083.カムス(CAMS)53旅客飛行艇[フランス]
CAMS 53 PassengerFlying Boat[FRANCE]

  
全幅:20.40m、全長:14.82m、翼面積115u、発動機:イスパノスイザ水冷∨型12気筒 500馬力×2、
総重量:6,500kg、最大速度:220km/h、巡航速度:170km/h、航続距離:1,000km、
乗員/乗客:3/4名、
初飛行(c/n5):1928年10月3日、製作機数:40機
 
Illustrated by Shigeo KOIKE , イラスト:小池繁夫氏 2002年カレンダー掲載

 1928年のパリ航空ショーに出品された旅客・郵便輸送用の双発飛行艇である。フライング・ボートと呼ぶに相応しい素晴らしいデザインである。

 2度の世界大戦の間にに挟まれた平和な時代において、ちょっと不思議に思われるかもしれないが、フランスは飛行艇王国でもあった。プレゲー、ラテコエール、リオレオリビエ、シュレック、SPCAそしてこのCAMSと、多数のメーカーが、相次いで単発から6発まで、小・中・大型の飛行艇を開発し、フランスの版図をアフリカから南米に、中近東から東南アジアヘと伸ばすことに貢献していた。

 CAMSというのは1920年にパリ北郊サンデニに創業されたセーヌ海洋航空機会社の略号だが、国際的に(カムス)で通用している。 張間の複葉、翼間の中央に配置されたエンジンというスタイルは、昨年掲載されたスーパーマリン・ウォーラスとそっくりだが、本機の方が出現は早いし、デザイン的にも優れている。いずれにしても、当時の小・中型飛行艇の一般的な形態ではある。寸法・重量は本機のほうがだいぶ大きく、乗員3人と乗客4人の7人乗り、エンジンも串型配置の双発となっている。艇体の構造は全木製、主翼は木製骨格に羽布張ろである。

 1929年春にマルセーユ〜アルゼの地中海縦断路線(約800km:週4便)に就航し、続いて地中海横断のナポリ〜ベイルート路線(経由地4箇所、2泊3日)に投入された。また原型となったCAMS51が、1926年にペイロード2トンの国際高度記録4,684mを樹立するなど、当時の飛行艇としては、優れた実績と性能を示しているが、飛行艇が洋上を飛行する時の安心感のために、いかに大きな代価を払っているが同じ時代の、同じ7人乗りのフェアチャイルドFC−2W2(陸上機)と比較すると良く判る。陸上機のFC−2W2は単発なのに、航続距離は1.5倍でより遠くまで飛んでいる。

 



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