作者 「解かなくても詰上りがわかるかも(笑)。」
この形、趣向詰に詳しい人なら、「あー、これは連取りだな。最後に香を取って収束だな。」と見当がつくところ。 香が入手できれば、87飛、76玉、77香までの詰上りも勘のいい人なら想像できそうです。
でも、どうやって5段目の歩を取るの?というのが本作の問題。
最初は86とから84飛と入るしかなさそう。 84飛に逃げ方がいろいろあります。
- 95玉は85飛まで
- 75玉、85飛、74玉、65飛
- 75玉、85飛、76玉、77歩、同玉、87飛、76玉、77歩、75玉、85飛、74玉、65飛
- 76玉、77歩、同玉、87飛、76玉、77歩、75玉、85飛、74玉、65飛
- 77玉、87飛、76玉、77歩、75玉、85飛、74玉、65飛
95玉以外はいずれも似たような順で65の歩が取れますが、75玉、85飛、76玉と逃げるのが一番長いので、これが正解です。
86と、同玉、84飛、75玉、85飛、76玉、77歩、同玉、 87飛、76玉、77歩、75玉、85飛、74玉、
さて、ここで65飛に84玉と逃げてくれれば、85飛、74玉、55飛と次々に歩を連取りすることができますが、これではとても100手はいきませんね。
65飛に対しては、85金と捨て合する手が妙防。 同角、84玉となれば角を呼んだ効果で85飛とできません。 しかし、金が手に入ったので、95金、同玉、96角、86玉、85飛と、最初と同じルートに戻すことができるのです(96角に75合は金しかないので同飛、同香、85金まで)。
65飛、85金合、同角、84玉、95金、同玉、96角、86玉、
85飛、77玉、87飛、76玉、77歩、75玉、85飛、74玉、
これで65歩が消えただけで、他はさっきと同じ局面になりました。 どんどん歩を取っていきましょう。
55飛、85金合、同角、84玉、95金、同玉、96角、86玉、
85飛、77玉、87飛、76玉、77歩、75玉、85飛、74玉、
45飛、85金合、同角、84玉、95金、同玉、96角、86玉、
85飛、77玉、87飛、76玉、77歩、75玉、85飛、74玉、
35飛、85金合、同角、84玉、95金、同玉、96角、86玉、
85飛、77玉、87飛、76玉、77歩、75玉、85飛、74玉、
25飛、85金合、同角、84玉、95金、同玉、96角、86玉、
85飛、77玉、87飛、76玉、77歩、75玉、85飛、74玉、
15飛、85金合、同角、84玉、95金、同玉、96角、86玉、
85飛、77玉、87飛、76玉、77香 まで107手
香を取れれば、予定通り77香までの詰上り。 序を入れたのは還元玉にするためだと思いますが、そこで間違えて?77香まで105手の解答が3名と、ちょっと罪作りだったかも。
ほとんど解けているので甘くみて正解として扱いました。
連取りとしては最も古くから作られている空王手で並んでいる駒を取るパターンです(ほかに遠打で取りに行く、ノコ引きで取りに行くなどのパターンがあります)。
空王手型の連取りは、空王手で駒を取る手と取ったあと戻る手以外は自由に構成できるので、いろいろな連取り趣向が創作されています。 本作は作者お得意の合駒を組み込んで、空王手の根元の角を動かし、更に縦の飛の運動も入れて、躍動感あふれる連取り趣向になりました。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 小山邦明さん:
- 将棋盤の横を長くできれば、更に長手数にできますね。!
- ぬさん:
- 金の捨合で結構粘る。
- 山下誠さん:
- 7七に打つべき香車を探したらはるか遠く1筋にあった。
- 嵐田保夫さん:
- 毎度ながら、解く方は気楽なもんだが作る方は並大抵の事ではない。就中、氏のそのユニークな発想力、創作力は敬服に値する。
- S.Kimuraさん:
- 角の向こう側を回らせるところが意外でした.
- 池田俊哉さん:
- この形の連取りは既視感があるし、持駒制限しなくても何とかなりそうな気もするが、連取りの例題としては最適かも
- 隅の老人Bさん:
- 1歩を剥がすのに15手、95手目にようやく香が取れました。
さて、収束は?
菅野さんの趣向作、いつも感心、大好き。
- やまかんさん:
- うまい仕組みですね。
- やぶいりさん:
- 金は天下の廻り物。
- 占魚亭さん:
- 楽しい剥がし趣向。入門向けにぴったりの好作。
- 長谷繁蔵さん:
- 金は渡しても大丈夫。詰上り場所良し。
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