Old Fashioned Rock Wave

Rock Around The Eagles

Bands Around The Eagles
バンズ・アラウンド・ザ・イーグルス

前編

 70年代のウエスト・コーストにひしめく、有名無名問わずナチュラル・テイストなバンド、グループをイーグルスのアルバムとともに振り返ってみました。ウエスト・コースト・サウンドの流れが見えるかも...。とりあえず前編は、70年代前半です。アーシーな香りが漂ってきますね。

POCO/DELIVERIN'
ライヴ・ポコ
1971年

 ポコの3rdアルバム。バッファロー・スプリングフィールドのジム・メッシーナとリッチー・フューレイが中心となり結成したカントリー・ロック・バンドです。オリジナル・メンバーとして、イーグルスのランディ・マイズナーが1stアルバムに参加しましたが、録音終了後脱退、後釜として同じくイーグルスのティモシー・シュミットが加わっています。カントリー・ロックといっても初期のポコは、非常にテクニカルでスピード感に溢れるライヴ・バンドでした。ハイ・トーンのコーラス、ジムのペキペキ・ギター、ラスティ・ヤングのスリリングなペダル・スティール・ギターが魅力です。バッファロー時代の「カインド・ウーマン」も入ってたりして...。やはり、初期の傑作でしょうね。

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EAGLES
イーグルス・ファースト
1972年

 記念すべきイーグルスのデヴュー作。カントリー好きのイギリス人グリン・ジョーンズがプロデュースし、嫌がる?メンバーを引き連れてロンドンで録音されました。ジャクソン・ブラウンとグレン・フライの共作「テイク・イット・イージー」、ジャック・テンプチンの「ピースフル・イージー・フィーリング」、ジーン・クラークとバーニー・リードンの共作「朝発つ汽車」、ドン・ヘンリーらしい「魔女のささやき」など名曲揃いで地味ながらもいいアルバムになっています。この頃はまだまだグレン・フライが引っ張っていたイーグルスでした。

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THE DOOBIE BROTHERS/TOULOUSE STREET
トゥールーズ・ストリート
1972年

 ヒット・ナンバー「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」でオープンするドゥービーズの2作目。輝かしいドゥービーズの歴史の幕開けともよべるアルバムですね。1stアルバムは、レニー・ワロンカー&テッド・テンプルマンのプロデュースによるバーバンク人脈によるアコースティックなサウンドでしたが、今作からベースがタイラン・ポーターに代わり、ツイン・ドラム体制にもなり大幅にパワーアップしています。繊細なアコースティック・ギターと豪快かつソウルフルなエレクトリックサウンドが同居するドゥービー・サウンドが始まろうとしています。


STEELY DAN/CAN'T BUY A THRILL
キャント・バイ・ア・スリル
1972年

 スティーリー・ダンのデヴュー作。NYから来たソング・ライター・チーム、ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーがLAでジェフ・バクスター(後にドゥービーズに参加)らと結成したのが、このグループです。メンバー皆ジャズが好きというこのバンド、ロックという枠に捕らわれず自由にヴァラエティにとんだ洒落た音を聞かせてくれます。「ドゥ・イット・アゲイン」、「輝く季節」がヒットしました。


LITTLE FEAT/SAILIN' SHOES
セイリン・シューズ
1972年

 リトル・フィートのセカンド・アルバムです。プロデューサーは、前作と同じバーバンク人脈ながらラス・タイトルマンからドゥービーズと同じテッド・テンプルマンに変わっています。1stアルバムがちょっと地味だったためか、ちょっと仕切り直しって感じでもあるのかなぁ?今作では幾分賑やかになっています。前作に収録の名曲「ウィリン」を再び取り上げており、前作のライ・クーダーのギターも渋くて良かったけど今作ではカントリーっぽいポップなアレンジになっています。ちなみにこの曲リンダ・ロンシュタットもカバーしていますね。この他「セイリン・シューズ」は、ヴァン・ダイク・パークスが『ディスカバー・アメリカ』でカバーしたりしていて、徐々に認知されていく頃のいまだニューオリンズがかっていないごった煮風リトル・フィートもなかなかいけますよ。


PURE PRAIRIE LEAGUE/BUSTIN' OUT
バスティン・アウト
1972年

 のちにエリック・カズとのコンビでアメリカン・フライヤーを結成したり、デュオ・アルバム出したり、リトル・フィートにも参加するクレイグ・フラー率いるカントリー・ロック・バンドの2ndアルバム。オーソドックスなカントリー・スタイルのバンドですが、「エイミー」などクレイグ・フラーの曲がいいです。メンバー・チェンジを繰り返しながら結構息が長く続いていて、80年代にはあのヴィンス・ギル(カントリー界のスター)も在籍していたそうですね。


STEPHEN STILLS/MANASSAS
マナサス
1972年

 スティーヴン・スティルスとクリス・ヒルマンを中心に結成された一種のスーパーバンドの1stアルバム。ダラス・テイラー、ポール・ハリス、ファジー・サミュエル、アル・パーキンス、ジョー・ララからなるバンド・サウンドは、マイアミ録音ということもあってかウエスト・コーストというよりサザン・ロックといったほうが良いようなスケールの大きさを感じさせてくれます。2枚組の各面は、THE RAVEN(ロック的),THE WILDERNESS(カントリー的),CONSIDER(ウエストコースト的),ROCK&ROLL IS HERE TO SAY(再びロック的) と名付けられそれぞれまとめられています。スティーヴン・スティルスのソロ・アルバムを発展させたとも言えるしなやかなロック感覚が素晴らしい!名盤といえますね。


THE SECTION
ザ・セクション
1972年

 ギタリストのダニー・クーチがキャロル・キングとのシティ、ジョー・ママを経てジェイムス・テイラーのバックアップ・メンバーであったクレイグ・ダージ、リーランド・スクラー、ラス・カンケルとで結成した強力なユニットのデヴュー作です。スタジオ・ミュージシャンによるバンドとしては、先駆的な存在といえるますね。ジョー・ママなどと違って全編インストルメンタルで、ロック色は薄くほとんどフュージョンの世界ですのでお間違えなく。シンプルな構成ながらそれぞれのパートのアンサンブルは緊張感があり、心地よい音空間を生み出しています。ダニー・クーチはこの後デヴィッド・フォスターらとアティチュードを結成し、80年代にはドン・ヘンリーのソロ活動のプロデュース、曲づくりのブレーンとして活躍しています。


POCO/A GOOD FEELING TO KNOW
グッド・フィーリン
1972年

 大御所ポコ様の5作目で、ジム・メッシーナが脱退してから2作目になります。新メンバーにポール・コットンという才能のあるギタリストを加え最初の危機を乗り越えたわけですが、前作『フロム・ジ・インサイド』の比較的おとなしめのサウンドに比べて、粋のいいポコ節?が戻ってきています。ポール・コットンも違和感なくグループに溶け込んでおり、ティモシー・シュミットはいつもながら一筋の清涼感をもたらしています。しかし、なんといっても聞き所は、ポコらしくないゴスペル調のコーラスが素晴らしいリッチー・フューレイ作となるラストを飾る感動的な名曲「スウィート・ラヴィン」でしょうか。第2期ポコの代表作であり、人気も高い名作といえます。


 AMERICA/AMERICA
名前のない馬
1972年

 アメリカのデヴュー・アルバム。イギリス在住の3人のアメリカ人が祖国を憧れ結成したグループです。ビートルズとCSN&Yをアイドルとするだけあって、このアルバムは終止CSN&Y調のアコースティックなウエスト・コースト・サウンドが占めていますが、ポップでやや湿り気が感じられるあたりはやはり英国産という感じでもあります。大ヒットしたタイトル曲は何度聞いても素晴らしい名曲ですね。CSN&Y色から脱却してポップなアメリカの本領を発揮する同年作の2ndアルバム『ホームカミング』も「ベンチュラ・ハイウェイ」など佳曲揃いでお薦めです。

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EAGLES/DESPERADO
ならず者
1973年

 引き続きのロンドン録音となる2ndアルバム。1stでプロデューサーのグリン・ジョーンズとの相性が懸念された彼等ですが、このアルバムはドン・ヘンリーとグリン・ジョーンズとのアーティスティックな方向性が一致して妙に納まってしまったようですね。自らの姿をならず者に投影したこのトータル・アルバム、売れ線からはほど遠いとレコード会社は心配だったようですが、強引に押し切ったイーグルスは偉いですね〜!ここでもジャクソン・ブラウンやJ.D.サウザーの協力のもと初期の傑作といえる作品に仕上がっています。ドン・ヘンリーの頭角あらわるって感じですね。

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THE OZARK MOUNTAIN DAREDEVILS
オザーク・マウンテン・デアデヴィルズ
1973年

 イーグルスにならってか、グリン・ジョーンズのプロデュースによりイギリスで録音されたようです。AORファンなら知っていると思いますが、ラリー・リーがメンバーとして参加していて、この人のナンバーはこの頃からしっかり、しっとりとしたAOR の味出していて聞き物といえます。全体的にはカントリー・ロックの王道を行くという感じのサウンドですが、結構ポップで洗練されたところも多く、イーグルス・ファンなら素直に入っていけると思いますね。その後は、どうなったかって?....教えてください。


LOGGINS & MESSINA/FULL SAIL
フル・セイル
1973年

 3rdアルバムです。ポコやめてケニー・ロギンスのプロデュース始めてすっかりケニーと意気投合してしまったジム・メッシーナですが、ポコの時はあまり曲書いてなかったのだけど、ケニーとの共作含めていい曲書くようになりました。ジャケットの様にリゾート気分満載のトロピカルなムードのこのアルバムですが、のりのいい「放課後のロックンロール」、スローな「愛の歌」、「川の流れのように」など名曲も多く、ほのぼのとしながらも、陽光に煌めく西海岸の情景にあこがれたものです。今でもそうですけどね...。


THE DOOBIE BROTHERS/THE CAPTAIN & ME
キャプテン・アンド・ミー
1973年

 ドゥービーズの3作目であり、初期の傑作アルバムといえます。「ロング・トレイン・ランニン」、「チャイナ・グローヴ」というドゥービー最強のナンバーを収録し、トム・ジョンストンがグループを引っぱっる一方、パット・シモンズのアコースティックなセンスもこのグループの音楽性を豊かにしています。ツイン・ギター、ツイン・ドラムによるドゥービーらしい豪快で爽やかなサウンド・スタイルが完成したアルバムといえます。個人的にはのどかな「サウス・シティ・ミッドナイト・レイディ」なんか好きですけど...。ジャケットもいかにもバーバンク的でグループのコンセプトにマッチしていますね。
 引き続きバーバンク系のテッド・テンプルマンがプロデュースにあたり、リトル・フィートのビル・ペインがピアノ、オルガンに、スティーリー・ダンのジェフ・”スカンク”・バクスターがペダル・スティール・ギターでゲスト参加しています。


LITTLE FEAT/DIXIE CHICKEN
ディキシー・チキン
1973年

 リトル・フィートの3rdアルバム。ローウェル・ジョージ自らのプロデュースによる歴史的名盤ということができます。メンバーチェンジにより6人編成となり、ヴァン・ダイク・パークス等の影響でニュー・オリンズ・サウンドを取り入れたファンキーなサウンドを展開しています。ポール・バレルとニュー・オリンズ系のリズムセクションの参加が見事に決まりましたね。それにしても1曲目の「デキシー・チキン」のかっこよさったらないですね〜。聞けば聞くほど味のでる奥深い音に、アメリカン・ロックの懐の深さを知ることができます。バーボンを飲みながら聞きたい一枚です。
 ドゥービーズやイーグルスのようにシングル・ヒットが狙えるタイプの音楽ではないので、セールス的にはあまり良くなかったのでしょうけど、ミュージシャン等玄人にはすこぶる評価が高かったバンドですね。しかし、アマチュア・バンドがコピーするには、少々敷居が高いって感じでしたね。ちょっと大人向けのロックかな?


STEPHEN STILLS・MANASSAS/DOWN THE ROAD
ダウン・ザ・ロード
1973年

 スティーヴン・スティルス率いるマナサスの2ndです。CSNやCSN&Yというより、バッファロー・スプリングフィールドを感じさせるこのグループですが、基本的に前作の延長上のサウンドを聞かせてくれます。スティーヴン・スティルスお得意のラテンぽいナンバーやクリス・ヒルマンのカントリー調の曲を交じえながら、おおらかで骨太のサウンドはデレク&ドミノスやオールマンズに匹敵する貫禄すら感じさせてくれます。なんて言ったらちょっと持ち上げ過ぎでしょうか?スライド・ギターにジョー・ウォルシュ、キーボードにそのドミノスのボビー・ホィットロックらがゲスト参加しています。前作が気に入った人は聞きお見逃しなく! つい先頃、日本盤CDも発売されたことですし...。

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いかがでしたか?懐かしかったでしょうか?
次回は引き続き70年代中盤からですので
お楽しみに!

To be continued.

バンズ・アラウンド・ザ・イーグルス〜中編
バンズ・アラウンド・ザ・イーグルス〜後編
バンズ・アラウンド・ザ・イーグルス〜おまけ


ホテル・カリフォルニアの冬
テキーラ・サーキットの宴
J.D.サウザー〜イーグルスに最も近かった男
ギタリスト・オヴ・ザ・イーグルス

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