詰将棋おもちゃ箱くるくるおもちゃ箱

くるくる展示室 No.509 シナトラさん

くるくるおもちゃ箱
くるくるおもちゃ箱

棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
変化とばし推奨 50手台
くるくるおもちゃ箱ではやさしく楽しい趣向詰を出題

くるくる展示室No.509 シナトラ

いろいろな繰り返し手順が楽しい趣向詰。 趣向詰は長編になることが多く、本格的な序や収束をつける作品も多いのですが、そのため初級者にはとっつきにくくなっている面があります。 くるくるおもちゃ箱では、なるべく趣向そのものにフォーカスして、変化紛れも最小限に、様々な趣向を楽しむことを目的としています。

初形で右上の2枚の馬が気になります。 斜めに送る趣向の雰囲気ですが、そのためには玉を対角線上に呼ぶことが必要。 感のいい方なら、玉を44に呼んで33銀から銀追いかなと気づくかもしれません。 そのためには、74と、54玉、44と、同玉となれば銀追いが始められますね。

74と寄か74と引か。 74とに55玉や65玉は。 44とに55玉や65玉は。 いろいろ悩ましいですが、くるくるでは解答者をひっかける作品はまずないので、趣向に入れれば、多分それが作意ということで、出題コメントの通り、変化とばし推奨です。 気になる方は棋譜ファイルでご確認ください。 74と寄か引かもとりあえず保留して先に進めれば、あとで74と寄では76から85に逃げられて失敗とわかって74と引と決まる、という感じで進めましょう。

  74と引、54玉、44と、同玉、

さあ、ここからは銀追い趣向が始まります。 33銀不成に55玉はとか、ここもいろいろ変化がありますが、作者を信じて趣向手順を進めましょう。

  33銀不成、55玉、44銀不成、66玉、55銀、77玉、66銀、88玉、
  77銀、99玉、88銀、98玉、

銀追いも終わって、そろそろ収束かと思いきや、うまい手で局面を転換して、折り返しの趣向が始まります。

  89馬、同玉、79金、98玉、87銀、同玉、

ここからは金の斜め追い趣向。

  88金、76玉、77金、65玉、66金、54玉、55金、43玉、
  44金、32玉、33金、41玉、

今度こそ収束かと思いきや、再び局面を転換して、さらに趣向が始まります。

  51銀成、同玉、42金、同玉、62飛、53玉、63と、54玉、
  52飛成、65玉、

最後はおなじみの龍追い趣向で、そのまま収束します。

  55龍、76玉、66龍、87玉、77龍、98玉、88龍 まで51手

作者「3つの趣向を足し算してみました。 どの部品も古典的ですが、3つかき集めて何とか新作というつもりです。」

斜めの金追い、龍追いはよく見る趣向ですが、斜めの銀引き追いは作例が少なく、ちょっと新鮮ですね。 銀追い、金追い、龍追いの3種の趣向による斜め1往復半の楽しい旅路でした。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

蛇塚の坂本さん:
何と言う作品だ。 最初4三との陰で玉が逃げ延びる事考えたが、とを捨て2二の銀が移動には驚いた??? しかも玉が5一まで戻って今度は龍が9九まで追い回すとは? 此れはスゴイの一言?
たくぼんさん:
変化は読まず協力詰を解く要領で解けました。 本当に気持ちよいくるくる趣向でした
山下誠さん:
銀から金、金から龍とスムーズにバトンタッチして隅に追い込む楽しい手順。
松崎一郎さん:
11と99を結ぶ対角線上を玉を追いかけ下る銀、次に追いかけ上る金、そして最後は竜が追いかけ下って雪隠詰。 銀、金、竜の見事なリレー、変化とばしで楽しめました。
川越敏司さん:
銀追い、金追い、そして龍追いと選手を交代しながら、玉を追い詰めていく手順、お見事です。
小山邦明さん:
17手目の馬捨や37手目の金捨の好手も入り、銀、金、龍、玉の斜め移動が楽しめました
森田正さん:
玉の追い回し主体が銀、金、龍と切り替わり、楽しめた。
おかもとさん:
伝九代宗桂図式の41番をくるくる風にモダンにした快作。

伝九代宗桂図式の41番は斜め銀引き追いから金追いで折り返す、本作に近い構成の作品。 伝えられる図では不詰で作意不明でしたが、おかもとさんが原図、作意を推定しました。

おもしろい図で、昨年猫田いわしさんが改作案を発表しています。

池田俊哉さん:
銀押し→金追い→龍追いの一往復半。 たしかに序の変化はやっかいだが趣向に入ってからはスピード感が味わえる
ootanowatasi67さん:
銀、金、龍の動き、お見事。
占魚亭さん:
行きは銀、帰りは金、トドメは龍。不動の馬の睨みを活かす。
西澤叶祐さん:
今日(4/30)の23時まで粘りましたが解けなかったので将棋ソフトを使って確認させていただきました。 銀で玉を左下に追いやった後、金で右上に戻し、最後は竜で再び左下に押し込む一連の流れが面白かったです。 途中の短い手数で詰む順をある程度無理なく見つけられないと長い手数の詰将棋を自力で理解することは難しいのだと強く感じました!

作意を想像できるようになると、変化とばしができ、長手数でも解きやすくなります。


くるくる展示室No.509 解答:12名 全員正解

  池田俊哉さん  ootanowatasi67さん  おかもとさん  川越敏司さん
  小山邦明さん  占魚亭さん  たくぼんさん  西澤叶祐さん
  蛇塚の坂本さん  松崎一郎さん  森田正さん  山下誠さん

当選者は、展示室で発表しています。