マグリブの建築
ARCHITECTURE in the MAGHREB

マグリブの建築
神谷武夫


 『世界のイスラーム建築』の西端をなす マグリブ地域のイスラーム建築を紹介するサイトです。イスラーム帝国が バグダードを中心として、東はウズベキスタンから西はスペインまで、長大に領土を広げました。そこで 首都のバグダードより東方を「マシュリク」(日が昇る所)、西方を「マグリブ」(日が没する所)と呼びました。マグリブ地方という名称は 現在まで用いられ、通常 チュニジア、アルジェリア、モロッコを指し、時にリビアと、イスラーム時代のスペインまでを 含めます。「北アフリカ」と言う時には エジプトを含めますが、「マグリブ」には含めず、「中東」で扱います)。 今回は このサイト全体の構想を示し、2年前に「モロッコ大地震」が起きた時に「お知らせ蘭」に載せた「マラケシュの歴史的建造物」を拡充して転載し、当分の間、第3章の「モロッコの建築」として掲載します。
                            ( 2025 /10/ 01 )

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第1章  ARCHITECTURE of TUNISIIA
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第2章  ARCHITECTURE of ALGERIA
       アルジェリア
の 建築
第3章  ARCHITECTURE of MOROCCO
       モロッコ
の 建築( マラケシュ )
マラケシュ
第4章  ISLAMIC ARCHITECTURE of SPAIN
       スペイン
イスラーム建築
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 この ウェブサイト『世界のイスラーム建築』には、イスラームの中核をなす「中東のイスラーム建築」(シリア、ヨルダン、エジプト、トルコ、イラン)、そしてイスラーム建築圏「東端」の「中国のイスラーム建築」は すでに詳しく紹介してあり、東欧(ブルガリア)と サブサハラ・アフリカ(マリ)も入れてありますので、ここにイスラーム建築圏「西端」の マグリブ地方を加えることによって、いよいよ『世界のイスラーム建築』というサイト名を裏切らない、広範囲の内容となります。

マグリブ地図
マグリブ地方の地図

 「中東の建築」のサイトとは異なって、ここに掲載するのは、ほとんど全部が イスラーム建築となります。イスラームが7世紀に到来する以前は、マグリブ地方 は古代ローマ帝国によって支配されていましたが、このサイトでは、古代ローマ時代の遺跡は 扱いません。マグリブ 地方(北アフリカ)は、大部分が中東から来た アラブ人に征服されたので、言語は アラビア語、宗教は イスラーム教となります。南の サブサハラ・アフリカ(ブラック・アフリカ)が 多言語社会であり、キリスト教が 主な宗教であるのとは 対照的です。
 一方、スぺインは 中世にイスラーム化しましたが、近世以後は 「レコンキスタ」(領土奪還闘争)により カトリックを主とする キリスト教圏となってしまうので、イスラーム文化時代の 遺構だけを扱います。 なお、マグリブには数多くの王朝が乱立しましたので、建築の 時代区分は 複雑で 分かりにくいため、原則的に「地理的順序」で 掲載することにしました。




マグリブ建築を知るための本

● 専門家も一般の人も楽しめる、マグリブ建築の
ヴィジュアルな本を紹介しておきます。詳しい目録は、
『イスラーム建築文献目録』の「 F. スペインとマグリブの建築 」を参照。




北アフリカ

ISLAMIC ARCHITECTURE in NORTH AFRICA
(A Photographic Survey)

(北アフリカのイスラーム建築)

Written by Derek Hill,Robert Hillennbrand & Lucien Golvin, 1976, Archon Books, Hamden, Connecticut, 1976, Hard cover, 12,000yen.
少し古いが、エジプトとマグリブ地方のイスラーム建築の 最初の概説書。前半は167ページにわたる本文で、諸所にカラーの写真を8ページ挿入している。後半はアート紙で 254ページにわたり、建築のモノクロ写真を 560点収録している。本文は デレク・ヒルの序文のあと、3つの論考から成る:

序説ーーーーーーーーーーーロバート・ヒレンブランド 54ページ
各遺構についての解説ーーールシアン・ゴルヴィン   64ページ
結論ーーーーーーーーーーールシアン・ゴルヴィン   14ページ




北アフリカ

Architecture of the Islamic West :
North Africa and the Iberian Peninsula, 700ー1800

(北アフリカイベリア半島イスラーム建築)

Written by Jonathan M. Bloom, 2020, Yale University Press, New York, Hard cover, 27cm-320pp. 12,000yen.
ジョナサン・ブルームによる 最新の書。8世紀から 19世紀に至る マグリブ地方(チュニジアからスペインまで)のイスラーム建築と都市設計を 多数の実例に即して論じる。コルドバのモスクや パレルモのパラティーナ礼拝堂、セビーリャのヒラルダの塔、グラナダのアルハンブラ宮殿 などを始めとする、多数のカラー写真を収録した 美麗な本。

第1章 アンダルシア地方のウマイヤ朝と、イフリーキーヤ地方のアグラブ朝
第2章 西方 10世紀の 相争う対抗カリフ国
第3章 長い11世紀、アッバ−ス帝国の解体
第4章 ムラービト朝とムワッヒド朝 1050年頃ー1250年頃
第5章 アンダルシア地方のナスル朝
第6章 北アフリカにおける ムワッヒド朝の後継、1250年頃ー1500年
第7章 オスマン朝とハプスブルグ家による占領
第8章 モロッコにおけるシャリーフ系の王朝、1500年ー1800年
第9章 エピローグ、マグリブ建築の遺産




マグリブ

MAGHREB : Architecture et Urbanisme :
patrimoine, tradition et modernité

(マグリブ地方建築都市設計)

Written by Mechta Karim, 1991, France. Ministère de l'equipement, du logement, des transports et de la mer. Direction de l'architecture et de l'urbanisme, École d'architecture de Grenoble (France), 24 × 24cm- 217pp. paperback, soft cover, antique 3,000yen.
マグリブ地方の建築と都市設計について論じた、2段組み・正方形の本。
  第1部:遺産と伝統と近代化。 第2部:都市設計の近代化。
図版は少なめで、著者による手書きスケッチが多く、カラー写真は無い。



マグリブ

NORTH AFRICA [Islamic Architecture]
( イスラーム建築、北アフリカ編)

Written by Antony Hutt, 1977, Scorpion Publications, London, 20 x 21cm- 190pp. paperback, soft cover, antique 1,800yen.
イスラーム建築の写真集シリーズの 1冊で、マグリブ地方を扱う。 これも正方形の判型。ほとんどはモノクロ写真で、図面はなし。「序論」以外は 写真のキャプションのみ。

                            ( 2025 /10 / 01 )


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