78の飛を動かして空き王手するしかない形。
飛の行き先は縦横で16通りありますが、さてどこに動かしましょうか。
受方は持駒なしなので、72飛成で51歩成の空き王手を狙うか、あるいは18飛として23歩成、同銀、15飛を狙うか。 11玉と逃げられると、12歩は打歩詰なので12角成と捨てざるを得ず、いずれの順も角合をされてだめそうです。
ほかに行っても同じように見えますが、一か所だけ状況が変わる場所があります。
それは76飛。
87角の利きを止めるので、11玉に12歩が打歩詰にならないのです。
12歩、21玉に飛を動かして空き王手すれば詰みですから、76飛に対しては11玉でなく21玉と逃げるのが正解です。
それから72飛成や16飛とすれば? これは11玉で先ほどと同じこと。 詰みません。 今度も飛の行き先は16通りありますが、打歩詰を避けられるのは89角の利きを止められるところだけ。
78飛では元に戻ってしまうので56飛が正解です。
76飛、21玉、56飛、11玉、12歩、同玉、
飛が78から56にワープしました。 といっても、52飛成とは行けませんし、状況はあまり変わっていないようにも見えますね。 まだ1歩持っているので、もう1回飛をワープさせてみましょう。
54飛、21玉、34飛、11玉、12歩、同玉、
飛は33にも24にも行けず、困ったようですが、実はここから3手詰!
23歩成、同銀、14飛 まで15手
23銀は89角でピンされて動けず、合駒は歩しかなく、二歩で打てないので、これで詰みです。
馬ノコは江戸時代から作られていますが、馬ノコと同等な趣向を、2枚の角を並べて飛の空き王手でノコ引きすることで実現する趣向も、また、
図巧43番(「飛車鋸引きの第1号」 伊藤看寿
(詰将棋博物館BLOG)) で作られています。
この空き王手型のノコ引き趣向は、古図式では飛ノコのこれ1作だけで、その後、銀、金、角、玉のノコも作られています。
これまでの作品はすべて、角(馬)2枚または飛(龍)2枚を隣接した筋に利かせていますが、
飛ノコの場合には角を離れた筋に利かせても可能なのではないか、という発想が本作創作の原点でした。
打歩詰回避の飛の限定移動が続くダイナミックな大飛ノコ、お楽しみいただけたでしょうか。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 角道を遮りながら、飛車のジグザグ走行が愉快なドライブ。
- 占魚亭さん:
- バッテリーを開いて閉じる飛の移動。 鮮やかなピンメイトも見事。
- S.Kimuraさん:
- 不要そうに見える31,41,52の歩も大事なのですね.
飛で縦横から攻める余詰筋があるので、その防止に苦労しました。
できるだけ軽い配置で成立させたつもりです。
- 蛇塚の坂本さん:
- 飛で角道を遮断しながら進んで行くところがカッコいい。
- 長谷繁蔵さん:
- 11と逃げられて困った。 76飛を見つけて解決。 手順書きたくなる作。
- 小山邦明さん:
- 打歩詰の打開のため、角道を飛で止めながら相手玉に接近させる発想は面白い。
- 鎌倉にしんさん:
- 打ち歩詰めを回避するための飛車移動の軌跡が面白いですね
なんで3三は玉なんだろうと考えたら、金だと捨てる筋があって早詰めなんですね。
こういう玉の使い方があることは知りませんでした
初解答ありがとうございます。
33の駒は最初は金で作り始めたのですが、余詰防ぎで駒数が増えてしまうので玉にしてすっきりさせました。
- ハマGさん:
- 角を隠す一間トビが軽やか
- ぬさん:
- 打歩詰回避のために利きを止めるという地味に高級な手筋。
- Pathfinderさん:
- 打歩詰を利用した驚愕手順。 最終手も気持ち良いです。
- 池田俊哉さん:
- 打歩回避で角道を止めながらの大飛鋸。 14飛まででまとめたのも英断か
- 攻めダルマンさん:
- 面白い飛車の動きですね。
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