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吐く息が白くなる寒さの中、白い物もちらつき始め、大通りを歩く人も少なくなってきた。 雪にはしゃぐ子供も仕事帰りの大人も姿を消した、雪の積もる音だけがする夜の静寂。 空を仰げば月はなく、雲の上から地上をうっすらと照らす光だけがその存在を誇示していた。 それぞれの街でこの時期に見られるいつもの風景の一つ。しかし、一年に一度、その日だけは彼の者達が姿を現す……。 * * * ぱくっもぐもぐもぐもぐ…… 「うーんこれもなかなかおいしいッスね〜♪」 手にした黒いまんじゅうを食べて、幸せそうに微笑む。 ロールヘアとストレートの長く美しいブロンド、この時期特有の赤い服に隠された豊満な胸は惜しげもなく谷間を作り出し、モデルとも見間違えそうなラインは美しく女性らしいは悩ましく動く。 「ココアまんなんか食べてる場合かメリー。今晩中に全てのよい子にプレゼントを渡さなければならないんだぞっ!」 頭に付けた星形の髪飾りから声がする。 思わずまじめな顔で声のした方へ視線を動かす。頭の上なので見えるはずもないのだが、ついとってしまった行動に少々気恥ずかしさを覚えた。 (このマイクにはカメラ機能は付いてなかったはずなのに……流石ッスね) とりあえず誰に対してともなく、心の中で体裁を整えた。整えている間にココアまんは着実に減って行く。 「大丈夫ッスよ〜。おいしい物を食べれば、三倍のスピードで頑張れるッスよ。赤い服も着てるッスし」 角があったら完璧だったのに。と冗談を言ってみせる。 「そうか、じゃあ頑張ってくれ。サンタさんやゼミニア中隊だけだと間に合いそうにないからな。健闘を祈る!」 「あ、待って欲しいッス!」 ココアまんを食べ終えた彼女は通信相手を慌てて引き留めた。 「なんだ?」 彼女の慌てぶりにまじめな声音で帰ってくる。 「ベルギーチョコまんも食べてみたいッス!」 「……」 暫くの間のあと、付近一帯に怒鳴り声が響くのだった。 |
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(勇者屋キャラ辞典:メリアドール) | |
文:若菜綺目羅 | |
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