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紹介したい資料(一部未収集のものがあります)


題名 脚本 アルプスの少女 ハイジ <1話〜52話>

製作:瑞鷹 各40頁ほど 非売品 1974

説明  (参考画像)
テレビアニメ・高畑ハイジの制作用の脚本(シナリオ)
全体のシリーズ構成で一話一話の分量を決めてから複数の脚本家に発注して製作された。
ハイジでは吉田義昭・佐々木守・大川久男の三人の作家によって分担し、高畑ハイジの土台となっている。
特に後半は「ウルトラマン」などで活躍された佐々木守が集中して担当。

吉田義昭 全15話担当 (1-6 12-15 23-25 35-36) 作品
佐々木守 全23話担当 (20-22 27-34 41-52  ) 作品 著書
大川久男 全14話担当 (7-11 16-19 26 37-40 ) 作品


題名 絵コンテ アルプスの少女 ハイジ <1話〜52話>

製作:瑞鷹 各40頁ほど 非売品  1974

説明  (参考画像)
テレビアニメ・高畑ハイジの制作用の絵コンテ(ストーリボード)
レーザーディスクボックスの資料より。 
一部のデータでは4話は富野喜幸の担当とされる。1-3話は高畑監督が自ら作成したと思われる。
黒田昌朗 全7話担当 5 9 12 16 20 24 35 アニメ「フランダースの犬」監督など
山崎修二 全8話担当 6 8 19 28 32 38 41 47 
富野喜幸 全16話担当 7 10 13 14 18 21 23 29 33 37 40 42 44 46 49 51 アニメ「ガンダム」監督など
斉藤博 全6話担当 11 15 22 25 26 30 アニメ「ラスカル」「トムソーヤ」「カトリ」などを監督
池野文雄  17のみ 羽根章悦・高橋信也・坂井俊一・桜井美千代 27のみ 
奥田誠治 全7話担当 31 39 43 45 48 50 52 横田和善 34のみ 早川啓二 36のみ 


題名 アフレコ台本 アルプスの少女 ハイジ  <1話〜52話>

製作:瑞鷹 各50頁ほど 非売品  1974

説明  (参考画像)
テレビアニメ・高畑ハイジの制作用のアフレコ台本
声優がフィルムに声を吹き込むためのもの。各出演者にくばられた。(アフレコ台本・・アフターレコーディング(和製英語)。すでに完成しているフィルムに合わせて声を吹き込む。日本では一般的だが、海外のアニメでは先に声優が演技してあとからフィルムが作られるプレスコ方式が主流。

高畑ハイジ・テレビ版の声優の台本。フィルムに合わせて声を吹き込むため、実際の放送内容と同じもの。
脚本と比較すると高畑監督の演出点・変更点が明らかになり興味深い。

レコーディングは完成したフィルムを見ながら行なうのが通常。しかしテレビ版ハイジは、製作が遅れたため、絵のついていない一本の赤線・青線で登場人物が登場を示す無地のフィルムでレコーディングされるのが当たり前だった。
これは声優にとって過酷な条件だが、後の「世界名作劇場」などでも同様な事態がたびたび発生してしまった。
録音に高畑監督が立ち会うことは少なかったが、宮崎駿によると「だんぜん良くなる」そうである。


題名 アフレコ台本 アルプスの少女 ハイジ  <映画版>

製作:瑞鷹  非売品 1979 

説明
1979年に公開されたテレビ版を短縮して作られた映画版の台本。
ハイジとおじいさん以外の声優は入れ替わっている。
内容はすばる書房の解説ムックに全文が収録されていて参考になる。

構成監督/中尾寿美子 録音監督/千葉耕市 編集/沼崎梅子 製作/高橋茂人
声優 ハイジ/杉山佳寿子 おじいさん/宮内幸平 ペーター/丸山裕子 クララ/潘恵子


題名 AR台本 アルプスの少女 ハイジ -総集編- <上巻><下巻>

製作:瑞鷹 各150頁ほど 非売品 1993 

説明  (参考画像)
アフレコ台本
1993年に高畑ハイジ・テレビ版や映画版とは別に、上下二巻の総集編として再編集された時に新規に録音された時のもの。
出演者のお一人が実際に使用されたものを掲載。お名前は隠してあります。



総 評


 テレビ番組、映画、ビデオ作品の台本・絵コンテを掲載する場合、一般には出回らないはずの品物ですから取り扱いの是非は実はよくわかりません。

 しかし作品を作成するための一次資料ですから成立・内容を理解するためには極めて重要です。
 シナリオ段階で消えてしまった内容はいたるところに見られます。
 これによって、高畑監督の意図を理解する一助となるでしょう。

 またアフレコ台本は完成形を姿を示すものですが、意図していながら最終のフィルムでは充分に表現できなかったものでも、より構想に近い形で残っていることがあります。

 そして当時は問題とならなかった表現が、後に放送に適当でないと判断されたセリフやシーンは現在のDVDなどからは削除されていますが、それらもこれでわかります。

 映画版と総集編は、高畑監督などオリジナルスタッフが関与しておりませんが、これらの相互比較もアフレコ台本上で可能です。

 さらに原作ハイジと高畑ハイジの比較も、多くの事実を把握できる興味深い分野ですが、ここでもアフレコ台本は欠かせない重要資料です。


 絵コンテは脚本を元に、実際の画像を作り出す「作品の設計図」です。

 ここで高畑監督は大きく「手直し」を入れていることが確認されています。
 そして、絵コンテが完成してからようやく、レイアウト、作画、背景の製作に着手できるのです。

 ハイジを作った過程の大きな流れは、(ハイジ以降の名作アニメにも共通の作り方)

企画
 
 
シリーズ構成
本当は脚本家の仕事だが監督も参加
 
シナリオ発注・検討(台本)
高畑監督も台本を書いている。
 
絵コンテ
もともと監督の仕事。高畑監督も書いている
 
レ イ ア ウ ト
(ハイジは宮崎駿が担当)
 
原画
背景
原画・背景チェックも監督の仕事
 
作画監督修正
 
 
動画
 
 
動画チェック
 
 
仕上
 
 
撮出し
 
 
撮 影
 
 
編 集
監督の意向は編集にも伝えられる
 
オールラッシュ
録音打ち合わせ
 
 
アフレコ(アフレコ台本)
監督が立ち会うと録音が俄然良くなる
 
ダビング
 
 
現像
 
 
試写
試写を見て直しが入ることもある。
 
放送
 

 監督は全ての作業に責任をもって関わりますが、特に「赤」の部分が、主に関わる部分のようです。
(参考 アルプスの少女ハイジ展 〜その作り手たちの仕事〜」図録と H・Z様より)


 現在のスタジオ・ジブリが、全作品の絵コンテを出版しているのは、絵コンテが作品制作でもっとも重要な存在であることの証明になるでしょう。

 高畑ハイジ全話のシナリオ・絵コンテのすべては入手できていませんが、研究用に複数の人の手で、ビデオからシナリオを再現する試みが進行中です。


 これらシナリオ等は、世の人の目にふれない非公式資料のはずですが、実際には多くの作品の多くの資料が流出して市場を形成しております。
 絵コンテについても同様です。

 後世に残.る文化財の貴重な製作資料として、ぜひとも瑞鷹様に全資料の出版をお願いしたいです。

2006/12/29 (2007/3/19一部修正)

掲載した資料は、研究者や関係者・出演者からのご提供です。
 ご協力ありがとうございます。

各 話 題 名 と 放送日
 
脚本担当
 
絵コンテ担当
アルムの山へ 1974/01/06 1
吉田
 
  
  
 
 
 
 
(高畑)
おじいさんの山小屋 1974/01/13 2
吉田
 
  
  
 
 
 
 
(高畑)
牧場で 1974/01/20 3
吉田
 
  
  
 
 
 
 
(高畑)
もう一人の家族 1974/01/27 4
吉田
 
  
  
 
 
 
 
(高畑)
燃えた手紙 1974/02/03 5
吉田
  
 
黒田
  
 
 
 
 
ひびけ口笛 1974/02/10 6
吉田
 
 
 
山崎
 
 
 
 
樅の木の音 1974/02/17 7
 
大川
 
 
 
富野
 
 
 
ピッチーよどこへ 1974/02/24 8
 
大川
 
 
山崎
 
 
 
 
白銀のアルム 1974/03/03 9
 
大川
 
黒田
 
 
 
 
 
おばあさんの家へ 1974/03/10 10
 
大川
  
 
 
富野
 
 
 
吹雪の日に 1974/03/17 11
 
大川
 
 
 
 
斉藤
 
  
春の音 1974/03/24 12
吉田
 
 
黒田
 
 
 
 
 
再び牧場へ 1974/03/31 13
吉田
 
 
 
 
富野
 
 
 
悲しいしらせ 1974/04/07 14
吉田
 
 
 
 
富野
 
 
  
ユキちゃん 1974/04/14 15
吉田
 
  
 
 
 
斉藤
 
 
デルフリ村 1974/04/21 16
 
大川
 
黒田
 
 
 
 
 
二人のお客さま 1974/04/28 17
 
大川
 
 
 
 
 
 
池野
離ればなれに 1974/05/05 18
 
大川
  
 
 
富野
 
 
 
フランクフルトへ 1974/05/12 19
 
大川
 
 
山崎
 
 
 
 
新らしい生活 1974/05/19 20
 
 
佐々木
黒田
 
 
 
 
 
自由に飛びたい 1974/05/26 21
 
 
佐々木
  
 
富野
 
 
 
遠いアルム 1974/06/02 22
 
 
佐々木
 
 
 
斉藤
 
 
大騒動 1974/06/09 23
吉田
 
 
 
 
富野
 
 
 
捨てられたミーちゃん 1974/06/16 24
吉田
 
 
黒田
 
 
 
 
 
白パン 1974/06/23 25
吉田
 
 
 
 
 
斉藤
 
 
ゼーゼマンさんのお帰り 1974/06/30 26
 
大川
 
 
 
 
斉藤
 
 
おばあさま 1974/07/07 27
 
 
佐々木
 
 
 
 
 
4者
森へ行こう 1974/07/14 28
 
 
佐々木
 
山崎
 
 
 
 
ふたつのこころ 1974/07/21 29
 
 
佐々木
 
 
富野
 
 
 
お陽さまをつかまえたい 1974/07/28 30
 
 
佐々木
  
 
 
斉藤
 
 
さようならおばあさま 1974/08/04 31
 
 
佐々木
 
 
 
 
奥田
 
あらしの夜 1974/08/11 32
 
 
佐々木
 
山崎
 
 
 
 
ゆうれい騒動 1974/08/18 33
 
 
佐々木
  
 
富野
 
 
 
なつかしの山へ 1974/08/25 34
 
 
佐々木
 
 
 
 
 
横田
アルムの星空 1974/09/01 35
吉田
 
  
黒田
 
 
 
 
 
そして牧場へ 1974/09/08 36
吉田
 
  
 
 
 
 
 
早川
山羊のあかちゃん 1974/09/15 37
 
大川
 
 
 
富野
 
 
 
新しい家で 1974/09/22 38
 
大川
 
 
山崎
 
 
 
 
がんばれペーター 1974/09/29 39
 
大川
 
 
 
 
 
奥田
 
アルムへ行きたい 1974/10/06 40
 
大川
 
 
 
富野
 
 
 
お医者さまの約束 1974/10/13 41
 
 
佐々木
 
山崎
 
 
 
 
クララとの再会 1974/10/20 42
 
 
佐々木
 
 
富野
 
 
 
クララの願い 1974/10/27 43
 
 
佐々木
  
 
 
 
奥田
 
小さな計画 1974/11/03 44
 
 
佐々木
  
 
富野
 
 
 
山の子たち 1974/11/10 45
 
 
佐々木
 
 
 
 
奥田
 
クララのしあわせ 1974/11/17 46
 
 
佐々木
 
 
富野
 
 
 
こんにちはおばあさま 1974/11/24 47
 
 
佐々木
 
山崎
 
 
 
  
小さな希望 1974/12/01 48
 
 
佐々木
 
 
 
 
奥田
 
ひとつの誓い 1974/12/08 49
 
 
佐々木
 
 
富野
 
 
 
立ってごらん 1974/12/15 50
 
 
佐々木
 
 
 
 
奥田
 
クララが歩いた 1974/12/22 51
 
 
佐々木
  
 
富野
 
 
 
また会う日まで 1974/12/29 52
 
 
佐々木
 
 
 
 
奥田
 
担当数
15 14 23 7 8 16 6 7 8