東北・八幡平〜後生掛温泉山スキー


1989.4.1 鈴木、鈴木(美)、柳川、三ツ谷、佐々木

 4月1日(雨一時雪のち曇り) 寝台特急ゆうづる3号から早朝の盛岡に降り立つ。雨上がりのようだが、いつまた降り出しそうな空模様だ。八幡平スキー場への始発バス(7:36発)まで1時間半もあるので、同じ電車で来たらしい単独のオジさん山スキーヤーを誘い、タクシー2台に分乗する。東北自動車道を利用して約1時間で八幡平スキー場に着く。消費税導入初日の犠牲となるのかと思いきや、新メータ取り付けが間に合わなかったとかで、旧料金にしてもらう。

 心配したとおりの雨風に迎えられ、すぐ八幡平観光ホテルのロビーに避難。8時半のリフト運転開始までゆっくり準備を整えた後、ホテル脇から第一リフト乗り場まで滑り込む。リフト3本を乗り継いで、大黒森へ。はっきりした切り開きにツアー用指導標がつけられ、あとは天候次第のコースだ。雨もポツポツ程度となり、視界は十分。顕著なピークの茶臼岳が眼前に迫ると、ひょっこり茶臼山荘が現れた。ルートはここから右に折れるのだが少し進みすぎ、トラバースしてコースに戻る。八幡平らしい茫洋とした眺めが広がっている。いまは大雪原の黒谷地湿原まで、ほぼ真っ直ぐに緩く下っていく。

 指導標ナンバー194からは登りとなる。悪天候時は苦労するところらしい。源太森を過ぎた雪原の彼方に、初めて頂上方面がガスに見え隠れする。左手の平らなところは八幡沼で、このあたり樹氷帯だが時期的には遅く、暖冬の今年は良く育たなかったらしい。風が強まりあられ状の雪がほおを叩く。気温は0度だ。

 無人の陵雲荘は実に行き届いた小屋で、毛布はもちろん緊急用の無線電話まであり、ストーブの脇には薪も積まれていた。単独行のオジさんが少し遅れて到着する。
小屋を出るとガスがやや濃くなった。5分ほど登り頂上への道標に従って右方向へ進む。「どうせ一番高い所へ行けば頂上さ」とタカをくくっていたが、ガスのなかではそれが通用しない。いつのまにか頂上をそれてしまい、その先下りになっておりがっくり。きょろきょろしていると来た方向さえ混乱してしまう。意外な方向から「こっちだよー」と呼ばれる。頂上には柵に囲まれた方位盤があった。

 強風にシールをあおられながら急いでたたむ。この悪天が上部だけなのかどうかわからず、安全地帯まで気を抜けない。慎重に方向を見定めて滑降に移り、鉄柱をガスの切れ間に確認しつつ下る。風を正面に受けるので良く滑ってくれない。地図を風で飛ばされたという単独のオジさんが高度計を見せてくれた。1570mだから、ややコースの左に寄りすぎてしまった。とりあえず、このままアスピーテラインに出てみようかということになる。下に行くほど風は弱まり視界も効いてホッとする。すでに除雪されたアスピーテラインに出た後、今度は思い切り右に進むと指導標に出会った。上部の悪天を見て引き返したらしい、真新しいトレースがある。湿雪で快適とはいえないが、林間滑降を楽しんで最後は雪壁から車道におりた。

 ブナ森へ登り返す気はなく、車道をそのまま歩いて今日の宿、後生掛温泉へ向かう。かなり秋田八幡平スキー場側に回り込んでしまったが、下に見える道へ50mほど斜滑降すると宿の手前に出た。

 「馬で来て足駄で帰る」と、その効能を讃えられた後生掛温泉だが、昨年(1988年)7月に新館が完成し、広くてきれいな部屋で手足を伸ばすことができた。夜は冷え込みうっすら雪が積もった。翌日はスキー場で遊びたい気持ちもあったが、時間的に帰京するのがせいいっぱいだった。

 【コースタイム】 (4/1)八幡平スキー場リフト終点9:15 茶臼山荘10:25 指導標「194」11:07 陵雲荘12:25〜55 八幡平頂上13:20〜30 車道14:35 後生掛温泉16:00


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