表紙へ戻る“テロリズム”について

非戦!

私は、昨今の日本の国内外の情勢に対して、断乎「非戦」の立場を表明します。

去る九月十一日テロリストと呼ばれる人たちが、その未来ある生涯のすべてと生命を賭けて航空機を乗っ取り、乗客と共にNYの貿易センタービルやペンタゴンに撃突しました。その結果凡そ一万人近い人々が死んだと伝えています。

しかしわたしは、このテロリストたちの行為を単純に否定したり非難することには、同調できません。

なぜならこれは、アメリカがこれまで、世界中でほしいままにやってきた行為に対する、テロリストと呼ばれる人たちの、自己の生命を賭けてのやむにやまれぬ無念のおもいから出たどうしようもないものであり、テロはその根本の問題に眼を向けぬ限り、決して解決できぬことを思うからです。

このテロリズムに巻き込まれ、突然の悲劇に突き落とされた国家に関係のない人々のご不幸に対して、哀悼などというありふれた言葉などでは語れぬ心の痛みを感じます。

それに対してアメリカ政府は報復として、より大きい国家テロともいうべき戦争を宣言し、日本の小泉もそれへの加担を実行しはじめました。これは全く逆の方向へ進むことによって、さらに新しいテロリズムを生み出すものでしかありません。

何の力もない私ですがここに一個人として、とりあえずあくまで「非戦」の立場を貫くことを表明し、いま心にふかく決意しておきたいと思います。

二〇〇一年九月二十五日

向井 孝