真空管試験機について 投稿者:沓沢 投稿日:2015年 8月30日(日)23時02分28秒 こんばんは。 こちらへは始めて書き込みます。 どうぞ宜しくお願いします。 早速ですが本題です。 当方、ただ今、父の遺品の真空管の整理をしております。結構な数の真空管があります。 どうしようかと思いましたが、このまま眠らせておくのはもったいないかと思い、 オークションに出品して、誰か使ってくれる人へ渡そうかと考えております。 そこで、米国から動作に問題は無いと言うHeathkit社のIT-21と言う真空管試験機を取り寄せました。 これで良否の判定及び、廃棄値がいくつかを書こうかと思いました。 それでですが、実際に試験機を手にして操作してみたのですが、判らない点がございます。 まず1点目、この機種の左側にあるスイッチ、SHOTとLEAKAGEのスイッチの意味です。 タイプやフィラメント、プレートの値をチャート通りに設定し、A〜Nの各種スイッチも、 トップ側とボトム側にそれぞれ合わせ、右側のTESTスイッチを押し下げ、メーターを読む、 までは判るのですが、SHOTとLEAKAGEのスイッチは、どの様な場合でどの様に設定してやれば 宜しいのでしょうか? 次に2点目、1つの真空管に対し、チャートに2〜3種類の設定値が載っている場合がありますが、 どれで見れば宜しいのでしょうか? やってみると、設定値によって廃棄値の値も変わってくるみたいなので、どうしようかと迷っています。 次に3点目、A〜Nの各種スイッチで、チャートに「かっこ」でくくってある奴はどう設定すれば 宜しいのでしょうか? 例えば、ある真空管のチャートには、トップが(AG)(BF)J、ボトムがCE、となっています。 この場合、Jは間違いなくトップの位置でしょうが、AやG、BやFはトップの位置に設定すべき なのでしょうか? 以上の3点で悩んでいます。 尚、手元の真空管試験機は、校正済みとうたっている試験機で、予め廃棄値が判っている真空管を 測定した所、同じ値が出た事から、確かにそこそこ使える試験機ではないか、と思っております。 TVやラジオの修理をしていた父の遺品である真空管、どうか有効活用出来るように、 知恵をお借りできないでしょうか? どうか宜しくお願いします。 |
昭和20年代中頃
ラジオアマチュアーの憧れの的。
当時の日本製真空管試験器は所謂エミッションチェッカーで5極管でも全て2極管接続にして、エミッション試験をするものです。
当時の真空管は戦時中の材料不足から鉄線をリード線に使った物が多く、半田付け不良の製品が多かったのですが、電極は全部プレート一括接続するので、その判定が困難だったようです。
ここでGMが測れる本機の人気が想像できます。
このそっくりさんが三田無線にある。
試験方法は左下のAとBのSWで真空管に合わせた設定をします。
TV−7が7つのSWの設定が必要なのに比べ、操作は楽です。
ただデーターシートに記載の無い真空管の試験は大変。
GM直読と、良 不良の判別の2つのテストが出来る。
軍用として、どんな兵隊さんでも使える工夫か。
右上の9ピンmTソケットとSWは双3極管テスト用に、エーコン管のソケットを外して取り付けた。
この機種は先輩から頂いて、修理して使っていた。
製造時期の関係かデーターシートはSTとGTが大部分で、mT管は少ない。
特に9ピンタイプはソケットも無い、この試験器用にソケットの接続を自由に出来るアダプターが製品(MX−949A)としてある。
下記のデータは昭和55年頃177を利用していた時代(試験器を勉強中の時代です、信用度は??)に自分用に作成したもの。
全てが正しいわけではありません、参考程度にお考えください。
ソケット A B Fil(V) L R Mut Cond.
6WC5 D 2 10 6.3 28 17 750 Amp
1 10 6.3 28 17 750 OSC
6ZDH3A C 2 10 6.3 42 0 1000 (実際は500あれば充分使える)
9 3 6.3 0 0 Diode
6ZP1 C 8 5 6.3 61 19
ここでAとBは電極接続の切替スイッチ。 Lは感度調整、Rはバイアス設定用。
GMを測定する時はLを60の目盛りにあわせること。
普通の設定数値の場合は良 不可の区別に使用する。
MX−949Aは新ラジオ資料館の昭和33年のジャンク屋さんの広告をご覧ください。
梅田さんの温故知新に取り扱い方の資料がありました。(2023年12月7日追記)
I-177の回路図
昔 真空管販売店で、使われていたという「真空管試験用ラジオ」の外観図。
これは器用なラジオ屋さんなら自作できるので、使われたようです。
ただ相当エミ減の球でも動作します、エミッションチェッカーよりはましでしょう。
真空管試験器としては最もポピュラーなもの、中々の優れもの。
十数年前、アメリカのジャンク屋さんから完動品と要修理品を輸入した。
米軍の放出で手ごろの値段で購入できるのが素晴らしい。
勿論 要修理品も修理してしまった(写真のもの)。
製作時期により、TV−7 TV−7A TV−7B TV−7D等がある、段々改良されている。
特にTV−7は初期バージョンなので、校正が多少不便だが、試験器として使うには全然問題は無い。
詳細はTV−7Dを参照ください。
原理的にはI−177と同じです。
グリッドに5V(BとCレンジ、なおI−177は4.7V)を加え、
プレートには165Vを83で整流した(脈流の)150Vが加わっている。
グリッド電圧は測定レンジで変わり、Dレンジは2.5V、Eレンジは0.5V。
なお6AK5など電圧増幅管を測定する時、TEST(GM)ボタンを長く押すとグリッドが赤熱して、球を駄目にする事がある、テストは短時間で。
ヒィラメントなど全ての電極をロータリーSWで自由に設定できるので、データーシートに載ってない真空管も簡単に試験できる。
7個のSW(H、H、P、G1、G2、G3、K)の設定が必要なので、I−177より手数はかかる。
GMは単なる数字として出てくる、これも使い易さへの配慮か。
米国の真空管屋さんから中古球を買うと数値が書いてある事があり、TVー7で試験した事を示す。
なおこのデーターシートの数値はGMが新品の60%程度が記載されている、但し球により、多少上下あり。
メーター目盛りの最大値は120です。
この数値はBレンジでは3000μモー、Cレンジでは6000μモー、Dレンジでは15000μモーに相当します。
したがってBレンジでは読み取った数値を25倍、Cレンジでは50倍すればμモーに換算できます。
なおこの数値はレンジと併記して意味があるので、GMで表した方が無難かもしれない。
I−177のメーターが1.4mAだったのに、これは200μAです、断線し易いようです、大事に使いましょう。
自分はテスターと同じように、シリコンダイオード2本を利用したメーター保護回路を愛用しています。
方法についてはTV-7Dをご覧ください。
なお保護ダイオードを入れるとトランスが焼けるなどと書いたブログがありますが、間違いです。
なおソケットは消耗品と考えた方がよさそうで、mT用は何度か交換した。
使い方等の注意は修理メモ6を参照ください。
TV−7で出来ることは
1)GMチェックとエミッションチェック
2)電極ショートテスト
3)ガステスト
4)ノイズテスト
5)ラジオ用パイロットランプの点灯試験
なおTVー7 TVー2については修理時のトラブルが発生しています。
修理の大御所と思い込んでいた方が意外と基本原理も理解していないとは。
下記ページをご覧いただき ご注意ください。
http://www.ne.jp/asahi/uchio/tokyo/sokuteiki/tubetester/TV-7D.htm#20140121
http://radiokobo.sakura.ne.jp/G/sokuteiki/tubetester/TV-2-Rep.html
デジタル表示化の詳細についてはこちらをご覧ください。
現用の真空管試験器 TV−10です。
これは原理的にはTV−7Dと同じですが、ST管や7ピンmT管等はヒーター回路の切替SWの操作は原則として不要です。
またGMが直読出来ます。
I−177とTV−7の良いところをとったような試験器。
多少大きいのが玉に傷。
友人が壊れたTV−10を2台買って、修理を依頼され、修理代替わりにいただいた残り1台を修復、校正して使っているもの。
中央下側のロールチャートが不動なのが、惜しいが。
メーター上の自作小型シャーシは双3極管テスト用のアダプターです(このシャーシ側面のスナップSWの操作で、3極管の2つのユニットの試験が簡単に出来ます。P1 G1とP2
G2をSWで切替)。
双3極管の試験を数多くやる時はSWの切替えが意外と面倒ですが、これを使うと楽です。
TV−10の右側はYHPのブリッジ。
TV−10の左側にぶら下がっている赤いものはmT管のピン矯正器。
先日mT管のソケットが接触不良になったので交換した。
この写真はTV−10の内部です。
右側に83と5Y3GTが見えます。
巻き紙は規格表です、このTV−10はこの巻き紙がうまく動作しません。
7ピンのmT管ソケットはトランスの下になります。
GM測定の回路図(GM測定原理説明図)もご覧ください。
双3極管のテスト用のアダプター
12AX7や6SN7などの双3極管のテスト用のアダプター。
TV−7やTV−10で共用して使える。
側面のスナップスイッチで切り替える。
沢山の双3極管を試験するときは威力を発揮する。
米軍用の真空管試験器、小型の送信管まで試験できる。
1ドル240〜300円の時代にアメリカから個人輸入した。
メーターが6個ついた豪華版。
原理はTV−7とほぼ同じだが、グリッドに加える信号電圧が小さく設計されていて、より正確に測定できる。
また各電極の電圧も可変(TV−7は一定)で、メーターをみながら実際の電圧に設定できる。
(メーターはヒラメント電圧、グリッド電圧、プレート電圧、スクリーン電圧、グリッド信号電圧、GM(100%目盛り)用の6個)
申し分無いようだが、実際の操作は設定項目が多すぎて、手間が大変。
またGMが直読出来ず、正規のGMに比べ、試験球は標準に比べ何%かを指示する仕掛けになっている。
GMを直読するには工夫が必要(換算数値がアメリカの真空管試験器のサイトにある)。
同じ真空管を多数試験するには良いが、多品種の試験をするラジオ修理用にはTV−7が楽だ。
なおこの測定器の最大の弱点は電流値が読めない事。
余談
カタログで見るとこの真空管試験器は非常に魅力的ですが、操作が煩雑です。
実用目的に購入する場合 TV−7を薦めます。
自分も実際は使いきれない、持っているだけで満足する測定器。
ユーザー用として最高級の真空管試験器。
銘板が無いので、詳細不明だが、VG−4型の一つらしい。
ユーザー側の受入試験用で、ソケットや部品から見て、恐らく、真空管試験器としては最新で最後の物と思われる。
中の回路は半導体で構成されていて、すぐ立ち上がる。
TV−2は脈流を電極に加えるので、電圧しか読めなかったが、これは完全な直流電源を持っていて、電流まで読み取れる仕掛けになっている。
一般に真空管の試験は電圧より、電流を規定した方が正確に測れると言われており、その意味でも理にかなっている。
使われているメーターは0.5級の高級品。
6BD6の試験中、規格表と同じ条件で試験できるので便利。
ただ設定に時間がかかるので、ラジオの修理用としては取り扱いが煩雑。
本機は以前 奥山様より寄贈頂いたもの、感謝。
35年11月の文字。
富士測定器 1010 | 富士測定器 VGM−6 | 横河電機 VTV−112 |
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ラジオ雑誌などで良く見かけた測定器
ラジオアマチュアーやラジオ商が良く使ったと思われる真空管試験器です。
アマチュアーが購入した測定器はエミッション測定型が多いようです。
この形はメーカー作成の真空管試験表(テストチャート)が無いと使用に不便です。
中古品を購入してもチャートが無いと宝の持ち腐れになる可能性があります。
エミッション(簡易)型はあれば面白いが、実用的には問題があると考えた方が良いでしょう。
型名 | 外観 | 備考 |
三和無線測器 SGM-17 |
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新ラジオ資料館に回路図あり、 画像をクリックしてください。 昭和31年発行の電波技術増刊号より。 これはGM試験器です。 |
三和無線測器 SGM-19 |
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新ラジオ資料館に回路図あり. 村西さんの提供です。 昭和31年発行の電波技術増刊号より。 これはGM試験器です。 |
三和無線測器 SEM-20 |
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新ラジオ資料館に回路図あり、 画像をクリックしてください。 昭和31年発行の電波技術増刊号より。 エミッション測定器。 |
三和無線測器 SEM-14 |
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新ラジオ資料館に回路図あり、 画像をクリックしてください。 昭和31年発行の電波技術増刊号より。 エミッション測定器で簡易型。 倉島さんのホームページに解説が有ります。 詳細ですから,参考になるでしょう。 (リンクは2010年11月13日追記) |
三和産業 無測1001型 真空管試験器 |
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新ラジオ資料館に回路図あり、 画像をクリックしてください。 電波科学増刊号(1949年)より。 エミッション測定器で簡易型。 |
三和産業 1004ラジオマスター |
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新ラジオ資料館に回路図あり、 画像をクリックしてください。 電波科学増刊号(1949年)より。 エミッション測定器で簡易型。 |
国洋 VE3 | 新ラジオ資料館に回路図あり。 電波科学増刊号(1949年)より。 エミッション測定器で簡易型。 |
2014年2月13日
2015年9月2日:2,094 Heath Kit IT−21の画像や説明を追加。
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