詩画作家・星野富弘さんが逝去 〜美術館に記帳所 2024.5.7
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美術館入口に設けられた記帳所。 |
みどり市東町出身の詩画作家・星野富弘(ほしのとみひろ)さんが、4月28日に呼吸不全のため逝去されました。1946年生まれ、享年78歳でした。葬儀は近親者のみで執り行い、後日、関係者でお別れの会を催しするとのことです。また、みどり市は富弘美術館に記帳所を設けました。
市提供の資料によると星野富弘さんのプロフィールは次のとおりです。
星野富弘さんは、中学校教諭のときにクラブ活動の指導中頸髄を損傷、手足の自由を失いました。このとき24歳、病院に入院中に口に筆をくわえて文や絵を書き始めました。素朴な絵と、心が温まりクスッと笑えるようなユーモアを含んだ文章は多くの人の心を打つ作品となりました。
1982年に高崎で行われた「花の詩画展」は大きな反響を呼び、国内にとどまらずニューヨークやホノルル、サンフランシスコ、ロサンゼルスで「花の詩画展」が行われたほか、ワルシャワ国立博物館でも開催されました。
1991年に村立富弘美術館が開館し、2005年には現在の新富弘美術館がオープンしました。2010年には開館20周年、累計600万人の来場者となり、30周年となる2121年には700万人となりました。その間に、群馬県名誉県民の称号を贈られたほか、群馬大学特別栄誉賞(第一回)も受賞しています。
著書には『新版愛、深き淵より。』『新編 風の旅』『かぎりなくやさしい花々』『鈴の鳴る道』『銀色のあしあと(三浦綾子氏との対談)』『速さのちがう時計』『あなたの手のひら』『花よりも小さく』『山の向こうの美術館』『たった一度の人生だから(日野原重明氏との対談)』『ことばの雫』『風の詩』『種蒔きもせず』などがあります。
よみがえった感動の記憶
記者は、富弘さんの作品を目にしたのがきっかけだったと思うのですが、著書の『愛、深き淵より。』を購入し、涙を流すような思いで一気に読んだ記憶がよみがえりました。文章からは当時の東村や渡良瀬川の風景が浮かび、絵は庭に咲く草花や雑草なども題材にしています。自らは歩くこともできないわけですから、パレットから色を含ませた筆を口にくわえさせてもらって、摘んできた草花を愛おしみながら絵にしている苦労が容易に想像できるものでした。しかしそこには卑屈な気持ちはなく、見ている私の心を温かくしてくれるものでした。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
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ありし日の星野富弘さん。 | 詩画「小さな実」(1993年) |
※本人写真・詩画はいずれも富弘美術館提供。 |