Diff Lockers その4


 前回までで溶接デフロックの方法や結果につてはほぼ網羅されたので、今回は総集編として漏れている事項や注意点などについてまとめることにする。


●ステアリングが切れない

 今までのテストの中で、おっさん@UCS(同様なデフロック)の方はステアリングが切れないことがあるという。症状としては、コブの下りなどフロントが下がった(=荷重がかかった)状態でグリップの良い路面ではステアリングが全く切れないとのこと。DdビッグホーンとUCS/UBS69のステアリング回りはパワステポンプのメーカーこそ違うものの、仕様(基本吐出量/制御流量/制御圧力)はほぼ同等だし、足回りも同じなので基本的には同じ様な動きをするハズである…。
 よく考えると、おっさん@UCSはフロントホイルに30mmのスペーサーが入っていてホイルのオフセットはノーマルの+25mm、タイヤは9/34スワンパである。一方、ボクのUBSは+25mmのホイルに8.25のXZL。タイヤの幅、外形は大差ないのでオフセットに原因がありそう…。

 そう! もう分かったと思うが、キングピンオフセットが大きくなったのが原因と考えられる。参考までにキングピンオフセットとは、キングピン軸延長線上の地面に接する点と、タイヤが地面に接する点の中心距離の差で、ステアリングを切るとタイヤはキングピン軸を中心に旋回することになる。旋回する際の半径(スクラブ半径)をどの位にするかはメーカーの設計によるが、0にするとその場でタイヤをこじることになりステアリング操作が重くなってしまう。反対に大きすぎると路面からの入力の影響(テコの原理)をモロに受けてしまうので、ステアリング・リンケージ回りに過大な負担がかかることになる。
 実は、これはこちらには書いていないがタイロッドが折れる原因にもなっていて、ホイルで
-13mm、スペーサーで-30mmの計43mmもオフセットはマイナスしているので、タイヤは大きく旋回しながら(=回転する)向きを変えていると思われる。

 で、試しにブラV(-6mm)と9/34スワンパの組み合わせのタイヤを入手したので早速実験してみた。

 結果はオンロードはハンドルが取られ易くなって、クロカンではハンドルが切り難くなったものの、全く切れないといった状態はあまり発生しなかった。テストした際の路面が比較的緩い状態だった(固い乾燥した土ではなかった)ので何とも言えないが、扱い難くなるのは確かである。たぶん、タイヤの幅を変えても同様の現象となるだろう。

 【ポイント

   溶接デフロックでは、ホイルオフセットはあまり変更してはいけない。



●耐久性

 さて、溶接デフロックで一番気になるのがドライブトレーンの耐久性。壊れる可能性のあるパーツは、CVジョイント、ドライブシャフト、ピニオンギア、リングギア/ドライブピニオン。
たぶん、可能性が一番高いのはCVジョイントとドライブシャフトだろう…。

 で、先日の忘年会の翌日、乗り上げのテストをしていたらフロントの足回りから「バキッ」音が…。

 状況としては傾きつつの壁の乗り上げで、傾きの角度はほぼ目一杯の横転ギリギリ。壁の高さは、「通常であれば上れないかな〜」といった感じでグリグリと何度も試していた。因みに、ボクのDdはリヤはオープンデフなのでリヤの山側のタイヤにはトラクションが殆どかからない状態で、フロントの山側もあまりトラクションはかかっていない状態だから、いわゆる一駆状態!
 当初はドライブシャフトかとも思われたがやはりCVジョイントが壊れたようで、CVが壊れること自体は本企画当初から想定していたので、後日、予備のCVと交換を行った(だからデフロックに踏み切ったんだけどね。ただ、予備のCVが予定外で… 後日談)。

 ポイント

   溶接デフロックで、一駆走行はやめましょう!



 当然、熱くなってタイヤをぶん回す! なんていうのは似ての他で、クレバー走りが要求されることは言うまでもない。

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