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「「「・・・」」」
ばったり道端で出くわした人物に絶句する。
確立的に言って同じなのなら、何故追い求めている幼馴染じゃないんだろうと、頭の中で運命って奴を罵倒する3人。
怪盗キッドは既に白い衣装ではなく、東西名探偵も既に仕事用の仮面を脱ぎ捨てている。
何処か余裕の無い表情で、うろうろと人が集まりそうな市街を歩き回っていた所で、一同会してしまった。
「・・・あ〜。」
どうしたものか、何か言うべきなのだろうかと、捜し疲れ、期待に振られ続けた怪盗がばりばりと髪の毛を掻き回した。
新一は、皮肉げに唇の端を吊り上げた。
端正な顔でやられると、背筋が凍るような恐怖が迫ってくるのはなんでなんだろう?
「よぅ。今日はご苦労さん。折角の休日を潰して、何か成果は有ったのか?」
「そや。俺も工藤と仲良う休日出勤や。ほんまどこぞの誰かさんのお陰でな〜。えろう貴重な体験させてもろたわ。」
「あはは。・・・それって俺の所為ばっかじゃないと思うけど。」
「確かに100%オメーの所為だとは俺も言わねー。」
「50%くらいは黒羽の所為って事にしとこうか。」
「・・・そんなに怒ってるって事は、もしやデートの約束有った?」
「俺は水族館。」
「俺はなんやらゆーイラストレーターの原画展や。」
「あはははは。断れなかったの?」
上目遣いで尋ねてくる怪盗に二人の名探偵はにっこりと爽やかに笑った。
腹に一物抱えたまま。
「熱烈に誘われてね。なんせ、ほら。怪盗キッドが見られる機会なんてそうそうねーからなんて言われちゃあな。」
「断るんも角が立つっちゅー感じで、わざわざ捜査一課経由で話し来とったし。」
「あれれ〜?」
コナンの口癖を真似て誤魔化そうとすると、新一が問答無用で拳を叩き落した。
「痛ぇぇぇぇ!!!!何すんだよっ!」
「ふざけんな。」
「反省の色ちぃっとも見られへんな〜。なんなら竹刀の切れ味も体験しとくか?」
「ああもうっ!悪かったな!!!!」
「・・・最初からそう言えよ。バーロー。」
両手を組んでようやく怒りの矛先を納めた新一と、怒り冷め遣らぬ熱血体質の平次。
快斗はこの事態でものんきにぐぅっと鳴った腹具合を確かめ、しょうがねーかと一つの提案をした。
「オメーら、腹減ってね〜?俺朝しか食ってねーんだよね。ここは一つ、奢ってやっから。」
「そうだな。何か腹に入れて、気分変えて探すか。」
「怒りっぽいんは腹減ってたからか。気が付かんかったわ。」
快斗は勝手に歩き出しながら肩越しに振り返った。
「ケーキの美味しい店だから、お土産に買って帰ったら?」
「・・・ちゃんとした飯食いてーんだけど。」
不満げに呟いた新一を快斗はまぁまぁと宥める。
「ソコのグラタン・ドリア系は隠れた一品で美味いよ。騙されたと思って食べてみな。」
「ふぅん。黒羽そこ良く行くんか?」
「まぁね。・・・それにそこブティックが経営しててさ。・・・まぁあいつの御用達な訳。」
「なるほど。」
「あ、そこのアクセサリーはプレゼントになかなかお薦め出来るぜ。」
「・・・買うかな。一つ。」
「なんなら俺にも見繕ってくれや工藤。俺はさぁっぱり女の趣味は分からへんから。」
「そんなら俺に任せといて。結構付き合いで見てっからばっちり!」
次第に饒舌になる快斗に適当に相槌を打ちながら、新一と平次は休憩を取った後のプランを瞬く間に組み直した。
花と団子のプレゼントを持って、家の前で待ち伏せて、捕まえたらひたすらご機嫌を伺う。
それでなんとかなりますようにと、祈りながら。
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