戦後80年、平和を考える 〜「憲法に学ぶ平和展」 2025.10.21

大勢が訪れた平和展。
体験を語る久保田さん。

 笠懸公民館ふるさとギャラリーにおいて、「憲法を学ぶ会」(須田章七郎代表)主催による「憲法に学ぶ平和展」(後援=みどり市、みどり市教育委員会、桐生タイムス社、上毛新聞社、朝日新聞社前橋総局、東京新聞前橋支局、毎日新聞前橋支局、読売新聞前橋支局、群馬テレビ)が8月6日(水)から10日(日)までの5日間にわたって開催されました。

 主なテーマは、「戦後80年を迎えるにあたり、戦争の悲惨さを伝えるとともに、その原因と被害・加害の事実と向き合い、日本国憲法によって今日まで平和を維持してきた意義を伝える」というもので、ギャラリーには様々な展示物が並べられていました。

 パネル展示では、日中戦争から太平洋戦争への道として、なぜ戦争に至ったのか、どのように進められたのかの解説があり、加害の実態としては、具体例として「731部隊」の活動など、主に中国での加害が紹介されていました。被害の実態としては日本全国の空襲、群馬の空襲が図式化して示され、広島・長崎の原爆被災写真も掲示されました。また、もしみどり市に原水爆が落とされたら、どの範囲でどのような被害が発生するかが立体模型で示され、視覚に訴えていました。世界に核兵器がどのくらいあるのかについての展示も模型で示され、人類を滅亡させることのできる大量の核兵器の存在が実感できるものになっていました。

 日本国憲法については、その成立過程でどのように日本の政府、政党、民間の研究機関が関わったか、“戦争の放棄”はどうしてできたのかを解説し、“押しつけ憲法論”に根拠がないと述べるとともに、憲法が保証している自由や権利は国民の“不断の努力によって保持しなければならない”と憲法に書かれていることに注意を喚起していました。

 ロビーでは、『報道特集 沖縄の少年』などのビデオが終日流され、9日8日、10日には、紙芝居『前橋くうしゅう 私の八月五日』と『かわいそうな象』がそれぞれ2回上演されました。また9日には、交流ホールでアニメ映画『はだしのゲン』が上演され、およそ70人の人たちが鑑賞しました。そして10日には、「戦時中の体験談」として久保田茂子さん(89)が、幼少期の横須賀時代から桐生や神梅での疎開を経て、中学生時代での「新しい憲法」との出会いまでの体験を語りました。プロジェクターでの映像資料を交えての話に、130人ほどの人たちが耳を傾けました。

 平和展の代表の須田さんは、後日次のように語ってくれました。「戦後80年の年に、日本国憲法に視点を置き、戦前、戦中、戦後、そして現代を『憲法に学ぶ平和展』という形で開催できたことは意義あることでした。戦中を知る世代が圧倒的に少なくなったいま、改めて戦争の愚かさ、そして『新しい戦前』とまで言われる現代について、来場者といっしょに考えることができたのではないかと思います。来場者は約400人を数え、大成功だったと思います」

 来場者の感想として3つほど紹介していただきました。

 「こんなにも多い資料で、詳しく書かれていて驚いたと同時に、この平和展に対する情熱がすごいと思った。また、群馬やみどり市に原爆が落ちたらどうなるか、マップと模型で表していて、とても分かり易かった。戦争について考え直すきっかけになった」
 「大変勉強になりました。知らなかったことが多かったです。日本が中国などへの侵略したことは授業などでほとんど習っていなかったので、(与えた加害の)人数の多さに驚きました。情報を正確に伝え、それを理解して自分で考えられるような教育が必要だと思いました」
 「戦争へ続く日本の歩みがよくわかる展示でした。現状の日本は国民一人ひとりが憲法の考え方について国民主権、平和主義を再認識すべきです」 

 

 

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