|
「おっかしいな〜。蘭の奴。」
何度掛けても通話中の蘭の携帯に新一は不安を隠せず渋い顔をする。
自分意外の人間とこんな夜に長電話をするなんて・・・
理性が無いだろうと鼻で笑うような男の影を心配して、少しばかりのヤキモチとイライラを抱えて新一はベッドにつっぷした。
ぼふんっと体重を受けてスプリングが弾む。
蘭が身の回りの事をまめにやってくれているから、シーツだって洗い立てのふかふかでこのまま眠れたのならどんなに気持ち良いのだろうと思う。
それでも今日一日の締め括りに蘭の透き通るような声が聞けないのは、幼い心の一部が納得しなくて、不貞腐れた気持ちを抱えたままだ。
「風呂・・・入ってから、もう一回掛けるか?」
ちらりと携帯のディスプレイを眺めると、もう11時を大分回った時間で、風呂に入る時間を加味すると、電話するのには非常識な時間となってしまう事に気が付き、新一ははぁっと長々と溜息を吐いた。
今日はどうも、タイミングが悪い。
「ちっくしょ・・・」
がしがしと頭を掻き毟り、頭を強く振って思い切るととぼとぼと浴室へと向かう名探偵だった。