラが産業化から一歩遅れた感は否めない。
 村でもこの状況を打破するため、漁港・漁船溜りの施設整備を図り、製氷施設の設置等、水産振興に力を注いでいる。
※ 水揚げ高データ
伊勢エビ漁
伊勢エビ漁
加工される大物魚
加工される大物魚
整備された漁港
整備された漁港
ホロ引き漁
 

ホロ引き漁


 
トカラの畜産は、残された数少ない原野の土地資源と温暖な気候を利用した周年放牧を中心とした低コストによる肉用子牛の生産である。
放牧中の黒毛和牛 共販体制の確立により公正な市場での適正評価による販売が可能になったことで生産者の意欲が向上し、優良な子牛が出荷されている。
 120戸ほどの農家が肉用子牛の生産に従事し、年間焼く500頭の子牛が生まれ、350頭ほどが鹿児島県中央家畜市場に出荷され、年間売上1億円を超える産業となっている。 

 トカラで飼育されている牛種は黒毛和牛である。生後半年ほどの雄牛は1ヶ月に1度のセリに合わせて鹿児島県中央家畜市場へ出荷される。
南の島の温暖な気候と豊かな緑の中で育った黒毛和牛は、全国屈指の畜産県鹿児島産蓄肉の一翼を担って、全国の消費者の元へ送られている。  その肉質は柔らかく、無駄な脂肪がないため、ステーキ、すきやき、しゃぶしゃぶ等多彩な料理に使え、プロの料理人も絶賛するほどである。
飼育頭数は別表からも分かる通り、着実に増加している。年2ケテの増加率である。
 
トカラのある十島村では、畜産が将来ともに重要な産業であるという認識のもと、全島挙げて新技術の導入に努め、よりよい肉牛の生産を目指
飼育される山羊している。

 狂牛病騒ぎで肉牛生産者には厳しい環境下であるが、トカラでは優良な素牛の導入による子牛の資質の向上に努め、生産技術の向上や衛生管理の徹底、放牧場などの生産基盤整備を行い、可能な限りの自然放牧による安全で、高品質の肉牛生産を目指している。

 また、沖縄などでの山羊料理用としての山羊の飼育も忘れてはならない畜産のもう一方の柱である。


 
トカラは雄大な自然に囲まれた所である。照りつける南の太陽と島々の周囲を巡る黒潮の海。トカラの特産品には、そんな自然の香りのするものが多い。生産された商品には、本土のもののような繊細さは少ない。が、それだからこそ本物の自然の味がするのである。遠い昔の記憶にあるような、現代の日本人が忘れかけている懐かしい味がする。
トカラビワ 出荷を待つタケノコの缶詰 トカラ名産「万能つゆ」
トカラビワ
南の光をいっぱいに浴び、本土のものにない甘さとみずみずしさが詰まっている。
出荷を待つ筍の缶詰
トカラの筍は琉球竹の筍である。その大きさは平均して親指大である。
おでんの具や煮しめ、てんぷらなど調理の幅は広い。
噛めば噛むほど甘味が増してくるのも、トカラ筍ならでは。
トカラの「万能てんつゆ」
「万能つゆ」は天然素材を使用し添加物を使っていないから自然な風味が味わえる。
「てんつゆ」としてだけでなく、麺類の付け汁としてもおいしくいただける。
 

サンセベリア
(トラノオ)
平成10年から本格的に出荷が始まった。
露地栽培で日光をいっぱい浴びた「トカラのサンセベリア」は丈夫である。
トビウオの干物
トビウオの干物
豊富に獲れるトビウオの干物。島根の「トビウオの燻製」は有名だが、これもトカラで何年か暮らした人がトビウオの干物にヒントを得て考案したものである。
トカラの天然塩
天然塩「宝の塩」
「宝の塩」
天然塩「宝島の塩」
「宝島の塩」
トカラでの塩造りは昔ながらの手造りである。美しい海から採取した海水と照りつける太陽がミネラル分たっぷりの天然塩を作り上げてゆく。適度の塩辛さの中に甘味さえ感じる
トカラ天然塩塩造り風景
天然塩造り光景 天然塩造り光景2 天然塩造り光景3

 
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