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紹介したい資料(一部未収集のものがあります)

題名 アルプスの少女ハイジ テレビアニメーション(企画のみ 未放送)


演出・鳥居宥之、脚本・城山昇、キャラデザイン・芦田豊雄(デビュー作)
エイケン(旧TCJ)企画 1967 昭和42 

説明  (参考画像)
高畑ハイジの7年前(1967年)に別会社・別スタッフで企画された「ハイジ」
パイロットフィルム(8分)が完成。
放送は実現しなかったが、芦田氏は高畑ハイジを自作より高く評価されている。
エイケンは、アニメ「サザエさん」の制作会社。フジテレビ系列。

8ミリでパイロットフィルムが販売されたり、紙芝居に流用された。画像は8ミリ映画のジャケットより
雑誌「アニメージュ」1981/12のパイロット版フィルム特集の記事が参考になる。



題名 Heidi's Song  劇場用アニメーション


監督 : Robert Taylor ロバート・テイラー  
出演 : Margery Grayマギー・グレイ(ハイジ), Lorne Greeneロイ・グリーン, Sammy Davis Jr.サミー・デイビス・Jrその他
制作 : アメリカ ハンナバーバラ=スタジオ  1987年作品  94分 日本未公開

説明  (参考画像)
「チキチキマシーン猛レース」などを製作した大手アニメーション制作会社の作品。画像はビデオジャケットより
内容は、ハイジを自由に脚色して、よく言えば古典的アニメ風で、リアリティのないドタバタ映画になっている。
フランクフルトでハイジを襲うネズミのボス役に、サミー・デイビス・ジュニアが登場するが、話題づくりのカメオ出演であり意味はほとんどない。

おじいさんが犬を飼っているなど、高畑ハイジをかなり意識しているが、あえてまったく違うアプローチをとったのかもしれない。


題名 (VHS)アルプスの少女ハイジ  世界名作ビデオ絵本シリ−ズ 14


出版社:ウオカ−ズカンパニ− 12分 発行日:1988 価格:920円

説明  (参考画像)
VA80814A Hi-Fiステレオ
非常に短く、作画枚数も極端に少ない中で、全ストーリを紹介したビデオ。内容的には特に言及するべきところはない。

低予算で、数々の悪条件の元での製作のはずだが、視点のアングルをぐるりとまわす難しい一シーンがあり、製作者の意地が感じられた。


題名 ハロ−キティのアルプスの少女ハイジ


監督 : 石川康夫
出演 : 林原めぐみ(ハイジ=キティ) 石森達幸(アルムじいさん) ペーター(高山みなみ) 続編のみ・古田古奈美(クララ)
出版社:サンリオ 30分 発行日:1993/08/21 価格:3301円

説明  (参考画像)
SAVV-149 Hi-Fiステレオ

続編
「ハローキティのアルプスの少女II -クララとの出会い」1994/03/21 30分がある。
SAVV-171 Hi-Fiステレオ

サンリオの積極的な展開により、他のお話を組み合わせた各種国内版、各国にあわせた海外版など、多数の製品がある。


題名 (VHS)ハイジ(アニメ)  GOODTIMES

監督 : Toshiyuki Hiruma Takashi

出版社:日本ビデオ販売 50分 発行日:1995 価格:980円

説明  (参考画像)
FH-010  Hi-Fiステレオ
低価格ビデオ販売で評判をとった作品の一つ。価格のわりにはしっかりした内容。
海外資本製作・制作作業は日本 

北米版DVD $5.95 発売2002/12/03 リージョン 1 (米国、カナダ向け) がある。


題名 (CD-ROM)アルプスの少女ハイジ  デジタル絵本・知育デジタルBOOK

出版社:インテグレイテッド マーケティング コミュニケーションズ 発行日:1996 価格:3800円

説明  (参考画像)
塗り絵やプリントができるパソコンソフト。日本語+英語バイリンガル機能付。動作環境:Macintosh漢字TALK7.5以上対応。WINDOWS:95以上対応。
どこに分類するかまようが、アニメ風の絵柄と若干の動画があるのでこのコーナーに収録。


題名 (VHS)アルプスの少女ハイジ   わくわくどきどき めいさくわ〜るど


監督 :   
出演 : 
制作 : スタジオジュニオ   1999年作品 23分 

説明  (参考画像)
ボニーキャニオン キッズビデオシリーズ APV-2(DMPBV-28) Hi-Fiステレオ 1500円


題名 ハイジとクララ2000  テレビアニメーション(企画のみ 未放送)


監督 :   
出演 : 
制作 : ZUIYO・ACS  2000年

説明  (参考画像)
当初2000年に放送予定。その後2001年後半に延期となり、最終的には実現しなかったようである。
情報がほとんどない。
画像は宣伝用に抽選プレゼントされた2000年のミニカレンダーより。

高畑ハイジの正式なリメイクで、ロケなども行なわれたらしい。中止が惜しまれる。


題名 Heidi  (日本未公開)

監督 : アラン シンプソンAlan Simpson (「ウォータシップダウンのウサギたち」1977のアニメータ)
出演 : Lara Wurmer(ハイジ)、 Sidonie von Krosigk(クララ)、Wolfgang Hess(おじいさん)、Sonya Kraus(デーテ)
制作 : ドイツ Concorde Video 2005年? (編集版?)
分数 : DVD77分 (Brazil:80 min / Germany:86 min ともある)

説明  (参考画像) リンク  リンク2 リンク3 リンク4
4歳以上が対象。画像はドイツ語DVDより。イギリス版もある。
作中で、高畑ハイジドイツ版の主題歌が使われるなど、リメイクを意識している。
コンピュータを利用したアニメ作画だが、細部に荒さが目立つ。
ハイジが夢遊病で屋根にのぼったり、デーテがお金に執着するなど、ストーリはそれなりに考えて作られている。


題名 Heidi  (日本未公開)

制作 : Studio 100 Animation 2015年
分数 : 全39話

説明  (参考画像) 
ドイツ、フランス、ポルトガル、イタリアなど各国で放送されている。
ドイツ版の主題歌はAndreas Gabalier(男性)。高畑ハイジの放映時の主題歌は同じ。
キャラクターのデザインは高畑ハイジそのまま。上記2005年のアニメでの失敗で、イメージの変更がいかに難しいかがわかる。
ビッケやミツバチマーヤ、ニルスなどの1970年代アニメも同様に3Dアニメにされている。

デーテがチネッテの位置におかれて、セバスチャンがデーテに好意をよせて告白するなど、サイドストーリーは新しいものになっている。



総 評


 こうやって高畑ハイジ(1974)以外のアニメーション「ハイジ」を並べて見ていきますと、上記の作品群すべてに高畑ハイジとの関連・影響がみてとれます。

 まずは原作があっての「ハイジ」であり、どれも原作のアニメ化のはずなのですが、高畑ハイジのように原作に真剣に対峙することができず、実質的にほとんどが「高畑ハイジ」の二次制作作品としてとらえてもいいような状況です。


 アニメ作品ではハンナ・バーパラの作品が最も制作費がかけられ、動画枚数も多い丁寧な作品で、ヨーロッパで大ヒット済みのハイジをアメリカで再度制作しようとしたことがうかがえます。

 しかし、高畑ハイジの画期的な「リアルな日常性」や「キャラクターの心の複雑さ」などは、ほとんど考慮されていません。

 いかにも古典的アニメ風ドタバタ劇になってしまい、大人が鑑賞できる作品ではありません。その結果、現在ではほとんど目にふれない作品になっているようです。


 ビデオの短編の多くは高畑ハイジから時間が経過した80-90年代に制作され、高畑ハイジの記憶をなんとか呼び覚まそうとするかのようです。

 唯一関係がなさそうな、1967年のTCJ版ハイジも重要な存在です。

 高畑ハイジのプロデューサー高橋茂人は、当時TCJ企画室に在籍していて、その後に独立してズイヨー映像を設立しており、実は同一人物による企画だったのです。

 京都精華大学の紀要を見ると、この背景が
ずいぶんとはっきりするので、おすすめします。
 紀要では、新「ハイジとクララ 2000」についてもわずかに触れられていて、高畑ハイジでできなかったことをさらに追求しようとしていますので、新シリーズが実現しなかったのは残念なことでした。
 高畑ハイジのイメージが強すぎて、新ハイジの設定に多くのファンが拒否反応を示したといわれています。

 なお、高畑ハイジのもう一つの前身として、「長くつしたのピッピ」(企画のみ)や「バンダコパンダ」が有名です。

 「ピッピ」は原作者リンドグレーンの、アニメ嫌いの先入観によって、スウェーデンにまで交渉にいった宮崎駿を、絵も見ずに門前払いしてしまい、実現しなかったそうです。

 
リンドグレーンは偉大な児童文学者ですが、高畑ハイジのヨーロッパでの成功をどのように感じたでしょうか?
 その後、1997年に原作者の承認のもと、ドイツのプロダクションでピッピはアニメ化されました。
 しかし原作の持ち味をいかせず、魅力の乏しい目立たない作品になってしまい、興行的に失敗しました。


 TCJ版ハイジや、高畑ピッピが実現していたら、高畑ハイジは存在していなかったことを考えるとなかなか興味深いです。
 名作・高畑ハイジにいたるまで、いくつもの分かれ道があったのでした。


 そして高畑ハイジは、その後に児童文学のアニメ化シリーズ・世界名作劇場や日本昔話などに影響が波及し、同時にその後のハイジのアニメ化に大きな制約も与えてしまったようです。


 新ハイジが実現しなかったのも、あまりにも高畑ハイジが成功してしまったからかもしれません。

2005/8/20