リンパ浮腫って何?
リンパ浮腫とは、リンパ節やリンパ管の発育不全や二次的な原因 (乳がん・子宮がん・前立腺がん等の 外科的療法、放射線療法の後遺症、静脈疾患、 長期に渡る寝たきり状態、脳神経障害による廃用性浮腫 等)による圧迫、狭窄、 閉塞によりリンパの流れが滞り、組織間隙にタンパク質や水分が過剰に滞留した状態をいいます。
組織間隙のリンパ流が滞るため手(腕)や足(脚)が腫れ、重圧感、深部痛、だるさ、 疲れやすさ等を感じます。
むくみは術後すぐに生じてくる場合もあれば、5年や10年経過してから発症する場合もあります。 症状はゆっくりと進行しますが、長期にわたり適切な治療を受けない状態で放置したり、 頻繁に炎症を繰り返すと象皮病にまで進む場合もあります。
このため、むくみを感じたらできるだけ早い段階に専門医や主治医により適切な診断を受け、 医療リンパドレナージによる治療を始めることが大切です。
どのような治療をするの?
リンパ浮腫治療室では、ドイツ・リンパ浮腫治療専門病院の治療法に基づいた「複合的理学療法」 に準じて、ひとりひとりの異なる「リンパ浮腫」の症状に対応していきます。
基本的な治療内容として
- スキンケア
- 医療徒手リンパドレナージ
- 圧迫療法
- 圧迫下での運動療法
スキンケアは、治療開始前に水虫(真菌)や巻き爪をチェックしたり、乾燥しやすい皮膚の保湿を 忘れないようにします。
医療徒手リンパドレナージは、ゆっくりとしたやわらかいマッサージ法で、滞っているリンパ液の 流れを適切に排液し、むくみを緩和させます。
また、硬くなった皮膚をほぐし、皮膚の状態を改善する効果があります。(ほぐし手技)
圧迫療法は、「医療徒手リンパドレナージ」により、改善された皮膚の柔らかさ、 良好な状態を維持・改善するため、むくみの状態によって、弾性包帯を巻いて圧迫する方法と、 適切な弾性スリーヴやストッキングを着用する方法をうまく組み合わせてすすめていきます。
これらの療法を併用することにより、初めて大きな効果が生まれてきます。
また、ご自宅でのセルフケアの指導も合わせて行っております。
禁忌について
以下の疾患・症状がみられるときにはマッサージは禁忌(マッサージが行えない状態)となります。
- 心性浮腫・心不全
- 急性炎症(蜂窩織炎・皮膚炎 等)
- 感染症(風邪・インフルエンザ・水虫 等)
- 性静脈疾患(深部静脈血栓症・静脈炎 等)
「ほうかしきえん」にかかったら?
「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」とは、皮下組織の急性炎症のことをいいます。
長期に渡り患肢に組織液やリンパ液が停滞することにより、免疫力が低下し、小さな傷や 水虫などによる細菌感染、過度な負担等を原因として、蜂窩織炎を合併し易くなります。
かかり始めは、風邪の症状に似ています。
【主な症状】
- 悪寒(身体全体に寒気がする、全身がだるい、身体が震える)
- 発赤(患肢全体が赤く熱感がある、虫に刺されたような赤い発疹がみられる)
- 発熱(局所に継続的な熱感を感じる、38℃以上の高熱)
このような炎症を頻繁に起こしてしまう場合には、医師の適切な処置を受けるとともに、 日常生活を再度見直すことが必要です。
また炎症時には、治療をすることで症状を悪化させてしまいますので、 マッサージや圧迫療法は一時休止します。
【処置】
- 主治医に連絡し、適切な診察を受ける。
- 熱感がある部分を冷却します。
- 寒気がある場合には、毛布等で身体を温め、安静にします。
日常生活で注意したいこと
- 「リンパ浮腫」症状について正しく学びましょう
- できることからはじめていきましょう
【参考】
- 皮膚を傷つけないようにする。
- 血圧計測・採血・注射は、健側にて行う。
- 爪の手入れの際には、深爪をしないようにする。
- 虫刺されやペットによる掻き傷に注意する。
- リンパ液の流れを妨げないように、指輪・時計・下着などで皮膚を締め付けないよう気をつける。
- 長時間の温泉浴・サウナ浴は避ける。
- 長時間同じ姿勢で仕事をする場合には、ときどき手や脚を休める時間をつくる。
- 重いものは、できるだけ小分けにして運ぶ。
- 栄養バランスの良い食事を心がける。
気になること、心配なことなどがございましたらお気軽にお電話をください。 いつでもお待ちしております。
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