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「蘭ちゃんっ!青子ちゃんっ!何処行ってたん?!」
「ごめんね〜。」
「ああ、和葉ちゃん一人で頑張らせちゃってごめんねっ!すぐやるからっ!」
丁度ティータイムとしてピークにさしかかった店内は人が溢れんばかりに賑わっている。
美味しいお茶と美味しいケーキ、そして可愛いウェイトレスさん。
人気が出ない訳が無い。
今日はハロウィンと言う事で、小さなかぼちゃのクッキーがサービスで添えられると言う事もあって、限定モノに弱い奥様方も多い。
学生の恐るべきネットワークによって、今日は臨時でめっちゃイケてる女の子がバイトで入っていると聞きつけた男子学生の団体も多く、もう捌き切れない状況になってきていた。
外には行列が出来ており、普段はお客様様な従業員達も少しばかり閉口ムードだ。
オーナーだけはそんな店内を嬉しそうに眺めながら特別に用意させた片隅の一人席で優雅にお茶を飲んでいた。3人は再び目も回るような忙しさの奔流に真っ只中に飛び込む羽目なった。
彼女達がお目当ての男性客は当然注文を彼女達にしようとするし、出来る限り彼女達を自分達のテーブルに長く引き留めようとする。
彼女達が着ているコスチュームが気になる女性客もやっぱり彼女達に注文をしようとし、やって来た彼女達を質問攻めにする。
身動きが取れなくなる前になんとかそのテーブルを離脱するも、彼女達を呼ぶ声は後を絶たなかった。
「どないする???」
「ああん、あっちでもこっちでも、だね。」
「取り合えずお互い助け合いながら、頑張って乗り切っちゃおう!」
厨房で円陣を組んで意気込みを確認し合い、再び出陣!と勇んだ彼女達の目の中に飛び込んで来た光景は、出鼻を挫くが如くやけに鮮明だった。
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