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中国黒竜江省酪農乳業発展計画 | ![]() |
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項目 | 背景 |
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小規模な草地改良技術 | 安達市の約半分を占める「草原土壌」は、アルカリ性が強く、耕作には適さない。このことから従来草原として放牧利用されてきたが、その強いアルカリ性は優良な牧草の生育にも支障となっている。また草原内には強いアルカリ性のために牧草も生えない所が斑状あるいはモザイク様に分布している。 また、放牧地のほとんどは積極的な管理(肥培、輪換放牧)をせずに強度の放牧が継続されてきており、牧草の衰退が著しい。 中国政府は1985年に制定した「中華人民共和国草原法」を2002年に改訂した。草原法の目的として「草原の合理的利用、生態環境の改善、生物多様性の保護、現代畜牧業の発展、社会経済の持続的発展」をあげているが、2002年の改訂の趣旨の一つには草原の保護を積極的に打ち出したことが特筆される。草原の保護策として中国政府は「休牧、禁牧」を第一にあげている。休牧、禁牧も従前の過放牧状態からの脱却には有用であるが、これに加えて積極的な草原の改良方策をとることが必要と考える。即ち施肥、優良な牧草の導入、アルカリ土壌の改善等である。 このため、これら技術の当地での妥当性、適切な実施方法等について明らかにすることが必要である。 加えて草地から得られる貯蔵飼料である乾草の生産技術の向上を図ることが重要である |
未利用資源の飼料化技術 |
黒龍江省における畑作の中でトウモロコシの占める割合は多い。トウモロコシを収穫した後の茎葉については、自家用の燃料にする他、家畜を飼養している農家では飼料として利用している。しかし、耕種専業農家では未利用とされる部分も多い。 畜産農家においても、細断して給与することとしているが、この方法では牛の嗜好性、採食量、消化性について改善の余地がある。 また黒龍江省では稲作も行われているが、牛を飼養している地域とは離れており、現時点では稲わらについては多くが焼却されてしまう等、その有効利用は図られていない。 トウモロコシ茎葉及び稲わらはは低質粗飼料に位置づけられる。しかし、資源量としては豊富であり、これの有効利用は黒龍江省全体の大家畜用畜産発展のための飼料資源として大きく位置づけられるべきであり、その有効利用や飼料価値の向上(サイレージ調製、尿素処理等)が望まれている。 |
サイレージ調製技術 |
黒龍江省の酪農における冬季の粗飼料は乾燥して貯蔵したトウモロコシ茎葉が主体であるが、乳牛の能力をより発揮させるためにはより高品質の飼料を給与することが重要である。 日本の酪農においては高栄養のトウモロコシサイレージ(ホールクロップサイレージ)の調製・利用が一般的であり、当地にもこれを普及させることが重要である。しかし当地ではトウモロコシサイレージ調製の経験に乏しく当該、技術を当地にも普及させることが重要である。 また、当地では土壌の問題及び集約的な栽培管理技術が普及しておらず、トウモロコシの生産性(単収)は日本に比べても低く、サイレージ用トウモロコシ栽培技術の向上も課題となっている。 |
飼料分析技術 |
飼料の栄養分析を行い、その栄養価値を知ることは当該飼料を家畜に適切に給与するために必要であるばかりでなく、生産場面にフィードバックし、草種、品種、栽培技術(施肥等)の適正化を図る上でも重要である。 黒龍江省では黒龍江省畜牧研究所において飼料分析が行われているが、飼料分析技術の一層の向上が求められている。 また適切なサンプルの採取や分析結果の適切な利用方法についても知識・技術の向上が必要である。 |
アルファルファ採種技術 |
草地の改良、生産性向上を図る上で、栄養価の高いアルファルファの栽培、利用は極めて有用である。また、アルファルファは地域の気候条件、利用条件に適した品種を用いることが重要であり、黒龍江省においても品種の育成が行われている。 しかしアルファルファ栽培の普及を図る上で、種子の供給がスムーズにいくことが重要であり、そのためにもアルファルファ採種技術の一層の向上が求められている。 |
モデル牧場における飼料生産技術の実証展示 |
草地改良技術、未利用資源の飼料化技術及びサイレージ調製技術等の指導した技術が当地にうまく適応するかどうかは実用規模での実証をしてみることが重要である。また実用規模での実証は当プロジェクトで指導したことを広く普及させるために極めて有用である。 更に指導内容をマニュアルにまとめ、これに基づきC/P等が普及活動を行うことが重要である。また指導者や農家に対して行う講習会も技術普及促進のために有効である。 |
項目 | 活動内容 | 目標 | |
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小規模な草地改良技術 | ベースライン調査 | プロジェクトサイト及びその周辺における土壌、植生、利用されている牧草等の調査 | 牧草栽培における実態、制約条件が明らかになる |
草地改良試験 | 土壌改良方法、導入が適切な牧草、基盤整備方法及び草地管理方法の試験及び指導 | 草地における生産力を向上させるための草地改良方法が明らかになる | |
乾草調製技術 | 乾草調製技術の指導 | 適切な乾草調製技術が行われる | |
未利用資源の飼料化技術 | 未利用資源の実態調査 | トウモロコシ茎葉等の未利用、低位利用資源の発生状況、利用状況等調査 | 未利用資源の状況及び利用可能性が明らかになる |
茎葉サイレージ利用試験 | トウモロコシ茎葉のサイレージ調製技術の実証 | トウモロコシ茎葉等の適切な利用方法が明らかになる | |
サイレージ調製技術 | 圃場整備 播種 栽培管理 |
大型機械収穫に適した圃場整備、適切な品種選定、栽培管理技術の指導 | 大型機械収穫に適した圃場整備、適切な品種選定・栽培管理技術が行われるようになる |
収穫 | 大型機械(コーンハーベスター)による収穫技術の指導 | 大型機械による効率的な収穫が行えるようになる | |
貯蔵 | サイレージ調製(サイロ詰め)の指導 | 高品質なサイレージを調製貯蔵できるようになる | |
給与試験 | 調製したサイレージの品質調査及び家畜への給与 | 給与試験や品質調査等によりC/Pによるサイレージ品質評価が可能となる | |
飼料分析技術 | 分析サンプルの収集 | 飼料分析用サンプル採取 | 適切な飼料分析用サンプルの採取が行えるようになる |
畜牧研究所のC/Pとの打合せ | 分析実施計画策定、分析結果についての評価、意見交換 | 適切な分析が行えるようになる | |
分析結果のフィードバック | 飼料分析結果を飼料生産及びその利用に活用する | 飼料分析結果が有効に活用される | |
アルファルファ採種技術 | 畜牧研究所のC/Pとの打合せ | アルファルファ採種技術についての意見交換 | 畜牧研究所C/Pの技術向上 |
地域適正栽培試験 | 複数品種、系統の比較栽培試験を行う | 地域に適した品種、系統が明らかになる | |
モデル牧場における飼料生産技術の実証展示 | 生産技術マニュアル作成 | 指導した技術を中心にマニュアルを作成する | 地域の技術者、指導者、農民の技術向上が図られる |
講習会等による普及活動 | 酪農セミナーを開催し、飼料生産技術関係の講演を行う | 地域の技術者、指導者、農民の技術向上が図られる | |
実証展示 | 友誼牧場で草地改良、サイレージ調製等の実証展示を行う | 指導した技術が地域に普及する |
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