1934年10月にフランス空軍から発行された「20mm機関砲を装備し、爆撃機の長距離進攻を援護し、また来襲する爆撃機の要撃、戦闘機隊の戦闘指揮にあたる双発多座戦闘機」の提案要求には6社が応じたが、このプレゲー693(690シリーズ)もその−つである。
プレゲー690シリーズは、胴体を細く設計するために、このクラスの機体としては珍しい、中翼配置の主翼を採用しているのが外形上の特長である。もちろん、そのままでは、主翼構造が胴体を貫通してしまうために、乗員が前後に大きく離れてしまう。そこで構造を工夫して、胴体を貫通する部分の前・後の桁の間隔を大きくし、そこに航法士兼傾察員を乗せるようにした。パイロットと電信員は、それぞれ桁構造の前後に配置してある。
フランス空軍の審査では、手堅い設計のポテー630が多座・多用途・戦闘機として選ばれたが、プレゲー690も捨て難いということで、胴体下面に小型爆弾8個(2段4列)の爆弾倉を設置するなど、複座の地上攻撃機に改設計し、691として採用されることになった。
このため、せっかく工夫した中央の航法士席は不用になってしまった。しかし691に装備したイスパノスイザ14ABエンジンの信頼性が低いため、エンジンをノームローン14Mに換装したのが、この画の693である。
692はキャンセルで欠番、694は航法士兼偵察員を復活させた3座の偵察機型、695はアメリカのP&Wエンジン付きの機体である。693は約200機、その他は、いずれも少数しか生産されないまま、フランス敗戦の日を迎えてしまった。 |