今週及び今月のトップは、星花! ……いや、ちょうど今、今月のG'sを読んだ直後なので、まあ詳しくは語りませんが、ある意味ナイスタイミングだったというべきか。……ええ、28票のうち1票はまさに自分が。まあ、それはあくまでトゥルー世界の現実とは関係ない話なので、あまり引きずったりしないよう心がけましょう。
さてさて、明日はいよいよひな祭りなので(ご存知の通り、青空の誕生日でもあります)、きっとトゥルー家族内ではその最後の準備に慌しいことだと思うのですが、今日の星花日記は、そうした喧騒からちょっと離れてくつろぐかのような内容になっております。
すなわち――星の観察。
冬は空気が澄んで――
星のよく見える季節です。
星花はけっこう――
星の観察が好きです。
……おお、またひとつ、姉妹の大切な情報が。なるほど、星花は星を眺めるのが好き、と。……ロマンチックな内面を持つ星花にはよく馴染みそうな趣味ですね。
加えて、特に語られてはいませんが、もしかしたら、星花って自分の名前に「星」って字が含まれてるのも、いくらか影響していたりするのかも知れません。小雨や海晴姉さんみたいに、名前の文字に思い入れを持ってる子も多い家族ですし。
ただ、一番大きく影響しているのはやはり、三国志のシーンとかなのかなあって気がしますよね。三国志で星が出てくる場面というと、真っ先に思いつくのは、五丈原での「死せる孔明」のあたりなわけで、星花としては一番思い入れがありそうなシーンの第一候補かもしれません。……辛いシーンなので、一番に挙げたりはしないんでしょうけどね。星花の性格からして。
その場面のみならず、孔明は占星術関係にも相当詳しそうな感じなので、それに憧れる星花も、もしかしたらかなり本格的に……と思いきゃ、ごくごく普通に星を眺めるのが好き、って感じですね。まあ、それはそれで、等身大の子供っぽくて良し。普通っぽいのが星花の特徴でもありますしね。
そんな星花のお気に入りが――オリオン座の三つ星とのこと。
きれいに3つ。
並んでキラキラ光っているの。
くっきりはっきり、力強い感じで――
なんだかとっても、
きょうだい星って感じが――
しますよね
……うーむ。星の綺麗さについて語る星花は、なんだかいつもよりも少し大人びているような、女の子らしさが増しているような……なんだかいいものを見せてもらっている気分です。
そしてやはり、星と星との組み合わせということで、真っ先に「きょうだい」って言葉を思い出すのが、この家の子らしいなあ、とも。「兄弟」ではなく「きょうだい」ってひらがななのがポイントです。19人ばかり女の子ですけど、男の子も一人いますしね。
で、三つといえば、やはり劉備三兄弟を真っ先に連想するようですが、それだけではなく、劉備・曹操・孫権の3人も連想対象に含まれるようです。……おお、星花の口から孫権の名前が出るのって、もしかしてこれが初? 蜀好きの身からすると、孫権はそうとう嫌なイメージを持たれかねない奴なわけですが、星花的にはどうなんでしょうね。優しいうえ、歴史ロマンを解しそうな子でもあるから、一方的に嫌ったりはしなさそうな気もしますが……
さらには、3人の組合せとして、自分と同じ部屋である、吹雪と夕凪との組合せなんかも連想したりするようです。
それとも3つって言ったら、
部屋が一緒の夕凪ちゃんと吹雪ちゃんと
星花っていうのもあるな――なんて思ったり。
えへへ――星花、
スゴイとこに並べちゃいましたね♥
……この言い方から、星花が二人をどういう風に見てるかが分かります。なるほど、吹雪も夕凪も、リスペクト対象なのかー。確かに吹雪はすごい子ですし、夕凪さんのあのビッグバン級の明るさとエネルギーも、見方によっては尊敬に値するともいえますが……このぐらいの年齢の子で、そういう風に身近なきょうだいを、謙虚な姿勢で見られるって言うのは、この子の中でも最大の美徳というか、改めて、この星花って子がどれだけいい子なのかを思い知ることができました。いやホント、何度も言ってますが、ここんちの子は、どんだけ老成した感性の持ち主が多いんでしょ。嬉しくなってしまいます。
そのほか、流れ星も好きだという星花。まあ、あれが嫌いな人ってあんまりいないとは思うんですが、星花もまた、流れ星を見てお願いを言い損ねたりと……うむ、実に普通に女の子らしい。ああでも、こういうごくごく普通なエピソードすら癒される……! いやむしろ、普通だからなおさら、ってことでしょうか。トゥルーにおける普通は、すなわち極上。
さらには、トゥルー俺のことを「明るく輝く強い星の下に生まれている」なんて嬉しいことなど言ってくれたりも。
……星花のこの謙虚さというか、人を敬ったりすることのできる精神性というのは、本当、素晴らしいというかなんというか……。俺は個人的に、トゥルー姉妹の中で一人選ぶとしたら、って場合には、星花の名前をあげるようにしてるんですが、そういう風に思うようになったのも、こういう美徳を快いって思うからこそなのかも知れません。いや、もっと無意識に好ましく思ってるんですけど実際には。
きっと星花の星は目立たない
地上からは見えないくらいの星だけど。
……この表現ですよ。ホント、いい子。いい子すぎて愛さずにはいられません。
とはいえ――確かに、星花の星ってきっと、太陽とかみたいに光を放つ類の星ではないと思うんですよ。星花の星はきっと、この地球みたいな、優しく豊かな命を蓄えた星なんじゃないかと。
今日はいよいよひな祭り! トゥルー家族でも、もうバレンタインデーが終わったすぐ後ぐらいから準備をしていたぐらいですし、その熱気のあおりを受けて、トゥルー俺のテンションも引きずられるかのように高まってきていたわけですが――そんなめでたい女の子の日の日記を務めるは……小雨でした!
さて、こんなめでたい日の賑やかさに影響されたのか――
今日はひな祭り!
と――うふふっ♥
もちろん青空ちゃんのお誕生日です!
素敵な日ですね♥♥♥
――おおうっ、なんだかいつもにも増してテンションが高いですよ!? ええ、それはもちろん覚えておりますとも。青空の誕生日。しかしながら、それを考慮しても、実に今日の小雨は明るいというか元気というか――
……いや。ここのところ、小雨はなんだかいつも気持ちが高揚してるっていうか、なんだか元気いっぱいなことが多いですよね。
振り返ってみると――ちょうど、去年の12月ぐらいからそんな傾向が見られました(参考:12月2日(火))。そして、今年の新年初めての日記――これが明確なターニングポイントでしょうか。非常に前向きな新年の目標を立てて、小雨の意識がかなり変わって来たのでしょう。その典型例が、先日のバレンタインデー、と。
これはもちろん、トゥルー俺が家族に来てくれたからっていう要因もあるでしょうけど、もともと小雨という子に、こういうエネルギッシュなところがあったというのもまた事実であり、ともあれこういう小雨を見られるのは、トゥルー兄としては非常に嬉しいことですね。内気な小雨を否定するわけじゃないんですが、やはり活発で積極的な顔を見ている方が嬉しい気持ちになれますから。
さて、そんな小雨がさっそくひな祭りについて語ってくれてますが――やはり、年に19回もの誕生日があるとはいえ、それがこうして季節の行事に重なる日、ましてそれが女の子の日であるひな祭りともなれば、いかにパーティごとが多いとはいえ、この日は特別――っていう気にもなりますよね。
そんな日に生まれた青空は、今のところは元気いっぱいの冒険好きな子なわけですが、そんなこの子もまだ一歳。「もしかしたら――将来は、1番女の子らしい女の子になるかもしれないですね、ウフフ♥」と語る小雨の視点が、なんだか立派にお姉さんしてるなあ……って思ったりするわけで。
ともあれ、そんなひな祭り。さくらが言うには、「ひな祭り大会」とのことですが、なんだか今日の幼稚園で、色々イベントがあったらしく、思わず大会って呼んでしまうような趣だったとのこと。真璃もしょっちゅう話してくれてますが、ここんちの子が通う幼稚園は、本当に楽しそうですよね――って、
いいですよね、幼稚園♥
小雨とも意見がシンクロ! ……い、いや、リアル俺がしみじみと「いいよね、幼稚園」なんて呟こうものなら、もれなく某大森カズフサと同種の存在として見なされるわけなのですが、小雨やトゥルー俺が言うなら何も問題は。
というかそもそも――小雨の前の夢が、幼稚園の先生になることだったんですね。
幼稚園っていつも元気で、
おうたやピアノやかわいらしいものが
いっぱいあって――
見ているだけで楽しくて、
パワーをもらえるような気がします!
……ってことでの将来の夢だったようですが、なんだかこの語り口調自体がパワフルというか! ええ、今日の小雨はいつもにもましてポジティブ小雨です。立夏相手にだって、パワー負けしたりしないかもしれません。
ところで、小雨が通っていた幼稚園もやっぱり、マリーたちが今通っているのと同じ幼稚園なんでしょうね。なるほど、あそこは確かに非常に楽しそう。あと、必ず美人揃いであろう先生たちも――(←思考がやや邪悪な方向へと向き始めました)
幼稚園の当時には、やはり今のさくらのように泣き虫だったという小雨。まあ、幼稚園児なら、むしろ泣くのも仕事の一つみたいなものなので、引きずることはないと思いますが――おお、やはり先生に助けてもらったエピソードが。……俺の想像だと、これはきっとヨーコ先生ではないかな、と(←YU-SHOWさんは幼稚園の先生が気になって仕方ないようです)
ともあれ、そんな過去もあったようですが――
それは今でもまだ少しだけ、
小雨は泣き虫かもしれないですけど、
でも――これでも、あの頃よりはずっとずっと!
泣かなくなったんですから――。
今の小雨は、こんなにもパワフルなのであります。……っていうか、実は小雨って、内気で言いたいことが言えなさそうなイメージはあっても、そんなに泣いたりするイメージは無いんですけどね。……い、いや、この前のバレンタインデーみたいなときはさておき。
もしかすると、とっくに成長している自分のことを、あまり自覚できないでいたっていうのが、小雨の内気の原因だったのかも知れませんね。もう、立派なお姉ちゃんだというのに。
ともあれ、トゥルー家でのひな祭りはつづがなく進行していたようです。話に出ていた幼稚園で作った製作物や、お菓子などの飾り、そして立派な雛壇と、まさにお雛様乱舞状態とのこと。……そういえば、今年もホタのコスプレひな祭りは行われたんでしょうかね?(参考:去年のひな祭り) 毎年やってはいるみたいなので、きっと行われていたのでしょう。トゥルー俺はきっとお内裏様役を、では、お雛様は誰が……? と、気にはなりますが。
小雨も――将来はこんな華やかなお雛様みたいに、
花開くことが出来ますように。
がんばります――♥
……まあ、目の前に既に、お雛様みたいな立派な女の子がいるので、これでよしってことで。
「着せ替えあそび」!? それはなんとも秘めやかでいけない雰囲気が漂う単語――などと考えるのは汚れきったリアル俺に任せておくとして……ほ、ホタですホタ! てっきり昨日のひな祭りでは、去年のごとくそのコスプレパワーを縦横無尽に発揮してくれるかと思われていたホタが、その翌日に登場とは――!
昨日は一応、見えないところでコスプレしていたのでは……などとお茶を濁した表現をしましたが、気になっていたのもまた事実。そんな期待がちょっとから回った翌日に本人がご登場ということは、そのフォローというか、何かの前フリではなかろうかと、瞬時に思ってしまうわけですが――ビンゴ。
まあ、それは日記の最後に語られているので、あとでゆっくり触れるとして――今日はなにやら家の中が大変なことになっている様子。
今日は――
お家の中が大変!
ブロックの大きなスタジオセットが
できあがっています!
とっても良くできていてビックリです♥
最初に「大変!」と言っておいて、最後に「ビックリです♥」と締める、このホタの空気が実に可愛らしいなあと思うわけですが――それはさておき、トゥルー家の内部にて、なにやら大掛かりなブロック遊びが繰り広げられているようです。
もしかしたら、幼稚園での「ひな祭り大会」の影響かなって思ったら、ホタも同様に思った様子。ブロックで店を作りつつ、お人形を使ってごっこ遊びもするというコラボまで行う、かなり本格的なお遊びになっている模様。さすがはトゥルー家、季節のイベントごとに全力で取り組むだけあって、こういう準備の大掛かりな遊びはみんな、小さい子たちも含めて得意なようですね。
ちなみに、誰が中心人物かというと――
こういうのが1番得意なのは、
やっぱり――マリーちゃん。
2番目は夕凪ちゃんかな?
ウフフッ――♥
マリーはまあ、日ごろの言動から真っ先に察せられましたが、「小さい子」カウントのこのお遊びの中に名前がバッチリ含まれる夕凪さん――いやまあ、小学三年生ですから、問題ないといえば問題ないか。……密かに立夏あたりも紛れてたりしたら、それはさすがにアレですが――ともあれ、マリーの次とはいえ、お姉さんとしての面目躍如でしょうか。
さて――そんな遊びに興じる小さい子たちを見て、ふと昔の自分を振り返るホタ。
それは、今の蛍の趣味、すなわちコスプレの原点ともなった、小さい頃に行った「着せ替えのごっこ遊び」のお話。
ホタに限らず、女の子なら誰でも小さい頃には親しむ遊びでしょうけれど――事実ホタも、海晴姉さんや春風さんと遊んでいたって言ってますしね。うーん、やっぱりそういうガーリッシュな遊びは、ホタの周囲となるとこのお二人でしょうね。氷柱あたりも、やるとなれば案外ノリノリだったんでしょうけど。
ただ――そんな小さい頃の遊びや思いが、時として自分の将来すら定めてしまうことだってあるわけで。
自分がお姫さまになったつもりで――
紙の着せ替え人形になりきって――。
……これ。これでしょうね。
本当に小さい頃、このぐらい思い入れを抱いて行った遊びって、長じてからの嗜好形成には絶大な影響を持つわけですよ。いわば原体験。
紙とはいえ、外国の絵本を真似して服を作ってしまうほどに思いいれた遊び。今のコスプレへの情熱を見る限り、その頃のホタがどれほどの濃い思いでそういう遊びを楽しんでいたか、なんとなくですが伝わりますね。
さて、それでは――今日の本題。
「今年はひな祭りに――みんなでお雛様の衣装着なかったでしょう?」と、全力で気になっていたことを話題に出してくれたホタ。あー、やっぱりあれ、やらなかったんだ……と納得しつつ、あのホタが何故、と疑問に思わざるを得ないわけですが――それにはどうやら、事情というか、思惑があったようで。
ちょっとお願いが。
今度のホワイトデーの日には
ちょっとした衣装を――
着てみてもらえないでしょうか?
――ホワイトデーへの繰り越し! そう来たか――!
あ、でもこれは、ちょっとホタの思惑が分かる気もします。それはもちろん、ホワイトデーと同じ誕生日が憂鬱だって話していた、氷柱のための配慮――ではないかと。
そう、去年のホワイトデーは、結果的には、トゥルー俺にとっても氷柱にとっても悪くない日にすることができましたが、そもそもトゥルー俺とは関係ないところで、このイベントと誕生日が重なっていることが好きではないんですよね、氷柱って。
そこでホタが、そんな氷柱の嫌な気持ちを楽しく変えさせてあげるために、イベントを仕込んだのではないでしょうか。去年の事件、多分ホタも知ってるでしょうしね。
今までのトゥルー家では、男の子がいなかったため、バレンタインデーはともかく、ホワイトデーを祝うことが出来ないでいたのでしょう。しかしながら今は、トゥルー俺というちょうどいい口実があるんですよね。さすがはホタ、気遣いを行ううえでも策士というか上手というか。
さて、ホワイトデーといえば、チョコを貰った男の子が、女の子にお返しをする日なわけですが――ふむ、そんな日に、「ちょっとした衣装を着てみて欲しい」、と。
……色々と想像が膨らみますけど、おおむね一つの事実が見えてきた気がします。すなわち、今年のホワイトデーのお返しは、「コスプレをしたトゥルー俺自身」であると――! ……それだけ聞くと、ホタの一人勝ちって気がしないでもないですが、そこはそれ、ホタのことですから、きっと姉妹のみんなが喜ぶようなコスプレを用意しているに違いありません。恐らくは19着分。
まあ、それはまだまだ予想に過ぎませんし、具体的にどうなるかは当日になってみないと分かりませんが――今年のホワイトデーはきっと、氷柱も憂鬱にならず迎えられるのではないかと期待せずにはいられません。3月14日はこれまた土曜日になっちゃいますが、それだけに、手の込んだことも行えるわけで。……いや、さすがに1時間ごとにトゥルー俺がお着替えするとか、そういう愉快なことにはならないでしょうけど。……ホタならあるいは……?
前回の日記からあまり間を置くことなくさくらの出番が! いやまあ、日記の順番は厳密な順番があるわけではないんですが、麗のお約束とか何らかのイベントが起きたときとか以外だと、おおむね1ヵ月強ほど間が開くことが多いんですよね。まあ、二週間弱ぐらいなら、そんなに連続ってわけでもないんですけどね。
とまあ、そんなことはどうでもいいとして、今日のさくらの日記はというと――
あめをなめると、
おくちのなかが、
あ、ま――くなるの。
またもや「あ、まーい」表現が! この言い方、海晴姉さんまで使ってたところをみると、小さい子のみならず、トゥルー家族全体に通じる口癖なのかもしれませんね。案外、その大元が海晴姉さんにあったりとかしたりして。
それはさておき――「あめ」です、「あめ」。……小さいさくらが言ってるとはいえ、タイトルの時点で「あめ」と表記している時点で、飴と雨とのを連想させようというノリを感じますが――
あめじゃないの。
あめだよ?
……ああ、なんだかこの言い方が素晴らしく和むなあ。さくらがいっしょうけんめい説明しようとしているところを見るだけで、寿命が数分ずつぐらい伸びているという気さえします。この言い方が聞きたくて、わざと「え、空からふってくる雨じゃないの?」って聞き返してみたくなるぐらいですが、ほどほどにしないと泣かせてしまうのでくれぐれもご用心を。いじわる許容量がまだまだ少なそうなさくらのことですし。
さてさて――こんな話題をふってくること自体からも察せられるとおり、さくらは甘い「あめ」の方は大好きのようです。そりゃあまあ、小さい子で飴が嫌いな子のほうが珍しいぐらいでしょうけど。
しかしながら、食べすぎはダメときちんと躾けられているのがこのトゥルー家。……そのわりに、立夏みたいにお小遣いで大量にお菓子を補充してそうな子もいるわけですが、それはあくまでお小遣いの範囲内での話でしょうしね。さくらたち幼稚園の子にはまだ先の話であり――すなわち、与えられるもの以上は食べられないという宿命が。本当はいくらだって食べたい小さい子のお菓子欲には、なかなか厳しいものがあるのもまた事実。
とはいえ、ちゃんと「特別のとき」というのは用意してくれているので、実際にはけっこうお菓子が豊富な生活を過ごしているとは思うんですけどね。ほら、イベントごととか、誕生日とか、なにかと特別の多い家ですし、ホタや春風さんなら、自家製の飴やら生キャラメルぐらいは日常的に作ってくれそうですし。
また、そういうのとは別に、さくらが納得せざるを得ない理由もあり、それは――ええ、小さい子にはこれまたつきものですね。虫歯です。
虫歯のばいきんさん、
さくらのおくちにやってきて、
さくらのはを、
まっくろくろにとかしちゃうの。
うわ――――ん!!!
と、とかしちゃう……!?(←YU-SHOWさんの頭の中では、粘液状の菌がさくらに襲い掛かり、服とかいろいろなものを溶かしてしまう光景が繰り広げられているようですが、実害は無いのでどうか温かい眼でお見守りください)
……って、まあ、リアル俺のみならずさくら自身も、「さくらのことみーんなとかしちゃうかも」なんて、それに近いことを想像しているわけですから、もっと胸を張っていいのかもですね。えっへん。……すいません、ちょっとだけ虚しくなりました。
……とまあ、そんな調子で、いつものように泣き出してしまったわけなのですが――そこでトゥルー俺に、「さくらのこと、たすけてくれる?」なんて言われては、そりゃあミクロの相手だろうと、戦わないわけにはいかないじゃないですか。
しかし、菌と戦う……この発想はやはり、幼稚園にはつきものであろう、某やなせたかし絵本の影響なのでしょう。もっとも、最近の幼児向けポスターには、某バイキン男が石鹸で手を洗っていたりするという、自殺以外のなにものでもない行為が描かれてたりもするのですが、まあそれは別の話。
それよりも……
ぜったい?
さくらのはをとかすな!
えいえい!!って――
さくらをまもってね。
……この、さくらの「守られたい」願望……! いやまあ、歳を考えれば無理もないとも思うのですが、この実に女の子の理想像どおりのものを端的に要求する様に、さくらの中に芽生えつつある「女の子」の匂いを確かに感じたという気がいたします。虹子のように濃厚なものではないですが、それだけにハッキリと際立つ、女の子の匂いというか。
ただし。今日さくらがこんなことを突然言ってきたのには、どうやら理由もあるらしく……
だってさっき――
さくら――
マリーお姉ちゃんのあめ、
食べちゃった……
うわあああああん――!!!
さくらがまたつまみ食いしちゃったですよ!
……いやまあ、このこと自体は、特に大きな問題はないと思うんです。マリーはあれで心の広いお姉ちゃんですし、怒るというよりはむしろ、ちゃんとダメだよって教えてくれそうなぐらいって気がします。
ただ、今回、さくらがこんなにつまみ食いのことを気にしているのは――あれですよ。去年のバレンタインデーのこと。さくらが氷柱のチョコを食べてしまったせいで、それが後々、ホワイトデーまで引きずったじゃないですか。そのことを覚えていて、それで必要以上の恐怖を覚えてしまったのかもしれませんね。
まあ、そんなさくらはしっかりなだめるとして――昨日のホタの頼みといい、何か、ホワイトデーに向けて、家族全体の意識が動き出しているような気が……少しだけ。
少なくとも、ホタが何かを企てているというのは間違いないですが、この分だと、もしかするともっと……?
さむーいとき。
週の最後に青空――! いや、別にどのタイミングで来てくれても嬉しいのですが、青空が金曜日に書くのは珍しいかも……と思い、今までの日記を見てみたら、実は青空って、かなり月曜日に集中してるんですね。ええ、なんとなく週の初めが多いかなーって思ってはいたんですが、想像以上に固まっておりました。金曜日の登場も今年に入ってからはありましたありました。でも、やっぱ印象がそれなりに固まってるんでしょうね俺内部でも。
と、それはさておき、最初のフリから、リアルとのリンクが取れているかのような。まあ、それもいつものことではありますが、つくづくこの日記の深さや凄さというものを感じたり。
それはまあいいとして。さむーいときに、何かというと――
そらね――。
おねえちゃんたちに、
ぐるぐるまきされちゃうの!
きししししし♥
――《ぐるぐる/Twiddle》!? ……という理解者を限定するリアクションはともかく、きしししし♥笑いが、なんだか青空第二段階って感じでうれしかわいい! ……いやね、単なる笑いよりも、より感情の幅が多く含まれた笑い方って感じがして。言ってみれば、夕凪さんや立夏のような笑い方なわけですが、やはりこの分だと、小雨の予想どおりにはいかないかも? ……って、まあ今の段階で分かるわけもないのですが。小学校高学年からでさえ、がらっと変わるのが女の子ですゆえに。
……って、それはいいとして。ぐるぐる巻きとはこれまた楽しげな。いや、体育倉庫のマットとかだと、たとえ冗談でも危険なのですけれど、およそこのトゥルー家内部で行われてることであれば、安全な範囲を出ることはないだろうというお約束にもどづく安心というか。
どういうものでぐるぐるされてるかは、後で言ってるわけですけれど、ものがなにであれ、とにかくぐるぐるされるのが楽しくて仕方ないようですね。「ぐるぐるまっきー!まきまっきー!!と、叫ぶかのようなテンションでお喜びのご様子です。
まあ、いかに三月に入ったとはいえ、まだまだ寒い日はありますからね。かえってこういう時期の方が風邪なんかを引きやすいって気もするので、お姉ちゃんたちが青空に色々巻いてあげたくなる気持ちも分かります。……現実には、防寒って領域を突破してるみたいですけれど。
あったか、ほかほかで、それが気持ちいいのもあるのでしょうが、やはり「巻きつけられる」という行為そのものが楽しいみたいですね。「おどっちゃうの!」って言ってるところから、立ったままの状態で、自分で回転しつつ体に色々巻きつけてるんでしょうか。
さて――そんな具合に楽しさがマックスに達した青空が、
おにいちゃんも
いっしょにして。
ぐるぐるまっきー!
……なにやらお誘いを。
これはどうやら、巻いて欲しいというだけではなくて、いっしょに巻かれて欲しいってこと……ではなく、青空は青空で、トゥルー俺は俺でそれぞれ巻き合おうってことのようですね。うーむ、青空の高そうな体温を超密着で味わうというのもそれはそれで幸せそうだったのに……って、き、今日は紳士モードですよ? い、いや、いつもですけど。(←ウソをついてる味の汗を流しつつ)
まあ、多少の懸念はありつつも、1ヵ月遅れの等身大恵方巻というのもいいかなと思いますし――
えへへへへ♥
たーのしい!
もっともっともーっと!
……こんな笑顔をくれるわけですからね。ああ、なんと幸福なのりまっきー。
しかし、それにしても――あたまからおしりまで、タオルから毛布、布団に至るまで、ずいぶん念入りにのりまきになったようですが……ここでふと、リアル俺内部のYASEI的直感が、ある種の警告を放ってきたのを感じました。しかし、「すっごい、おいしそう? えへへへへ♥」なんて、これまた幸せにしてくれる笑顔を向けてくれたら、そっちに集中してしまいますよね。
そして、そんな幸福感が、こんな結果をもたらしてくれたわけで――
あ。
……
おにいちゃん。
そら、ちーしたくなってきた。
………………………………………………ォォゥ。
いやまあ、青空ぐらいの子のおしっこなら、たとえ布団まで巻きこんだ被害になろうと、この小さい子が常に居続けたトゥルー家では、それほど大きな問題にはならないでしょうが、それはともかく、これは――間に合わなさそう、ですね。
この後、トゥルー俺は家族内で、小さい子の「ちー」処理の巧みさには定評を得ることになる予定ですが(俺の脳内で)、それはまた別の話。
麗! 麗の日記! ええ、この子の日記という時点で、今度もまた何かあるのではと思わず期待しつつ身構えてしまいたくなるのはもはやトゥルーにおける生活習慣のようなものでありましょう。
ましてや今日は、タイトルの時点で「行きたくない」と思い切り何かを否定していることが明らかですからね。そんな気難しいところが可愛くて可愛くて仕方ない……と思ってニヤニヤするのと同時に、さて、今回はどんなことを言い出したのかと脳を活性化させなくてはならないわけで。いずれにせよ、麗の日記にはあらゆる意味で気合が入ります。
さてさて。そんな麗の日記なわけですが、今日は一体何を言い出したのかというと――
聞いた?
春休みになったら――
みんなで遊園地に行こうっていう、
計画が持ち上がっているのを。
おお、そういえばもうすぐ春休み! リアル俺にとってもうすっかり遠いものであるのと、トゥルーにおいてはひな祭りや何かありそうなホワイトデーにばかり気を取られていて、そちらに意識が全く向いてませんでした!
しかし、お休みには必ず何かするのがお約束ですらあるこの家族、春休みとなれば当然何かを行うわけで。……ということで、今年はそういうお話になっていたのでしょう。いや、今聞きましたが。
そういえば、去年の春休みは、特に何かしたりはしなかったんですよね。……いや、衝撃的なフレディ脱走事件とかはありましたが。
さらには、春休み中のリクエストとして、マリーが「遊園地に行きたい!」と、去年の時点で言っておられたのです実は。まあ、去年の話ではありますし、遊園地といえば、大抵の子はいつだって行きたいと思ってるでしょうから、それを考慮したというわけではないでしょうけど。
……って、そうそう。遊園地が嫌いな子なんて、そうそう居ないはずなんですよね。麗は例外なのかな――と思いきゃ、「ふつうの遊園地ならいいけど」とのこと。
ええ、乗り物の中には、ちょっとしたSLチックなものもあったりと、麗の好みにも沿いそうな……いや、中途半端に近いのは子供だましに思えるのかもしれませんが、それなりに楽しめそうなものはいくらでもありますからね。
それなのに、どうしてダメなのかというと――キャラものの遊園地がダメ、と限定的に拒絶しておられるご様子。
……キャラものの遊園地……というと、やはり真っ先に思いついてしまう例のアレが頭に浮かぶわけですが。やっぱりアレなんでしょうかね。うかつに名前を出せないネズミランド的な。
いや、俺の記憶が確かならば、たしかあそこには、列車系のアトラクションもあったはずで、麗もかなり楽しめるのではと思うのですが……なんともはや。
どうしてみんながアレをかわいいって
言うのか、全然理解できない。
ありえない大きな頭とか、
あんまりカワイイって思えない顔とか、
どうみたって人が入ってるのに、
あくまでもキャラクターだって
言いはるとことか――。
な、中の人などいない! ……と、思わず大反応してしまいましたが、俺たち的なお約束はもちろんのこと、その理屈は、例のネズミ王国的にもタブー中のタブーであり、これはますます固有名詞を出すわけには行かないなと軽く戦々恐々と。
まあ、それはさておき、麗はあの「着ぐるみ」というのが生理的にダメみたいですね。まあ、自分はそうは思わないものの、確かにああいう着ぐるみには、ある種の迫力があるのも確かですし。それが何か、麗の繊細なところに触れてしまったのかなあと。後でその理由は語られてますが、いずれにせよ、おおむね想像がつきますよね。
しかしそれにしても、「いい大人がそろいもそろって、何かおかしな夢を見てるとしか思えない」と、なかなかに辛らつな発言まで飛び出してくるあたり、かなり深刻なご様子。いや、麗はけっこう、何でも深刻な悩みにしてしまうってところありますけどね。
とにかく、その理由はさておき、なんとかしてその特定遊園地行きを回避すべく、あれこれと話題を持ちかけてくる麗。この、わがままを通すための言い訳っぷり、麗の子供らしさが如実に出ていて微笑ましいな……とも思うわけですが、それどころではない状況のようなので、堪能するのは控えましょう。……いや、それでも、「ムーミン」「アオガエル」という単語には「??」と思わずにはいられませんでしたが。どうもこの二つ、鉄道車両の愛称みたいですね。……どんだけ詳しいんですかゴッド、もとい麗。
とはいえ――いくら言葉を用いても、自分の思い通りには行かないってことは、今までの経験を踏まえてか、ちゃんと麗自身も分かってはいるようで。
……
私、行きたくない。
どうしたらいいの?
……麗に、こんな素直で必死なお願いをされたら、大抵のことは命を駆けてでも叶えてあげたくなるんですが、これはさすがに……いや、他の家族の楽しみを奪うことにもなっちゃいますしね。躾とかうるさいことを言いたくはないんですが、ここはさすがに、麗の必死のお願いとはいえ、なかなかに難しく……。
しかし、麗も本当に必死なようで、その着ぐるみトラウマの大本を話してくれました。
幼稚園の行事で初めて、
劇団のお芝居を見たときから――
着ぐるみは――嫌いなの。
……とのことですが。
たぶん、何か不幸な成り行きで、怖いって思ってしまったままの記憶を引きずってるんでしょうけど。たぶんこれ、ちょっとしたきっかけと、麗特有の頑固さとが入り混じったものなので、なんとかしてあげられそうな気も……。
ホタは着ぐるみ系って、専門外なんでしょうかね? 別に、怖くは無いんだよって教えてあげたいところなんですが。ホワイトデーに何かやるみたいなので、そのときに、麗のトラウマ克服もできたら……って思うんですが、どうでしょ?
――と、
いうわけで。
多数決を取ることになった。
みんな大好き民主主義! ……と、この言葉を用いると、ついついうっかり性的なイメージを連想してしまうのは去年の某アニメの影響なわけですが(神楽耶の表情を見る限り、あれに性的な要素を見出さずにはいられませんでした)、それはさておき昨日のアレについて。
どうなることかと思っていたのですが、とりあえずその解決方法としては、やたらとスマートな方法が取られることになったようです。
トゥルー家族にしてはちょっと珍しいノリかな、とも思うのですが、まあ意見が割れる以上は仕方ないかな、と。後で記述がありますが、案外行きたくない派も多いみたいなんですよねこれが。
とまあ、こんなトラブル状況において頼りになるのはやはり年上のお姉さん、すなわち霙姉さんの出番ということになるのでしょう。霙姉さんはクールで何事からも一歩距離を置いたスタンスを取るので、調停者としてはもってこいなんですよね。二番目に年長者でもありますし。
もっとも――
ああ――本当に。
宇宙の塵よりもくだらないことだが。
仕方ない。
このテンションの低さゆえに、って側面もあるでしょうけどね。距離を置く以前の問題として。
これがもし、お菓子工場に見学に行く旅行で、行く先が洋菓子系生クリーム食べ放題か、和菓子系あんこ食べ放題かのどっちを選ぶ、って感じの状況だったら、どういう態度になってたんでしょう。霙姉さんの性格上、麗みたいなゴネ方はしないでしょうけど、その分、どんな出方をするか全く予想がつかないところがちょっと恐ろしいです。
まあ、それはあくまでifの話なわけで――今回の問題に関しては、完全中立の調停者を決め込もうってことなのでしょう。「麗が涙目になって――」という部分をちゃんと汲んで上げている以上、立派なお姉ちゃん的態度とも言えると思います。
で、その投票は、どうやら明日に行うとのことで――それまでに、トゥルー俺にもどっちにつくかを要求してこられました。……う、うーむむむ、これはちょっと、非常に困る状況っていうか……
ええ。これがもし、麗一人がぐずっているだけなら、どうするにせよ、麗一人に対してだけ対応を考えればいいのですが、家族の中でも意見が割れているとなると、トゥルー俺としては立場上困ります。非常に困ります。
――そう。昨日の時点では、ちょっと想像もしていなかったのですが……
ウチには意外とアンチ着ぐるみチームが
いたらしくて――
麗の必死のゲリラ活動で露見した反対派は、
今のところ――
着ぐるみが怖くておもらししかねないさくら、
やっぱり昔から着ぐるみが怖いらしい小雨、
ほこりっぽいところには行きたくない吹雪、
人混みの苦手な観月、
何でも反対する氷柱、
キャラクターや乙女心は苦手だというヒカル、
それに言い出しっぺの麗――っていうところだな。
なんと! こんなにも行きたくない派が!?
……いやしかし、確かにこうして、理由までつけて名前をあげられると、納得でき……ない人も何人かいますが、感情の上ではさておき、理解はできました。なるほどなるほど。
確かにさくらについてだけは、昨日の時点でもちょっと心配だったんですよね。小雨もこういう雰囲気のテーマパークは好きかと思ったら、着ぐるみの恐怖が勝ったようです。
観月、吹雪に関しては、これは着ぐるみ以前に遊園地自体が苦手って感じですが……問題は氷柱さん。いかに現役中学二年生とはいえ、それはちょっと。……まあ、霙姉さんが言ってる印象だから、実際にはもっと納得の行く反対要素があったりするんだとは思いますが。
……あと、ヒカルに関してですが……これがもし、他の人目が全く無い、トゥルー俺との二人きりとかだったらどうでしょうね? まあ、行く前には否定しても、いざ行ってみたら、間違いなく内心で喜んでくれそうなのはまず間違いないかな、とも思うわけですが――ともかく、今の時点での意見としては反対派と。
うーむ……理由はどうあれ、7人も反対者がいるわけですね。この人数、過半数には満たないわけですが、かといって行きたい派の人数はというと、これも実は――というのも、霙姉さんみたいな中立派もいるわけでして。
その前に、積極的に行きたい派は誰かというと、これは真っ先に名前の挙がった真璃と星花がまず。下のほうで行くのにノリノリだと語られているのが、春風さんと立夏。……春風さんの場合、恐怖よりも乙女モードが勝ったのでしょうね。立夏についてはいわずもがな。
あと、名前こそ挙がっていませんが、まず間違いなく賛成派だろうと思われるのが、とりあえず夕凪さんと青空。あさひもきっと、あの胆力からして、賛成派に含まれるとは思うんですが……そもそも、投票権が認められるかって問題が。虹子はもきっと賛成派ではないかと。ほら、フレディが大丈夫なら、大抵のものが平気なはずですし。加えて、物怖じする性格でもなく、乙女度は高いということで、賛成派ということに一応。
両派、ざっと名前をあげてみると――
【賛成派】……真璃・星花・春風・立夏・(夕凪)・(青空)・(虹子)・(あさひ)
【反対派】……さくら・小雨・吹雪・観月・氷柱・ヒカル・麗
あさひさんをカウントしないと、ちょうどイーブン。……さて、困ったことになりました。
ちなみに、どちらにも組しない中立派としては、お疲れ気味な海晴姉さんとホタ。……って、ホタは着ぐるみには反応しないタイプなんでしょうかね。自分がしたり、自分が衣装を作ったりするコスプレでないと食指がそそられないとか? あと、疲れている理由として、今週末のホワイトデーに向けて何かしているからっていうのはありそうですね。
で、霙姉さんはもう言うまでも無いとして、残る中立派――というか、名前が挙がっていないのが、綿雪。この子の場合、間違いなく自分の意見より先に、みんなに合わせるって判断をするでしょうからね。保護者的には、ちょっと健康状態への影響が気になりますが、まあここ最近の様子なら、大規模な遊園地であれば、何かあっても対応できるから概ね問題ないかな、と。それゆえに中立派かな、と。
俺が予想で賛成派に入れた子の中には、おおむね中立だけどって子も含まれてるでしょうけど、それを言うなら、反対派のほうも同じなわけで。……さてさて。本当にどうしたものか。
……とまあ。ここまで状況を整理して、なんとなくつかめたこととしては――恐らく、トゥルー俺の動きで、この意見のパワーバランスは大きく動くということ。要するに、トゥルー俺次第って状況になってしまっているんですよね。さっき挙げた人数上の問題でさえ、あと一人分の票でイーブンが崩れますから。
恐らく反対派の中で、本当に絶対嫌だって思ってるのは、いいだしっぺの麗ぐらいで、あとの子は、説得次第でどうにでもなりそうだとは思うんですよ。そしてこれは、賛成派についてもまたしかり。マリーや立夏、夕凪さんに揃ってぶーぶー言われたら結構手強そうですが、良心的な星花や、あくまでお姉ちゃんでもある春風さんから説得していけば、最終的にみんなに納得してもらう方向には持っていけそうな雰囲気です。
で、そんな状況を、傍観者である霙姉さんもおおむね理解しているようで――そのうえでこんなことを。
フフフ。
どうなることか。
ん?
私か?
私は――フフフ。
こういう時はギリギリまで様子を見て
負けてる方に票を入れるのが楽しいんだ♥
――なんという灰色の魔女っぷり!(ロードス島戦記の) しかも単に楽しんでいるだけというのが、カーラ以上にたちが悪いわけですが、まあそもそも、宇宙の塵よりくだらないと断じてくれていた人なわけで、これはこれでさもありなんとしか。
まあ、霙姉さんも、要はトゥルー俺がどう動くかってところを見ていると思うので、そこはそれ、ご期待に答えるしかないかな、と。
しかしやはり――リアル俺の意向としては、できることなら行って楽しみたいですよね。反対派も、氷柱やヒカルはあまり理由ってほどのことでもないし、吹雪と観月については、これは遊園地ならどこでも同じだと思うので、行った先での配慮するという方向性で。
となると問題は……やはり、「着ぐるみが怖い」子たちをどうするか。
さくらに関しては、トゥルー俺がずっと傍にいつつ、「怖くないよー」って教え込んであげれば、慣らさせることができると思うんですよ。まだ小さいですしね、麗が受けたトラウマみたいなことを経験させず、楽しいってイメージを受け付けてあげればと。
小雨については……さくらみたいに簡単にはいかないでしょうけど、決定的なトラウマはないと思うので、これも行った先での配慮次第かなあ、と。
となると……やはり結局は、「麗のトラウマをどう対処すべきか」ってところに落ち着いてしまうんですよね。そもそもの発端でもあるわけですし。
ここで気をつけたいのは、トラウマはなんでも克服すべきだ、って考え方には捕らわれるべきではないって点。別に、怖いなら怖いでいいんですよ。ただ、これから先、こういう怖いものに直面したとき、どう対処すべきかってことぐらいは、学ばせてあげたいとも思うわけで。
うーむむむ……なかなかに難しい問題で、すぐには答えが出せそうにありません。明日までには何とかしないと……。
にゃーにゃと!
にゃーにゃと!
にゃーにゃと!
あーたん、あっばばばばばば――♥
あさひさんの放つ言葉が、だんだんとちゃんとした言葉に近づきつつある――!?
ええ、この家族の意見が分かれてしまったという困った状況の中、あさひさんの出番というのは、ちょっとした間としては最適かもしれませんが、日々の推移を見守らざるを得ないリアル俺としては、なかなかにもどかしい部分がないでもありません。あさひの日記って、そういう何かを待ちわびているタイミングで来ることが多いような気がしますしね。赤ちゃんなりに、家族の中の盛り上がりというか、そういう空気を察する能力というのはあるんじゃないかって気がします。
しかしそれにしても、このかなり明瞭な日本語に近づきつつあるあさひさん語……「にゃーにゃと!」、すなわち、「と」の使い方がバッチリじゃあないですか! 加えて、これはもちろん自分のことを指しているであろう「あーたん」。お姉ちゃんたちにはしばしばそう呼ばれていますしね。実に素晴らしいことです。
考えてもみれば、この子も誕生日が近いわけですよ。赤ちゃんのうちなんて、誕生日が来れば、それだけでもう、レベルの低いキャラがはぐれメタルを倒したかのような成長っぷりが期待できるわけですから(正確にはその日突然ってわけじゃありませんが、大人の視点からするとほとんどそんな感じです)、このぐらい言葉が達者になったとしてもしかるべきってわけなんでしょうね。
……い、いや、あさひさんの誕生日はこれで二度目だとか、そもそも今年もまず「0歳の誕生日」であろうことはさて置きましょう。トゥルー世界の法則はみだれない!
……さてさて。前置きはこのぐらいにして、あさひさんの日記を解読せねば。ええ、今日の日記に関しては、半分以上の部分は訳さなくとも理解できるほどのものなわけですが、あいにく主語などはバッチリ理解できても、肝心の言いたいことが不明瞭であるがゆえに、今日もいつものようにトランス先生にお世話にならざるを得ません。
で、その発言内容とは……
おにいちゃんと!
おにいちゃんと!
おにいちゃんとぜったい!
あさひ、いっしょに遊園地に行くの――
……先日からの家族の議題に、あさひさんもバッチリ参加しておいででした!
こ、これは驚いた……! いや、家族が話し合ってるのを聞くだけでなく、お姉ちゃんの誰かが話してくれたのかもしれませんね。「あーちゃんも遊園地行きたいよねー」、的なノリで。
赤ちゃんって、驚くほど言葉の意味は理解できるみたいですし、それがまして、永遠のトゥルー0歳児であるところのあさひさんともなれば、ある意味当然ともいうべきことなのかも知れませんが。
なにはともあれ、あさひさんは、明確な意思を示されました。……この翻訳部分が他の姉妹に通じてるかどうかはちょっとハッキリしないのですが、まあ、多分、理解してくれていることでしょう。トゥルー俺に分かるのだから、彼女達にも分かるであろう理論で。
……もっとも、単に遊園地と行っているだけなので、着ぐるみ遊園地への賛成派としてみなすべきかは、ちょっと議論の余地があるかもしれませんね。まあ、たぶんどっちでもいいんでしょうけど。ただ、あさひさんの場合は、あの豪胆さから、着ぐるみに対しても耐性はあるんじゃないかって気もします。まあ、いざ目の当たりにしたら、泣いてしまう可能性だってありますけど。
ともあれ、あさひさんのこの意見が姉妹に通じていたら、これはかなり、賛成派の勢いになるんじゃないかと思うわけですよ。なんだかんだで、末っ子の意見は強いですからね。ましてそれが大事な大事な赤ちゃんともなれば、お姉ちゃんたちはちょっと我を通しにくくなるわけで。……別に着ぐるみ遊園地じゃなくっても、という解釈でスルーするというのも可能なんですけど、この迸る貪欲ポジティブオーラの前では、何であれ否定的な意見とは相容れ難いものがあるようにも思えます。
いや、かくいうトゥルー俺も、あさひさんにこんな風にせがまれてしまったら、どうあれ遊園地には絶対に連れて行ってあげたいと思うわけですよ。まあ、麗のために、着ぐるみ遊園地をスルーする道はできるかぎり模索してあげたいとも思うんですが……
いやあ、本当に悩ましい状況です。しかもその決断の締め切りは今日いっぱいとのことで、明日にはもうどちらかに決めないといけないわけで。
さて、そういうことに頭を悩ませている間にも、ひそかにホワイトデーが近づいていることも忘れてはいけません。ホタからのこんなフリもありますからね。実は春休みに行く遊園地よりも切迫しているわけなのですが……できればこの楽しげな日までに、みんながなっとくできる決断を下したいところですね。
それでは。
多数決の結果を発表します。
ついにやってきた運命の日! ……というのは言い過ぎにしても、今週ずっとやきもきさせられてしまったこの遊園地問題、とうとう多数決による決定が行われることになってしまいました。
確かに、こういう多数決での決定というのは、それで決定したところで、反対側の気持ちが納得できるかというと、そう上手くはいかないものなのですが、そこはそれ、こういう軋轢を乗り越えられるからこその人間であり、ましてや家族なわけで。
だからあえて、仕方ない――とは言いますまい。これもまた、家族が乗り越えるべき大事な試練の一つってことで。ましてや、ここんちは大家族なのですから、こういう経験を家庭内で経ておくことは、みんなの経験として非常に良いものになると思います。特に、これから学校に入ろうかという小さい子たちにとっては。
さて、そんな決定を行う日に、日記を務めるは――その冷静さを買われたのであろう吹雪。
吹雪は一応、反対派ではあるのですが、その性格上、こういうことの管理には定評があるのでしょうね。まさかズルなんてするはずもないでしょうし、適任ではないかと。……もしかしたら、小学校でもこういう風に議長とか勤めてるのかも知れませんね。っていうか、吹雪の小学校での姿って、想像するとなかなかに面白いものが。同級生の子とかと、交わりにくそうに見えて、あれで案外人気者だったりしそうな予感も少々。
とまあ、話が逸れましたが――いよいよ、投票の結果が。
事前の様子だと、家族の意見はほぼ半分に割れていたって感じですが――
遊園地行きに賛成が――
10票。
そして
遊園地行きに反対が――
……
やはり10票。
10対10! やはりイーブンでした!
……っていうか、この票数、トゥルー俺は当然のこと、あさひさんの票もバッチリ入ってるんでしょうね。どうやって投票できたかは色々想像できますが、まあ、あさひさんのことですから、それはそれと理解できるぐらいにはトゥルーに馴染んではきております自分。
しかしながら、これはやはり困った状況ですよ。意思決定を行ううえでは。……先日の霙姉さんの意見は、まさに達観だったと言えるでしょう。
反対票が10も集まったということで、その内訳がけっこう気になりますが、これって無記名投票だったりするんでしょうかね。先日名前の挙がった7人のほか、一体誰が反対派に回ったのか。……こういうとき、もし海晴姉さんが麗の味方に回っていたのなら、そのことを是非麗に教えてあげたいって気もするんですが、ちょっとはっきりとは分からないので、仕方ないかな、と。
まあ、それはこの際いいとして。問題は、このイーブン状況をどうするかって話なんですが……その答えはすでに出ているようで。……なんか不意に、ある予感に襲われたのですが……、
決選投票が行われます。
決選投票の方法は、
海晴姉の裁定により――
長男による「鶴の一声」
とすでに決められています。
やっぱりそう来たか――!
トゥルー俺による事実上の直接決定! なんか最終的にそうなるんじゃないかという予感はヒシヒシと! ……いや、海晴姉さんの鶴の一声……ゴリ押しっていってもいい気がしますが、なぜか逆らう気になれないふしぎ!
いやでも、これって多分、一番うまくいく方法なんじゃないかって思うわけですよ。こういうときに特別な長男って立場を使わないで、いつ使うんだって話でもありますし。どっちの意見の姉妹も、トゥルー長男の言うことなら、多数決で決まるよりもずっと素直に従ってくれそうですしね。……っていうか、ちゃんと認めてくれるように、一人一人説得するのがトゥルー俺の役割です。ええ、リアル俺的にも理想的な展開ですよこれは。
では――
これから24時間以内に
“長男”の条件に該当する人は
必ず、投票権利を行使して下さい。
……なんて言われると、さすがにプレッシャーも感じてしまうわけですが、いやいやいや、望むところです。みんなのためにトゥルー俺が具体的に働ける、かなり珍しい機会なわけですからね。ここで活躍できなければ、トゥルー俺でいられる資格なんてありませんとも。
などと言いつつ、実のところリアル俺として、まだ意見がきちんと定まっていないのは困り物。ち、ちゃんと明日までに決めないと……。どっちを選ぶにしても、それなりの大義はあるんで、そういう意味では難しいところですが、どっちを選んでもいいという意味でもあるわけで。
麗姉のプレッシャーにどうか
影響されませんように。
……うっ(←ちょっと自身がない)。でも、吹雪の期待がある以上、それに応えなければならないということもまた絶対的なことでありまして。
もっとも、たとえどっちの意見を採用するにせよ、今回の説得のメインはやはり麗になることは確かなんですよね。さて、今から必死に意見および説得内容を考えなければ――
ふぃ、フィフティフィフティで……とか言う状況はとっくに過ぎ去ってしまっております! ええ、なんか今日はやたらと焦らされた感じもありますが――ついに最終意思決定すなわちファイナルアンサーの日であります。
日記の担当は、その判定という責務上、昨日に引き続き吹雪が行っております。こういう大きな議論があったときには、吹雪という子の個性は今後もずっと重用されていくんでしょうね。
それにしても――やはり気が重いという部分はあるわけですが。それでも、どちらかには決めないといけないわけですからね。
我が家の長男の最終意見「鶴の一声」、というありがたい(?)評価も頂いたわけですし、ここではっきりと決めてしまいましょう。
トゥルー俺の意思決定とは――
春休みのキャラクター系遊園地行きへ――
賛成、と――
決しました。
賛成に、決定です! ……立夏あたりが知ったら、「勝訴」の紙を掲げて走り回ったり……までするどうかはわかりませんが、とりあえず大喜びすることは間違いないでしょうね。もちろん、麗に対するいくらか配慮は考えるでしょうけど。
ええ、賛成ということになりました。……これってもしかすると、昨日の日記についたコメント欄の票数を参考にしたりしてるんでしょうか? ご覧のとおり、大変な盛り上がりを見せたわけですが――ええ、トゥルー日記なら、この結果を反映するために、今日の決定について、二通りのものが用意されていた可能性も十分に考えられます。もしくは、ある時刻を期限にして、それから即刻書いたか。……ゴッドならありえる。
もっとも、実際にコメント欄の票数を数えたわけではないので、本当はどうなのかは分かりませんけど。見た感じ、けっこう割れてそうな風ですしね。確かに、どっちの意見も尊重したいと思うので、これは非常に難しい判断でした。
でもまあ、どっちにせよ、そういう決断をきちんと下せたというのは、精神の生長のうえでいいことだったと思うわけですよ。加えて、
よろしいですね?
と言っても――
もう後戻りは出来ませんが。
フフフ♥
吹雪のハート付き微笑み! なんというレアな――! いや、この悪戯っぽい笑い方、ちょっと霙姉さんを連想させる感じがしますが、案外通じるところがあるのかもしれません。ともあれなんと可愛らしい……。
いやまあ、仮に今更後戻りできたところで、むしろ苦しいだけなので、これで全く問題ないわけですけれど。
ちなみに、「埃っぽいところは苦手」という理由で反対に回っていた吹雪ですけれど、この言い分を聞く限り、そこまで嫌ってほどのことでもないみたいですね。
それよりも、
キミも――意外に遊園地が好きなのですね?
そんなことがわかって良かったです。
……こんななにげない発言に、なんだか赤面してしまいそうな自分を発見。う、うーむ。吹雪に子供っぽいとか思われるのは、なんというか、高度な知識とクールさがある分、余計に恥かしいというかなんというか……そしてある種の快感も。
ええ、吹雪の意識は、やはりというべきか、相当に大人びてますよね。特に、この説明――完全に、兄顔負けというか。
ええ。家族ですから。
遠慮などせず、皆それぞれに本心を主張すればよいのです。
主張したところで――必ず通るわけではなく。
その時々で、個人の願いは叶ったり叶わなかったりしますが。
ええ、それがたとえキミの願いだとしても――です。
共同生活とはそういうもの――
家族とはそういうものです。
長く一緒に暮らしていれば、いろんな事があります。
これも確率の問題です。
……これはちょっと、そこらの大人でもなかなか言えないぐらいの、老成した達観というか……ああ、この子の兄でいて本当にいいのだろうかと自分に戸惑ってしまうぐらいです。いや、まさにまさに――っていうか、完全に保護者の観点ですよねこれは。なるほど、こういう件の投票管理を任されるわけですね。
いや、本当に全く。今日、この日記で書こうと思っていたようなことの、さらに上のことを先んじて言われてしまいましたよ。しかも、「ええ、それがたとえキミの願いだとしても――です」と、もしかしたら反対に票を入れたであろうトゥルー俺の諸兄に対してまでフォローを入れてるかのごとく。なんて立派な小学二年生なんですか。嬉しい反面、ちょっと兄として、襟元を正さなくてはという気持ちもわいてこようというものです。
さらには、この結果に憤るであろう麗に対してのフォローまで考慮してくれているのだから、本当に頼りになる子ですよ。しかも、さすがによく見ておられます。
まあ確かに、麗は怒るでしょうけど、幸い――っていう言い方はあれですが、麗にとっては、自分の意見が通らないのは、わりといつものことなんですよね。だから、ある意味では、こういうことには慣れているので、そこまで心配しなくてもいいかも――という見方も出来るわけです。
ただ、それはそれとして、その一方で、いつもいつも、麗の意見が通らなくて可哀想、という気持ちがわいてくるのもまた事実であり、そういう部分においては、トゥルー兄として全力でフォローしてあげるべきなんですよね。麗はしばしばワガママを言う子ですが、叶えてあげられるものならば、こっそりとでも叶えてあげたいな、と。
それに、吹雪の言ったように、麗という子の主張には、良くも悪くも、「遠慮」がないんですよね。これは、本当に良し悪しがありますが――少なくとも、家族の中では、最低限の分があればいいって類のものではありますよね。逆に、遠慮をしないことによって、どういうことが生じるのか、家族の中で知ることが出来るというのは、少子化が進むこの現代社会においては、とても貴重なことだとさえ思えます。そういう経験が少ない子ばかりだと、学級崩壊とかが起きやすくなるんでしょうね。
だから、たぶん麗は学校なんかでは、案外うまくやっていってるんだと思いますよ。家の中で学んできていることが、他の子よりもおおむね多いでしょうから。まあ、それでも表向きは、不器用な子に入るかもしれませんけど、まあそれは性格上の特性ってことで。
加えて、「明日はホワイトデーです」――と。この件でともするとうやむやになってしまいそうな気がしてましたが、もちろんそんなことはありませんでした。ホタに言われたこともあって、なんだか非常に楽しみです。氷柱の誕生日でもありますし。
まあ、何が起こるかは明日のお楽しみということで――ええ、ちゃんと明日は更新チェックしておかないと――麗といっしょに、心から楽しむことにしようかと。……なんだか、トゥルー俺はかなり忙しいことになりそうな気もしますけどね。
ともあれ、これでちゃんとした結論が出たわけで、この件の取締りを任された吹雪も少々お疲れのようです。いかにあんな大人顔負けの老成っぷりを見せてくれたとはいえ、肉体的にはれっきとした小学生ですからね。そりゃあ、この時間ともなればねむねむ状態間違いなし。……うとうとする吹雪を想像すると、ちょっと強烈過ぎです。可愛らしさが。
皆に告げるのは明日以降というのは、なかなかに策士ではありますが、これもまた家族のための潤滑油ってことで。
もう寝ます。
おやすみなさい――。
おやすみなさい――と。この小さくて大きい妹に、ちょっとした敬意と感謝を込めて。
やはり来ましたイラスト更新ッッッ!! 昨日の件をみんなに話したことで、特に麗の反応が気になる今日ですが……なるほど、こういうイベントと同時であれば、気が紛れることこの上ありませんね。
……ええ、なにせ。言葉で責め立てる以前に、その肝心のトゥルー俺が、これ以上ないほどの姉妹の慰み者になってしまっているわけですから。
着せ替えッ! あまりにも予想通りの、ホタのホワイトデー要求ッ! いやまあ、普段ホタにしてもらってることを思ったら、このぐらい本当になんでもありませんが、そ、それにしてもこの衣装は……っていうか何持ち出してるんですかヒカルさん。
その、片方に至っては、漫画の女子小学校でしか着ないような類の、ピンクの女子制服にしか見えません。
……もしかしてヒカルさん、以前の制服取替えっこの件で、トゥルー俺が女子の制服を着るのが好きとか思ってしまってませんか? い、いや、でないと、この笑顔はちょっと説明がつかないというか……。とにかく、ヒカルがトゥルー俺を見る目に、やや特殊な性癖にも至り兼ねない要素があるということは、そのちょっとどうかと思われる迷彩柄のシャツとともに、記憶に刻み込んでおきましょう。ええ、それを理解したうえで、何だって着ましょう、着ましょうとも! すね毛の処理も忘れずに!(そこまで要求されてるかは知りませんが)
そのほか、霙姉さんはおそろいのケープを、マリーもおそろいの王侯貴族っぽい服を、それぞれに勧めて来てくれるわけですが……それはさておき、青空と観月が持っている、やけに大きなキュウビと思しき物体がとても気になります。……えーと、これは、衣服の類? それとも、何かの影響で体積を増したリアルキュウビ? とりあえず、もし着ぐるみだとしたら、それこそ麗が涙目になりかねないような懸念がなきにしもあらずですが、まあ、家で見慣れてるクリーチャーなら問題ないのかな。あるいは、着ぐるみじゃなくって、パーカーのフード部分がこんな風になってるアニマルモチーフの衣装だとか。で、もしリアルキュウビだとしたら……どうしろと。着る=食べられる、みたいな?
とまあ、そんな風に、きっと今日は、姉妹それぞれのリクエストに全部答えたのでありましょう。ホタの衣装ストックは、姉妹の好みそうな分ぐらいは全部カバーしてそうですしね。麗あたりは何を要求したのやら。……やっぱ普通のクラシックな鉄道員制服とかかな? いずれにせよ、喜んでもらえたならば、それがなによりです。
で、肝心のホタ本人が要求したのは……なんと「SHITUJI」、すなわち執事服でありました。これはまた、想像以上にストロングスタイルな要求を……! ホタはあまりオタ的な好みに染まってるわけではなさそうですが、そういう子でもやっぱり、執事っていうのは憧れの対象なんでしょうかね。
ホタは普段、何から何までみんなのお世話に回る役割の子ですから、その反動として、執事みたいに何でもしてくれる男性というものに、潜在的な憧れがあるのかもしれません。なるほどなるほど。そういうことであれば、せめてこの日ぐらいには、全力でそう振舞わせていただきたいなと。ホタが主で執事が俺でッ!
氷柱かっこいい!! ……って、いきなりなんで、と思ってしまうような書き出しから始まった今日の日記。このハイテンションな文章は、案の定夕凪さんでありましたが――
やっほ――
お兄ちゃん!
夕凪、超超超うれしーよー♥♥♥
それにしても、この喜びようは尋常ではありません。相変わらず可愛らしいなと頬を緩めるのと同時に、一体何が、とまず思ってしまうわけですが、それはやはり、ホワイトデー……イラストのみの更新で、具体的に何があったかは分からなかったあの日に起きたことに関係しているのでありましょう。
なにせ今回のホワイトデーは、コスプレパーティの他に、氷柱の誕生日と、例の遊園地行きの事件の決着という、大きなイベントがあったわけですからね。そのあたりのことをあのままスルーしてしまうというのは、情義とフラグ立てには篤いトゥルー家族としてはあまり相応しくないという気はいたします。
で、どうやらその予感は的中していたようで――この春休み、遊園地のほかにもう一件、お出かけイベントが発生したようなのです。
「夕凪、お出かけってだーい好き。お買い物も買い食いもとーっても楽しいもん!」とはしゃぐ夕凪さんの可愛らしい喜び方を見られただけで俺個人としても非常に嬉しいわけですが、それにしてもこれは一体どういうことでしょうか。
いかにトゥルー家がイベント大好きとはいえ、そう長いわけではない春休みに、それほど何度もお出かけするというのは、人数のこともあってなかなか難しいと思うわけなのですが――どうやらそれには、非常に注目すべき動きがあったようです。
詳しくは、夕凪さんの説明をまるごと引用しますが――
夕凪ね――
今度のことで。
氷柱お姉ちゃんってやっぱり
とっても頭がいいし――かっこいいな!
って思いました。
だって――あんな方法、
夕凪じゃとっても思いつかないもん。
お誕生日のプレゼントに、
「鉄道博物館」行きをお願いするなんて――。
……俺内部における氷柱株の価格が、この一言において爆上げ → ストップ高。
つ、氷柱……ッッ!! なんて偉いお姉ちゃん、って思うのと同時に、それはトゥルー俺の役割ではないですか、という嫉妬のような感情も同時に沸いてしまうほどですよ! いやホント、そのような役割は、トゥルー俺が是が非でも買って出てあげたかったことなのに……ッ!
ええ、麗相手にトゥルー俺がしてあげられたことって、実はそんなにはないんですよね。そこはそれ、トゥルーの性質上、トゥルー俺が傍観者的な立場に置かれてしまいがちだというのは仕方のないことなんですが、それでもたまに、それがこのようにもどかしいと思えることがしばしば。
……まあでも、そのおかげで、こんな氷柱の優しさと立派さを垣間見ることが出来たのだから、それはそれで良い事でもあるのかもしれませんね。何から何でもトゥルー俺が、というのは、家族の絆を構築する上では邪魔なエゴにもなりかねませんし。
それにしても、やはり氷柱は立派なお姉ちゃんです。綿雪に対してだけじゃなくって、困っていたり、割を食ったりしている妹を見ると、何かと手を差し伸べたくて仕方がない衝動に駆られるタイプなんでしょうね。まさに骨の髄までお姉ちゃんオーラが染み付いています。……その一方で、かなり強めの妹オーラも潜在的に隠し持ってもいるのだから、本当にたまらぬ女の子ですよね。
だって、1年に1回のお誕生日だよ?
1年にたったの――1回しかないんだよ??
なんでも好きなものおねだりできるチャンスなんて――
この1回しかないんだよ???
それなのに――
他の人のためのモノ、お願いするなんて――
確かに、夕凪さんぐらいの年齢の子からすると、これはとんでもない自己犠牲の献身なのでしょう。いや、自分の身に置き換えて考えてみても、小学校の頃、誕生日に買ってもらえたはずのスーパーファミコンをスキップするとかを考えてみると……やばい、マジで偉大すぎる。まあ、氷柱はすでに中学二年生ですから、そのレベルよりはもう少しだけ大人なものの見方はしてるでしょうけど、それでも大人基準ではちょっと図れないことですよね。
とにかく、今回の一件で、夕凪さん内部における氷柱のイメージが、途方もなく高貴なものになったことは間違いないでしょう。……もっとも、この件を抜きにしても、氷柱って割と妹たちからかなりの勢いで尊敬を集めてたんだろうなって気はしますけどね。俺たちから見るとちょっぴりオマヌケなところもある氷柱ですが、それでも妹の視点からすると、全力で尊敬に値する姉に見えているんだろうなあとはなんとなく察せられます。実際にそう思われるだけのものは持ってますからね、氷柱って。
まあそれは、普段はそのオマヌケな一面を愛でることの多い俺たちにとっても、本質的に同じなわけで。今回の件で、改めてそれを思い知りました。「ちょーカッコイイよね?」と夕凪さんも言ってますが、まさにまさに。
もっとも、俺たちは氷柱の兄でもあるので、そこは尊敬する以上に――してあげるべきことが、ありますよね。すなわち、褒めてあげること。真正面から褒めてあげたら、全力で罵倒されかねませんが、それでもなお、偉いって言ってあげるのが、トゥルー兄としての役割でありましょう。
……などと思いにふけっているところに、
あ。
まさか――。
お兄ちゃんと氷柱お姉ちゃんって、
もしかして――こうなるように
相談とかしてたの?
なんて好意的な解釈をしてくれる夕凪さん。ああ、この子はどんだけこのトゥルー兄のことを高評価してくれているのか――! 実に面映い気持ちになってしまいますが、今回の件に関しては……どうなんでしょうね?
よくできたトゥルー兄のことだから、裏でそういうことをしていた可能性もないわけじゃありませんが……いや。これは多分、氷柱の独断じゃないかって気がしますね。根拠はありませんが……なんとなく、氷柱という子の内面的に。氷柱の性格を考えると、相談するより先に、自分でそういうことを考えて行うタイプって気がします。それで、後からそれを褒めてもらえたら、素直には受け取らないけど、内心ですごく嬉しがるんじゃないかなーとか、そんな印象が。
お兄ちゃんが遊園地に決めて、
氷柱お姉ちゃんが後から――
わーすごいっ!
それって超マホウ!
氷柱お姉ちゃんと、お兄ちゃんって――
超カッコイイよね――♥♥♥
なんとなく、話の成り行きというかフラグ的な見方からも、これはきっと、氷柱の独断って雰囲気が漂ってきているように思えてなりません。なんでもマホウということで喜んでしまう夕凪さんの単純さはひたすら可愛いわけですけど、これがなんだか、明日以降の氷柱の態度を方向付ける自然伏線になるような気が凄く。
ともあれ、明日以降の氷柱のリアクションが超楽しみです。ああ、たとえ蹴られても良いから、全力で偉いなって頭を撫でてあげたりしたい……ッ!
…………ニヤニヤニヤニヤ。
大変です。今日の日記を一目見た瞬間から、俺の顔面の筋肉が、まるで言うことを聞きません。あたかも自分の意思があるかのごとく、ひたすらに口元が釣りあがります。キモいです。鏡を見るまでもなく、キモい顔になっているであろうと断言できます。
しかし、それも無理なからぬことでしょう。……ええ、昨日からの予想の通り。あまりにも予想通りすぎる展開と、その顛末。あの子は本当に、どれだけお約束というものを遵守すれば気が済むんですか――などと思いつつも、実際にはそんな風に鷹揚に構える余裕すらなく、トゥルー俺の全細胞が全力でニヤニヤせよと命じてきてしまっているわけです。ああっ、だめ、これは抵抗できない……ッ!
ええ、お約束。あまりにもあまりにもお約束どおり。今日のこの日記に関してはある意味、実際に読んでみるまでもなく、きっとこういうことを言ってくれるであろうと予想できてしまう内容なわけですが――であるにもかかわらず、俺の筋肉は全力でニヤリング反応を生じさせてしまいます。いやむしろ、その全力で予想通りだったという反応を受け、期待通りの喜びに打ち震えているとでも言いましょうか。
…………ニヤニヤニヤニヤ。
ああ、これはいけない、書いてる傍から顔がニヤけて止まりません。今日のこの時間だけで、相当に顔面の表情筋が鍛えられて、小顔化をもたらすダイエット効果すら期待できるかもしれないぐらいです。フヒヒ!
……ああもう、ニヤリングどころか、キモい笑いまで噴出してきてしまったので、もう限界です。さっそく日記を見ていきましょう。
え、誰の日記かって? そりゃ、今日この日に、あの子以外が書くとしたら、そりゃあけっこうな不意打ちになるでしょうけど――
んもう……
べつにイイコトなんて全然してないってば!!
……ねえ?
世の中にはですよ。全く予想もしていなかったサプライズよりも、「これが来るぞ絶対に来るぞ!もうすぐ、もうすぐ必ず……!」って精神状態に置かれた中で、その期待通りのものが来てくれることのほうが、なお破壊力が高くなるという類のことがあるわけですよ。ええ、ちょうどこんな具合に。
いやあ。いやいやいや。待ってました、待ってましたとも!
――ねえ? かっこいい氷柱“お姉ちゃん”!
はぁ?
べつに。
麗ちゃんのためとか、そんなんじゃないし。
いやwwwwwwでもこれはwwwwwwwwもうだめwwwwwwwwwwwww草生やすのを止められないwwwwwww誰か助けてwwwwwwwwwwww
なんて、なんて期待通りの発言及び態度を取ってくれるんですか氷柱さん! いやもう、これは、俺の顔面筋が危険(やば)いことになりそうですよ!
ああもう、ほんとに、今の氷柱の某感情数値を示すとしたら、それこそ海原雄山か烈海王に匹敵する値が出ていますよきっと! 「ほんっと、優しいのな、氷柱って」とか目の前で言ってみたい! それを受けてぷいって横を向いたときの表情をその血色にいたるまでガン見したくて仕方ないッ!
そして、ここまで露骨ながらもなお、私が(鉄道博物館に)行きたかっただけ、と主張する氷柱がもう、可愛くておかしくていとおしくて本当にもうどうしましょう。今ほどトゥルーとリアルを隔てる壁が憎らしいと思ったことはありませんよ瞬間最大風速的には。
だってですねぇ……
新幹線とか、なんかそういう引退した鉄道とか――
いろいろ、あるんでしょ?
はわわわわわわwwwwwwwwwwww いや、もう、ホントにもうだめ、あまりにもかわいらしいので、全力でハグさせてください氷柱さんwwwwwww全力で殴ってくれて良いのでwwwwwwww
いや、ホント、申し訳ない意地の悪い兄で。しかしながら、この氷柱の態度を見て、この全力でのニヤリングを止めることは不可能です。せめてトゥルー俺に関しては、もう少し氷柱を思いやった反応を見せてくれていることを願うばかりです。リアル俺の方は本当にもう駄目wwwwwww床を転げまわらざるを得ないwwwwwww
いやね、もう、この受け答えのために、もうちょっと鉄道知識を改めて仕入れておくとか、そういう女々しい迷彩防御をするつもりすらゼロですよ。なんて雄度の高い優しさですか氷柱さん。(男が見せる優しさは不器用、というシグルイ原作者・南條範夫先生の発言より)
まあ、まだまだこの喜びに悶え打ち震えていたいところではありますが、そろそろ氷柱の反応も「――フンっ」とご機嫌斜めになって来られたので、このへんにしてきましょう。
……と、思ったのですが。
妹たちに下僕ごときとグルだと思われるのも
――不愉快。
間を置かずにこの反応wwwwwwそしてこの発言wwwwwwwww いやほんと、今日の感想はwww多すぎで申し訳ありませんwwwwwwwwしかし今の俺のテンションを的確に表現するのに、他に妥当な手段が思いつきませんwwwwwwwウヒヒヒヒwwwwwww
いや、ね。「ごとき」とか「グル」とか、そういう単語もいちいちツボなわけですが、やはりこの二行目の微妙な間が……あああああッたまらん! たまらなすぎですよ氷柱!
で、そんな露骨すぎるほどの反応を見せてくれた後で、しっかり「でも――いい? 家族行事は全員参加よ?」と締めるところは、しっかりしてる氷柱お姉ちゃん、っていう風にも取れますよね。ああ、この超お約束の遵守度と、感情緩急の使い分けっぷり……氷柱って子は、本当、人間の傑作だと思います。人間的いとおしさをこれほどまでに分かりやすく示してくれる女の子、二次元には沢山いそうで、ここまでの子はなかなか居ないと思います。
……
たまには――
こんなことがあったって、
いいじゃないって。
私はいつも思ってたんだから。
……ほら、こんな風に、最後にすごく良いことを言って、見事に締めてくれるところとか。
確かに、そうなんですよね。この家族と過ごすようになって以来、麗のことを見続けてきたら、どこかでこの子の願いを叶えてあげたいな――って思うじゃないですか。そんな俺たちの気持ちを全部汲み取ってくれたかのように、それを実行に移してくれるというこの気高い精神性。たとえ妹であろうと、「尊敬に値する」と思わずにはいられません。
さっきのニヤニヤはどこへやら……ってわけではなく、それとこれとは表裏一体なんですよね。立派なところとオマヌケなところっていうのは、薄い紙を隔てた裏表みたいなものなんだと思います。氷柱って子を見てると、改めて、そんなことを思わずにはいられません。
さて……ここまで氷柱が(リアクション含めて)素晴らしいことをしてくれたのだから、当の麗がどういう反応をするのか、ぜひ見てみたいところですね。……こっちはこっちで、嬉しさを隠して素直じゃない反応するんでしょうか。それとも、素直に喜びのあまり、泣きながら氷柱に抱きついちゃうとか。……氷柱が赤面しすぎて卒倒しかねない気もしますが、それはそれで是非見たいシチュですね。
本当に――
素直じゃないんだから。
フフフ――♥
今回の件に関連して、ようやく海晴姉さんの出番がやって来て下さいました! いやもう、色々とめまぐるしい状況でしたが、そんな中で海晴姉さんが出てきてくれるのを密かに待ちわびてましたよ。
まあ、氷柱のおかげで、この件に関してはおよそ丸く収まった感があるので、ちょっとタイミング的にはずるい感じもしなくはないですけれど、海晴姉さんは一応事実上の家長として、何かと麗をたしなめることになる役割に回らないといけないわけですからね。先に出てきてくれたとしても、今年始めの一件と同じようなことになっちゃったんじゃないかって気もするわけで、やっぱりこのタイミングが良かったんだろうなあって気も少々。
……とまあ、この海晴姉さん及び麗の件に関しては、またいずれ、何らかの形でトラブルが生じるような気もするんですが、そのときはそのときで、家族で話し合えばそれでいいかな、と。そして今度こそはトゥルー俺が「かっこいいお兄ちゃん」として麗の力になってあげるのだとひそかに決意。氷柱やヒカルも立派なお姉ちゃんなんですが、やはりお兄ちゃんとしても、麗のためになにかしてあげたくて仕方ないわけですよ。
とはいえ、まさに同じようなことを、氷柱たちも内心抱いていたわけで、だからこそ今回のこの事件が解決したとも言えますけれどね。
ともあれ、今日の海晴姉さんは、もうすっかり上機嫌になって、「どこかの立派なお姉ちゃん」についてのからかいモードに突入しておられる模様です。
あ。
まあ、名前は言わないでおこうかな。
また変な風に跳ね返られても困るし、ね。
クスクス♥
……ああ、そのへんの気持ち、手に取るように理解できる……! 思わずクスクスと笑みをこぼさずにはいられない、某お姉ちゃんの素直じゃない跳ねっ返りっぷり。これほどいとおしく思える生意気な子が、他にいますでしょうか否。
氷柱と麗の違いは、やはりお姉ちゃんとしての意識が強いかそうでないかの差だと思うわけですよ。麗って、あの歳の割にはまだまだ子供らしくて、結果的に甘えることが多いですからね。氷柱の場合は逆に、背伸びしてでも「お姉ちゃん」を買って出るタイプ。その反動で、その内面には相当強烈な「自分だって甘えたいのに……」欲求が眠っている気もするわけなんですが、そこを妹たちの前ではぐっと抑えることの出来る精神力を持ち合わせている子でもあるのです。まあ、そのために、素直じゃない態度になるという反動もあるわけですが……いや、それがまた素晴らしい副作用というかなんというか。
ともあれ、海晴姉さんの「素直じゃないんだから!」が、俺の気持ちの全てを代弁してくれましたね。
さて――自分の小さい頃は、麗にそっくりだったという海晴姉さんですが、そんな自身の過去を振り返ってみても、「でもあれほどじゃなかった」と言わしめる、つら……もとい、誰かさんの素直じゃなさ。ある意味、麗や海晴姉さん以上に不器用ですよね。自分の分に収まりきらないほどの優しさが心に溢れてしまうと、人ってああなってしまうのかも知れません。
海晴姉さんの言ってる、「ガマンすることの多い少数派の子のため」って部分は、それこそトゥルー俺が、麗が何かするたびに強く感じていることなわけですが……兄が思うのなら、姉だって同じことを思うんですよね。そんな子の願いを叶えてあげたいというとってもとっても優しい気持ち。「ステキなことよね」……ってその言葉、トゥルー俺にもいずれは是非賜りたいところであります。
とはいえ、氷柱はその内面を見ると、そこまで「お姉さん」ではないっていう部分も、海晴姉さんが言ってる通りなんですよね。そりゃあ、あんな風に素直になれないこと自体、幼さの表れと言ってしまってもいいわけですし。……ああ、だからこそ、ああいう態度がたまらなく愛しく思えるわけですね。
頭はいいのに、こんなところは。
まだまだ――
幼いのよね?
トゥルー俺が言おうものなら、全力で蹴飛ばされそうな発言ですが、さすがに海晴姉さんが言うなら、せいぜいへそを曲げるぐらいで済ましてくれるでしょうね、氷柱も。やはり海晴姉さんのお姉ちゃんっぷりは、姉妹みんなを見守る、保護者の領域なんだなあと実感しました。
さて――今回の一件で、春休みのお出かけイベントが二回に増えたことで、海晴姉さんがトゥルー俺になにやら期待を寄せてくれております。そりゃあ、海晴姉さんに「キミにも活躍してもらわなくちゃ、ね♥」とか「引率の大黒柱役、よろしくたのむわね?」とか言われた日には、誠心誠意務めることを誓わずにはいられません……が。
最後の最後で、また氷柱が大反応してくれそうなお言葉を……!
フフ――それと。
あの子のこと。
あんな跳ねっ返りだけど――
わかってあげてね?
きっとキミに甘えているんじゃないかな――
……それはまあ、ね。氷柱とのイベントが起きるたびに、内心で強く強く、これでもかというほど強く感じることなわけですが――
そこを、あえて。あえて、気付いたり、露骨に指摘したりしないで接してあげるのも、兄として「あの子」を甘やかしてあげるための大事なことなんじゃないかって思うわけですよ。面子をちゃんと立ててあげる、というか。そういう意識は、常にどこかで持っておきたいものです。
……まあ、普段はそうだとしても、いざ氷柱側のリミットがブレイクしてしまった場合には、その限りではありませんけどね。……フヒヒ!(←脳内に繰り広げられる甘え妹シチュエーションの数々……!)
この春の――
私たちのお家の予定は。
1つめが――
鉄道博物館行き!
そして、
2つめが――
キャラクターいっぱいの
楽しい遊園地行き!
ということに決まりました!
うふふ♥
「決まりました!&うふふ♥」! ……って、開幕早々からなんだかテンションの高い子が……って綿雪!?
綿雪でしたよ今日の日記!
あ、いや、ここのところ、ユキの日記も、わりとテンション高めなものは多かった気もしますけど、今日のはなんと言うか、気持ちの上でのポジティブさばかりではなくて、本当に、いかにも体の底から元気が沸きあがってきているみたいな印象を受けます。
二月の初めには体調を崩してもいたので、ちょっぴり心配だったのですが、だんだんと暖かくなってきたことで、体の元気もますます沸いてきたってことなんでしょう。
それに加えて、この家の仲のことでも、つい先日に嬉しいことが起きたばかりですからね。ユキに限らず、家族がみんな、「しあわせ、しあわせ」って感じているのかも知れません。
そう……どちらかというと綿雪って子は、自分に生じたいいことよりも、家族が幸せになってくれることにこそより強い喜びを感じるタイプであり、その優しさに心をひたすら打たれる反面、ちょっと危なげというか、この子自身の幸せって言うものをもっと享受してもらいたいな――と常々思ってはいるわけなのですが。
今日の綿雪はなんだか、そういう、自分ならではの喜びみたいなものを放っているというか……とにかく、元気でとてもよろしい感じです。これはきっと、麗のお願いが叶ったことというだけでなく、綿雪自身が単純に、このおでかけに関して喜びを感じているのでしょう。
ちょうどその理由は、綿雪自身が語ってくれているので、まずはそれを読んでみますが――
短いお休みの間に
2つもイベントがあるなんて――
とーっても!
楽しみですね、
お兄ちゃんっ♥
……もう、この言葉だけで、綿雪の感じている全ては表せてるって気がしてきました。「とーっても!」ですよ。「とーっても!」。ああ……ユキが元気にはしゃいでいる姿というのは、これほどまでに俺を幸せにしてくれるものなのか。
さて、そんなノリノリの綿雪が、今後のスケジュールを説明してくれていますが、それによると、三月最終週には鉄道博物館に、遊園地へはその次の週に赴くことになった模様。なるほど、麗のことを優先……っていう意図もあるかもしれませんし、より暖かくなるであろう後の日のほうが遊園地行きには適しているって判断かもしれません。あるいはその両方か。
ユキとしては、その態度やノリからも分かるとおり、どっちも凄く楽しみとのこと。これはきっと、例の投票のときには賛成派だったんでしょうね。
で、より楽しみなのが――鉄道遊園地の方とのこと。
だって――いっつも麗お姉ちゃんが
言っているみたいに、とってもステキな
古いカッコイイ電車がいっぱいあるんでしょう?
……麗が聞いたら、感動のあまり何も言えなくなってしまうかも知れませんね。ユキの言葉はいつだって純粋そのもので、聞く人の心にまっすぐ刺さるのが、ある意味ツンデレ殺しというか。ツンデレのみならず、汚れ気味の大人にもよく刺さりますけれど。
ただ……ユキが鉄道に憧れるというのには、もう少し、深い理由もあるようで……
ユキは電車に乗って遠くになんて
行ったことがないから――。
だからたとえ動かない電車でも――
麗お姉ちゃんが教えてくれた、
“特急”や“新幹線”に乗ってみたら、
きっと本当に遠くへ旅行している
みたいな気持ちになれるんじゃないかなって――
そう思うんです♥
……………………。
……また、この子ったら、また、俺の心をぎゅうって苦しくさせるようなことをさらりと――!
ええ、ちょっとね。「グレオ爺さんの話」を思い出しましたよ。ロストオデッセイの。それがどういうお話なのかは、機会があったら是非ゲームもしくは小説で読んで欲しいところですが……ともあれ、思うようにはお出かけできないという苦しさを、身をもってよく知っているユキならではの、とても切なくて優しい感じ方だと思います。
ともあれ、グレオ爺さんと違って、ユキの体はもう、気をつけさえすれば、おでかけぐらいなら十分にこなせるようになってくれたわけで。こんなに幸せなことは無いわけですが――しかし悲しいかな、まだまだ油断大敵な身の上でもあるわけで。
せっかくのお出かけが、体調不良でダメになんてことになったらどうしよう。……そんな思いがわいてきたわけですが……ユキはちゃあんと、そういうことにも気が向いているわけですよ。
あ、でも。
ユキはまず――当日になって、
お熱を出して行けなくなっちゃう
――なんてことのないように。
しっかり“体調管理”を
がんばらなくちゃ!
――いい子! ああ、この子は本当に、どこまでいい子なんでしょうか本質的に。いい子っていうのは、気持ちが優しいとか、気配りができるとか、そういう部分の意味もあるんですけど、実際には、どれだけポジティブな自分を保てるかって部分が大きいと思うわけですよ。その点、ユキにぬかりはありません。いい意味で、実にいい意味で、甘えがないんですよねこの子のものの考えには。それだけの人生をこの年齢で歩んできたということであり、手放しで喜べることではないのかもしれませんが――今はただ、それを喜ぶべきかなとも。
そんなわけで早速、季節の変わり目であることに注意などを向けているわけですが……
うん。
ユキ――がんばりますっ!
油断大敵!!
ですよね、お兄ちゃんっ♥
どうかユキを応援してください――
ユキのまっすぐまっすぐな可愛らしさに、全俺が悩殺!
ああもう、ユキが笑顔でこんなことを言った姿を想像するだけで、軽く悶え死ぬことが容易なわけですが、ここはひとつ、ユキを含めて家族の風邪予防に全力を尽くすべしと心に誓わずにはいられなくなりました。健康を求むッ!
うおおおおおッ連休というのはやはりトゥルーが遠く感じられてどこか人生に虚無感を覚えずにはいられないッッ!!(注・アマガミで充足するのとはまた別の領域) そんなわけで連休明けの日記というのは、いつもにも増して待ち遠しく待ち焦がれずにはいられないものなのでありますよ。
ここしばらく、バレンタインからホワイトデー、そして春休みのお出かけ論争と、トゥルー的ビッグイベントが続いたせいか、どこか燃え尽き症候群的な心境がないわけでもないのですが、それはそれとして、心機一転のトゥルーライフを過ごすことこそ肝要であり、そんな何事もない日常こそ、トゥルーに求めずにはいられないものなのでありますよ。すなわち、まったりのんびりを全力でッ!
とまあ、そんな決意を新たにした連休明け一回目の日記は――虹子!
あのね、
あのね、
おにいちゃん。
……と、あどけない声を聞けるだけで俺の人生における幸福度は確実に上昇するわけですが、さっきも言ったように、こんな何事もない日常がきちんと毎日伝えられるというだけでも、それはそれで実に幸せなのですよね。
そんな心理を察してかはわかりませんが、今日はどうやら、ひたすら和やかな日常のことを語るモードな日のようで……ええ、どうやらトゥルー家の庭にも、花が咲き始めたようなのです。おお、DOUMIN的にはまだまだ少し先のイベントですが、さすがに関東基準と思われるこちらは、そろそろ開花宣言も行われる頃なのでしょうか。
ともあれ確実なのは、虹子が見つけたちっちゃなちっちゃなお花と、それともう一つ――
えへへへへ――♥
にじこのお顔にも、
はる、きたよ!
ほら!
――ね♥
――嗚呼、虹子こそ間違いなくどんな花よりも可憐で華やかな花ですよ――と、思わず語りたくなってしまいます、が。これはどうやら、お顔に花びらがついているってことなんでしょうか。髪に飾っていたお花からくっついたか、外でお花に囲まれて遊んでいるうちにくっついたか。後の方を見ると、どうやらお花か花びらをたくさん持ってきているようですが……とにかく、お花のような女の子がお花に囲まれるというこの構図。トゥルーが桃源郷であることを改めて思い知らされる構図です。
それにしても、虹子は姉妹の中でも、わりと四季折々の風情に敏感な女の子って気がしませんか? 過去の日記を見てみても、季節の内容に言及しているのが目立つような気がちょっと。髪飾りに花をつけてるぐらいですし、そういう風情のあるものや、特にお花そのものなんか、特に大好きなのかも知れませんね。
また、そう思う要素の一つに、今日の日記を見ても分かるように……その表現方法が豊かなこと豊かなこと。二歳児の瑞々しい感性はそのままに、それを表現する方法をすでに身につけているというか。
おにわにたくさん!
はる、きたの。
これなんかがその典型ですね。あと、さっきの「虹子のおかおにも春」って表現。本当、とことん華やかな女の子ですよね。
ちょうどこの季節には、花が咲くと同時に、春一番で吹き飛ばされるというのが定番なわけですが、そういうことについても、「ぎゅーってぎゅぎゅぎゅーって木のえだにくっついて、みんながんばってさいてるの」……なんて、鋭い感性ならではの表現で言ってくれてるのが、もうえらいやらかわいいやら。
そんな華やかな虹子に――
おにいちゃんにも、ひとつあげるね。
ほら、ね。
いーにおい!
……なんて言われたら、もうそれだけで春満喫度最高潮って具合であります。トゥルー兄的には。いーにおいってお花の匂いを楽しむ虹子の姿なんて、ちょっと絵画作品として形にしたくなってしまうような情景です。
――さて、こんな風情ある穏やかな日にも、やはりちょっとしたオチというかなんというか。この春の匂いを堪能する虹子ですが、その方法として、「ごはんにかけて食べたら、きっとはるのあじがするよ」と、食べ物関係に結びつけるのは、それはそれで風情ですよね。ただ、さすがに花そのもの風情を「食」で堪能するのは、ちょっと難易度が高いわけですが……
はるのにおいのはるのふりかけ!
フレディもだーいすきよ♥
……どうやら、すでに実践させられているクリーチャーがいたようです。やや久しぶりに名前を聞いた感じもしますが、相変わらず某ピンク色も、このトゥルーの中では苦労が絶えないようです。
本当に――ごめんなさい。
今日は春休みで、
霙お姉ちゃんと
ヒカルお姉ちゃんが、
朝から――
……
テレビに釘付けなんです……。
/' ! ━━┓┃┃
-‐'―ニ二二二二ニ>ヽ、 ┃ ━━━━━━━━
ァ /,,ィ=-;;,,, , ,,_ ト-、 ) ┃ ┃┃┃
' Y ー==j 〈,,二,゙ ! ) 。 ┛
ゝ. {、 - ,. ヾ "^ } } ゚ 。
) ,. ‘-,,' ≦ 三
ゞ, ∧ヾ ゝ'゚ ≦ 三 ゚。 ゚
'=-/ ヽ゚ 。≧ 三 ==-
/ |ヽ \-ァ, ≧=- 。
! \ イレ,、 >三 。゚ ・ ゚
| >≦`Vヾ ヾ ≧
〉 ,く 。゚ /。・イハ 、、 `ミ 。 ゚ 。 ・
――いや、気持ちは分かる! 気持ちは分かりますが!
そりゃあ今日は確かに、多少なりとも野球とかを見る人であれば、試合を見たら最後、テレビの前から離れられないようなハラハラしすぎる決勝戦が行われた日ではありますが!
いや、いやはや、まさかここまでトゥルー日記と現実とのリンクが直接的に行われるとは、さすがに予想の外でしたよ! ……っていうかむしろ、ゴッド自身が今日まったく筆を動かす暇がなかったとかそういう可能性すら考えてしまうほどです。
しかしまあ、確かに、見ていた人には理解してもらえると思いますが、今日のWBC決勝戦は、本当、あまりにも接線で、かつ歯がゆい押し切れなさがひたすら続く、一番スリリングで目が離せなくなって実生活に影響を及ぼす類の試合でありました。
俺も途中から見ていたのですが、その、なんといいましょうか……いや、ほんとみなさん、ウチのダルビッシュがあの土壇場でハラハラさせてしまって、どうもすみませんでした(←DOUMIN意識) そしてインタビューで「イキそう」とか言い放ったイチローはやはり神。……トゥルー家で、あのイチロー絶頂発言を性格に理解できた子は何人いたことやら。霙姉さんは間違いなく理解したでしょうけど、ヒカルは乙女だから分からなかったかも?
さてさて、それはそうと、今日からいよいよトゥルーも春休みに突入だったようですね。そりゃあ朝からずっとWBC三昧というのも分からないではないのですが、ややインドアなスタートかも。まあ、すでに出かける予定は二件もありますし、ヒカルに関しては、むしろ普段の学校生活のほうで自分の運動関係は充実しまくっているので問題ないですね。
問題は、この朝からテレビにかじりつくというライフスタイルが堂に入りすぎている、某次女のお姉様に関してですが……いや、これも今更か。なにげにこの家の中で、もっとも強いチャンネル権を持っておられる気がします。まるで、平日の昼間にNHK教育を見ることの喜びすら知っておられるかのような……い、いやいや、まさかそんなハハ。
ところで、このトゥルー家族の中で、野球中継に興味があるのは、とりあえずヒカルは順当として、他に誰かいるんでしょうかね。霙姉さんは単にテレビをだらだら見るのが好きなだけなんでしょうし(←失礼ながら断定させていただきました)、他は……星花ぐらいですかね? 立夏や夕凪は、観戦自体はそれなりに楽しみそうですけど、普段から見るってほどではなさそう。今日みたいな注目度の高いスリリングな試合なら最後まで見るでしょうけど、そうでない試合なら、最初のあたりだけ見て、あとは飽きて別の番組を見るなりしそうな感じがしますね。
他の子に関しては、やはりまあ、女の子ってことで、そんなに積極的に見たりはしないんじゃないかなって感じですね。今日みたいに、誰かが必死に見ているならば、それにつきあって見るぐらいのスタンスで。
とまあ、今日の日記で、トゥルー世界におけるテレビは、リアルのそれとほぼ同じプログラムが放送されているということが明らかになったので、今後は家族が普段どんなテレビ番組を見ているかという妄想について、より具体的な内容で行えるということが明らかになりました。……とりあえず、朝にプリキュアを見てる子はどのあたりまでだろうと考えずにはいられません。
……っとっと。WBCによるスキップのインパクトが凄すぎて思わず語るのが後になってしまいましたが、今日の日記を小雨が書いてくれていることに関して。小雨的には、野球はそれほど興味があるわけではなさそうなので、こういう役割が回ってきたのかもですが――
小雨なんかが
出てきたりして
ごめんなさい。
本当に――ごめんなさい。
うおおおおおあああっ、そんな後ろ向きな小雨の気持ちをなんとかしてあげたい! なんとかしてあげなくてはッ!
……というわけで、今日はこれからじっくりと、小雨と一緒のソファーに座って、「開運!なんでも鑑定団」でも見ようかと思います。このスペシャル番組とWBC関連番組がラッシュの中、あえてこの地味な番組を小雨とおしゃべりしながら見るわけですよ。……え、絶対彼氏スペシャルの方がいいだって!?(←妹の好みがきちんと把握できないダメ兄)
うわ――っ、
もう――♥
いまだ興奮、
さめやらぬ――
って感じだよな?
あはははは♥
――ヒカルがまだ「ほぼイキかけた」状態を持続中です!
ええ、昨日の小雨の話から察せられたとおり、今日の日記にはヒカルの興奮っぷりがこれでもかというほど綴られておいでですよ! さっすがヒカル、昨年のプロレスごっこ以来、久しぶりにこういう男の子ノリで盛り上がる姿を見た気がいたします。
それはもう、さすがに一日過ぎてしまうと、さすがにリアルタイムで盛り上がっていたときの気分ほどではないのですが、それでも翌日の話題がWBC及びイチローの凄さ一色で染め上げられているのを体験すると、いかに昨日の試合が、このヒカルの盛り上がりっぷりに相応しいものであったかが改めて再確認できる次第です。
そんなわけですから、「オマエももちろんそうだろう?」って問われたならば、それはもう、単なる相槌を超えるぐらいには力強く頷くことはできますとも。ただ――
やっぱり――
かっこよすぎるよな、
侍ジャパン♥♥♥
現時点での俺の興奮は、侍ジャパンやイチローの絶頂寸前などよりも、このヒカルの男の子らしくもあり、それでいて女の子っぽくもあるエネルギッシュなはしゃぎっぷりにこそ向いております。それはもう、かなり全力に近い勢いで。
いやあ、こういう興奮しているヒカルはいい、実にいい! なにが良いかって、普段の落ち着いたお兄さん的お姉ちゃんな顔をしているときには見られないような顔が見られたり、あるいはこの興奮っぷりのあまり、思わずトゥルー俺に体を密着させたりなどのスキンシップが行われそうとか、とにかく多方面的な喜びを感じずにはいられませんですよ。
選手達の活躍っぷりについて、熱を込めつつも的確な言葉で賞賛したりする姿ももちろん良いのですが、こんな感慨を抱いてしまう俺が注目してしまう発言といえばやはり……
あ――
なんか
燃える!!!!
燃えてくる♥
こうして考えただけで――
体が熱くなって
しょーがないよ♥
ヒカルの体がHot! Hot! ヒカルの一部がHot! Hot!
ああ、興奮に打ち震えるヒカルは全く自覚しておられないことでしょうが、同年齢の女の子の、この身悶えとさえ言えそうなリアクションを目の前で繰り広げられたトゥルー俺の体内マグマときたら、それこそ見ているだけでイキかけてしまいそうな懸念すらあります。
いや、実際にはもっとこう、身悶えっていうよりは単に体が落ち着かないって感じのリアクションなのかもしれませんが、それにしたってやはり、何かに興奮している女の子というのを見るのは健康な男子にある種の興奮(女の子本人が感じているのとはちょっと別のベクトルでの)を感じずにはいられないわけでして!
……い、いや、「やっぱり、オトコに生まれるのって最高だよな――ほんっと」ってセリフを読んで、ま、まさか……的な発想に至るほどトゥルー俺の思考回路は終わっていないとは思いますが、でもあるいは、興奮が高まると乙女の一部が男子化する某舟木流の一粒種のことを思い出してしまうぐらいのことは。いや、直後にちゃんと「うらやましい!」って言ってくれているわけですしねハハ。…………。(←ちょっぴりだけそういう願望がないわけでもなかったようです)
ともあれ、興奮を持て余すヒカルは、その発散方法にお困りの様子です。ああ、なんて性的な。……これはあれですか、男子としては、その、理想的な展開……?
などとと思いきゃ案の定、「オマエ、ちょっとつきあえよ!」のお誘いが。
少しくらい不器用だって、
オトコなんだからバットは得意だろ?
……フフフ、ヒカルはきっと気付かないことでしょう。ここでトゥルー俺がすかさず、「オトコ」だけが持つ「バット」の使い道について灼熱の妄想を心のうちで繰り広げているという淫猥なる事実に……!
しかし、そんな不埒な想像を行っているところに、「小学校の頃は甲子園目指してたんだから」という、極めて純粋な言葉を受けてしまい、大いに自己嫌悪に陥るのでした。ああ、同い年の女の子とはいえ、家族を相手にこんな不埒な妄想にふけるとは、なんという罪悪か……いや、今更ですが。
……とまあ、ここまでに関しては、純粋にヒカルが健康的な性的魅力を発散してくれていて大変かわいらしいっていうことで終わらせられる内容なわけですが……
ほら!
裏山で百本ノック、行くぞっ!!
なんなら――
300本でも付き合うぞ♥
――トゥルー家の裏山! そこはトゥルーのトゥルー足らしめる魔界の一つ!
……いや、ここの家族にとっては、ちょっぴりヘンって自覚があるぐらいで、ごく普通の近所の場所って印象なのでしょうが……明日の日記が、ヒカルが裏山で失踪してしまった、的な内容にならないかちょっぴり心配です。
やあ、もう
ずいぶん――
桜の花がほころびはじめたのう。
……この日記を最初に読んだ時点で窓から外を見てみると、桜の花がほころぶどころか、かなりの勢いで雪が降ってきている地域に住まうリアル俺は今、必死でトゥルーとのギャップを精神内部でうずめようと必死です! いや、トゥルー及び関東圏ってもうそんな状況なんですか。うーむ、基本的に花見に適した時期がGW明けの大地に住む身としては、分かっていたことではありますが、これはなかなかに難しいものが。
それはさておき、今日は観月の日記ということで、実にこの子らしく、風情のあるトピックですね。感性が実に古式ゆかしいというか、四季折々の風情を愛でることに関しては、この年齢にして家族で一番かもしれません。
ところで、かなり立派な庭を持っているであろうと思われるトゥルー家ですが、桜の木に関しては、生えているのは、例の裏山に一本だけとのこと。……って、よりにもよってあの裏山ですか……もうその時点で、まっとうな植物ではなさそうな気がしてならないわけですが、まあどんな由来のモノであれ、桜は桜、風情を楽しむためのものって事に関しては問題ないのかもしれませんね。……しかし、元がピンク色なだけに、トゥルークリーチャーかそうでないかを判断するのが難しいというところも。
まあ、そんないわくつきの裏山に昨日、トゥルー俺とヒカルとは多分足を踏み入れたことでしょうから、タイムリーな話題ともいえますが……
兄じゃは――
知っておられるか?
桜の下には――
しかばねが埋まっておる、
と――
古くからよく言うらしいがの。
……フフフ♥
そんなタイムリーすぎる状況で、このようなことを言われると! しかもフフフとか笑みを浮かべられた日には! 観月にニヤリングかわいいーとか思う余裕が削がれてしまいますよ! ……いや、それでも可愛いことは間違いないわけですが。
もちろん観月も、このトゥルー家ではそんなことはない、とすぐに補ってくれているわけですが、ああ、こんな小さな子の発言でオロオロする自分がなんだか快感だったりもするあたり、この春という季節の仕業と思わずにはいられません。(←責任転嫁)
まあ、「桜の木の下には……」って俗説自体、近代に入ってから一般的になったものだって話なので、観月にとってはそのあたりを弁えた上でのからかいのネタぐらいなのでしょうね。
そんな安全が証明された桜の木についてですが、霊感のある観月に見えるのは、なにやらちんまい心霊系クリーチャーが集う、なんとも可愛らしい状況なご様子。うーむ、かみちゅのゆりえ様視点みたいな感じでしょうか。「小さなモノノケども」と称されてはいますが、酒宴を行ったりなど、いかにも日本チックな八百万スタイルって雰囲気ですね。もし見えるのならば、観月でなくとも「かわゆらしいものぞ♥」って感想を抱くものなのでしょう。
そんな様子を見ていると、観月のそばにいるキュウビも、そこに参加したくなるとのことで、バレンタインデーに悪くした気分は、もうこの季節にはすっかり調子を取り戻しているようですね。……な、なによりです(←いまだに少々腰が引けています)
ともあれ、それならば、キュウビもぜひ参加させてくれば……とも思うのですが、どうやらそういうわけにはいかない事情もあるようで…………………………って!?
わらわは夕べ。
みてしまったのじゃ。
裏山にある桜の木の下で――
なにやらうごめく
2つの重なった大きなモノノケの黒い影を――。
!?
……ま、まさか……?
いや、いやいやいや。……単に、昨日の夕べの裏山に、二つの影があったというだけなら、なにも問題はないのです。問題は――「重なった大きなモノノケの黒い影」っていう状況。
まさかとは思いますが……い、いや、そんな文学的な性行為表現のようなことを行っていた、などということは、それはさすがに――「オトコ」「バットの使い方」……いやいやいやいやいや!
……まあ、もし仮に、実際に昨日の裏山で、ヒカルとトゥルー俺が重なり合ったケダモノのような状態になっていたとしても、それは単に、野球を止めてプロレスごっこを開始したとか、そんな感じのオチなんじゃないかとも思うわけですが……思う、わけです、が……
しかしですよ。なにせ……あの「裏山」で起こったことですからね。あのピンク色の生物が多数生息しているような場所ですから、そこに足を踏み入れた人間同士がときにピンク色の空気になってしまうとしても、何も不思議はないかも知れず――だとしたら、最悪家族会議的な……という妄想というか願望を抱いてしまった次第です。
明後日の日曜日は――
いよいよ、春のお出かけ第一弾!
鉄道博物館行きですねっ♥
うふふ―― ♥♥
おお、気付けばもうお出かけ第一弾でありますか! そう、この鉄道博物館に行くのが決まるまでの三月中、実にいろいろなことがあったわけですが――そんな苦労なんかを踏まえてか、それを語るホタの様子も、ハートマークも多用気味でなんだかいつも以上に楽しげですね。
そう、今日の日記はホタの番です。思えば先日のホワイトデーでは、どれほどトゥルー俺のための衣装を作ってくれたことか、その苦労と情熱を思ってみると、改めてすごい子だなあと思いを馳せてしまうわけですが、そんなホタの凄さの大きな要因のひとつが、みんなのお母さん役であること、すなわち、お料理担当係としての顔。
――ええ、そうなのです。みんなでお出かけとなれば、当然それに付いてくるのが、楽しいお食事。
もちろん外食もありっちゃありなのですが……我らがトゥルー家に関しては、よほどのことがない限りは基本的にお弁当ですからね。それもこれも、作ってくれるホタや春風さんの情熱があればこそ。
とまあ、お出かけと第一声を聞いた時点で、そういうことに関しての連想を行ってしまったわけなのですが……ともあれ、今日のホタ日記を見ていきましょう。
――まずは、真っ先に、いつもこういうイベントに関しては自分の意見が通らず、嫌な思いをすることが多かった麗に対して、心からの「よかった」発言を。さすがはホタ、おかあさん属性うんぬんを抜きにしても、細やかな思いやりのある優しい女の子って感じですよね。トゥルー兄一個人としても、それには心から同意いたします。
それに、
鉄道が大好きっていう
女の子にしてはちょっぴり変わった
趣味のせいで――
……この言葉には、ちょっとだけ実感というか、ホタの身の上にも、けっこうそういう思いがあるんじゃないかって思えてしまいますね。ええ、もちろんコスプレのことですが……まあ、女の子側の趣味ではありますし、家族の理解という面においては麗よりはずっと優遇されてるでしょうけど、それでもたまには残念な思いをすることだってあるでしょうね。ホタのことだから、内心で思っていても、それを表に全くださなかったりすることだってありそうです。
とまあ、そんな自身の実感もあってか――
きっといい1日になってくれますように――って。
蛍はとってもとっても祈っています。
……ああ、やっぱりホタこそ、天使(あまつか)の苗字に相応しい女の子だなあ、って感じの発言が。この子の優しい思いやりの心が、どれほど家族の幸せを作り出してきたことか。
ところで、この鉄道博物館行きがよほど嬉しかったのでしょう、麗の下準備はもうバッチリなようで、みんなでご飯を食べられるような車両があることまでしっかり突き止めていたようです。おお、これはグッドニュース。この季節だと、さすがにまだ外の芝生でお弁当っていうには寒いでしょうからね。
ホタの言い分からすると、どうやら博物館へ行くのには鉄道以外の乗り物(去年使ったバスでしょうね)を用いるようですが、しかし館内にそういうものがあるのであれば、恐らくは麗の夢だったであろう、「鉄道車両の中で家族全員と食事」ってことをも体験できるわけですよ! ホタもまっさきに指定している通り、麗に是非味わわせてあげたい思いの一つですよねこれは。
ホタが言ってる通り、家族で鉄道に乗れない最大の要因である、あさひや青空たちにとっても、実に良い経験になることでしょう。ホント、むしろこうなってくると、なんで今まで鉄道博物館にお出かけしたことがなかったんだろうってぐらいですよね。
そんな実に有意義かつ楽しみな鉄道博物館行きを前に、ホタもやはり気合が入っているようで――
ホタ、春風ちゃんと張り切って――
駅弁風お弁当、作ってみたいと思います!
駅弁風! そういうのもあるのか! ……ううむ、さすがはホタ、お料理とコスプレに関しては、本当に全く妥協をしませんね。とことんこだわるタイプでもあるのでしょう。そういうあたり、やはりマニアよりの嗜好って感じで、麗みたいな子への共感もやはり強いのかなーって思ったりします。
さて、この日記はトゥルー俺へと向けられているものでもあるので、当然とばかりに、その駅弁風お弁当へのリクエストを求めておいでです。
この機会に――
ホタの作ったこんなメニューが好きだよ♥
なぁんて――言ってくれたら、
嬉しいんだけどな。
えへへ♥
そしてさりげなくオメガかわいい言い方をしてトゥルー俺の心を虜にしてしまうホタ! う、うおおおおっ、「なぁんて」だなんて、ホタにしてはちょっとおちゃめ度高めなノリまで交えてくれて!
そんなことを言ってくれたら、それはもう、「ホタの作ったメニューならなんだって好きだよ♥」みたいなことを返したくて仕方なくなってしまうわけですが、それはそれで嬉しくとも、お料理を作る側として、なんでもいいよが困るのもまた事実なので――うむむ、何か気の利いたリクエストを考えねば。旦那様と若奥様的な風情を楽しむ傍らで。
ホタもお兄ちゃんと旅行気分、早く楽しみたいな♥
……だなんていってくれるホタですが、明日の買出し、もしトゥルー俺とふたりきりで行こうものなら、旅行気分よりも先に新婚気分を味わうことになってしまうわけですよねウフフフ(←妄想中)
まあ、妄言はさておき、駅弁風でリクエストとなると……ジェット? いや、あの仕掛け作るのけっこう面倒くさそうですけど、ホタの場合、頼んだら本当にやってくれそうですよね。
何も――
もう何も――
私――
……
愛してる。
……………………。(←リアル俺、読んだ瞬間に心肺停止状態に)
……な、なんとか息を吹き返しました! い、いや、あまりに唐突に、あまりにすごいことを言われてしまったので、思わず心臓が臨界点を超えてしまいそうになってしまいましたよ。なんというダイナマイト発言……! ほぼイキかけてるどころか、ずっとイキつづけている状態じゃないですかこれじゃあ!
っていうか、麗ですよ麗。いや、冷静になって読み返してみれば、麗が今どういう状態だったか、どういう理由でこんな風になってしまったか、十二分に理解は出来るんですよね。
まあ、とりあえずは。
――麗、本当に心からお出かけを楽しめたようで、本当に良かったね――と。
しかし、喜んでいるだろうとは思っていましたが、まさかこれほどまでに強烈な喜びを味わっていたとは……! こんなことなら、もっと早くに、なんとしてでも麗の願いを強行に叶えてあげるべきだったと思わずにはいられません。
麗にとって大事な、でも今まで両立させることの難しかった、「家族」と「鉄道」。その両方が満たされたことって、麗の人生の中で、本当に初めてだったのかもしれませんね。鉄道博物館を見ている最中、どんな様子だったのかすごく気になります。まさか、日曜日の間中ずっとこんな状態だったんじゃあ……!?
でも、いかに感極まってる状態とはいえ、「愛している」の一言は破壊力が高すぎですよ。単に感極まって、最大限に喜びを伝えるために無意識に破壊力の高い単語を選び出したのか、それとも……と、その「それとも」の部分を考えると、それだけで顔がニヤケてしまって仕方がないので、自重する方向で。
それに、今回麗が喜んでいることに関しては、トゥルー俺ではなく氷柱のおかげなんですよね、完全に。だから、この言葉がもし喜びと感謝の意図で放たれた言葉なんだとしたら、それは氷柱に向けてあげるべきで――こんなこと言われたら、氷柱だって大いに嬉し恥かしがること間違いなしですけどね。でも、そんな様子を見てみたい気も少々。
……まあとりあえずは、トゥルー俺としては、この麗の発言を「(鉄道を)愛している」んだよね? って解釈して、この朴念仁って怒鳴られるぐらいのスタンスが合うような気がするので、自分もとりあえずはその方向で気構えを。なんかこの分だと、明日も麗の日記になるでしょうしね。……我に返って、どんなリアクションを返してくれることやら、怖いやら楽しみやらでウフフフフ(←心底キモい笑い方をしてますがどうかご理解下さい)
昨日は――
ごめんなさい。
なんだか興奮がおさまらなくて。
麗が昨日のヘブン状態から立ち直られましたよ!! いや、謝られるどころか、あんな言葉まで頂いてしまって、その、なんといいましょうか……ああもう、とにかく、他方面的によかったね、よかったね、と。俺によし、家族によし、麗によし。
とまあ、とにかくすごい興奮っぷりだったわけですよ。あの反応だけでも、麗という子がどれほど純粋で、かつひたむきな情熱と愛情を鉄道に注ぎこんでいるかがわかりますよね。小学校五年生という、物事に一番純粋に慣れる年代ということを考慮しても、麗のそれは本当に素晴らしい愛着だと思います。何かの趣味を愛するならば、あのぐらいにのめり込めると、本当に人生そのものとさえ言える様な濃厚な思いが抱けますよね。まばゆいものを見た気がいたします。
……まあ、今日の日記では、ある意味昨日以上にその、麗の鉄道への愛情を読み取ることが出来るわけですが……
とまあ、それはひとまず置いといて、
でも――不思議なことに、
あんなに短い日記を書いたのに、
海晴姉様はちっとも怒らなかったの。
なぜかしら?
……そう。この日記が始まった当初から続く、「麗、超短い日記を書く」→「海晴姉さんに怒られた……」コンボが、今回は成立しなかった様子。
といっても、その理由はトゥルー家族的にはもはや言わずもがな、っていうか、別に怒るまでもなく今日こうして自発的に書いてるっていうあたりからも、十分すぎるほどに察せられますよね。
具体的には、単なるぞんざいなサボリかそうでないかの差、もっと一言でいうなら、愛情の込められ具合が全てなわけですけれど――それに加えて、今日の冒頭で麗自身が自発的に、「昨日はごめんなさい」って言ってるんですよね。たとえ、日記そのものの短さを問題にしたとしたって、この麗の殊勝な思いがちゃんと通じていれば、もう怒る必要なんてこれっぽっちもないわけですよね。
……このあたりの反応から見ても、麗は今回の一件で、大きく心を成長させたのは間違いないでしょうね。鬱屈した気持ちから一転した大きな喜びと、家族への素直な感謝の気持ちが、麗の心にとても大きなものをもたらしたことは想像に難くありません。
もっとも、そのあたりの理由がよく分からずに、怒らない海晴姉さんに「なにかいいことでもあったのかしら?」なんて思うあたりは、ああ、いつものまっすぐすぎる麗だなあって、なんだか微笑ましい気分にもなりますけどね。
いやまあ、いいことがあったっていうのはある意味その通りなわけですけれど。昨日の日記を見て、海晴姉さんもきっと、トゥルー俺と同じぐらいに興奮したことは間違いないでしょうね。
それとも、さすがの海晴姉様も
鉄道博物館のあまりの素晴らしさに――
……いやはやなんとも。麗は本当、とてもいい意味で子供らしい子です。このへんの反応を見ているだけで、むしろこっちがヘヴン状態ですよ。
――さて、このテンションの高い興奮モードに入っておられる麗ですが、その興奮がいよいよ、鉄道博物館に行った当日のレポートに向かい始めましたですよ! ……いやあ、覚悟はしていましたが、なんとハイテンションな長文っぷり……! そりゃあ、麗にとっては、これでもかってぐらい書くべきことが山積みでしょうけどね。
だって――
だってだって!
とにかくステキだったんだもの!!
憧れの鉄道博物館――!!!!
もう、俺たち的にはですよ、この発言を超興奮状態で放っておられる麗の様子を想像するだけで、もう十分すぎるほどに当日の素晴らしさは伝わるわけですが――いやいやいや。せっかく麗が目をキラキラ輝かせながら語ってくれている報告ですよ。全部きちんと読み込み、麗の喜びを全力で受け止めてあげなければ!!!
……っていうか、麗の語る当日の感想は、非常に熱が込められつつも、非常にその様子が分かりやすく語られているので、むしろこの日記を読むことで、鉄道博物館の楽しさをリアル俺たちが完全に追体験できるようになっております。うーむ、麗、好きなこととはいえ、語るのが上手いなあ。
「それよりもずっとずっとゴージャスで美しくて――」とか、「もう胸の奥が痛くて、息が苦しくなって」、「まぶたのウラが熱くなって、感動して、胸が詰まって、もうどうしよう等の、自身の感情を切ないほど切実に表現した部分も心を打つわけですが――
黒々と。
ひんやり冷たい
鉄の匂いが
空間いっぱいに
満ち満ちていて――
今はもう1ミリも動くことのない
車両たちが音もなく――
完全に静止したまま――
ひっそりとその姿を
音もなく林立させて――
何かに圧倒されるような気持ちがして。
動けなくなったわ。
……この感じ方。この表現力。強烈な愛情補正が働いているとはいえ……麗の感受性は本物ですね。もしかしたら将来、麗が成長して、自分で鉄道の旅とかできるようになったら、その様子を描いた旅行記なんかが、そういう専門の雑誌とかに載ったりするかもしれませんね。麗、ライターデビューですよ。いや、それが専門の職業になるかは分かりませんが、そういう文章を公にする機会は、きっとこの先必ずあると思うんですよ。
こういうディープな趣味を持っている人って、成長するたび、飛躍的にその世界が広がるわけですよ。そういう意味では、麗は大人になれる喜びを姉妹の中でも一番享受できるでしょうね。
いやまあ、いきなりちょっと想像が飛躍してしまったかもしれませんが、しかしですよ、
鉄道王国日本の――
歴史を作ってきた歴戦の勇士たち。
……鉄道に対して、こんな表現で自らの愛情を表現できるこの感性を目の当たりにしたら、そういう方向を期待しないわけにはいかないじゃないですか。歴戦の勇士たち……いやまあ、初恋の相手ってぐらいなんですから、そのぐらいの表現はむしろ当然ってことなのかもしれませんが。
C57の迫力を実際に目の前で味わったときの感想も実に素晴らしいというか……どこか性的な雰囲気さえ感じさせます。「ああ。……もうだめ。なんだかもう、私――」なんて表現、ほぼイキかけてるときにしか出せない言葉ですよね。あまりに興奮しすぎてちょっと危ういぐらいなので、その当日、エロい一般男性客が麗にヘンな視線を向けてなかったかが気になります。……え、むしろトゥルー俺が!? いやあそれはハハハ。
もっとも、そんな興奮中の麗をしっかり見守ってくれていたのは、トゥルー俺だけじゃないようで。霙姉さんがミニ列車運転体験の行列に並んでくれていたという話には、ちょっぴり感動。うーむ、さすがは霙姉さん。さりげないところでしっかりと助けてくれますね。本当においしい役割というかなんというか。尊敬度アップです。他の姉妹も、そんな麗が楽しむために、きっと配慮してくれたんでしょうね。
そのあたりのことや、真っ黒な石炭あられのことなど、色々気になる部分もありますが――
もう長くなりすぎたからこの辺にしておくわ。
いや、本当に今日の日記は長いですよ! だがそれがいい! ……とはいえ、さすがに書く麗自身にも限度ってものはあるでしょうし、このぐらいのことを書いてくれれば、もう十分すぎるほど伝わりますよね。
結果的に、館内で一番のお気に入りとなった「まつしまとひばり」には、二時間以上も乗ったり降りたりしていたとのことで――ううむ、これはつきあうみんなもさすがに疲れたのでは……と思いきゃ、
待っててくれたみんなに――
感謝。
あと――ここにに行かせてくれたことにも。
……もうね。今日の日記で……というか、ここ一連の麗の言動で、一番うれしい部分ですよ、ここは。麗が成長できたっていう部分と、トゥルー家族の愛情の深さとが、これでもかってほどに伝わる、すばらしいエピソードです。本当。
そしてその感謝は、やはりというか当然というか、まずは氷柱に。
そして……
それと――あなたにも。
――あ、
……
ありがと。
……今日。俺は、赤飯を炊きたい。
そんな、気分です。
今日は、麗の、記念日なんだって。
もう、とにかく。素直になれた麗というのは、もう可愛いっていうのを通り越して、ひたすらいとおしむべき存在だってことを認識しましたですよ。「きっとあのまま私のせいで遊園地行きがダメになってたら……」って振り返られるところも、ひたすら頭を撫でてあげたいっていうか、ハグしてあげたいっていうか。
着ぐるみ遊園地はがんばって我慢する。
今度行ったら――
図録買ってもらえるかな――
……ともあれ、これで、家族の間の悶着も、一番良い形で決着が付いたといえそうですね。幸福なトゥルー家族は、ますます幸せに――!
べびプリ日記への感想や、誤字・ミスの指摘など、気軽に書いて送ってください。反応は遅いですが、こちらのページで、レスを書いたり書かなかったりします。
↑今月の最初へ
← 前の月へ / べびプリトップ / 次の月へ →
→ 『好き好き大好きっ』へ戻る