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これまでの災害(北海道大規模停電、能登半島沖地震等)の情報を参考にどの程度の物品が必要か、また、人工呼吸器のみならず、痰を吸引する吸引機等、電気を要する必需品についても検討しました。 |
考 察
非常用の電源にはまず①蓄電池か②発電機か、またはその両方か。まず考えるのは①蓄電池、バッテリーです。そもそも現在の在宅用人工呼吸器にはバッテリーが装備されていますし、吸引器にもバッテリーがついた物が多く感覚的になじみがあり、普段の生活でも移動時などに使います。しかし、非常用蓄電池となるといくつか問題があります。
第一に、当然ながら蓄電池は蓄電していなければただの箱、しかも外見からは寿命が分りにくくしかも結構短い(約5年)、という点です。そのため、一度満充電にしても大事にしまっておいて、いざ使う時に放電してしまっていて再充電しても全然蓄電できない、実は耐用年数が過ぎていた、という事態が大いにあり得ます。それを防ぐために定期的に蓄電池を確認する作業が必要となりますが、ただでさえ在宅人工呼吸器を扱う方の自宅は装備する機械も荷物も多いので、非常時のためだけの蓄電池という重い箱はどうしても目の届かない隅に追いやられて普段は忘れられる可能性が高いでしょう。以上から、非常用蓄電池には以下の問題があります。
1)耐用年数が短い(約5年)
2)定期的に点検し蓄電量を確認する必要がある
次に②発電機についてです。発電機は発電するための動力源を備蓄する必要があります。動力源として使われるのはガソリン、プロパンガス、カセットガスボンベが挙げられますが、都会の住宅街の一般家庭で備蓄するとなるとカセットボンベしか選択肢がないように思います。コンロに使うカセットボンベが使えますが、それだと動力源の量が少なく発電時間が長くありません。長い時間の発電を望むとなると備蓄するカセットボンベの本数は多くなります。また、発電機は蓄電池に比べ分価格は高かめです。しかし動力源さえ確保しておけば、非常時に「発電」してくれるという安心感は蓄電池よりも勝ります。
一方で、発電機を在宅人工呼吸器の電源として扱うための致命的欠点は、屋内では使えないということです。動力源がガスでもガソリンでも、一酸化炭素中毒の危険があるので屋内使用はできません。エアコンや暖房がままならない非常時で、屋外の発電機に直接つなげて人工呼吸器を使用しなければならないので、10メートル以上の長い延長コンセントを準備するのが良いでしょう。以上をまとめると、発電機には以下の問題があります。
1)屋内で使えない。長い延長コードが必要。
2)動力源の確保に課題がある。
3)価格が高い。長時間発電できる機種は20万円以上はかかる。
結 論
結論は、蓄電池とカセットコンロ使用の発電機の両方を補助金額範囲で、そして長い延長コードを備えることをお勧めします。理由はこれで先にのべた問題点を解決できると考えるからです。蓄電池を屋外に置いてある発電機で充電し、充電したらそれで屋内の人工呼吸器を動かします。気候の良い時には直接発電機と人工呼吸器を長い延長コードでつなげても良いでしょう。この場合の蓄電池や発電機は、長時間安定な発電ができる上位機種でなくても良いことになります。余裕があれば吸引器などのバッテリーも充電できます。
補助事業を活用するために、人工呼吸器を扱う業者さんが取扱事業者となっていることを確認し、蓄電池と発電機の機種の相談をしてください。
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