296-1.  シコルスキー/P.R.∨.Z イリヤ・ムーロメッツG 爆撃機[ロシア]
       SIKORSKY/P.R.V.Z. Ilia Mourometz Type G Bomber [RUSSIA]

  
全幅:30m、全長:18m、翼面積:125m2、
発動機:アーガス150馬力×2、ルノー 220馬力×2、
総重量:4.6t、最大速度:110km/h、航続時間:4h、
武装:爆弾450〜700kg、機銃4〜7、
乗員:4〜10名
 
 
Illustrated by KOIKE, Shigeo   イラスト:小池繁夫氏 2004年カレンダー掲載

          
翼幅30m、重量5トン、爆弾積載量450〜700kg。第一次世界大戦の初期に東部戦線に出現した、当時としては途方もない超大型機。イギリスでは本年カレンダーにあるショート184水上雷撃機が開発され、日本では東宝映画「青島要塞攻防戦」に見るように、箱型凧のようなモーリス・ファルマンに15kgの爆弾3発を積んで出撃している時代だったから、まさに桁違いの巨大さだった。この巨大爆撃機の原型となったのが、戦前の1913年に完成したグランド号。こんな大きくて、重い代物が空を飛べるわけがない!電車みたいなガラス窓で雇われた操縦席では、風が当たらないから飛行感覚が掴めない!などと危惧する声が少なくなかったが、5月13日午後10時、設計者イゴール・シコルスキー自身の操純でヘトログラードの白夜の空を舞った。
しかしグランド号は8月の未、墜落した飛行機の下敷きとなって大破。その代機として建造されたのが、イリヤ・ムーロメゾソ号(民間型)である。1914年1月こ初飛行した。第一次世界大戦が発生すると帝政ロシア航空隊は、イリヤ・ムーロメッツ号と同型の爆撃機による爆撃隊の編成に乗り出した。イリヤ・ムーロメゾソは機名から型式名になった。当時のロシアでは、航空エンジンが製作できなかったから、入手できたエンジンによって、寸法・性能が少しずつ変わっている5グループが生まれた。80機弱がつくられたが、ロシアの敗戦と共産革命により、飛行機はすべて破壊され、シコルスキーはアメリカに亡命し、技術も経験も、すべてが失われてしまった。図はGグループの1機。
        


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