解説・全短評
謎の大道詰将棋・詰んだらプロで、謎の大道詰将棋の作者として姿を現した野中謙一さん。
作者「この図は4年程前から改作を続けていました。 年に数回、集中的に検討しては、また時間を置いて頭を空白にしてを繰り返してきました。 余詰と96歩の不動駒が残念ですが、限界かと思い投稿しました。」
70手超えの「謎の大道詰将棋」に満足することなく更に改良を続け、ついに100手超えの大道棋を完成させた野中さん。 大道棋では、無駄合を繰り返すことで長手数になる問題がありますが、それを除けば筆者の銀問題No.179の97手がこれまでの最長でした。
もちろん、大道棋ですから、長ければよいというものではありません。 この作品の元となった「謎の大道詰将棋」は、大阪の大道棋屋黒田さんが実際に出題し、「この図は私の思った通りの大傑作です。最初 33本 2回目 18本 3回目 30本取り正解者なし まだまだ取れます」という実戦価値の高い問題でしたが、本作も、それらしい誘い手、妙防が随所にあり、流石の詰パラ解答陣の猛者も何人も落ち込みました。
作者「本作は、「謎の大道詰将棋・詰んだらプロ」にも書かれていますが、当初に詰パラに投稿して返送された図の改作になります。
香歩問題の改作目標として
・100手超え
・不動駒ゼロ
を目指して改作していますが、やはり不動駒ゼロは達成できませんでした。
本図には残念ながら余詰があります。(棋譜にも入力しています)
・79手目の76桂のところで85歩とする2手長の余詰
・91手目の83馬のところで55馬とする同手数の余詰
・その他、最終は色々と
87歩の配置も気に入りませんが、終盤の1枚不足を回避するためです。
余詰作ではありますが、香歩問題の100手超えの目標が達成できたことと 終盤に四桂の密集型ができたのが面白いので投稿させて頂きます。」
最初から100手超えを目標として改作を続けるとはすごいですね。後半の余詰は実戦価値上問題ないレベルで、作者の4年に亘る改作への情熱は見事に実を結びました。
手順の解説をすべきところですが、詰パラ解説と重複するのと、細かい変化はとても書ききれないので、前述の解説と棋譜ファイルの分岐手順を参照していただくことにして、ここでは、解答者のみなさんの感想を。
まず、見事正解したみなさんから。
- 永島勝利さん:
- 盤上を追い回すのだろうとの予測がビンゴだったので、60手くらいまでは比較的樂でした。しかし、その後が龍と馬(と持駒の桂馬)という微妙な組み合わせでの追いかけっこが、地味で疲れました。
- 谷口翔太さん:
- 28手目迄は「謎の大道詰将棋」で勉強済み。
ここから3度の桂の捨合を経て、大海を彷徨います。
78手目、棋将屋さんは何処に逃げるかな?
100手を超える詰手順、大道では、これは観戦ですね。
- 鈴木彊さん:
- 馬と龍で裸玉を追う展開まで種々の落し穴が仕掛けられていてたいへん。
それにしても玉が盤全体を逃げ回り変化が多岐に亘りこれまた難渋この上なし。
作意はどれなのか全くわかりませんが、どこに逃げられても詰むようです。
最終91玉を解答としました。
総評:
序で91玉があり、中盤1筋、2筋3筋4筋と端をめぐり、終盤5筋6筋7筋8筋9筋と移動、最終91玉でジ・エンドとは凄い凄い。
98手目72飛合のところ、81玉以下109手の変別解。収束乱れがあるので正解としました。
- 前田知弘さん:
- 素晴らしい。紛れが主題の詰将棋は、自分の力で解いてみないとその真価は分からないと思うが、堪能いたしました。
続いて惜しくも誤解されたみなさんの感想。
- Aさん:
- 合駒の都度変化が多くあり大変疲れました
どうにか70手を越えましたので提出致します
途中図1の筋っぽい22銀に惑わされました。
- Bさん:
- 3三桂合を取って考えること1週間、龍を取って更に1週間。
玉の逃げ方に選択肢が多く、正解の自信が全くありません。
途中図2で29金、49玉、44龍、また71手目89桂、86玉、46龍、56歩合、同龍以下で95手解。
29金のとき47玉で逃れ。 また46龍のとき単に逃げられてつかまりません。
- Cさん:
- 34手目31玉の後の変化が良くわかりませんでした。22銀、同玉、42龍の筋もありそうですが、35香打ちからの手順を中心に考えてみました。ただ、変化が膨大で、むりやり詰むようにしたら100手を越える事になってしまいました。とてもすごい作品なので解説をよく読んで勉強したいと思います。
途中図2で49金、同玉、44龍以下作意解の105手。99%解けているのですが、49金に47玉で逃れ。 惜しい。
そして、白旗解答がお一人。
- 佐藤司さん:
- 11月号の他のコーナーを終えてから、そう考えていたら月末になってしまいました。
次回は・・・、少なくとも手は付けます。
難しそうな問題は後回しになりがちですね。 次回はたぶん短手数なので、よろしく。
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