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「なんか・・・疲れちゃったね。」
「ココ、そんな人多そうやないのにな〜。一体どこから湧いて出とるんやろ。」
「一体幾つ青子達お菓子配ったんだろうね。数えると吃驚しちゃいそう。」
お昼休みを貰って、控え室でくったりとパイプ椅子に腰を下ろす初心者バイトの3人。
目の前にはオーナーが3人の為に用意してくれた賄い食が置いてある。
実際カフェでランチメニューとして出しているのだろう、かぼちゃクリームのパスタとルッコラとカリカリベーコンのサラダ。
美味しそうにほくほく湯気が立っているのを見て、唐突にお腹が空いている事に気が付き、3人はお行儀良く手を合わせて食事を始めた。
「にしてもな〜。蘭ちゃんのそのミニスカートはかなりポイント高いと思わへん?」
和葉は隣に座る蘭の思い切り良く短い裾から伸びる、白くつるりとした質感の足を眺めた。
瑞々しく内面から輝くような日に焼けぬ白い肌は、男性の遠慮の無い視線を随分釘付けにしていた気がする。
蘭はちょっと困った様に微笑んで、でも・・・と続けた。
「それを言うなら、青子ちゃんの際どい胸元も・・・穴が空くくらい見てる人が多くなかった?」
くっきりと鎖骨が浮いた柔らかそうな胸元。
広く開けられている割に、色っぽいと言うよりは清純な感じがする肌は、ソノ気がなくてもソノ気にされそうな感じだ。
スープをこくんっと喉を動かして飲み終えた青子が、そうかなぁ?と首を傾げる。
「青子はよっぽど和葉ちゃんの首筋から背中のラインの方が気になったけど。だって触りたくなっちゃうんだもん。」
ホルターネックで前がガードされている分、後ろが綺麗に覗けるスタイルは、想像力を掻き立てて困る。
ふらふらと正面に回り込む男性の多い事多い事。
「でも!午後はカフェの中のお仕事だから、もうあんまり見られなくて済むよね。」
蘭がほっとした様に紅茶を口に運び、和葉もうんうんと頷く。
青子だけが、ちょっと困った様に曖昧な表情を見せた。
その様子に不安げに蘭が首を傾げる。
視線に促されて、青子が口を開いた。
「蘭ちゃんと和葉ちゃんの希望を砕く様で言い辛いんだけど、ここのカフェ、ケーキが美味しいので有名だから女のお客さんも多いんだけど、コーヒーが美味しくて種類が豊富って所で男の人にも人気なの。それにね。コスチュームが可愛いから、意外にそれ目当ての人、多いんだぁ・・・」
「って事は、何?やっぱうちら午後も好奇の視線に絶えないとアカンっちゅーことやね。」
「だね。」
「あっ!でもでも!暖かいし!!さっきよりは楽になると思うよ!!」
元気付ける様に青子が弾んだ声を出し、蘭も引っ張り上げられる様ににっこりと笑った。
「そうだよね。席数に限りがあるから、幾らなんでも、猫の手も借りたいほど忙しいなんて事ないだろうし。」
「そうや。それにこれ終わったら皆でお買い物と食事出来るし、頑張り甲斐ありそうや。」
「うんうん!」
「あとちょっと!可愛いお洋服と楽しい一時の為に!!」
「ファイトっ!」
「「おーっ!」」
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