Wanted!【2】
当日。
余りの殺気立った雰囲気に、鬼達は呆然と立ち尽くしていた。
勿論俺もそのうちの一人だった。
忙しそうに働く生徒会役員の下っ端を通り抜けざま拉致し、物陰へと連れ込む。
「どうなってんだ?これ?」
「は?ははは・・・」
「誤魔化し笑いしてんじゃねーよ。この殺気立った雰囲気は何が原因なんだ?」
俺がぐいぐいと生徒会役員を脅していると、白馬が寄って来た。
こいつもこの事態には何か裏が有ると踏んだらしい。
「さっき信じられない話を小耳に挟んだんですが?」
そう切り出して俺が掴んだままの生徒会役員に近付く。
「鬼自身に商品価値を付けたそうですね?」
「あははっ・・・・バレました?」
「んだよ?それ?」
「これ、極秘に入手した商品リストです。」
ポケットから取り出したレポート用紙を俺に差し出して、白馬ははぁっと溜め息を吐いた。
なんだなんだ?
カサっと開いて一読して俺は絶句した。
@難易度S:黒羽快斗
特典:好きな事に御使い下さい。焼くなり煮るなり用途は色々。オプションとして中森青子嬢をお付けします。
商品例→・野球部員助っ人として夏の甲子園予選に参加させる
・テスト前の特別家庭教師をさせる。ヤマかけは百発百中
・江古田三大美少女の一人中森青子嬢の一日貸し出し。楽しい思い出をどうぞ
「冗談じゃねーぞ・・・」
獰猛に唸ると、ひっと生徒会役員が脅える。
白馬も涼しい顔してるけどずいぶん頭に来てるらしい。
目が全然笑ってない。
「まったく勝手に人を商品に使うなんて、随分とナンセンスですね。しかも!!」
白馬はびしっと俺を指差した。
「なんで僕が黒羽君よりもランクが下なんです?!」
「・・・そんな細けーとこ良いじゃんかよ。」
「良くありません。」
レポート用紙には白馬探は難易度Aになっていた。
「其れにはちゃんと根拠があります。」
何故か自信たっぷりに生徒会役員が胸を張る。
俺達二人にきちんと向き直ると、饒舌に語りだした。
「黒羽先輩は中森先輩と常に追い駆けっこをして経験値を積んでいる上、得意のマジックがあります。対して白馬先輩は追う方には自信ありでも追われるのは余り経験が無い上、女性が相手では手加減してしまう可能性が高いのです。そのように分析した結果黒羽先輩がSで白馬先輩がAなのです。」
ふんっと鼻息荒く語り終わると、生徒会役員は「私はこれで」などと言ってその場から退場しようとした。
逃がすか!
下っ端の両肩が左右から伸びてきた腕に捕まれる。
左肩が俺。
右肩は白馬。
下っ端が乾いた笑いを張り付かせる。
額を冷や汗が伝うのをニッコリと笑って拭ってやると、顔面から血の気を引かせてそいつが震える。
「さぁてと。もっと詳しく教えてもらおうかな?」
壁に押し付けて脅しの演出でぱきりと拳を鳴らすと、あっけなくそいつは口を割った。
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