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いつもは車で通り過ぎてしまう身近な場所を歩いてみませんか。きっと新しい発見があります。

 4 岡登用水沿いを歩く

 4月も中旬に差し掛かった穏やかな日に、岡登用水路に沿って歩きました。

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スタート地点の8区公民館には、直径が80pにもなる大木を筆頭に、大小10本ほどの桜の木があります。ほんのりと薄紅がかった花びらは風に乗ってさかんに舞い落ち、葉桜の時期を迎えようとしていました。花の散る坂道を下り、山際の道を岡登緑道を目指して東に歩をとりました。この道には歩道が付いているので、歩くのに安全です。

8区公民館下の坂道と山際の家並

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150mほど歩くと右側道下に、市指定重要文化財の重制石幢(じゅうせいせきどう)があります。重制石幢の脇には、この石幢が室町時代の制作とみられていることや、地蔵信仰との関係が深く子育て地蔵と密接な結びつきが考えられることなどを記した立札が立てられています。そしてその横には、石仏の子育地蔵を祭ったお堂があります。子育地蔵として知られているものは町内で2基のみで、お堂の中の石仏もたいへん貴重なもののようです。しかし、重制石幢とは年代的なずれがあるそうです。
(石幢とは・・・石塔の一つ。六角柱または八角柱の竿と、仏龕(ぶつがん)・笠・宝珠などからなる。中国から渡来し、日本では室町時代以降のものが多い。山際の重制石幢は、笠の上の部分、宝珠と請花を欠いているが保存状態はよい)

重制石幢と地蔵堂

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重制石幢がある場所の道を挟んだ反対側、民家の脇をちょっと山側に入ったところに瓦や須恵器を作っていた山際窯跡があります。8世紀中頃から9世紀の終わりにかけて操業されていたようで、斜面の傾斜を利用した地下式ないしは半地下式の登り窯が4基確認されています。さらに東側には窯跡群(ようせきぐん)があると推察されていますが、現状は民家の裏山の竹と杉が乱立する林の奥にあり、手入れがされておらず保存状態はよくありません。分かりにくい場所ですが、見学に行かれる場合には、民有地ですのでひと言断りを入れましょう。

山際窯跡

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道に沿った用水路はこの先100mほどの区間、道の右側に流れを変えてまた左側に戻ります。この戻る付近にはかつて火の見櫓があり、消防のポンプ小屋がありましたが、今は空き地になっています。この土地の南側にある大きな施設は、特別養護老人ホーム「かさかけの里」です。

南に見える特別養護老人ホーム

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昔は魚やどじょうの姿が見られた岡登用水路は、いまや3面コンクリート壁となって情緒は失せていますが、山が近いこともあって、時折り鶯の鳴き声などが聞こえ、若干の風情を感じることができます。山際地域は、北側に鹿田山があって冬の空っ風から守られた陽だまりの地域で、それを象徴するかのように、しばらく行くと用水路脇で菜の花が今を盛りと咲いていました。

用水路脇の菜の花

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さらに進んで、みどり病院入り口の看板の先、桜の木の元のちょっと小高いところに爪引き観音堂があります。ここの爪引き観音は、石塔の平面に観音像を線で彫った珍しいものです。観音様は、全ての生き物の願いを聞くことから『観世音』ともいわれており、地域住民の観音様に寄せる信仰は厚かったようです。観音堂は、地域の各世帯から募られた寄付金で最近新しくされました。

爪引き観音堂と観音像

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観音堂の先、サンホープ笠懸入口の看板のところを左に曲がり、ちょっと狭い道を進むと、ガソリンスタンドの北側を通って県道大間々・世良田線に出ます。ここの信号を渡ると、稲荷山の北斜面カタクリの群生地へと続く道になります。歩道がきれいに整備されていてとても歩きやすくなっています。群生地のカタクリの花は盛りを過ぎてしまいましたが、それでも数人の散策する姿が見られました。

ちょっと狭い道を進みます 信号をわたると歩道も整備されています
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群生地を過ぎると、岡登親水公園阿左美緑道です。水と木立に囲まれてて散歩にはうってつけの場所で、桜やもみじの木々が、四季折々を演出します。緑道を200mほど進むと水車があり、豊富な水量でゆったりと回っています。横の水車小屋の中には、脱穀や製粉ができる設備があるようでしたが、歯車が外され心棒だけがカラカラと回っていました。

岡登緑道と水車
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緑道をさらに進むと、県道太田・大間々線の信号に差しかかります。ここを渡ってさらに進むと、緑道は道路より一段低い位置に移り、やがて三俣分水口に至ります。三俣分水口は渡良瀬川から引いてきた用水を南の阿左美本流と西の鹿分水とに分けるために設けられたもので、岡登用水路の中でも重要な施設です。市指定史跡になっています。三俣分水口の脇には復元した分水口が作られているほか、説明板が設置されています。

三俣分水と説明板
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三俣分水口を過ぎると浅い池が2箇所造られていて、親水公園らしさを醸し出しています。夏には水遊びをする子どもの姿が見られそうですが、現在の水面は汚れていました。池の先は公園用の駐車場で、その先は桐生市です。今回はここで折り返し、来た道を戻ることにしました。三俣分水口のところで緑道は用水路と同じく阿左美本流方面と鹿分水方面に分かれています。阿左美本流方面の緑道も広く、あずまややベンチなどが配置されていて魅力的なところですが、そちらの方面に足を伸ばすことは次の機会にゆずることにし、鹿分水方面の来た道を戻りました。

親水公園の先は桐生市 緑道も2方向に分かれています

ひとこと
  今回の道のりは、折り返し点までおよそ2.3km、ゆっくり歩いて30分ほどでした。その間公衆トイレやコンビニなどもあって楽に歩けます。車では気がつかない、いろいろなことが感じられるコースでした。(2007年4月10日)

 岡登用水とは・・・寛文4年(1664年)から同12年(1672年)、笠懸野の荒野を潤すために代官岡上景能によって開削された用水路。渡良瀬川から取水し三俣分水口で2方に分水、一方は太田市、他方は伊勢崎市に至る、総延長は約14kmに及ぶ。緑道は、昭和63年度〜平成7年度に県営水環境整備事業(岡登用水地区)で整備。水と緑を配したテーマゾーンとして地域住民の憩いの場となる。

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