008.LFGローラントC−Ua 偵察機[ドイツ]
        LFG ROLAND C-lla RECONNAISSANCE PLANE [GERMANY]



全幅:10.33m、全長:7.52m、発動機=メルセデスDV水冷直列160馬力、
総重量=1,310kg、最大速度:165km/h、航続時間=4h、
武装=7.9mm機関銃(施回×1+固定×1)、小型爆弾4、乗員:2名、
初飛行:1915年10月、生産数:約250機

Illustrated by Shigeo Koike , イラスト:小池繁夫氏

 1916年後半、第一次世界大戦の中盤、ベルダンやソンム攻防戦が展開されていた時期の航空戦に登場した二人乗りの高速偵察・攻撃機である。当時のドイツ軍のどの複座機より速かったし、イギリス軍のソッピース・パップ戦闘機やフランス軍のニューポール戦闘機も簡単には追いつけなかった。この高速を得るために、胴体は、薄板を重ね貼りした木製モノコック構造とし、機首のプロペラに被せた大きなスピンナーにつながる「鯨」と綽名された、平滑な表面をもつ流線形に仕上げられている。


 主翼は複葉だが、空気抵抗を最小にするために上翼を通常の機体のように支柱を使ってパラソル型に配置するのを止めて、直接、胴体に造り付ける構造とした。もちろん下翼も胴体に直接つけている。また、上下の翼を結ぶ支柱も弦長の長いもの一本とするなどに加えて、支柱や張線を極度に排除してある。この構成で空気抵抗はもちろん少なくなり加えて、パイロットも、偵察員も、極めて良好な上半天球の視界をもつことになった。しかしその反面、前下方の視界は、上翼と機首両側の冷却器により、まったくと言っていいほど遮られてしまった。このため当然のことだが着陸事故が多発した。

 原型機は1915年10月に初飛行したが、実用化が遅れ、部隊配備後も搭乗者から敬遠されたのは当然だった。武装は初期には偵察員席の旋回機関銃だけだったが、後期の機体は、この画に見るように、機首にプロペラ面を通して発射する同調式機関銃を装備し、また胴体下面には12.5kg爆弾を4発携行することもできたから、これらの武装を活用して複座戦闘機や軽爆撃機としての任務にも使われていた。(2001年カレンダー掲載)



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