|
「青子の奴・・・へそ曲げやがって。」
むっす〜と口を曲げ胡座をかいているのは、天下の大怪盗キッドの真実の姿。
先ほどからヤケ酒をかっくらうが如く、ポカリをがぶ飲みしている。
その横でははらはらと見守る寺井の姿があった。
「ぼっちゃま。あまり飲み過ぎますと、お仕事に障りますよ。」
「だってよ〜。じっちゃん。青子の奴あまりにも意固地だと思わね〜?」
話の脈絡などふっとばしてそう問い掛ける快斗に寺井は苦笑いで応える。
先ほどから口を開けば、幼馴染の青子の事ばかり言っている事に自分で気が付いて居るのか居ないのか。
そんなに気になるのならさっさと仲直りをしてしまえば良いのにと、年の功から思うのだが、素直に忠告に従うほどにはまだきっと大人になり切れていない快斗を正直寺井は扱いかねていた。
「はぁ・・・まぁ青子さんもなかなかどうして、意志が強いですからね。」
「今はそんな話してねーじゃん。」
「正直申しまして、快斗ぼっちゃま。今回の事は坊ちゃまが100%悪いと思います。」
「・・・俺は四面楚歌か。」
「・・・素直になられた方が丸く収まりますよ?」
「だぁっ!やってられっか!仕事の話するぞ!仕事!!」
寺井の責めるような視線に耐え切れなくなって、快斗はばさぁっと机の上に広域地図を広げたのだった。
| |