「あなたオギさんですぅ?」

私の前に、巨大なドリルを持ったレイキャシールが立っている。どうやら私を心配したニコラが救出を依頼したハンターズらしい。

「そうだ、不意を突かれ今はこんな状態だが……」

ヘッドパーツだけの私を不思議そうに見ている。まだ目覚めたてのキャストなのか?
目覚めたてのキャストには記憶がない。しかし、彼女はキャストにしてはヒューマンに近いタイプのようだ。

「ヘッドパーツだけで大丈夫なのですぅ?」

心底心配した顔で、私を持ち上げる。
私の今の姿を見て驚くのも無理はない。同行している他の二人も少々おっかなびっくりといった状態の様だ。
だが、ここまで来られたという事は相当な実力を持っていると推測できる。

目覚めたてのキャストとはいえ、しっかりとした装備。メビウスドリルにメビウスガーター。同系列の装備を選ぶ事によって戦闘力の向上を図るとは実に合理的……。

「……?」

ふっと違和感を感じた。

メビウスドリルに……メビウス……ガーター?

再び私を持つ彼女を見ると確かにメビウスシリーズの特徴を残したドリルとガーターを装備している。
いや、ガーターなどヒューマンが付けるただの衣料品の一つのはず。効果を発揮できるはずはない!
確かドリルとガーダーであったと私のメモリにも記憶されている。コレでは何の効果も得る事は出来ないはずだ。
自問自答を繰り返す私を不思議そうに持つ彼女。教えなければ大変な事になる!

「キミ、実は……」

キシャァー

私が声をかけようとした瞬間、奇声を上げてエネミーが現れた。

(くっこんな時にっ)

焦りを隠せない私や、他の二人。が、彼女はいち早く反応し、私を脇に抱え、エネミーへと殴りかかった!


   * * *


彼女は当然のようにエネミーを素手で倒して行く。どうやらドリルは持っている「だけ」の様だ。
最後のエネミーを倒したのを確認すると、彼女はドリルを持ち直し、私を「少しの間ここにいて下さいですぅ」といってアイテムパックへとしまい始めた。

「強いな」

私が思わず口にすると、彼女は屈託のない笑顔で応えた。

「このメビウスセットが在れば無敵ですぅ!」

胸をはって答える彼女。どうやらドリルとガーターをセットだと勘違いしているようだ。
しかし、思い込みで効果を発揮する事もある。教えるべきか、否か……
(公式:ファンタシースターゼロ
(勇者屋キャラ辞典:Multi Nag Erina
文:若菜綺目羅
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