●インターネット・ショッピングで時計を海外通販(2001年5月26日)

結局実物を見る事は一度も無かったのですが、初めて写真を見たときから、 欲しかったのです。
限定発売だったので、現時点で市場に出る事は全く無く、アンティーク・ ウォッチ・フェアなどでUSEDが出ることを期待していたのですがこれも駄目。
もちろん、インターネットでも探してみましたが、新品はおろか、 USEDの情報も古く、あったとしても既にSOLD OUTになっていました。
(それでも、何軒かは問い合わせて見たのですが...。)

ということで、最初の問題(第1の問題)は、どこで買えるのかがわからなかったということです。
そんな中、国内で限定発売されたもの以外に、海外仕様のものがあることを 知ります。
と言う事で、私の長い旅は始まったのでした。

●あっ!

インターネットを使って探し始めてはみたものの、「SEIKO」、「KINETIC」、 「CHRONOGRAPH」と言った単語では、検索結果が多く、1件1件見てゆくのには 時間がかかりそう。
ダイレクトに探そうと、型番を入力したりもしてみましたが、 期待したサイトにはヒットしませんでした。
仕方がないので、1件1件見てゆくという、地道な作業を繰り返すことに なるのです。
気が向いたら探す、と言う事を繰り返し、数日が過ぎたとき...。

「あっ!」

あることに気づきました。

●発見!

なんと海外仕様は日本とは型番が違うのです。
キネティック・クロノ 1stモデルの型番「SBXZ001」→「SLQ001」 キネティック・クロノ 2ndモデルの型番「SBXZ003」→「SLQ005J」 キネティック・クロノ 3rdモデルの型番「SBCG001」→「SLQ007」
SLQ001 SLQ005J SLQ007
私が欲しかったのは 「SEIKO KINETIC CHRONOGRAPH」
早速探してみると、1stモデルはシンガポールで、2ndモデルは ドイツで、そして、3rdモデルもカナダで...。
意外とあっさり見つけることができました。

●選び放題?

・1stモデル(シンガポール産)

せっかく見つかった1stモデルですが、定価(以下)で購入すると言うのが 私のポリシーなので、レア度という点では惜しい気もしましたが、 高めの金額設定だったので諦めることにしました。
(最初は激安と思ったのですが、よく見るとシンガポール$ではなくUS$でした。ドルは他にもカナダ$などもあるので海外サイトでの買い物には注意が必要です。)

・3rdモデル(カナダ産)

3rdモデルについては、日本発売モデルでの購入チャンスもありました。 でも、 「みゃーの良品」No.39のインプレッションにも書いた通り、私が気に入ったデザイン(1stモデル、2ndモデル)とは 変ってしまったため、その時点で購入を諦めました。
このため、既に日本市場では見かけなくなってはいましたが、 迷い無く候補から外しました。

・2ndモデル(ドイツ産)

ということで、最終的に決めたのが 型番「SLQ005J」の2ndモデルなのでした。
まず値段ですが、このサイトでは定価で販売していました。
(色々と探していた時に見つけた、「Germany SEIKO」のホームページにて、 DM(ドイツ・マルク)での定価は知っていました。)
また、ホームページもSSL SSLに対応しているので、クレジット・カードでの支払いも安心。
ただ、ここに来てもう1つ、

大きな問題(第2の問題)

が浮上したのでした。

To be continued.


●Die Goldschmiede

なんて読むんでしょう、どうゆう意味なんでしょう!!!

よくよく過去を振り返れば、今までドイツ語に接する機会はありませんでした。
従って、知識が無い上、辞書なんかも持っておらず、たった2つの単語の意味がわかりません。

そこで奥の手。ドイツにいる知り合いに、ホームページを見てもらい、感想を送ってもらう事に。
Die Goldschmiede お店に時計とか金のアクセサリーなどを置いて売っている、いわゆる「宝飾店」のようです。

「Die Goldschumiede」は、「金細工職人」という意味。
でも、自分の所で時計とかアクセサリーを作っているわけではなさそうです。
印象ではそんなに悪くなさそう。
でも、インターネット・ショッピングのページもドイツ語なので、購入の際、何を入れたらいいのかサッパリわかりません。
(適当に入れて高額請求が来ても困るし...。)

迷った挙句、駄目元、つたない英語でメールしてみました。質問した内容はざっと以下のような感じ。
Dear Die Goldschmiede:
英語で申し訳ありません。
あなたのサイトのインターネット・ショッピングに関して日本から質問しています。
私はSEIKOのキネティック・クロノグラフに興味があり、それを貴サイトで見つけました。
しかしながら、ドイツ語がわからないため、英語で質問させて頂いております。
お答え頂けるか、また、商品を日本から購入可能かについて定かではありませんが、もし可能であれば、貴サイトにどのように入力すれば良いかを教えて頂けないでしょうか?
Best regards,
FirstName LastName

●第3の問題

ラッキー!!。2日後英語でリプライが着信。

Currently our internet shop is designed only for german users.
So you must transfer the purchase price (special price for you) to the following account.
(Sorry, no credit cards)
要約すると、
ということ。
英語で対応してもらえることがわかり一先ず安心したのですが、またまた、問題発生(第3の問題)

「海外送金」ってどうやってやるの?


●海外送金

早速インターネットで海外送金について検索。
また、最寄りの銀行2つと郵便局から送金用紙をもらってきました。

調べた内容を総合すると次のような感じ。
また、銀行、郵便局の双方とも、$(アメリカドル)なら何処からでも送金できるようですが、DM(ドイツマルク)だと取り扱い支店が限定されており結構面倒そう。

と言うことで、1つの銀行(支店)からはDMの送金も可能だったので、こちらで送金することに決定。
方法もちょっと高めですが、迅速かつ安全な銀行口座振込(一般的には電信と言うようです。)にて行う事にしました。

この場所、この方法を採用したのにはもう1つ理由があったのですが...。

●海外送金取組依頼書兼告知書(APPLICATION AND DECLARATION FOR REMITTANCE)

海外送金するためには、送金用紙の以下の項目を埋める必要があります。
(今回はこれらについて再度お店の方に問い合わせる必要がありました。)
Currency(通貨): 今回の場合はDM。
Amount(送金金額): 「DM金額」という形で記入。
Applicant(ご依頼人): 自分の名前
Beneficiary's bank(支払銀行): バンクコード 振込先銀行名/国名

バンクコードは、それがバンクコードであるとわかるように、「Bank Code」と書いた後に番号を記入。
また、今回の国名は「Germany」。
Branch(支店名): 支店名(本店であれば上の銀行名と同じ)
Branch Address(支店住所):
欄は無いので支店名のところに記入します。

特に記入する欄も無いのに、私が利用した銀行ではこの情報にこだわりました。
オンラインで処理するし、バンクコードも分かっているので、必要ないと思ったのですが、記載しないで持って行ったら、つき返されました。

このため、お店の方に問い合わせたところ、わざわざ振込先銀行の方に必要情報を確認し、情報としてはこれで十分と言うことで、国際銀行決済機構スイフト(Swist)の銀行識別コードBICを教えてくれました。

国際的な取り決めであり、BICコードがあれば、オンラインでも銀行の識別ができるはず。
「これで問題ない。」と思い再度銀行へ...。つき返されました...。

処理の確実性と迅速性のために取り決められているコードであるはずなのに、なぜこれで駄目なのか全く解せません。

それでも「駄目」と言われれば仕方がないので、再度お店に問い合わせをし、支店住所を教えてもらいました。ただ、お店の方も「なぜ?」という感じでした。
Country(国名): 国名
Account number(口座番号): 受取人の口座番号
Name of beneficiary(受取人名): 受取人の名前
Address(住所): 受取人本人の住所
TEL. No.(電話番号): 受取人の電話番号

銀行によっては、受取人の確認がとれないと口座入金しないこともあるようなので、この連絡のために記入する方がベターとのこと。
Purpose of remittance(送金目的): 今回は「Payment for merchandise」と記入。
Charges outside Japan
(支払銀行手数料):
受取人負担(Beneficiary's A/C)にチェック。

支払銀行手数料とは、送金手数料とは別に相手側の銀行(海外)で必要な手数料のこと。
用紙では「受取人負担」か「依頼人負担」のいずれかにチェックを入れます。

これを送金手数料と勘違いして「依頼人負担」にチェックする人がいるようですが、調べによると「受取人負担」とするのが一般的とのこと。
「依頼人負担」としても、処理の手間などから、受取人口座に入金する金額からこの手数料を差し引く銀行もあるとのことです。
概ね上の情報があれば海外送金可能。今回は支店住所のお陰で思わぬ時間を取りました。

●為替差損

最初に問い合わせをしてから約3週間、やっと送金の準備が整いました。

この間のやり取りで、とりあえず時計のお取り置きをお願い、また、送料については、最初から「Special price」だったにも関わらず、この金額に含めてくれました。さらに、支払銀行手数料も受取人負担にすると言ってきてくれたので、総額(時計代+銀行口座振込手数料)は「日本の定価+消費税」よりも安い金額に...。

しかし、送金準備に時間が掛かりすぎたため、また、新たな問題(第4の問題)が浮上したのでした。

右のチャートはドイツ・マルクの時計代を円換算し、問い合わせ開始時からプロットしたもの。

この換算には、TTS(Telegraphic Transfer Selling Rate)という金融機関が外貨を販売する際のレートを使用しました。

そして、オレンジのラインが「日本の定価+消費税」の金額。

そう!。

問題とは、問い合わせ開始以降為替が変動、購入金額が大幅にアップ、想定した金額を超えてしまったのです。

お買い物する際の私のポリシーは定価(以下)で購入すること。特にプレミアム価格など不当な値段のものは、いくらそれが欲しくてやっと見つけた物であっても、縁が無かったと諦める様にしています。

今回のケースはこれにはあたりませんが、ちょっと納得がいきません。
そこでお店に連絡、正直に状況を説明し、待ってもらう事をお願いしてみました。

すると、1ヶ月ぐらいであれば待ってくれるとの快い返事。(感謝!!)

それから毎日為替をチェックし、希望金額に戻るのを待つ日々が...。
そして、そう、このためにDMで「銀行口座振込」が可能な銀行を選択、金額が戻ったら直ぐに手続きできる体制をとったのでした。

しかしながら、上がったチャートは中々戻ってきません。この時ほど、日本の政策(大げさ?)に疑問を持った事はありません。

それから約6週間、最初に問い合わせてから既に2ヶ月が経過。一瞬ですが定価割れ。そして、やっと海外送金。

着金のその翌日、発送した旨連絡があり、ほっと、一息付くことができたのでした。

●Go Abroad

しかし、更なる問題(第5の問題)が私を襲うのです。

到着するであろうその日、逆に私が海外に旅立つことになってしまったのです。(しかもお店があるその街に...。)
という事は、そう、直接受け取りができないのです。

発送された品物がどのような方法で送られたのかは定かではありませんでしたが、一般的には郵便局に届くはず。
はるばる海を越えてやってきたものが、送り返されては大変、出発前、郵便で保管してもらうよう手続きをとりました。

そして出発...。 そして、帰国。

ワクワクしながら郵便受けを覗くも、郵便物保管の連絡はなし。いくらなんでももう届いているはず!。

そしてその数日後、やっと気づきました...。一枚の紙が郵便受けではなく、新聞受けに入っていることに...。
しかもこの紙、郵便物保管の連絡ではありませんでした。

こともあろうに、時計は配達されてしまったのです。そして、この紙はその不在票。しかも、返送期日は明日。
せっかく、手続きしたのに、間に合わなかったのか、ミスがあったのか。お役○仕事とはよく言ったものです。

ただかろうじて間にあったので郵便局に連絡。時計は3ヶ月かかってやっと手元に届いたのでした。
小包はシーリングワックス(蝋を溶かした上から刻印を押すことで封印すること。封蝋印とも言う。)で封緘されており、とてもお洒落。でも写真をとることも忘れ、時計を取り出したのでした。

●SEIKO KINETIC CHRONOGRAPH 2000

1999年11月日本国内限定500個で発売されたキネティック・クロノグラフのミレニアムモデル(SBXZ003)。

これには輸出用の「KINETIC CHRONOGRAPH 2000」(SLQ005J)があり、私が購入したのはこちら。
ただ、お店のホームページにも「Limited Edition」の文字があったので、こちらもある程度数が限られているのかも。

日本発売のものも限定とはいっても、ボックスにシリアル番号が入っているだけで、時計自身は全く同じもののようです。
ムーブメント

自動巻機構により発電した電力により動作するクオーツ・ムーブメントは、既にキネティックの名前で知られています。

このクロノグラフ版であるキャリバー9T82は、フル充電時、1日3時間クロノグラフを使用しても、1ヶ月以上駆動します。
適当にしか巻いていないのに、購入から半年、一度も止まった事がないので時間合わせも必要なし。非常に重宝しています。

シースルーバックのケース裏からは機械式並みの部品点数で構成されたムーブメント(38石の軸受けルビーと340の部品)を確認することができます。

メカニズム

機械式のクロノグラフ同様、ハートカムを使った瞬間帰零方式(Snap Back To Zero Reset Mechanism)を採用しており、リセット時に4本のクロノグラフ針が瞬時にゼロ位置に戻ります。

また、瞬時に日付を切り替える瞬間日送り機構も備えています。

ケース&ブレス

ブラックにハードコーティングされたチタンケース&ブレスは美しくかつ軽量。
購入前は全体がマットなブラックだと思っていたので、最初にボックスを開けた時はビックリ。
この時計、単色ではなく、艶のあるブラックとマットなブラックのコンビなのです。想像もしていなかったので、その美しさには驚きました。

また、裏はサファイアガラスによるシースルーバックになっており、こちらも◎。

ケース径は41mm、厚さは12mmで10気圧防水仕様です。

ダイアル

ブラックのケースに合わせクロノグラフ部分のダイアルにはカーボンを採用、スポーティな感じに仕上がっています。