1998.3.22

The Point
Nilsson
(DCC/BMG Special Products)


 去年の11月、ここで1969年にリリースされた『Harry』の再発を取り上げたけれど。それと同じシリーズからの再発。やはりDCCがらみで、リマスター・エンジニアはもちろんスティーヴ・ホフマン。この勢いで、他の既CD化盤もリマスタリングし直して一気に再々発してくれないものでしょうか。

 ニルソンの場合は本格的にデビューを飾る前のキャリアがちょこちょこあったり、映画のサントラがあったりするので、オリジナル・アルバムの枚数をどう数えたらいいのかわからないところがあるのだけれど。いちおう、67年の『Pandemonium Shadow Show』をデビュー盤と考えて、以降、68年の『Aerial Ballet』、69年の『Harry』、70年の『Nilsson Sings Newman』、そして同じく70年に出た本盤…というところが初期ニルソンのオリジナル・アルバム群って感じ。詳しい経歴に関しては、すんげえ昔、ホームページを始めたころに作った朴訥とした(笑)バイオ・ページがあるので、そちらを参照してください。

 で、本盤は自ら脚本も手がけたテレビ・アニメ特番のサントラ盤。ニルソン自作自演の楽曲とナレーションとでノンストップ形式で展開する構成だ。すべてがとんがっている国で暮らしながら、自分だけとんがりアタマじゃないオブリオくんが様々な謎をめぐって旅をする、というような内容で。71年に放映されたテレビ特番ではダスティン・ホフマンがナレーションをしていたらしい。ビデオで出たときはリンゴ・スターがナレーションだった。本盤ではニルソン本人がナレーションしている。

 以前、レコード・コレクターズ誌でニルソン特集があったとき、ノージがこの盤に関してちょっと勘違いしたらしく“とんがり国のとんがりアタマのオブリオくんが…”って書いちゃって。間違いを指摘するハガキが来たもんで、次の号のお詫びコーナーで“オブリオくんはとんがりアタマじゃありませんでした。申し訳ありません”とか書いてたのがサイコーに笑えました。それだけ読んだら、世界一ワケのわからんお詫びだ(笑)。

 ともあれ、ジャン&ディーンのディーン・トレンスのデザインによるアルバム・ジャケット同様、なーんかほんわかしてて楽しい1枚。オリジナル盤に付いていたゲイリー・ランドによるコミックが復刻されていないのは淋しいけど、音のほうだけでもいい状態で甦ったのは大歓迎です。今回もうれしいボーナス・トラック入り。本盤のレコーディング・セッション時に録音されたシングル「ダウン・トゥ・ザ・ヴァリー」と、イギリスのみシングルB面でリリースされたおなじみの珍品「バイ・マイ・アルバム」が追加されている。自分のアルバムの宣伝ソング「バイ・マイ・アルバム」は傑作ですよ。


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