Feel So Good -6-
  



  

「おっはよ〜♪」

軽やかな声とほこっと咲いたような笑顔で青子が合流して来た。

「おはよ!青子ちゃん。」

「初めまして〜。遠山和葉や。今日は宜しゅうな!」

「蘭ちゃんから話聞いてます。こちらこそ宜しくね。中森青子です。」

「歩きながら話ししよっか。」

蘭の言葉に二人頷きながら、吐く息が白く染まる朝の清廉な空気の中お店へと向かう。



気持ちの良いくらいの秋晴れに恵まれた日曜日。

なんだかワクワクする気持ちも手伝って、3人には笑顔が自然と零れ落ちていた。

約束をすっぽかされた事はこの際棚に上げて、女3人でバイトに勤しむのも楽しいではないかと思えるようになる。

ハロウィンなのだ。

それで理由は充分だった。

「今日のバイトの制服ね。オーナーさんが特別に作ってくれたんだって!」

「どんなのなんだろう?」

「ん〜。ハロウィンに関係あるんと違う?」

ポニーテールをゆらりと揺らして和葉が笑う。

道に両側に植えられているイチョウの黄色が目に眩しかった。

3人並んでも人様の邪魔にはならないほどの道幅の並木道は、風に吹かれて落ちたイチョウが敷き詰められていてまるで黄金色の絨毯だ。

空を見上げても蒼天に黄色の扇が綺麗に映えている。

「ハロウィンか・・・カボチャのおばけとかだったり♪」

とぼけた蘭の言葉に和葉が更に乗ってくる。

「そうかもな〜。ハロウィンっちゅーたらお化けとか多いみたいやし、フランケンとかドラキュラかもな〜。」

「え〜?!それじゃお化け屋敷になっちゃう。青子苦手なのに〜。」

両腕で自分の体を抱き締めて、青子がちょっと不安そうな顔をする。

くすりと蘭が自分の恐がりを都合良く忘れて笑みを零す。

蘭の微笑みに青子が自分の態度を恥じて頬を赤く染めた。

「蘭ちゃん青子の事凄く恐がりだと思ってるでしょう?」

「ふふ。可愛いなぁと思ってvv」

「な?!べ、別に青子、そんなにお化けの事恐いわけじゃないもん。本当にただ、ちょっとだけ苦手ってだけで・・・」

もごもごと小さな声で言い訳をする青子に蘭と和葉が弾ける様に笑った。

青子はバツが悪そうにそっぽを向いている。

「でも実際どんなお洋服なんだろうね?」

「う〜ん。まぁバイト内容が一応ウェイトレスとお菓子配りって言ってたやろ?そんな動き難い格好ちゃうと思うけど。」

「そうだよね。」

3人で暫し考え込む。

あまりハロウィンというイベントが身近に今まで存在していなかった為、想像力もなんだか貧困になりがちな3人だった。

「悩んでもしゃーないやん。時間押してる事やし、はよ行って実物見してもらお。」

すぱりと悩みを絶ち切って、和葉が体一つ分前に出る。

腕時計が指している時間は確かに集合時間が差し迫っている事を示していて、これ以上ここで考えていても別段何か良い事がある訳ではない。

「うん。行こう!」

誰からともなく、スキップを踏むような軽い足取りで3人は今日一日世話になるブティックを目指した。







  


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