真空管試験器 TV−7D 


真空管試験器としては最もポピュラーなもの、中々の優れもの。
20年以上前、アメリカのジャンク屋さんから完動品と要修理品を輸入した。
米軍の放出で手ごろの値段で購入できるのが素晴らしい。
勿論 要修理品も修理してしまった(写真のもの)。
惜しむらくは最近値段が高くなっているようだ。
製作時期により、TV−7 TV−7A TV−7B TV−7D等がある、段々改良されている。
特にTV−7は初期バージョンなので、校正が多少不便だが、試験器として使うには全然問題は無い。
原理的にはI−177と同じです。
グリッドに5V(BとCレンジ、なおI−177は4.7V)を加え、
プレートには165Vを83で整流した(脈流の)150Vが加わっている。
グリッド電圧は測定レンジで変わり、Dレンジは2.5V、Eレンジは0.5V。
なお6AK5など電圧増幅管を測定する時、TEST(GM)ボタンを長く押すとグリッドが赤熱して、球を駄目にする事がある、テストは短時間で。
ヒィラメントなど全ての電極をロータリーSWで自由に設定できるので、データーシートに載ってない真空管も簡単に試験できる。
7個のSW(H、H、P、G1、G2、G3、K)の設定が必要なので、I−177より手数はかかる。
GMは単なる数字として出てくる、これも使い易さへの配慮か。
米国の真空管屋さんから中古球を買うと数値が書いてある事があり、TVー7で試験した事を示す。
なおこのデーターシートの数値はGMが新品の60%程度が記載されている、但し球により、多少上下あり。
メーター目盛りの最大値は120です。
この数値はBレンジでは3000μモー、Cレンジでは6000μモー、Dレンジでは15000μモーに相当します。
したがってBレンジでは読み取った数値を25倍、Cレンジでは50倍すればμモーに換算できます。
なおこの数値はレンジと併記して意味があるので、GMで表した方が無難かもしれない。
I−177のメーターが1.4mAだったのに、これは200μAです、断線し易いようです、大事に使いましょう。
なおソケットは消耗品と考えた方がよさそうで、mT用は何度か交換した。
使い方等の注意は修理メモ6を参照ください。

TV−7で出来ることは
1)GMチェックとエミッションチェック
2)電極ショートテスト
3)ガステスト
4)ノイズテスト
5)ラジオ用パイロットランプの点灯試験

この試験器に厳密な事を要求してはいけません、目安を示してくれるものと割り切って使うべきです。
普通のラジオに使われる真空管の場合、この試験器で破棄値とされるものでも充分使えるものがあります。
新品の真空管が大量に安く入手できる時代は捨てても惜しくありませんが、最近では高価なので、大事に使いましょう。
なお逆にこの試験器でOKとでても実祭は使えないものが稀にあります。

TV−7Dのメーター

このメーターは断線しやすいです。
代用品の入手に困る事が多いです。
ガラス部分を外して撮影した画像です。
参考にしてください。


メーター保護


メーターの端子にダイオードを入れました。
こうすると端子には無理な電圧が加わりません。
順方向に2個直列、逆方向に1個の3個が必要です。
順方向に2個直列につないだのはこのメーターのフルスケール時、
500mV弱になる為で、1個だと少し影響します。
2個にしておけば悪影響はありません。
なお逆方向のも1個あるのは逆電流の防止用です。
青色のものは積層セラミックコンデンサーです。

北九州の港さんが分解したところ、中に直列抵抗が内装されているそうです。
この為メーターの端子電圧が普通の物より高くなるようです。
(普通のメーター保護は1個 1個で大丈夫)


(2014年2月15日 追加)
なおラジオ工房掲示板に梅田さんから投稿があり、真空管試験器のメーターの内部抵抗の情報です。
この情報からもメーターのフルスケール時の電圧が0.5V近くであることが判ります。
シリコンダイオードの立ち上がり電圧は一般に0.6Vと言われていて、1本でも良さそうですが、実際は2本必要です。
1本で実験すると測定値に影響しました。 
微小電流を扱うことでも有り 使う半導体そのもので確認して、必要本数を確認して下さい。
確認方法はGMの比較的高い球(例えば6L6)で バイアスを調整 Bレンジで120まで振らせ、Cレンジにした時60になれば OK。
逆でも良い。 指示の狂いは目盛の120付近で起きるので 注意してみること。

TVー7のメーターが壊れたらムーブメントのみを交換する方法もあります。

ラジオ工房掲示板に 港さんが投稿した代替メーターの例(2014年2月25日)

TV-7の代替えメーター実験してみました。
写真右はTV-7D/Uの断線したメーターにメーカーの違う200μのムーブメントを移植して
全体の抵抗値(2350Ω)に合わせたものです。(指針が違う)
左は100μの普通のメーターに分流器と直列抵抗を合わせたものです。

どちらも正規品とは大差なく表示されました。


TVー7用 代用メーターの作成法を追加しました。
この間の掲示板の書き込みは下記を御覧ください。
http://6927.teacup.com/radiokobo/bbs/20900 から  http://6927.teacup.com/radiokobo/bbs/20911

(管理人の注)工作方法
同じ大きさの丸型 200μAのメーターを準備して オリジナルのケースに組み込む方法が一番簡単ですが、
この場合 目盛の移植は必要です。
目盛だけ新しいメーターに移植する あるいは印刷して貼り付けるのも良いでしょう。
通常メーターの巻線は数百Ωですから、直列に抵抗を接続して、2355Ωになるようにしてください。
アナログメーターで抵抗値を測定すると 測定電流が多く メーターが断線しますので、
必ず 電流が少ない デジタルテスターで測定してください。
これで互換メーターが出来上がります。

200μAのメーターが入手出来なくても それ以下のものであればメーターの端子間に並列に抵抗をいれ、
フルスケール200μAに簡単に調整できます。
ちなみに20KΩ/Vのテスター用メーターはフルスケール50μAです。
電池 デジタルテスター 抵抗 500〜1KΩ程度のVR 2個 1KΩの固定抵抗 で簡単な治具を作れば良いでしょう。

バイアス設定用VRについて(2019年7月18日)

TV−7用のバイアス設定用VRは 別規格のVRに変えられているいることがあるあるらしい。
例の メーター保護回路をつけるとトランスが焼けるという記事を掲載した方のホームページに書かれている。
これは修理情報なので 信用できそうです。
さらにデリカ(三田無線)の2001Tの新しいものも同様な傾向があるらしい。
このVRは単純なBカーブではないのです。
立ち上がりはAかDカーブのように寝ていて、3分の1くらいから急に立ち上がるのです。
測定の殆どは この寝ている部分で測定しますので、Bカーブですと非常に測定し辛いのです。
また 電流が流れるので 巻線抵抗です。
もともとはアメリカの会社のVRですが、倒産したらしく カナダの会社に合併されているらしい。
下記は20年くらい前に 有志が特別注文して 同じカーブのものを製作してもらったものです。
測定するとき 必ず動かしますので 消耗しやすいのです。 デリカの真空管試験機には正規のVRが品切れで 換算表つきのものがあるらしい、
外見だけでは判らないので充分ご注意ください。




参考 水島さん作成のバイアスVRのカーブ(2020年1月17日)




 こんな記事を偶然見つけました(下記 黄色の枠内)
真空管試験器「メーター保護ダイオード」はつけるべきか?

上記「メーター保護」の記事から引用されたようなので、一言 追加しておきます。

普通は メーターには1mA以下の電流しか流れません。
たとえ メーター保護ダイオードがショートしてもトランスが焼ける回路にはなっていません。
あたかもメーターにダイオードを入れたらトランスが焼けるという論法は乱暴ではありませんかね。
回路からみてまず抵抗が焼けると思いますが・・。
測定回路すら理解していないのでしょうか?。
なお 保護ダイオードは別にして 誤操作などでトランスが焼けるには1〜数分かかりますが、メーターが壊れるのは1秒かかりません。
焦げ臭いあるいは 煙が出るなどした時は即電源断にしましょう。
それでも心配なら数十mA程度で断線するランプでも直列に入れておけば万全でしょう(勧めませんが)。
トランスは比較的容易に代わりが見つかりますが メーターは大変ですよ。

逆に 「メーターが壊れる確率」と「トランスがメーターのダイオードのせいで焼ける確率」を比較すればこんな話にはならないでしょう。
メーターが壊れる確率は誤操作での結果を含め %のオーダーありますが 保護ダイオードのせいでトランスが焼ける確率は100万分の1以下(実質0)でしょう。
今までTVー7は数十台見てきましたが メーターの動きの怪しい物は数台ありました。

実はHickok 752aの修理を依頼され お断りしたので、だれか修理できる方は居ないかと探したら 大御所と思われる方のページで見つけたのです。
この方を紹介しようと ブログを読んでゆくと 下記の記載あり  経験豊富な方と思っていたのに 驚愕。
あまりの酷さに 紹介を諦めました。

ちなみに和歌山の方です、下記TVー2と同様です、十分注意されると良いでしょう。

後日談(2014年1月27日)
その後この記事がきっかけで真空管試験器TVー2の故障修理の話題になり、この大御所と思い込んでいた方が販売した互換トランスが
互換性のない代物だったことが判明しました、皆さんご注意ください。
詳細は
http://radiokobo.sakura.ne.jp/G/sokuteiki/tubetester/TV-2-Rep.html


余談

TVー7のGM測定の場合 メーターは2つのB巻線のマイナス側が約90Ωの抵抗で接続され この両端に抵抗経由で接続されているのです。
回路図は下記。


2014年1月21日 
(真空管測定器の権威者と思っていた方のブログから)

真空管試験器「メーター保護ダイオード」はつけるべきか?


インターネットのwebpageを閲覧していて「気になる記事内容」があるとすると、真空管試験器のメ−タ−に、「ダイオード」を正負極性を交互に逆接続して、メーターを保護する」という記事であります。

1)たしかに「高価」なメーターは保護してくれます。
2)しかし、メ−タ−を「焼損」するような「高電流」が流れた時にメ−タ−は助かったとしても、もっと大切な部品である「電源トランス」を「焼損する」可能性」が大となります!
3)あちらこちらの「抵抗」「コンデンサー」を焼損するなら「被害」は小さいけれども、トランスを焼損して、
リークするようになれば、試験器の生命は絶たれてしまいます。

人に依頼するにせよ、ご自分で取り換えるにせよ仮に、たとえば、TV-7のメ−タ−の価格が¥17000/電源トランスの価格が¥17000と同価格として:

1)メ−タ−交換だとプラスとマイナスの2本の配線を付け替えるだけで終了します。
それに対して、
2)電源トランスの取り換え」となると30本以上の配線の付け替えとなります。

その労力/時間を考えた時には:
我流の「改造」はしない方が良いことは明白です。

*TV-7の場合について考えましたが、民生用のHickokの真空管試験器の場合には、
トランス巻き線に、電圧の表示がありませんのでなおさら大変です。
*TV-2などの試験器ですと、交換用の電源トランスを入手できる可能性はございません。

以上のような理由から、真空管試験器のメ−タ−に「保護回路」はつけない方が賢明であることは明白です。

20120818



XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

オリジナルの書き込みが削除されていました、著者自身が間違いを認めたのかも知れません。
このような明らかな間違いは訂正すべきです。
http://tubetesters.blog9.fc2.com/blog-entry-25.html
念のためグーグルのキャッシュを証拠として貼り付けておきます(2014年9月1日)。
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:YB6YcxlJAEoJ:tubetesters.blog9.fc2.com/blog-entry-25.html+&cd=1&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
グーグルのキャッシュも消えました、ブログは下記です(2014年9月9日)。
http://tubetesters.blog9.fc2.com/





ラジオ工房 管理人の注

メーターはGMボタンや整流管試験ボタンなどを押した時のみ動作する仕掛けです。
GMボタンなどは短時間しか押してはいけないと説明書に注意書きがあるほどです。
これはGM測定時グリッドに過大電圧を加えるので 被測定真空管に無理がかかるからです。
回路上 ダイオードを入れても過大電流は流れません。
保護ダイオードを入れた場合でもトランスの巻線間の合成抵抗値は下記蛇足で計算したように 27%しか変化ないのです。
そのため 流れる電流は27%しか増加しません。

さらにボタンを押している1〜2秒でトランスが焼けるとは 経験上考えられません。
トランスが焼けるのは分単位の時間が必要です。
メーターが振り切ったら 測定を中断するのが常識です、真空管にどのような故障が有るか解らないためです。
それでもGMボタンを押し続ける人は測定器の使用資格がありません。

保護ダイオードのせいでトランスを駄目にする可能性はありません。
知識も無いまま いたずらに不安を煽るのか感心しません。
自分の無知をさらけ出すようなものです。

もし この主張が間違いと思うなら どういう論理でトランスが焼けるか 具体例を示していただきたい。

蛇足
上記回路図から計算すると2つの巻線間に接続されている合成抵抗はダイオードを入れない場合85Ωで、
保護ダイオードを入れた場合62.8Ωになります。
これは27%の違いに過ぎません。
増加する電流はμAオーダーです、例えmAオーダーの増加でもトランスが焼けるわけがありません。

計算例(簡略化してあります)
R113 R115を無視したので 現実の回路ではまだ差が小さくなります
R137とR135で 45+45Ω これにR111とR118で104+104Ω メーターは2000Ω。
ダイオードを入れた場合 0Ωで計算した。



TV−7Dのトランス

これはTV−7Dの電源トランスの銘板ですが、表示を見るとおやおやと言う記載があります。
特にヒーター電圧の部分で、
0V 0.6V 1.0V 1.2V 1.83V 2.5V 3.1V 4.13V 5V 6V   11.3V
回路図の表示は0.6V 1.1V 1.5V 2V 2.5V・・・・・・5V 6.3Vです。
この違いは何を意味するのでしょう。

もともと1.5Vレンジは1.35Vくらいに設計されている可能性があります。
サービスマニュアルの値によれば
TV−7   1.25〜1.4V
TV−7A  1.28〜1.42V
TV−7B  1.26〜1.42V
TV−7D  1.26〜1.42V
であることを確認と書いてあります。
このレンジは1.4Vの電池管の試験に多く使われますので、そのほうが無難なようです。
26Bを試験する時には規格的には不合格でも、使える可能性がありそうです。


ラジオ工房の掲示板の記録16年3月で話題になりました。


TV−7のパネルと内部。
なお内部写真は左右が上のパネルと逆の位置になります。
トランスがヒーター電圧設定用のSWの下側になります。

内部写真右下(端)が電源電圧調整用の巻線抵抗です。

なお内部写真のものは一部 取り外された部品があります。
真空管試験器を常用する時は保守用にもう1台準備しておいた方が無難です。


余談
@TVー7は電源115Vが原則ですが、100Vで使うのであれば、フューズ代用のPLランプを6V8Wくらいに交換すれば、厳密な事は別にして実用的に使えます。
この場合、校正はやり直すのがより良い、多少ノウハウが必要。
ヒーター電圧117Vにし、この時の電圧が121Vになるよう状態で、LINEテストがOKとなるよう、校正している。

この機種はメーカ独自の実験データーで作られているので、電源を115Vにステップアップして使うのであれば、当然マニュアルどおりの校正が理想。
なお100Vで使用する時、正規のフューズ代用のランプは使わない方が無難です、断線しやすいです。
A水銀整流管83の入手は注意した方が無難です、時々「83もどき」が混入してきます。
水銀整流管ではなくて5Z3のような高真空整流管を83と称して販売していることがあります、一度購入して返却した事があります。
別方法としてシリコンダイオードに置き換える事もできます。
この場合5Z3などのベースを使って、細工をすると便利です。
ダイオードのカソード側はヒーターの中点に接続する必要があります、自分は100Ω2W の固定抵抗を2本直列にして、@とCピンに接続、この中点にカソード側を接続しました。
抵抗値は手持ちの関係です。
ただヒーター電力分の負荷が軽くなるので、誤差が大きくなります。
この機種はAC入力側にPLや可変抵抗が挿入されているので、レギュレーションが悪いです、この条件でテストチャートは作れています。
したがってチャートの数値を利用したければ、改造後も設計値に近い条件にしたほうが無難です。
出来ればヒーター電力(15W)に相当するダミー抵抗を追加した方が無難ですし、精神的に気持ちよいです。
なお全部でなくとも、半分相当でも負荷した方がつけないより良いようです。
この方法でTV−7は10年間ほど実使用しました。
なお83は整流時15Vの管内電圧降下が有ります、ダイオードだと1V弱です、本当はこの差も問題にすべきでしょうが、実用的には問題は見つかりませんでした。
2A3などの3極管の測定には多少影響があるかもしれません。
BTV−7やIー117等の試験器はBレンジ(3000マイクロモー)で5V近くの電圧をグリットに加えて試験します。
6AK5などグリットが赤熱する事さえ有ります、長くテストするのはNG。
また6ZDH3Aなどμの高い球を試験する時、BやCレンジではGMが低く出ることが有ります。
球により、減少割合はまちまちですが、半分くらいの事も有るようです、テストして不良と判断しないように。
目盛りが読み難いのですが、Dレンジで測定するともう少し正確です。
TV−10ではDレンジとの指定があります。
理想的にはG入力0.5VのEレンジなのでしょうが、今度は針が殆ど振れず、読み取れません。
CGMのすごく高い球を試験する時、テスト中に球をやけどしないように触ってみて、測定値に変化があれば、寄生発振している可能性があります、要注意。
TV−7シリーズでもTV−7Dはこの発振防止の為、ソケット近くにフェライトビーズが入れられています。

TV−7Dのソケット

TV−7Dのソケットは発振防止の為フェライトビーズが配線に挿入されています。
これはGMの高い真空管を試験する時、異常発振を防止する為です。
GMの高い真空管が沢山売り出さるようになったのが理由でしょう。

TV−7 ー7A ー7Bをお持ちの方はmT管のソケットだけでもつければ効果的です。
特にTV球を試験する時 役立つと思います。

TV−7D TV-10真空管試験器に使える 双3極管用テスト・アダプター

12AX7や6SN7などの双3極管のテスト用のアダプター。
1本だけテストする時は別にして、2本以上試験する時は、その都度同じ操作を繰り返すので嫌になります。
このアダプターを使えば、TV-7の操作は1回だけで済みます。
右端のmT9ピンプラグをTV-7に挿して利用します。

TV−7やTV−10で共用して使える。
側面のスナップスイッチで切り替える。
沢山の双3極管を試験するときは威力を発揮する。

スナップスイッチは2回路2接点でPとGを切替、K(とH)は常時接続。

TVー7の校正についてはラジオ工房の掲示板(の記録16年3月)でも話題になっています、参考にしてください。

参考図書
  
ラジオの歴史、
スーパーの原理など
ラジオの基本を
詳細に説明。
ラジオの修理方法を
詳細に説明



真空管試験器 TV−7Cの修理体験記 (2017年8月31日)



久しぶりにTV−7の修理をしました。
この機種は見たことも有りませんでしたが、同じだろうと簡単に引き受けて吃驚。
カナダ製の真空管試験器でした。
回路的にはTV−7(最初期型)と同じでした。

真空管試験器 TV-7C/Uの修理について

標記の件につきまして、修理が可能でしょうか?
症状は以下の通りです。

電源は入ります。
LINE ADJも可能で、LINE TESTの中点までメータの針が振れます。
ショート試験回路の機能も正常の様で、マニュアル通りFUNCTION SWITCHの2と3のTでネオン管が点灯します。
しかし、実際の真空管テストの際、MUT CONDを押し下げても、測定が出来ません。
2A3では、どうやらヒーター電圧が出ていないようで、KT88の場合はヒータが点灯するものの、測定が出来ません。
もう一台、TV7 D/Uを持っていますが、こちらの方が正常に測定が可能です。
従って、真空管の問題では無い様です。

また、上記修理に加えて、メーターに保護ダイオードを付加したいのですが、こちらの対応についても合わせてご連絡いただきたく、お願い致します。


まず LINEテストをすると確かにメーターは正常に動きます。
ただ どうも触れ過ぎるのです。
この時代のものはLINE電圧の検出にはシリコン整流器は無くて セレン整流器(厳密には亜酸化銅整流器?)が使われています。
それがシリコンに取り替えられています。
そうすると 単純に置き換えただけでは電圧が高く出るのです。
その為メーターは余分に振れます。
シリコン整流器の位置はこちらをご覧ください。

基本はヒーター電圧を117Vに設定し、この時の無負荷電圧が121Vになる時、
メーターが中央を指すように調整すべきなのです。
この様に調整しても 実測してみると実際のヒーター電圧は実負荷時 だいぶ規定値より低いです。
それなのに従来の方法ではさらに10%くらい電圧が低くなるので 測定値が怪しく(低く)なります。
どうも電気的知識が薄い人が整備したらしい。



調整は上記画像の矢印の抵抗を加減して行います。
ただTV−7Dと異なり 固定抵抗を交換しながら合わせます。


まず規定電圧が加わったので 次はGMの測定です。
それにはまずメーターが振れてくれないと手がつけられません。
3番ボタン(GM測定)を押してもメーターが一瞬振れたり、振れなかったりします。


いろいろ調べた結果8連スイッチの接触が悪いらしいという事がわかりました。
このように記載すると簡単に見えますが、原因を見つけるのに半日かかりました。
それから 分解して最終的に解決する(調整が終わる)まで正味1週間ほどかかりました。

特にTV−7Dに比べ 校正が非常に嫌らしいです。

調べる途中で 117Vに設定し、LINEテストをやりましたが、
その前真空管を挿して別のGM試験をやっていたのを忘れ 真空管を挿したまま117Vにしたので、
ヒューズランプは切れ、 真空管は駄目にするハプニングに見舞われました。
真空管を抜くのを忘れたのがいけないのですが、当然の結果に呆然となりました。
というのはヒューズランプは手持ちがないのです。

早速 昔購入したことのある渋谷の東急ハンズに出かけたら、あいにく休みでした。
仕方なく 新宿の東急ハンズに出かけたのですが、ここには在庫なし。
土曜日 秋葉原に出かけ探したのですが、数軒探しても駄目でした。

最終的にネットで注文しました。
送料がかかるので また使うということで 纏めて1箱購入しました。

時代遅れの白熱電球それも30年位前に使われていたバイク球ですから、
見つけるのが大変です。

近所のバイク屋さんも廃業しているし、散々でした。

バイク球 6V 8W





8連スイッチ

スイッチの不良らしいとは見当がついたのですが、どの部分かはわかりません。
スイッチは3番ボタンを押しても、ソケットに行くまで、数十箇所の接点を経由してゆくのです。
分解しても簡単に配線が追える構造ではありません。
まずで配線の塊りですから 配線図と見比べながら追いかけて行きます。



何とか ボタンを押すと正常にメーターが振れるようになったので今度は校正です。
ここまでで修理の半分以上の時間がかかりました。

まずバイアスの設定です。

目盛り22の位置で3V 目盛り50で 実測15 V   目盛り75:実測26.5V   目盛り100:実測40V   
で合わせる必要がありますが、どうしても合わないのです。
22の位置と100の位置はかろうじて合格ですが、50と75の位置では合致しません。
どうもバイアス用VRの変化曲線のカーブが標準と少し違うようです。
見かけが光っているので あるいは互換品と称するものに交換されたものかも知れません。





結果的に 30から90くらいにかけて バイアスが少し深くかかります。
2A3などバイアスの深い真空管は微妙に影響を受けるかの知れません。
ただあくまで測定値は目安ですから 同じ条件で試験しておけば役立つでしょう。

グリッド信号電圧

これはカソードとグリッド間の交流電圧です。
正常は5Vですが、実測値は4.8Vでした、調整できません 5%くらい指示値が下がる可能性があります。

なおプレート電圧は150V スクリーン電圧は130V(ただし2番ボタン DIODE)と同時に押した時は56V。

電圧測定時は内部抵抗1KΩ相当のテスターで無いと電圧が違う表示になります。
その場合は抵抗をテスターリードに並列に入れて測定してください。
(300Vの時は300KΩ)

メーター保護回路の追加

安全のため 順方向に2個直列 逆方向に1個のダイオードをいれ 保護回路としました。

なお何故2個にしたかは メーターフルスケール時 0.7V以上の電圧降下が生じるためです。

普通は1個で充分なのですが、TV−7の場合は2個必要なのです。
逆方向は単純に逆方向電圧(電流)防止用です。




銘板 





GM調整






プレートとカソード間に10KΩ経由で50Vの電圧を加え、GMボタンを押した時に40目盛りになるよう調整します。
TV7DだとVRで簡単に調整できるのですが、この機種はそうはいきません。
仮にVRを接続し、調整してみて その値と同じになるよう固定抵抗を組み合わせて校正するのです。
下記画像の矢印の部分がその固定抵抗です。

上記画像は再度確認するために試験しているところです。
なお絶縁トランスとスライダック(可変電圧変圧器)が必要です。





修理完了した TV−7C





KT−88の測定

返却後 KT−88を測定したら 手持ちのTV7Dと測定値が大幅に違うとのこと。
原因は不明ですが もともとこの機種にはkT−88のテストデーターがありませんので、
どのように測定したのか興味があるところです。

設定を見るとHS53471  レンジD  バイアスが11のようです。

TV−7Cの場合 プレート電圧150V スクリーン電圧130Vですから 
この条件でKT−88のGMがうまく測定できるのか、自分は疑問を持っているのですが。

さらに バイアスの11というのがある意味理解できません。
実測したことはありませんが、目盛り22で−3Vですから、おそらくバイアスは−1.5Vくらいでしょう。
こんな低い(浅い)電圧で大丈夫なのでしょうか?。

どうも真空管販売店を見るとTV−7で試験してKT−88をペア-と称して販売しているところもあるようだし。
音響関係の真空管屋さんの技術力には理解しがたい方もいます。
本人は技術のプロみたいな書き方ですが、本当に原理を理解しているのか 理解に苦しみます。

TV−7系の真空管試験器はあく 軍用品ですから 使用できるかどうかの おおよその良さを数値で表すだけです。
換算すればGMになると言われていますが、
プレート 電圧150V スクリーン電圧130V時の値から類推した数値を表示しているに過ぎません。 本当にGMが測定したければ 国洋電機のVG4型程度の測定器が必要です。
もう少し 簡略したものでも 規定(真空管の規格表にある)のプレート電圧 スクリーン電圧 グリッドバイアスを設定して測定する方法でないと無意味です。

TV−7の場合 簡易的に真空管の良否が判読できるということが最大の特徴で、本来ならGMを測定する云々は間違いです。
この試験機だけでペアーを組んで売っている販売店もあるようですが、これは信用してはいけません。
ペアーチューブの厳密な定義は知りませんが、使用するプレート スクリーン電圧 規定のバイアスで 電流がほぼそろっていることが必要で、
勿論GMもほぼ同じである必要があります。
GMだけ似通っているということでペアーチューブと称しているのはいかがわしいです。

なお TV−7で測定した値が50%も違うというのは異常です、
ただKT−88のように想定外の真空管ではなくて 2A3 42 6L6 などの常識的な球で比較してください。
消費電流の多い、GMの極端に高い球は想定外の結果を表示します。
同じTV−7でも時代により微妙に改良されているので、同じものではないのです。
今回のようにTV−7C(TV−7の最初期型)とTV−7D(最終改良型)。






最終的に(2017年9月21日)

今回 調査したところ CレンジとDレンジで読み取り値が違うことが判明。
TV−7Dとは逆に 読み取り値が小さくなることが判明しました。
原因は不明です。

読み取り値重視で 再校正しました。
マニュアルの校正方法からある程度外れるところがあります。

Dレンジに加える信号電圧をあげて 読み取り値がCレンジの5分の2になるようにしました。
このため 下記画像の抵抗を追加しました。
実質1V信号の部分が1.2V程度必要なことがわかりました。

また 40目盛りを合わせるために加えた抵抗を取り外しました。

これで ほぼ他の試験器と同じ数値を表示するようになりました。



測定結果は下記のとおり。
   6L6C 41  41  42 
 基準?(権威のほどは不明)      
 AES測定値   76  60   
 今回のTV−7C  40 75  60 80 
 TV−10D換算目盛(おおよそ) 38  76 64  80 
 自分のTV−7D    80  58  82




真空管試験器 TV−7Dの調整 体験記 (2017年9月17日)

自分で調整したが、基準管の6L6では目盛りの狂いが多いということで、お預かりしました。

実は1週間かけて不具合箇所を調べたのですが、解決しませんでした。

まず 電圧の測定です。
グリッド電圧(測定用のAC電圧) 5V 1V 0.5Vで異常なし
グリッド バイアス(DC) 正常
プレート電圧 150V 正常
スクリーン電圧130V 正常

カソード プレート間に50VのACを加えメーターの振れが40(Cレンジのみ20)になるか確認 OK。

これで 6L6を測定すると 振れすぎるのです。

Dレンジは普通グリッドに1Vを加えますので、振れはBレンジの5分の1、Cレンジの5分の2になります。
それが 余分にメーターが振れるのです。
ほぼ50%以上 余分に振れます、原理的に理解できませんでした。

B Cレンジはほぼ正常と思われますが、DEレンジは怪しい数値になります。

半固定抵抗の破損で 固定抵抗に置き換えてありますので、その時の配線ミスかと考え 
配線を調べてみたのですが、間違いを見つけられませんでした。

そのため 5Y3 83を手持ち品と交換しましたが、これも問題なし。

手持ちのTV−7Dも含め測定した結果は下記のとおり。
基準(管)はどれだけ権威があるかは不明です、
またAES測定値とはアメリカの有名な真空管業者から輸入した真空管にメモ書きされていた数値。

太字の6L6のみDレンジで測定、このレンジのみ数値は割り引いて確認する必要がある。
(約50% 大きな数値を表示する)
   6L6 6L6  6L6  41  41  42  6AQ5  6AU6  6CG7   
 基準?(権威のほどは不明)  46 48           78 76  102 102   
 AES測定値       76  60           
 今回のTV−7D  78 88   77  84 67   92  94 77  102 99   
 TV−10D換算目盛(おおよそ) 40 47   44  76 64  80   74  70  104 100  
 自分のTV−7D  38 43  42   80  58  82  78  77  102 103  
原因は不明です。

実は今回のTV−7Dは D Eレンジは測定値が大きく出るのです。
まず下記のようにバイアスを調整して Cレンジで120目盛りまで振れさせます。
この状態でDレンジに切り替えると5分の2(40%)の数値を表示するのが正常です。
ところが 下図のように60%の数値を表示するのです。
逆算すると1.5倍の数値が表示されることになります。




この部分に配線間違いがないか調べたが見つけられなかった。


この部分はFUNCTIONスイッチ部分で 調べようとしたが 無理だった。
どうもこのスイッチ付近は半田付けから触れれた形跡があるが、配線間違いを見つけるのは無理だった。

この修正は 最終的に無駄な作業でした、残念。


なお 下記画像の指定部分に抵抗を追加(数百Ω)するとDレンジでももう少し正常な値を表示することが出来そう。
ただしEレンジは無視。




真空管試験器 TV−7Dの修理体験記 (2009年12月11日)

以前使用していたTV−7Dで9ピンmT管6BM8を測定したら、メーターが振れない不具合が発見された。
3極管部分は正常なのですが、5極管部分の測定が駄目です。
20年以上前にアメリカから輸入して、校正して一時使用していたものです、普通のラジオ球の測定には全く不便を感じていませんでした。
最近10年以上TV−10を使用していますので、別室で保管していたのですが、たまたま6BM8を測定して 不具合を発見しました。
調べてみると9ピンのmT管の測定で、6ピンにプレートがある真空管の測定は駄目という結果です。
壊れたとの前提で調べました、いろいろ調査してゆくと不思議な事が・・。
最終的に製造時の不良である事が判明しました、軍用品でもこんな事があるのですね。


TV−7Dの内部構造です。
ロータリースイッチと配線のお化けという感じです。


推定原因はフィラメントの切替スイッチの不良と推定出来ました。
白い矢印の部分です。
単純に回路を追いかけていっても無理があります、配線のお化けですから迷路に入ります。
ある程度 論理的に追求してから追いかけないと原因を見つけるのは至難です。


ロータリースイッチを基板から外して撮影したところです。
スイッチのウエハーの位置が1段分ずれています。
写真左から3枚目の部分です。

これはフィラメントを5ピンに設定すると、他の電極を5ピンに設定出来なくする為の回路です。
(この切欠きの部分で他の電極の信号を遮断する働きをする)
ところがこの部分のウエハーが1段分ずれているので、
6ピンに設定したB電圧が通り道を塞がれ、通れなくなっているのです。
これで測定できない原因が判明しましたが、修理は不可能で、部品の交換が必要です。


ロータリースイッチを取り外したところです。
左から 3枚目のウエハー(実は両面にあるので、実際は2個だが)が他の段のものとずれている事が判ります。
ロータリースイッチを組み立てる時に、間違って別の素子を組み込んだのでしょう。
当然部品が違いますので、修理は出来ません。
手持ちのジャンクから同じロータリースイッチを抜き出して交換しました。


TV−7Dの修理には部品取りのTV−7Dが必要になります。


修理完了 校正も終了して、再度6BM8を測定しているところです。
ロータリースイッチは手持ちのジャンクから同じものを移植しました。
この機種は原理は単純ですが、故障原因を見つけるのは大変です。
とにかく配線が物凄いので、時間がかかります。
それと同じTV−7Dでもロットによって部品が異なるようです。
ネジがマイナスネジだったり、+ネジだったりします。
ロータリースイッチの軸の窪みも違うようで、製造メーカーの違いなのかも知れません。
但し互換性は大丈夫です。

利用方法は下記からダウンロードできます。

http://www.jogis-roehrenbude.de/Roehren-Geschichtliches/Roe-Pruefer/TV-7/TV7_U-Operator-Manual.pdf

真空管試験器 TV−7A

この機種は20年位前 秋葉原で購入した物です。
どうも真空管試験器を見かけると、つい購入したくなる悪い癖があります。
上記のTV−7Dを長年使っていて、こちらは倉庫に入れてあったのですが、久しぶりに取り出して見ました。
簡単に試験したところ 正常に動作するようです。
他にTV−7Dがあと2台あります。


さすがによく使い込まれています。
パネル面は塗装が磨り減っています。
ACコードも交換されたようで、取り出し口が変更されています。
昔 持っていたTV−7も同じ変更がされていたので、
米軍のサービスセンターみたいなところで修復されたのでしょう。
ACコードが痛んでいるので、近々交換しようと計画中です。

以下は2010年1月20日追記


外観です。


分解してみると83がありません。
半導体化されたものが挿入されています。

アメリカ軍の補給所で改造された物のようです、
ACコードの引出しかたが変更されています。
これについては後述する。


2ピンから4ピンに 更に3ピンから4ピンにダイオードが入れられているようです。
電圧降下を測定してみるとそれぞれ約4.9Vです。
という事はシリコンダイオードを7本シリーズに入れているのでしょうか?。
1ピンと4ピンの間には導通はありません。

念のため83と差し替えて真空管の測定をやってみました。
6BM8の5極管と3極管をそれぞれ測定したところ誤差はありませんでした。
結構 これは使えそうです。

ACコードが痛んでいるので、交換しました。
この機種はコードの取り出し口が変更されています、元々は左上に組み込まれていたはずです。
これはアメリカ軍の施設で改造された物で、TV−7ではよく見かける変更です。
何回か修理をされて使われていたものでしょう。


半導体化されていたものを、オリジナルの83に交換した。
83は数本手持ちがあるので、助かります。
新しく購入すると 高額です。

簡単なTV−7Aの校正方法

スイッチでHS5−3460に設定します。
オクタルソケットの2ピンと7ピン間のAC電圧をテスターで測定します。
フィラメント電圧を117Vに切替えます(無負荷状態で)、
この時テスターの電圧が121Vを指示するよう電圧調整器(レオスタット)を調整します。
ここでLINEボタンを押します、指針が中央にあれば合格、無ければ抵抗R124を変更する事になります。
60の位置(中央)より指針が右側の場合はR124に抵抗を直列に接続します。
今回は8.2KΩを追加しました。
もし指針が60以下であれば、高抵抗をR124のパラに接続すると良いでしょう。
値は適宜工夫してください。


LINE調整のやり方。
TV−7Aの場合、VRがありませんので、固定抵抗の値を変更します。
今回は上記にも記載のように8.2KΩ(緑色のもの)を追加しました。


次にプレート電圧の測定です。
6ピンにテスターのマイナスリードを、3ピンにプラスリードを接続し、
プレート電圧が150Vであることを確認する。
なお375KΩの抵抗をパラに接続する事、この場合MUTボタンを当然ですが押す必要があります。

同様にして次にSG2電圧の測定、130Vである事を確認。
DIODEボタンとMUTボタンを同時に押して、56Vであることを確認する。
この時電圧が異なれば、画像SG2aの部分で130V SG2b部分で56Vに調整します。

GMチェック

絶縁トランス(ラジオの電源トランスでも良い)経由で50VのAC電圧を作り、
6ピンと3ピンの間に加える、配線図やその他の作業は公式英文マニュアルを参照ください。
MUTボタンを押すと、40を指すか確認してください。
これが狂っている時は上記マニュアルにしたがって調整します。
TV−7のシリーズで多少やり方が異なる。


念のためメーターに保護回路を追加した。

TV−7D 1986年頃アメリカから輸入した1台、自家用です。


メーターは何故かTV−7Eとなっている。

TV−7/Uの修理体験記(2010年6月23日)

先日、オークションでTV7/Uを購入しました。
製品の保証は、していませんでした。
使用方法をネットで調べ、何とか使えるようになったようですが、数値が出ません。
ヒーター電圧(AC)が5V指示で3.08V、10Vで5.92Vしか出ません。
(100V入力で)
Biasなどを合わせ、pressを押すと300Bで14しか振れません。
115V入力で、確認しても余り変化はありません。
真空管の予備は2種類とも手持ちがないので、未交換です。

到着して 動作試験してみました。
確かにヒーター電圧が異常に低いです。
分解してみると、中を弄り回した形跡はありませんでした。






5Y3の脚キーがありませんでした。
固定金具も無いので、だれか分解して 放置したもののようです。
大幅な狂いといい このあたりが鍵かも知れません。


メーター保護回路をまず組み込み、その後電圧調整回路を修正しました。
TV−7は各シリーズ基本回路は同じで、使用方法も同じです。
但し
TV−7とTV−7AのシリアルNo1200までは、調整用VRがありません。
調整は固定抵抗を交換するなど 非常に不便です。
仮にVRを接続しておき、これで校正して、その後固定抵抗に置き換えます。
最適な値の固定抵抗を探すのも一苦労です。
他のシリーズに比べ、校正の手間が10倍くらいかかります。
その他の校正も同じように行います。

新しく購入する場合 TV−7とTV−7AシリアルNo1200までの物は避けた方が無難でしょう。
なお前記TV−7Aは製造番号が1201以降ですから、調整はVRです。
校正の手順は公開されているマニュアルにしたがって 行いますが、
何ゆえここまで狂っていたかは謎のままです。


6BM8の5極管部を試験しているところ。
手持ちのTV−10と比べても比較的良く合致します。



真空管試験器 TV−7Dの修理体験記 (2010年8月4日 2010年8月23日)

先日、オークションで真空管試験器(TV−7D/U)を手に入れたのですがメーターの動きが変なのと
12AX7の@は測定できるが、Aは測定が出来ない状態でした。配線図もあるのですが修理している
時間が無いので修理を御願いできないでしょうか?

メーターの修理は難しいと返事したのですが、とりあえず拝見することにしました。
送られてきたTV-7Dは非常に綺麗です。
パネル面は使用感が無いほど綺麗です、なんとなくTV−7Dの修理体験記(2009年12月11日)を思い出します。





分解してみました。
変わった様子はありません。
電源ケーブルを交換していますが、他は修理したのか最初から不具合だったのか不明です。





整流管83の代わりに半導体が使われていました。
左側がそれで、右側は先日修理したTV-7に組み込まれていたものです。
テスターで測定してみると、ダイオードは1本か2本で2と3ピンから4ピンに接続されています。
自分のものは計算上7本直列に接続されていました。

まずラインテストです。
規定電圧にして、ライン・テストボタンを押しても、メーターが規定の位置まで振れません。
目盛りの50付近が最大です。
調整用VRを廻しても規定値(60)に達しません。


手持ちのメーターをパラに接続してみました。
全く 同じものですから、同じ振れにならないと駄目です。
画像で見るように、指示値が異なります。
メーターがリニアーでないのか、巻線の抵抗値が下がっているようです。

メーターの動作が怪しいことはとりあえず置いておき、GMの試験をしてみましたが、うまく動作しません。
セレクタースイッチか配線に問題がありそうです。
まず HS53460に設定して、ためしにGMボタンを押してみました。
勿論 球は挿してありません、この状態で一瞬にヒューズランプが断線しました。
メーターは完全に振り切れています。

メーターの0点が定まらず、リニアーでない原因は どうもこの過大電流が原因のようです。


安全のため メーター保護回路を組み込みました。



セレクタースイッチ、この付近が怪しい。
丹念に配線を追いかけて、原因を見つけました。

ラインテスト用の改造

メーターの感度が悪いことは判明しているので、ラインテストでもメーターが規定位置まで振れません。
当然調整用のVRでも調整できません。
固定抵抗に 1MΩをパラに接続して、何とか規定位置までメーターが振れるように改造しました。


依頼者から、メーターを後日入手したいとの申し出があり、この抵抗は取り外してオリジナルの状態に戻しました。
プレート スクリーングリッド用 半固定抵抗の断線。

プレート電圧がおかしいの調べてみると、断線が見つかりました。
ごく一部の断線なので、電圧を確認しながら 固定抵抗の値を試行錯誤で決めてゆきます。
今回は470Ωでぴったりでした。
(画像のように 終端部とタップの間に固定抵抗を入れて修理)


ラインテストで1MΩをパラで接続した時の状態で、メーターを交換した。
画像のようにメーターが余分に振れます。

この抵抗を外した上、正常なメーターで規定値になるように、再調整しました。
同様にして、GMの調整も行いました。





念のため メーターを直列接続で動作させ、GMを測定してみます。
指示値に差が有ることがわかります。

メーターが直線的に動かないので、このままでは目安程度にしか使えませんが、
真空管の良否の判別程度はわかるでしょう。

秋葉原で売られているデジタルメーターを利用すると、実用的に使えるでしょう。
ただメーターの内部抵抗を標準のメーターと合わせる必要があります。
(内部抵抗値を合わせないと 指示が狂います)
測定方法

現在のメーターのままで、ラインテストは指針が48を指すようにラインアジャストをしてください。
(電源調整用にVRを廻す)

メーターが全体的に感度が悪いのと、直線性が悪いので、
現在組み込まれているメーターでは正常のGM値は指示しません。
でも良否判定の目安には充分なるでしょう。

多少メーターが引っかかる現象があります、数回テストして、
最適値を見つけた方が無難でしょう。

真空管試験器 TV−7の修理体験記(2011年11月19日)

私は先日米国より真空管試験器TV/7を購入したのですが
うまく作動しない部分がございましてその箇所の修理及び全体のコンディションを
さらっとで構いませんので見て頂く訳には行きませんでしょうか?
 

TV−7の最初期バージョンの修理です。
ケースはTV−7Dの箱に入れられていましたので、変だとは思ったのですが。
真空管をさしてボタンを押しても確かにメーターが動きません。
ラインボタンを押すとメーターが反応します。
メーターは生きているようです。
どうも綺麗な空き箱(TV−7D)に、動かない(部品とり用のTV−7)本体を入れて販売したようです。



調べてみると 巻線抵抗の断線3か所 半田つけ不良1個所が見つかりました。
このように書くと簡単なようですが、実はこの機種は”トランスと配線とお化け”のようなもので、
半田つけを外しながら確認しないと 回路が回り込んで断線の区別が出来ないのです。
普通は1個所の不良が多いのですが、いやはや苦労しました。
なお最終的にはマニュアルに従い 校正をしました。
我が家の試験機と大差ない測定値が確保できたので、良しとしました。
ただ TV−7Dなどと比べると 細かな調整がいやらしいです。
抵抗の調整はTV−7DがVRで微調整できるのに、
この機種は抵抗そのものにパラレルに抵抗を入れるなどして微調整します。
自分で校正する人は この最初期(TV−7トTV−7Aの製造番号1200番まで)のものは避けた方が無難でしょう。

なおこの機種はメーターを断線させると悲劇なので、メーター保護回路も組み込みました。
どうしても誤操作でメーターを振り切れさせることが多いので注意しましょう。


TV−7Dのデジタル表示化(2011年12月21日)

こんなことをやりました。
原因はメーターの不審な動きです、温度が低いと動かない、温まると動くことがあるというメーターでした。
代わりのメーターは有りませんので、いっそのことデジタルメーターにしようと思ったので作業してみました。
快適に 動作します、結構便利です。
詳細はこちらをご覧ください。




真空管試験器 TV−7Dの動作試験(2019年12月12日)

通電できないと言うTV7Dの原因探しです、最終的な校正は依頼人がやるそうです。
トランスの断線を疑っていたようですが、無事 原因が見つかって良かったです。
自分の作業はここまで。

ただ原因は判明したのですが、通電し、不良部品が複数見つかったので LINE調整まで終わらせて 返却しました。
この測定器の特徴を 理解していない方が 修復して販売したようで 問題点があります。
詳細は 下記をご覧ください。

 この個体は、ネットオークションで手に入れて、しばらく問題無く使ってきましたが、先日ヒューズ切れを起こしました。

ヒューズがオリジナルのランプから、通常のガラスヒューズ管タイプに変更されています。
(添付写真の通り)
スローブロータイプの34Aという表記のヒューズが挿入されていました。075Aと思います。
これが切れました。パワーを入れた際、ブーンといううなり(トランスらしき)と共に、数十秒でダウン。

 中を調べ、念のために835Y3を交互に交換し、中に異常が無いことを確認し電源を投入。
それぞれ、パワーは入る事を確認しました。
ちなみに、手持ちの1Aスローブロータイプのヒューズを入れて電源を投入しています。

そこで、校正を始めたのですが、Line Adjustも効き、シュートテストもネオン管が点灯。
オクタルベースの27間で、相当する電圧が掛かることも確認していたとこと、
突然電源がフェードアウト。また、ヒューズかと思いましたが、ヒューズは切れていませんでした。

中を点検しましたが、特に焼けているような所も無く、再び電源を投入してみると、電源は入ります。
しかし、しばらく(2分程度)すると、再び同じ症状が発生しました。
点検マニュアルで、トランスT101の導通を当たってみましたが、切れている状況では無いようです。
私の知識では、ここまでで、可能でしたら、
お送りして修理可能なものかどうか診ていただきたいのですがいかがでしょうか?


改造箇所は下記の通り(画像右下部分)



通電不良の原因

電源部分の巻線VRが補修してあり、この部分が温度で導通不良になることが判明した。








なおヒューズランプの代わりに ガラス管ヒューズが使われていますが、これは邪道です。
この機械の性格を理解しない方が改造したのでしょう。
特に日本のように100Vで使う場合 特にいけません。
突入電流で あちこち傷めます。

今回はランプ用ソケットを探して入手はできたのですが、ソケットの形状の関係で組み込めませんでした。





なお 試運転してみると 動作しません、
おかしいと調べてみると 83のヒーターが滅灯しているのを発見 
取り出して テスターで測定しても大丈夫。

これは 大電流の流れるヒラメントのリード線が接触不良を起こすためです。
冷えると 通電するので 経験がないと 意外とわかりません。
現象としては下記より 珍しいと言えるでしょう。

それと もう一つ 空気管になると通電していても光りません。
こちらは滅灯しているのに 管壁が熱くなるので区別できます。
これも見つけるのに経験が必要です。

修理は 一度半田を取り リード線を磨いて 再度半田付けすることです。



再度 半田付け




最後に
LINEテストでメーターの針が安定するのに2〜3秒かかっていたので調査すると ケミコンの不良だった。
この部分が メーターの動作に影響するほど劣化していたのは珍しい。
ついでに メーター保護回路を追加した。



今回は 装置のどの部分が悪いかの調査を引き受けただけなので、調整は 依頼人がやる予定。
念のためLINE 調整のみ実施、アメリカから昔 輸入していた41を測定してみると 
測定値が一致するので これでOKとした。

なお電圧可変VRの故障は この修理方法では再発しやすいです。
想像以上にニクロム線が熱を持ちます。

別品に交換するか あるいは下記のごとく逆接続すると 
操作感が逆になるが 実用的にはこのVRで使えます。
(つまみを時計回しにすると電圧が下がる)


参考図を示します。









メールアドレスはスパム防止の為 転送メールです

真空管試験器四方山話 


2004年3月22日
2005年9月23日
2005年10月10日
2006年11月28日amazonのリンクを追加。
2009年12月11日:8,693 TV−7Dの修理を追加。
2009年12月24日:9,235 TV−7Aを追加。
2010年1月20日:9,517 TV-7Aの調整を追加。
2010年1月21日:TV-7Dの写真を追加。
2010年6月23日:11,041 TV−7の修理(校正)追加。
2010年8月4日:11,713 TV-7Dの修理中断記
2010年8月23日:11,962 TV−7Dの修理 続きを追記。
2011年11月19日:15,339 TV−7の修理を追加。
2011年12月21日:15,616 TV−7Dのデジタル表示への改造。
2014年1月21日:19,959 「真空管試験器「メーター保護ダイオード」はつけるべきか?」を追加。 真空管試験器アダプターの画像を大きくした。
2014年1月24日:20,351
2014年2月15日:20,899 真空管試験器のメーターのフルスケール時の電圧を追加。
2014年2月25日:20,977 メーターの代用品を作る(港さんの例)を追加。
2014年3月2日:21,179 新たに上記の独立ページを追加
2014年9月1日:22,265 
2017年8月31日:29,316
2019年7月18日:32,807 バイアス用VR
2019年12月12日:33,149
2019年12月17日:33,248

書名
お奨めの理由 読み物としても楽しいです。
初心者向き。
復刻版は未確認ですが、
原本は誤植が多かったです。
真空管の歴史が判ります。 ラジオ修理に役立ちます。
戦後生まれの真空管が主。
真空管の歴史がわかります。
お奨めします。
真空管ラジオ愛好者にお奨め。

真空管試験器に戻る

2006年7月2日より




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