実は私は一風変わったマウスピースを使っています。
リムに数本のスジが円形に入っているのです。
ことのおこりは、店(仕事)の帰りに酔って道で寝てしまい、
起きたら20年近く使ってきたマウスピースがなくなっていたことから始まります。
そのマウスピースはリムがサビていて、
それがなんとも具合のよいすべり止めになっていたのです。
新しいマウスピースは全く唇に馴染みませんでした。
そこで、ものは試しと旋盤を使える友人にリムにスジを入れてもらいました。
それをサンドペーパーで磨き調整して使っていると、しばらくして適度なザラつきができ、
なんと半年ぐらいで似たような状態になりました。
やった、というか超ラッキー!です。もちろんすぐ予備を5本ぐらい作りました。
たとえば靴を買う時自分の足のサイズに合わせように、
マウスピースを選ぶときは、自分の口のサイズや歯の形状に合わせて選ぶべきなのに、
ジャズ向きということで小さ過ぎたり、
ハイトーンが出やすいということで浅さ過ぎるマウスピースを選ぶ人がいるようです。
自分の口のサイズに合い、フレキシビリティが得られ、
一貫してハリのある音色が出せる、それが一番重要なことだと思います。
いくらハイトーンが出ても、音に魅力が無かったら意味がない。
要はどうやったら自分の音が得られるのかだと思います。
たとえるのはおこがましい限りですが、
サッチモも唇が滑るのを嫌って釘でマウスピースにキズを付けたという話を読んだことがあります。
自分の考えで自分に合ったものを選ぶ、無ければ自分で作る、
既成のもに頼らない、簡単なようで難しいことかもしれませんが、
それもジャズの一環ではないでしょうか。
唇が痛くないですか、とよく聞かれますが、
痛いどころかヌルヌル感がなくて、口が疲れません。第一、
「スジの通ったマウスピース選び」というダジャレにぴったりでもありますし。
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