タカからトンビが 4/30
先週末3日間、私用で家族全員、福井に帰っていました。
妻の実家は山の中。気持ちのいい朝、空ではトンビがのーんびり風に乗って回っていました。久しぶりに聞くその声が実にのどかなのです。
中2の娘はそれを聞いて「トンビからタカが生まれる」という言葉は良くない、と言いました。この言葉は平凡な親から優れた子供が生まれるという意味で、トンビが凡庸さ、タカが優秀性を表しています。タカのようであることがいいことだ、という前提があるわけですね。でもトンビのあののんびりした様子って、確かにもう一度ぼくたちの生活に取り戻した方がいいような気がします。
最近、アメリカでもどこでも、やたらタカ派的な生き方だけがいいと思われる世の中なんて、やっぱり変ですよ。「タカからトンビが生まれる」がほめ言葉になる時代にしたいものです。
講演会やら映画やら 4/24
昨日(23日)、教文館主催の「本づくりの舞台裏」という講演会に行きました。第4回目の講師は、福音館書店で科学絵本を数多く世に送り出した大和茂夫氏。これまた刺激に満ちたおもしろい内容でした。この方が編集した本でぼくが好きなものとしては『冒険図鑑』や『今森光彦 昆虫記』がありますが、制作過程を知るとまた感動が深まります。おもしろかったコメントは、博物館を訪れるとき、絵本を見る目で眺めると、善し悪しが分かるということ。なるほどと思いました。
22日、『戦場のピアニスト』を見てきました。カンヌ映画祭パルムドールやアカデミー賞監督賞・主演男優賞もとった作品だというのに、近くの劇場では、今週で上映が終わっちゃうんですよ。まあ、内容がシリアスだからあまり客は入らないかも知れない。この日も日中に行ったらガラガラ。おかげでいい席で見ることができました。
でも、これはすばらしい映画です。日を改めて、ぜひ感想をこのサイトに書きたいと思います。
ところで、つい先ごろ、ぼくがカバーデザインをした『らくらく視覚障害生活マニュアル』が発行されました。こちらは、医学専門出版社の本なので、大きな書店でないと見られないかも知れません。でも皆さんに読んでいただきたい本です。
「ニュースですよ」で紹介してます。
曽我ひとみさんは詩人 4/16
北朝鮮の拉致被害者5人の方が帰国してから半年たったということで、先日それぞれの方が記者会見をしていました。
そのひとり、曽我ひとみさんが現在の思いを述べていましたが、聞いていて心打たれました。前々から感じていたのですが、この方は詩人だと思います。
この表現は誤解されそうなので、ちょっと説明しますと、「言葉を、生きてゆくために欠かせないものとして用いている」という意味で、詩人だということです。言葉に力があるのです。半年前に帰国した際、ふるさとへの思いを語っていましたが、その時もぼくは同じようなことを感じ、今またその思いを強くしました。本物の詩はこういうものなのだろうと。
話し方はとつとつとしているのですが、曽我さんのこれまでの歩みが、語られる言葉一つ一つに生命を与えていて、おそらく他の誰が読むよりも、聴く人の心を揺さぶるような気がします。
家族が離ればなれになって連絡も取れないという過酷な状況は、想像しても胸がつぶれそうになります。イラク戦争で世間のやや関心が薄れてしまっているような感じですが、これも一日も早く解決に向かうことを祈りたいと思います。
インターネットのこわさ 4/14
先日、債権回収詐欺メールが送られてきましたが、幸いその後何もなく、被害は発生していません。ぼくはこれを機会にスパムに興味を持ち、いくつかのサイトを調べてみました。いろんなスパムやトラブルがあるのだということがよくわかりました。
インターネットの便利さはここで改めて力説するまでもないことだし、ぼく自身今ではこれなしでは仕事も生活もやっていけません。しかしその便利さは常に危険と隣り合わせであることも事実です。普段それに気づかずに過ごしているだけのことです。
スパム関係のサイトでは、先日Toshi Talks で紹介した「変なメールが来たら」もお薦めですが、「ネット被害対策室」も様々な事例とともにきめ細かい対応が掲載されていて、たいへん役に立ちます。まだ被害にあったことのない人も、予防のために、一度ご覧ください。
しかし、こういうことを深く考えていくと、気が滅入ってきます。気にしすぎては何もできません。それはちょうど、家庭医学書を読んでいると、どの病気も自分にあてはまるように思えてしまうのに似ています。まっとうな生活をしていれば、まずは大丈夫。これを心に留めておきましょう。もちろん、それでも犯罪に巻き込まれることがあるのが今の世の中ですが、対処するときの気持ちはずいぶん違うでしょう。
イラクはどうなるのだろう? 4/10
フセイン政権が崩壊しました。サハフ情報相も、ぼくがスケッチをしたあと2日もたたないうちに、テレビに姿を見せなくなりました。彼がいなくなったこととスケッチに因果関係は全くないのだけど、感慨深いものがありました。
ブッシュ大統領は、フセイン銅像が引き倒される映像をテレビで見て、"We
got it down." と満足げだったそうです。アメリカ映画なら、このセリフをラストシーンに持ってきて、インディアナ・ジョーンズばりの勇ましいテーマ曲が流れて、ハッピーエンドというところでしょう。
そういえば、先日テレビで『インディアナ・ジョーンズ魔宮の伝説』が放映されてましたね。インドで虐げられている人々をアメリカ人のヒーローが救って解放するというお話。アメリカはまさにあれを地でいったわけです。この辺、岩波新書の『デモクラシーの帝国』(藤原帰一著)に興味深い分析がありますから、ぜひお読みください。
映画や小説には一応の終わりがあります。でも現実はそうではない。すべてが連続しています。これからがたいへんだろうというのは、ぼくたち素人にでも十分に推測できます。イラクもたいへん、アメリカもたいへん、世界がみんなたいへんです。少しでも良い方向に進みますように。
え、ほんと? 松井の満塁ホームラン 4/9
今朝、インターネットでニュースをチェックしたら、夢みたいな見出しが。脚本ができすぎですよ、松井選手のメジャー第1号満塁ホームラン。
これがフィクションなら、リアリティーがなくて笑われるよ、というスーパープレイがスポーツ界では時々おこります。今日の松井選手がまさにそう。そういうことをやれるのが超一流アスリートの証なんでしょうね。ぼくのようなど素人には想像もつかない世界です。
毎日イラク戦争ばかり(そうでなければ、新型肺炎に北朝鮮問題)の暗いニュースの中で、希望を与え続ける選手の一人です。今だけじゃない。特に9.11テロ以降、世界はほんとうに殺伐たるニュースばかりが続いていて、その中で、イチローといい、W杯の日本代表といい、スポーツ選手たちが気を吐いて、滅入った気分を吹き飛ばしてくれているような気がします。そしてぼくたちは心のどこかで切実にそれを望んでいるような所があります。
昨日、へんなメールが届きました(Toshi Talks「よもやま」(15)
参照)。皆さんも気をつけてください。
今、いろんなところで人々の精神が恐ろしくすさんでいるような気がします。そんな中で、今日の満塁ホームランは、元気になれるニュース。うん、がんばれそう。
床屋で 4/4
ぼくが月1回、息子と一緒に行く床屋は格安のお店。安いのはいいけど仕事がテキトーで、終わったあとは服の中に髪の毛がたーくさん入っています。今日、その店でおかしいことがありました。
ぼくたちが待っている時、散髪を終えた70歳前後のおじいさん、レジ前でジャンパーやズボンのポケットを一生懸命さぐっているんだけど、どうやら財布が見つからいような様子。動きが鈍く言葉もはっきりしなくて、店の人も不安げに見つめてました。おじいさんは電話を貸してもらって、うちの人に財布を持ってきてもらうよう頼み、しばらく待っていました。
ところがしばらくしたら、その人はふと気がついたらしいのです。コートかけから別の人のジャンパーをとって着ていたのだと。「ほんとにそれがお客さんのですね?」と店の人が念を押します。ポケットにはたまたま運転免許証も入っていて、本人のものに違いないことがわかり、一件落着。
でも、そのおじいさん、他にもそういうことやってるんじゃないかなあ。それに、ふと思うんだけど、その人の運転、大丈夫?
店のおばちゃんはおばちゃんで、4月から5年生の息子に向かって「お手々出しちゃダメでちゅよー。はい、ネンネ、ネンネ」と言ってるし。なんだか、すごい店なんです、ここ。
3月の「ごあいさつごあいさつ」
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