1928年のR.Eバード(元提督)南極調査隊が使用した汎用機。フェアチャイルドは航空測量用垂直カメラのメーカーとして発足した会社だが、やがて自ら航空測量会社を運用し、さらに航空機メーカーを設立して、航空測量用の飛行機FC−2(試作原型FC−1)シリーズを開発してしまった。
同じ時代のロッキード・ベガに比較すると、いかにも保守的な設計の、この飛行機が、発売されるとすぐ、ベストセラーになってしまった。航空写真測量のために、広くて視界の良いキャビンを備え、多少の横風があっても、機体を水平に保ち、一定の速度で、同一高度を、一直線に飛び続けられる。またオイルと燃料を供給すれば、どんな僻地でも飛び立てる。さらに地上の移動や格納を容易にするために、主翼が後方に簡単に折畳める。こうした飛行性と実用性が、アメリカやカナダの事業パイロット(ブッシュ・パイロット)に高く評価されたからだ。
FC−2WはFC−2のエンジンをライトJ5(220hp)からP&Wワスプ(415hp)に強化し、翼幅も拡大した機体である。この"スターズアンドストライプス号"は、さらにキャビンを60cm(2フィート)延長し、人員輸送なら7人が乗れるようにしたFC−2W2がベースになっている。広くなったスペースに、測量用のカメラや強化された無線機材・増加燃料タンクが積み込まれている。第1次調査隊は極地の「かまくら」の中に同機を残置してきたが、4年後に第二次調査隊の手で掘り出され、そのまま再使用された。その後、無事帰国し、現在、レストアが行われている。アメリカ国立航空宇宙博物館に展示されているのはFC−2W(5人乗り)である。(2002年カレンダー掲載) |