さて、今度は一見して斜め送り趣向の形。 持駒は豊富ですが、34歩を取られてはだめなので、初手は33金打の一手。 これに対し53玉では43金打と打ち込めば44のと金が取れるので簡単。
54玉が正解です。
次も45歩を取られないために44金と打ちたいのですが、と金がガードしています。 そこで、まず55銀と捨てて、と金を動かします(45玉なら46金まで)。
これで44金が打てるようになりました。 なんとなく趣向が見えてきましたね。
33金、54玉、55銀、同と、
44金、65玉、66銀、同と、
55金、76玉、77銀、同と、
66金、87玉、88銀、同と、
同と、86玉、
持駒の金銀を使い果たしてしまいましたが、大丈夫なんでしょうか。
はい、大丈夫。 実はこれまでの趣向は、次に向けた舞台づくりでもあったのです。
4枚打った金を捌きながらの復路の趣向の始まりです。
76金、同玉、77と、75玉、
65金、同玉、66と、64玉、
54金、同玉、55と、53玉、
43金、同玉、44と、42玉、
一度は入玉したのを自陣まで追い戻して、ここからは収束に入ります。
33歩成、31玉、32歩、21玉、11香成、同玉、13香、21玉、
12香成、同玉、23歩成、21玉、22と まで47手
暗算で解いた方は、手順を並べて、詰上りを確認してみてください。
なんと、豆腐(と金と歩)18枚の詰上り(歩の一色詰)。 金や銀、桂の一色詰はよくみますが、歩の一色詰は記憶になく、もしかしたら初めてでしょうか。
*たま研で聞いてみたら、巨椋鴻之介さんの「観兵式」(近代将棋1980年6月))や菅野さんの「卯の花」(詰パラ2012年5月)があるとのこと。
振り返って、初形の盤面は豆腐18枚香4枚の京都府図式、持駒が金銀8枚の金持図式と、軽快な往復趣向にとどまらず、初形から詰上りまで遊び心満載。 これが菅野さんの世界です。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 往きに留めた鎹を、抜きながら帰るという意味でしょうか?
- 小山邦明さん:
- きれいな手順の持駒趣向
- 嵐田保夫さん:
- 五月雨式に金を捌いて最後はと金で締めるあたりは手慣れた手順。
- 蛇塚の坂本さん:
- 銀と金が綺麗に捌けしかも歩とと金だけこういう綺麗な収束も有るものだなあ。と思いました。
- ぬさん:
- 京都府が豆腐に。
- 長谷繁蔵さん:
- 詰上り歩18枚。
- S.Kimuraさん:
- どの辺りが「かすがい」なのかが分かりませんでした.
- 占魚亭さん:
- 京都府(香と歩)が豆腐(と歩)に。
- 名無し名人さん:
- 京都府図式…春日井は愛知県だったような。
- 隅の老人Bさん:
- 持駒趣向の小駒図で始まり、詰上がりは豆腐図式。
難なく詰んで、これは楽しい。
- 池田俊哉さん:
- 銀捨て金打で追い、金捨てと金追いで戻す。
金銀香歩全駒+持駒趣向から歩全駒の詰めあがりと言う趣向も良い
- やまかんさん:
- 金の再活用味よし。
- 秀和歌さん:
- 金銀をすべて捨てて詰め上がり歩のみ。2手目53玉は43金打で捕まるんですね。
- やぶいりさん:
- 題名は「とはかすがい」の意味ではないですよね。
題名の「かすがい」、豆腐に鎹から来ているのかな。 頑丈そうな金の鎹もすぐ抜けてしまうからでしょうか。
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