マジック アイ

昭和26年末に民間放送が開局して、それまでの並四ラジオから5球スーパーが日本のラジオの中心になりました。
マジック アイつきのラジオが沢山発売されたのは1〜2年後です。
マジックアイそのものは戦前に発売されていますが、本格的に使われ始めたのはこの頃です。
5球スーパーに使われているのは6E5が大部分です。
本来は6U5/6G5が良いのでしょうが、弱い電波でもすぐ閉じるシャープ カットオフの6E5が喜ばれました。
ラジオの修理をすると、光らぬマジックアイが増えてきます。
これはマジックアイは寿命が短いためで、修理時 新品に交換することが殆どです。


ラジオ資料館TOPのマジック アイの写真はトーヨーの6E5Dです。
この6E5Dでこれだけ光る物は非常に珍しいです。
その他のマジック アイの表示面はラジオ工房の真空管をご覧下さい。




新品のマジックアイや中古品。
捨てるのも?と言う事で集まりました。
これは一部分です。
光らぬ6E5も接続を変えれば76の代わりに使えます。
効率は悪いですが、6ZDH3Aの代わりに、
そのまま挿しても代用できます。
6E5はベースを外せば、代用真空管のベースに使えます。

マジック アイ 6E5の動作原理


この図は新ラジオ技術教科書(1952年5月発行)129頁より。

ターゲットとよばれるすり鉢状の電極に蛍光塗料が塗られていて、
これに電子が衝突すると緑色に光る仕掛け。
3極管のプレートと直接接続された制御電極があり、
この電圧で光る範囲が変る。
制御電極の電圧がターゲットより低い時は扇型の陰が出来る。
(制御電極で電子の流れが制御される)

電波が無い場合はAVC電圧は0V近くなので(実際は多少−)、
3極管のプレート電圧は沢山流れ、
Rにより制御電極の電圧が下がるので、
影の部分が扇型に広がる。
一方電波を受信するとAVC電圧が発生(マイナス電圧です)、
これが3極管のグリットに加わるので、プレート電流が減少し、
Rによる電圧降下が少なくなるので、影の部分が小さくなる。
−8V近くになると3極管はカットオフとなり、
電圧降下が無くなるので、影の部分が重なるようになる。
尤もこの電圧は供給電圧(Eb)やRの値で変動します。



マジックアイの表示面

同調した時 離調した時


  

  6E5など      6E5M 7ピンmT


余談
@マジックアイが光っているが閉じない現象(故障)は
R(普通1MΩ)の断線が原因のことが多い。
Aマジックアイの中古品は試験してみなくてはわかりません。
真空管試験器でもある電圧(TV−7では150V)で光るのは確認できますが、
実際使われる供給電圧に近いほうがより正確です。
TV−7では光らぬと思っても、実際は実用的に使える場合があります。
津田さんのマジックアイテスターはこの様な時に役立ちます。

マジック アイの寿命
NECの一木さんによれば(ラジオ技術28年9月号記載、左の図も同号より)
マジックアイの寿命は500時間くらいで、
普通の真空管が数千時間持つのに比べると短い。
最初の100時間で急激に輝度が下がり、
それから1,000時間までは徐々に輝度が下がるがほぼ一定。
2,000時間までは周りを暗くすれば見える程度との事。
これはターゲッツト電圧250Vの時で、180Vにすれば使用可能時間は更に長くなる。
以上が記事の概要ですが、自分で使った経験からも確かに寿命は短いです。


最近 マジックアイが高騰しています、以前は800円で買えたものが4,500円もします。
困ったものです、代用品としてLEDや蛍光ネオン管を使ったものを考えてみました。
6E5代用LED表示器(蛍光ネオン表示器)をご覧ください。

 6E5を使った場合 代用マジックアイ 
   

試験用で代用になるマジックアイもあります。




大メーカー製のマジックアイ


ラジオについているマジックアイは半分以上がトーヨーです。
これらのメーカーのマジックアイは不思議ですが珍しいのです。
トーヨーに比べ値段が倍くらいしたので、こんなことになったのでしょう。
左から
NEC マツダ ナショナル 日立  ビクター(ナショナル)の6E5。


6Z−E1
6E5の親戚、6E5は下側だけだが、これは上下に影が出来る。
たんすの上などにラジオを置く場合 見易い利点がある。
6E5の影が上側に出るように取り付けると誤解している人がいるがこれは間違い。

左から
松下 日立 トーヨー マツダの6Z−E1.


左から
マツダの6E5  トーヨーの6E5 
マツダの6U5/6G6
マツダの6ZーE1

中小メーカー製のマジックアイ




MDK Harp Mitui(Mitsuiもある) 岡谷 トーコー



SUN Zett トーヨー

12Z−E8など

トランスレス用のマジックアイが12Z−E8です。
6E5に良く似ていますが、ヒーター電流が150mAになっているだけでなく低いプレート電圧でも動作するようになっています。

写真左はmT管のマジックアイ 右はMDKの6E5.




マジックアイ代用 LED表示器・ネオン表示器の作り方


マジックアイ(12Z−E8)が暗い場合の対処法

下記回路図の如く 独立電源を準備すると明るくなります。
例示のものはトランスがついていますが トランス無しでも全く同じです。
原理的にはB電圧が少し高くなるので輝度が増すのです、永久的には使えませんが緊急時の対策法としては便利でしょう。
ただ新品の時は使わないように 輝度が落ちるのが早くなります。
微かに光る程度の品を蘇らせるのに便利です。 




試験用 代用マジックアイ




2001年9月18日
2001年9月19日修正
2003年1月26日
2005年8月12日移転2006年11月28日amazonのリンクを追加。
2011年10月6日 :32,784 6E5代用LED表示器を追加。
2015年12月29日:49,617  6E5ピン配置図を追加。
2015年12月30日:49,630 

書名
お奨めの理由 読み物としても楽しいです。
初心者向き。
復刻版は未確認ですが、
原本は誤植が多かったです。
真空管の歴史が判ります。 ラジオ修理に役立ちます。
戦後生まれの真空管が主。
真空管の歴史がわかります。
お奨めします。
真空管ラジオ愛好者にお奨め。





ラジオ資料館


2006年7月4日よりカウント

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