辻永クラフト工房おすすめの、オリジナルや定番の道具などを紹介します。
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辻永式手縫いバイス





 革の手縫い作業の時の固定具は、とても大切な物です。しっかりした固定具がないと、手縫い作業を快適に行うのは、難しいかもしれません。私には、固定具無しの手縫い作業は考えられません。

 この手縫いバイスは、木の専門家に製作していただきました。以前は、私が自分で作っていたのですが、木の専門家に製作していただいて完成度も高くなり、使いやすさも増しました。

 基本的な寸法は、以前から決まっていたのですが、細かいところで試行錯誤があります。人によって、求める機能や使いやすい寸法は異なると思われますが、私が個人的に良かれと思うことを基準にして、細部を吟味しました。

 素材には、ゴムの木の集成材を使いました。この木は堅く重量があります。集成材なので、狂いにくいと言う性質もあります。手縫いバイスには最適な材料でした。

 持ち上げてみると、どっしりと重く、重さは5キロ以上あります。台木を自分の体重で安定させて使用する手縫いバイスですが、ある程度本体の重量があった方が、手縫いの時の安定感につながります。

 金具類は全てステンレスにしました。蝶板も大型のドアに使用するステンレス製です。締め付ける時に大きな抵抗を受けるボルト・ナット部分も、ステンレスを使用することにより耐久性が高くなっています。

 その他にも、使いやすさの工夫が満載の手縫いバイスです。ぜひ手縫いのパートナーとしてお使いください。



 辻永式手縫いバイスは、上の写真のように台木と本体を分割した状態でお届けします。2本のボルトを締め付けて固定するだけの、簡単な組み立てですぐにご使用になれます。細部は微調整済みです。

 糸の引っかかり防止用のゴムひもなどは消耗品ですが、交換は実に簡単です。最小限のお手入れで、長年にわたりご愛用いただくことができます。





手縫いバイスの使い方
ここがポイント!



【基本的な使用法】

写真:A
 辻永式手縫いバイスは、使う人が自分の体重を利用して安定させて使う設計の道具です。

 写真:Aのように、椅子用は椅子に腰掛けて足で手縫いバイスの台木を押さえて安定させて使用します。足を台木に載せないと、安定感が十分に出ません。使用する椅子は、高さを簡単に変えられるガス昇降式がお勧めです。手縫い作業は、机の上での作業の時よりも、椅子を低くした方が使いやすいことが多いと思います。また縫う物によって、適する椅子の高さが変わります。

 (まだ準備出来ていませんが)座敷用は台木の上に座布団などを敷き、その上に座ることによって手縫いバイスを安定させます。

【縫う物を固定する位置】

写真:C
  縫う物をどのように手縫いバイスに固定するかは重要なポイントです。写真:Cのような位置で固定すると、革が落ち着かず作業がやりにくくなります。特に、柔らかい革・薄い革の場合は、縫い縮んだりゆがんだりしてしまいます。

 そこで、写真:Dのように、縫うところを挟み口にできるだけ近いところに固定します。この固定の仕方が基本となります。椅子用の場合は、椅子の高さを調整して、縫いやすい作業姿勢を確保します。

 写真に、針休めのコルク板が写っていますが、針休めのコルク板には、手縫い作業中に必要に応じて針を刺すだけにしてください。安全のために、作業時以外の時に、針を刺しっぱなしにしないでください。また、ヒシギリなどを刺すのは危険ですので厳禁です。

【革のブロック】

写真:E
 金具などの出っ張りが邪魔になる時には、革などで作ったブロックを挟み口に当てて使う方法があります。一時的なものなので、セロテープで仮に固定しておくだけで十分だと思います。

 辻永式手縫いバイスは、挟み口の部分も懐の余裕を確保してあるので、ほとんどの場合はそのまま使用していただけるはずですが、必要に応じて工夫してお使いください。

【マチのある製品を固定する】

写真:G
 マチがあり厚みのある作品は、手縫いバイスでも固定しにくいものです。そういう時には、作品の中に新聞紙などを詰めてしまいます。ビニール袋などに入れてから詰めると、インクでの汚れの心配もいりませんね。

 ただし、固定の仕方がまずいと、本体に傷を付けないとも限りませんので、様子を見て養生しながらお使いください。

【邪魔な部分を吊る】

写真:H
 作品の部品が、写真:Hのように手縫い作業の邪魔になる時があります。そういう時には、写真:Iのように革で養生したクリップで固定して作業をします。

 クリップは、天井などからひもでつり下げることになります。

写真:J
 写真:Jのように、クリップは革でカバーします。クリップと革が一体化して、片手でも簡単に操作出来るようになります。ふだん私は、写真:Kのように、天井から吊り下げています。

 天井から吊り下げるためのひもは、長さを簡単に変えられるような結び方をしています。長さが変えられないと、不便になってしまうのです。

写真:L
 写真:L が、ひもの長さを簡単に調節するための結び方です。写真:Mが結び目を締めた様子ですが、結び目をしっかりと締めることが、とても大切です。スライドさせ、長さを変えて使用するための結び方なので、もともと結び目が移動しやすいので、締め方がゆるすぎると安定しません。

 クリップ側と天井側の両方の結び目を、この結び方にしています。
【傾けて使う】

写真:N
 手縫いバイスを傾けて使用したいという方もいらっしゃるかもしれません。最も簡単な傾け方は、台木の下の片側に角材などを入れることです。他にも、台木に加工を施してしまう方法も考えられますね。使いやすいように仕立ててお使いください。
【大きな物を固定する】

写真:O
 大きな物を固定する時は、手縫いバイスだけでは、困難です。そういう時には、補助台を使うと楽に固定出来るようになります。補助台は、高さの調節ができることが望ましいので、私は木製のピアノ椅子を使っています。雑貨店のバーゲン品でしたが、十分に役立っています。

 補助台を使わないと、過度の締め付けで革に傷が付いたり、固定不良で作業の能率が上がらなくなってしまいますので、大きな物を縫うことが多い人は、使いやすい補助台を用意してください。

【消耗品の交換など】
 辻永式手縫いバイスの部品の中に、いくつか消耗品があります。それらは必要に応じて適時交換していただくことになります。

 まず、糸の引っかかり防止のためのゴムひもです。ゴムひもは使用しているうちに伸びてしまいます。伸びてしまい張りが無くなった時には、結び目を短く結び直すか、新しいゴムと交換してください。ゴムの種類は平でも丸でも機能しますが、あまり細すぎると早く傷むかもしれません。私が取り付けているのは幅数ミリのの平ゴムです。長さは50センチくらいです。

 それから、針休めのコルク板も傷んできます。このコルク板も必要に応じて交換してください。両面テープで固定してあります。糸が引っかからないように、下端をなだらかに成形するのがポイントです。ヤスリで加工してください。(薄いコルク板にも糸が引っかかることがあるのです。)

 挟み口の革も両面テープで固定しています。必要に応じて交換してください。固定する物がすべってずれないようにスエードを貼った渋革を使用していますが、スエードをお持ちでない時には、渋革にヤスリをかけて荒らしても効果があります。

 使用しているうちに各部のネジ・ナット部分がゆるんでくることがあります。その時は締め直してお使いください。ゆるみ止めのためにナットを2重にしたり、ネジゆるみ防止剤などを使用している箇所もありますが、木もやせたりすることがりますし、荷重がかかるとネジがゆるむことがあるようですので、お願いいたします。また、バイスの口を開閉するための長ネジ・ナット部分には、潤滑剤(オイルなど)を施していただくと、滑らかな動きを保持しますしネジの消耗防止にもなります。



 以上が、辻永式手縫いバイスの使用法のポイントです。

 手縫い仕立ての中では、手縫いバイスを使うことのできない場面もありますが、多くの場面では手縫いバイスは作業を楽にしてくれる道具です。

 このページで紹介した以外にも、いろいろな使い方や工夫があると思いますので、ご自分で使いやすいように使用してください。



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