028.ニューポール 25C.1 戦闘機[フランス]

NIEUPORT 25C FIGHTER [FRANCE]

全幅:8.21m、全長:5.87m、総重量:547kg、最大速度:176km/h/SL、 
発動機:ローン9Jb 130馬力×1、武装:7.7mm機銃×1、乗員:1名
初飛行:1917年2月
 
                                            Illustrated by Shigeo Koike , イラスト:小池繁夫氏

 第一次大戦初期の制空権は、世界で初めて回転するプロペラの合間を縫って発射される同調式機関銃を装備したドイツのフォッカーE型単葉戦闘機の手に握られていたが、その制空権を奪回したのがグスタフ・ドラージュの設計したニューポール17に始まる一連の戦闘機だった。 翼弦を細くした下側の翼と上の翼をV字型の支柱で結んだ一葉半形式のニューポール戦闘機は、薄い翼を沢山の張線で支えていた単葉機に対して空気抵抗が少なく、失速性に優れ、強度・剛性も高かったから性能・機動性でもフォッカーを圧倒した。25型は17型から21、23、24型と段階を追って発展した後期型である。

 エンジンをシリンダー全体がプロペラと一体で回転する空冷星型11気筒のクレージュ11E 200馬力のそれまでの2倍近くもある強力なものに換装し、3000mmで8分という素晴らしい上昇力を示したが、このエンジンが信頼性に欠けたためか、生産は極めて僅かした行われなかった。

 前年、日本でも24型を陸軍にて甲式三型戦闘機の名で制式採用され、機体は中島飛行機や三菱内燃機で、またル・ローンの回転式星型エンジンは東京瓦斯電気工業で国産化され、欧州の最先端航空機技術を学ぶことにおおきく貢献した。

 イラストはドクロと棺桶のマークをつけたフランス空軍のエース「シャルル・ナンジェッセ」の愛機である。 このころのパイロットはげんを担ぐものが多く、機体ナンバーなど13番を嫌うし、金曜日には飛行しない者も多かった。また、おまじないでチューインガムを機体に貼り付けて飛ぶこともパイロットの間で流行っていた。 ところがナンジェッセは、その逆を行く無法者であって、不吉な棺桶の絵を描くし、チューインガムを張り付けることは絶対にしなかった。 彼は墜落と負傷を繰り返しながら47機の撃墜記録をうちたて、第一次大戦を生き抜いた。 

 しかし戦後になって彼は、同じマークを描いたピエール・ルヴァソールPL8「白鳥」号で、航空士のフランソワ・コリとパリからニューヨークへの無着陸記録飛行に挑み、そのまま大空の彼方に消えた。 これはなんとリンドバーグの飛行の僅か12日前のことであった。(1997カレンダー)


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