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精神科医が語る

精神科・神経科で診断、治療の対象となる精神症状

症状とは患者自身によって体験される現象をいい、現在のところ、精神疾患の診断を決定するのは主として症状である。症状を精神症状と身体症状に分け考える。

精神症状は以下のような項目に分けることが多い。よくみられる症状について記す。

1 意識 

意識があるとは、自分や周囲の状態をよくわかっている状態をさす。外来診察で直接意識障害をみることはあまりない。

比較的よくあるのは せん妄 という意識障害で、軽い意識混濁に錯覚、幻覚などを伴う興奮状態を呈し、夜間に多い。老人や、アルコールを継続し多量に飲んだあと飲酒を中断した時みられる。夜間の状態を家族から聞き、せん妄であろうと判断する。本人にははっきりした記憶がない場合が多い。

2 知能

知能とは創造的な思考により、新しい課題を解決する能力のことをいう。

知能障害は、児童期の精神遅滞と老人の認知症に伴うものが主たるものである。交通事故による頭部外傷により生じるケースもある。

3 記憶

記憶は過去の体験を持ち続け必要に応じ思い出すことで、対象を 記銘 し、保持し、追想するという3段階に分けて考える。また保持期間の長さで短期記憶と長期記憶に分ける。

認知症による記憶障害は短期記憶の障害がめだつ。過去の記憶は残っているが、短期間前のことを記憶していない。 

健忘とは、ある一定期間の出来事などが思い出せないことをいう。頭部外傷などで、外傷発生以前にさかのぼって健忘が生じているとき、逆行性健忘という。

うつ病で注意力や集中力が低下していて、新しいことが覚えられないと訴えることもある。記憶障害というより集中困難を主たる症状と考えるべきであろう。うつ病が改善すればこういう訴えもなくなる。

4        自我意識

自我とは知覚、思考、感情、行為などの精神機能をつかさどり統合する主体を想定し、つけられた名である。自我意識とは自分の存在や精神活動を意識することをいう。自我障害とは自我の行う体験が自分を離れたり、自他の境が不明確になる体験をいう。

離人症では、周囲、自分の感情や行動、自分の身体に実感がないと感じる離人感が主症状となる。

自分の考えや行動が自分以外の誰か他者により操られていると感じる、させられ体験 は統合失調症などでみられることがある。

5   知覚

知覚とは感覚器の刺激を介し、外界や自分自身の状態を知ることをいう。 知覚の量的な異常に 感覚過敏、感覚鈍磨 等がある。 知覚の質的な異常に 錯覚、幻覚がある。幻覚は感覚器に刺激が生じていないのに知覚を感じるものをいう。

幻覚の主たるものに幻聴がある。自分の考えが声となり聞こえる思考化声や他者の声で他者の主張や命令が聞こえるといった幻声といったものがある。

6        思考

思考とは、知覚から得られた材料を統合し、概念を形成し、判断、推理を行い、分析をする、一連の精神の過程をいう。思考の異常には思考の進み方、過程の異常や、思考体験の異常、思考内容の異常がある。

(1)進み方、過程の異常には以下のものなどがある。

思考制止:考えが前に進まず、考えが出てこない状態。

観念奔逸(カンネンホンイツ) fligt of idea:考えがひとつのことに集中せず、次から次に出てくる観念へと絶えず移っていく状態をいう。ただしこれらの観念にはつながりがある。

迂遠:まわりくどく、話がその目的とする主題になかなか到達しない話し方をいう。主題には達するが、細かい過剰な説明と挿入句的付けたしをその特徴とする。

保続:新しい質問など、新しい刺激に対しても、その前の質問などの刺激に対する反応が持続し、一つの考えにいつまでもこだわる状態をいう。

(2)内容の異常

支配観念 overvalued  idea:ある一つの考えが感情に結びつき、他の思考を押しのけて優先し持続している状態にあるとき、その状態あるいは観念のことをいう。

強迫観念:強迫とは自分から出た、無意味あるいはばかばかしい考えや感情、衝動であるとわかっていながら、これらを心から追い払うことができず悩む状態をいう。

妄想:誤った訂正不能の確信をいう。

 a 真正妄想 感情や心的体験から理解できないもの

   妄想知覚 知覚した対象への、異常な意味づけにより、妄想が成立したもの。

   妄想着想 突然に妄想を思いつくこと、ないしその内容。

    妄想気分 観念として明確さはないが、周囲や自分自身についてただ事ではないという不気味な感じをもつもの。

    妄想追想 過去の記憶に妄想的意味付けがなされたもの。

b  妄想様観念 二次妄想と呼ばれ、感情や心的体験から発生が理解できるもの。

    うつ状態の貧困妄想 そう状態の誇大妄想など。

7 感情 affect

感情は快、不快を基調とする状態性の精神機能であり、行動や心的体験に伴って現れ、欲動とともに精神構造の基盤をなす。生理的な変化、身体表出とともに生じるのが、情動 emotion であり、長く続く感情状態が、気分 mood である。

抑うつ  悲しみまたは空虚感を感じることをいい、ゆううつ、沈んだ、めいる、落ち込む、陰気、などの言葉が当てはまる状態。 

8 欲動 drive

精神活動の根源をなすもの。人を行動に駆り立てる源。食欲、性欲 など

減退:うつ病での気力減退、興味の減退など。なにもしようと思わなくなり行動を起こそうとしない、できない状態となる。

亢進:そう状態では精神と運動性の亢進がみられ、多弁、多動などが生じる。

個々の慾動の障害 

食欲 食欲亢進、大食、食欲減退。

性欲 性欲亢進、性欲減退、同性愛等

 

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