飛と歩に挟まれて狭い玉。 歩は単なる壁ではなく、桂香の利きでどの筋も歩の突出しが可能になっています。
初手は96銀か96歩。 96銀は94玉で打歩詰、86桂、同飛と打開しても95歩、84玉であとが続きません。 なので、96歩ですが、94玉、85玉、どちらに逃げるか。
85玉では86歩、74玉、66桂、65玉、54銀まで。 先に銀を使わせるように94玉と逃げます。
96歩、94玉、
ここで86桂は85玉とかわされて失敗(同飛なら95銀以下詰み)。 95銀と打つしかありません。
95銀、85玉、
ここからは、86歩、74玉、75歩と歩で追うこともできますが、1筋まで逃げられて詰みません。 歩の突出しはあとに取っておいて銀で追うのが正解です。
86銀、74玉、75銀、65玉、
そう、銀がノコギリのようにギザギザに動く銀ノコ趣向ですね。 銀の王手に、常に戻る手があるのですが、「最長に逃げる」のが詰将棋のルール。 どこで戻っても歩の突出しが利くので、1筋まで逃げて最大限手数を稼ぎます。
66銀、54玉、55銀、45玉、
46銀、34玉、35銀、25玉、
26銀、16玉、17銀、25玉、
さあ、お待ちかね歩の出番です!
26歩、34玉、35歩、45玉、
46歩、54玉、55歩、65玉、
66歩、74玉、75歩、85玉、
86歩、94玉、
9筋まで戻って、ここからは収束です。
95歩、同玉、93飛成、同銀、96香 まで39手
- 作者:
- 狙いは、まあ詰手順そのまんまですね。 序の2手を入れたのは還元玉にするためのと最後の歩の突きが打ってから動かすほうが味がいいと思ったからです。
途中銀で追いかけてるときに1筋にいくまえに戻ると作意どおりで早くなるだけです。
銀ノコで1筋へ、歩の突出しで9筋へ戻って還元玉で詰む1往復の趣向詰。
初形はほぼ対称、詰上りは市松っぽくて、ちょっとアートの香りもするおもしろい作品でした。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 凡骨生さん:
- 前半は銀鋸で後半はミニ槍襖で楽しめました。
- 名城健太郎さん:
- 1筋まで玉が逃げて、また9筋に戻る。
- 焼鳥虫さん:
- 歩を突く感覚がいい! 還元玉も嬉しい。
- キリギリスさん:
- 前半銀でジグザグ追いかけるところと詰め上がりの歩の配置がおもしろい。
- 三輪勝昭さん:
- 惜しいもう少しで市松曲詰。
初形は僕は左右対称は曲詰とは思っていないけど惜しい。
38桂78桂88桂を詰方58桂97銀にすると一枚減らせます。
そうすると詰上がりがより市松に近くなりますが、僕は初形より詰上がりの価値が高いのでそうなりますが、初形の価値が高い方なら発表図の方が良いでしょう。
手順は行きも歩を突いていくのは可能なのに微妙な違いで詰まないのは巧く出来ている。
くる展標準作ですが、行って帰ってくる展の面白さ満喫。
- やまかんさん:
- 還元玉。最初王手した歩で収束に突く歩の味。
- きたさん:
- 「最長に逃げる」ということなので、途中変化を考える手間が省けた
- やぶいりさん:
- 軽快なステップで往復、気持ち良い。
- しまぎろうさん:
- 往路で歩を突いたので困りました。
- 占魚亭さん:
- 前半の千鳥銀、後半の突き歩の感触が良いです。
- ぬさん:
- 銀で行って歩で帰ってくる。
- 池田俊哉さん:
- 銀の陰に隠れながら逃げる玉。95歩までで知らん顔するところでした...
- S.Kimuraさん:
- 最初に打った歩が,34手後にもう一度動くのが良いですね
- 長谷川琴さん:
- 初手96歩の時94玉を、うっかりしそうです。
- 隅の老人Bさん:
- 行きと帰りでは相手が違う。浮気な親爺の一泊旅行
- 小林巧さん:
- 86歩と一歩前進するだけなんですけどねぇ…
歩兵部隊は部隊全体で匍匐前進!って事でしたか。
確かに、良いリズム感。
- 名無し名人さん:
- 歩を突き出す感触が気持ちいいですね。
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