ボストン浮世絵展  11/28
 江戸東京博物館へ「ボストン美術館浮世絵名品展」を見に行きました。鈴木春信に先立つ初期の作家から、国芳など江戸末期までの浮世絵の数々が展示されていて、浮世絵についてひと通りの歴史を概観できます。
 個人的にはやっぱり北斎、広重が好きなんですよねえ。見たときに心に訴えかけてくるものが違う。表現が違う。もちろん他にも素晴らしいものはたくさんありました。気に入ったものもいくつかあったけど、こういうのは絵はがきになっていないだろうと思いました。僕の好みはいつもそうなのです。案の定、全滅。んー、がっかり。
 予想外にうれしかったのは、広重の版画の下絵があったこと。筆遣いがわかるから、まるで今も広重が生きているような気がしました。要するにデッサンですからね。こういうの、大好きなんです。
 当たり前の話ですが、こういう画家たちは筆を持たせると、手の先から自然に人の形が現れてくるのだということが、下絵を見ていてよくわかりました。後ろ姿も横向きも、歩いている姿もたたずんでいる姿も。三流画家だと「馴れ」に陥ってしまうのでしょうが、一流は高いレベルで保ちながら、的確な線で描ききるわけです。

変わり行く銀座  11/25
 きのう、家族で久しぶりに(私の報告には「久しぶり」がやたら多い)銀座へ行きました。昼食はお米ギャラリーで、と思っていたら、歩いていても見つからない。あれぇ、確かこの辺なのに……。ケータイのインターネットで調べたら、出てきませんでした。いつの間にかなくなっていたのです。メインの通りには、外国のブランドの店がどんどん増えていて、景観が大きく様変わりしています。銀座は(有楽町も)激しく変化していますね。
 私たち家族のお目当ては、教文館と伊東屋。教文館では今クリスマスグッズや本を売っているのですよ。その辺のお店と違って、ドイツやイタリアなど本場から輸入したオーナメントやカードなど、素晴らしいものがたくさんあります。本もほしいものがいっぱい。結局ほとんど何も買わずに終わったのですが、見ているだけで楽しくて、日本の商業主義的クリスマスとはひと味違った雰囲気を味わうことができました。 いくら変化が激しいからといって、まさか教文館が銀座から消えてなくなることがありませんように。
 ところで気がついたこと。銀座四丁目交差点の交番にいる警官と松屋の店員は、人数が多すぎます。暇を持てあましてそうな様子でした。

久しぶりの献血  11/22
 昨日、新宿で会合があり、ぼくは早めについたので、待ち時間に本屋でもよろうかと思って歩いていたら、献血の看板を見かけました。どの血液型もピンチ、と書かれています。
 若い頃はしょっちゅう献血をしていて、トータルで30回は超えているのだけれど、ここ数年やっていませんでした。久しぶりだし、時間もあるからやることにしました。もちろん献血手帳は自宅に置いてきて、持っていません。受付で前回の献血がいつだったか聞かれ、「ずいぶん前です。10年近くかなあ」と答えたのですが、
名前や住所などを記入したら、コンピュータで7年前だという記録が出てきました。ほー、すごいもんだ。
 その後、指示に従って問診を受けたり検査を受けたりしましたが、献血手帳がカードに変わったことや、献血のベッドにテレビがついていたことなど、昔とは変わったところがあれこれありました。そんな変化にもちょっと驚きましたが、もう一つ驚いたのは、若い人たち、特に女性の献血者が多かったことです。こういう人たちが増えてくれれば社会は良くなる。というか、まだまだ日本も捨てたもんじゃないのですよね。
 でも、「エイズの検査目的で献血を利用するのはやめましょう」というポスターも、壁に貼ってありましたね。あそこに来ていた人たちがそうでないことを祈って。

ウェットではない感動  11/21
 おととい紹介した4回連続のドキュメンタリー「クワイアボーイズ」を全部見終えました。久しぶりに良質な感動を体験できる番組でした。合唱することがこんなにも楽しいということ、その体験を通して若者がこんなに成長すること、それが実現したのが一人の若い指揮者の情熱であること――多くのことを教えられました。見ていて、こちらも生徒や先生たちと一緒にその場にいるような気になりました。いつの間にか自分も歌を口ずさんでいるし(Stand By Me)、体が自然に動いているのです。
 アルバートホールでの演奏はほんとうに感動的でしたが、その感動の質が日本のものとは違っていることも感じました。日本だったら、きっと最後は涙、涙だろうなと思うのです。それはもちろんいいことだし真実なんだけれど、イギリスの人たちにはもう少しカラッとした喜びが溢れていました。最後の先生とのお別れも同様で、それは番組の作り方にも現れていました。
 日本の、特に民放の、押しつけがましい感動もの番組に辟易している僕としては、こういうさらりとしたさわやかな、それでいて深い感動を味わえたのは、まるで血液サラサラになったような爽快感でした。

少年合唱隊のドキュメンタリー  11/19
 NHK BS1で、イギリス制作の面白いドキュメンタリーを放映しています。ランカスター校という名門男子校で結成された少年合唱隊の話です。月曜日から4日連続でやっているので、まだ見てない人は今日明日の後半2回だけでもぜひどうぞ。21:10-22:00。
 この学校には昔は聖歌隊もあったのですが、いつの間にか消えてしまい、歌声が聞かれなくなってしまいました。歌なんて女の子のすることさ、というのがほとんどの生徒の気持ち。そんな学校へ、9か月の契約で若い男性指揮者がやってきて(イケメンなんですよ、これが)合唱隊を作り、最後にはアルバートホールで公演をするまでになったわけです。
 私たちの人生に音楽がどれほど大きな価値を持つか、
教育とは何か、といったことを見ていて考えさせられます。特にぼくは、この若い教師が様々な障害にぶつかって、時にめげそうになりながらも、果敢に乗り越えようとしていく姿に感動しています。登場する若者たちには日本やアメリカの若者たちとの共通点も見られるし、一方でそれぞれの文化の違いから来る考えや行動の違いもわかって、なかなか興味深いものがあります。
 合唱隊の活動は、このあとどんな展開を見せるのか?

いくつになっても歯が命  11/14
 半年ぶりに歯医者に行きました。定期検診とフッ素の塗布です。 幸い歯周病はこれまでのところまったくなくて、虫歯もここ数年はありません。昔は歯医者は一度通い始めると区切りがつくまで数ヶ月かかったものですが、最近は少ない回数ですませられるようになりました。
 そのわけは、
中年を過ぎてようやく正しい歯のケアができるようになったからです。子どもの頃から結婚前までは実にいいかげんなもので(健康維持には生活習慣が大切ということがわかるのもずっと後のこと)、おかげで文字どおり痛い目にあったのです。これじゃいけないと思って一所懸命磨き始めたら、今度は磨きすぎでいい歯を削っていたという失敗もしました。ただ歯を磨いてればいいというものではないのです。
 ぼくは何事につけ手遅れになってから始めるという悪い癖があるのですが(ビージーズの曲の歌詞に "I used to start where everybody ends." というのがあるのですが、あれはまさにぼくのことを歌っている)、気づいた日が僕の吉日。Better late than never. おかげで今は、平和で健康なデンタルライフ(そんな言い方あるのかな)を送っています。

世界中に米大統領の選挙権を  11/6
 オバマ当選のニュースは、テレビでも新聞でも、麻生さんが総理になったときよりはるかに大きく取り上げられています。自国のリーダーより海の向こうのリーダーの方がはるかに重要で、私たちに大きな影響を与えると言うことなのですね。
 
ブッシュは、僕が生まれてから見てきたアメリカ大統領の中で最悪のリーダーだったと思います。やっとその悪夢が終わりを告げると思うと、少しだけほっとします。
 
オバマ当選が決まったあとの各国首脳のコメントを聞いていても、それこそChange に期待している様子がありありとうかがえるから、ブッシュの嫌われ方は並大抵ではなかったことがよくわかります。北朝鮮でさえ、オバマ当選を喜んでいるだろうと言うのが笑えます。
 でもそんなブッシュが8年間も続いたのは、それを指示する人たち(
自分たちだけが正しいと信じ込んで、自分たちの利益しか考えない人たち)がアメリカにかなりの割合でいると言うことであり、今回負けたからと言って激減するわけではないでしょう。
 米大統領の影響の大きさを考えたら、これからは選挙権を全世界の民に与えた方が、世界はずっとよくなるんじゃないでしょうか。

表現には人柄が出る  11/3
 教会のMさんという年輩の女性は油絵をやっていらっしゃいます。3年ごとにグループ展を開いているのですが、今年がちょうど開催年でした。10月に開かれた展覧会にぼくは時間がとれなくて見に行けず、申し訳ないことをしてしまいました。
 そしたら、きのう作品の写真を見せてくださいました。風景や静物を全部で7点。しばらくの間、展覧会やMさんの作品や絵の話をいろいろしました。
 表現活動というのはもろに作者の人柄が出てしまうものですが、
Mさんの絵も、人柄そのままです。落ち着きがあって、忍耐があって、穏やかで、ていねいで、飾らなくて。年を重ねていくときに、こういう趣味を持てるのはやはり素晴らしいことだと、改めて思うのです。
 女子美付属高校の校長をされていた入江観先生が、4年前のオープンキャンパスで「何歳になっても絵を描き続けることは、人生に喜びをもたらします」とおっしゃっていましたが、Mさんはそれを体現されている人だと思いました。
 ぼくの描く絵も書く言葉も、もろぼくそのものです。うーん、ジタバタすまい。

越前おろし蕎麦  11/1
 さて、郷土自慢です。
 
1週間ほど前だったか、NHKで蕎麦の特集番組をやっていました。蕎麦大好きのぼくはしっかり見ました。
 その中で、日本の代表的な蕎麦が5種目紹介されたのですが、その時、福井の越前
おろし蕎麦が出るんじゃないかと予想しました。あんなにおいしいものを紹介しなかったらウソだよ。
 当たりましたよ。ちゃんと紹介されました。他には岩手のわんこ蕎麦、島根のなんとか蕎麦……ごめんなさい、全部覚えていない(ご当地の人たちに怒られそう)。
 なんと番組の司会をしていた松本和也アナウンサーが「私は福井にいたことがあるので、これ食べたことあるんですが、冷やし蕎麦だけど、おろしで体が温まるんですよ」と言ってました。へぇー、松本さん、福井にいたことあるのか。
 と、それはおいといて、とにかく当サイトでもしつこいくらい何度もお伝えしてますが、越前おろし蕎麦はおいしいので、ぜひお寄りの際はご賞味ください。駅の立ち食いが絶品です。これで350円ですからね。もったいぶっていないところが、素朴な福井らしくていい。
 食べ方としては邪道かも知れないけれど、出汁がまたおいしいから、残さず食べてね。……こんなこと書いてたら、また食べたくなってきました。

10月の「ごあいさつごあいさつ」