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よもやま話大道棋全短評 大道棋26 野中謙一さん
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出題: 詰将棋パラダイス2014年10月号 大道棋よもやま話 第26回
結果発表: 詰将棋パラダイス2015年2月号 大道棋よもやま話 第28回
謎の大道詰将棋 野中謙一
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詰パラでの結果発表時の解説

 第26回 「謎の大道詰将棋」の逆襲 で力試しとして出題した野中さんの大道棋の解答です。
 元となった謎の大道棋も70手超えの難問。まずはこちらの手順を確認しておきましょう。

◇謎の大道詰将棋 野中謙一 作意

 83桂生、81玉、82歩、92玉、95香、93角合、91桂成、同玉、
 93香生、92角合、同香成、同玉、74角、91玉、81歩成、同玉、
 72角、71玉、61角成、同玉、64香、63飛合、62金、同飛、
 同香成、同玉、63飛、52玉、64桂、同成香、同飛成、43玉、
 65角、54歩合、同龍、32玉、43銀、22玉、24龍、23金合、
 32銀成、同龍、同角成、同玉、33歩、43玉、45飛、53玉、
 55飛、54歩合、同龍、42玉、45飛、33玉、35香、34銀合、
 同香、24玉、33香成、34角合、同龍、同金、同成香、同玉、
 12角、23歩合、35金、33玉、34銀、32玉、23角成、21玉、
 22歩、11玉、41飛成迄75手。

23成香以下73手、34成香以下71手の早詰あり。

 83桂生以下の定跡で入り6筋で金問題の形になる。中合の飛を62で奪取して63飛と打てば詰み形に見えるが、ここからが大変。合駒9回の難問。

謎の大道詰将棋 野中謙一

◇力試し 大道棋26 野中謙一 正解

 最初は前図と同じで、29手目64桂のところから変化する。

 73飛成、63桂合、同龍、41玉、43龍、31玉、(途中図1)
 35香、34桂合、同香、33桂合、42龍、同玉、62飛、43玉、
 52角成、32玉、41馬、43玉、33香成、同玉、32飛成、24玉、
 42馬、33歩合、同龍、25玉、43馬、26玉、37銀、17玉、
 18歩、27玉、54馬、38玉、(途中図2)
 48金、39玉、49金、同玉、44龍、58玉、48龍、67玉、
 79桂、77玉、87馬、66玉、68龍、75玉、65馬、84玉、
76桂、85玉、77桂、94玉、95歩、同玉、87桂、94玉、
 86桂、(途中図3:詰パラではスペースの関係で省略)、93玉、
 85桂、82玉、83馬、91玉、73馬、82歩合、同馬、同玉、
 62龍、72飛合、73桂成、91玉、92歩、同飛、同龍、同玉、
 72飛、93玉、82飛成迄107手。

 で歩合は、同龍、41玉、43龍、31玉、32歩、同龍、
 41角成、同龍、22銀、同玉、24香以下なので桂合限定。

よもやま話大道棋26 力試し 大道棋26 野中謙一

途中図1 34手目31玉まで

 途中図1で22銀が筋らしい手で、同玉、42龍、32桂合以下の解答が。 これは32歩合とし、29香なら23銀合で逃れ、12飛なら同玉、32龍、13玉、33龍、23金合で逃れ。

 正解は35香。これに33合は42龍以下で詰むので、34桂の中合で逃げ道を作る。 34・33どちらかが歩合なら33同香、21玉、31香成、同玉、32歩、同龍、41角成、同龍、22銀以下。

 の捨合は、すぐに25玉なら17桂、26玉、15馬以下の15馬を防ぐ意味。

途中図1 34手目31玉まで

途中図2 62手目38玉まで

 途中図2で事件が起こった。 29金、49玉、そして49金、同玉以下の解答も。 これは、いずれも47玉で逃れ。 正解は47に逃げられないように48金から49金と捨てる。

 ここから龍・馬と4枚の桂を駆使して1段目まで追い戻す手順は見物。 香歩問題で四桂の密集形(途中図3)が出現するとはびっくり。

途中図2 62手目38玉まで

途中図3 87手目86桂まで

 85歩、55馬の余詰や収束の乱れはあるが、実戦価値上問題ないキズ。

 大道棋最長手数の107手。 不動駒は1枚だけ。 謎の大道棋をはるかに超える名作が誕生した。

途中図3 87手目86桂まで

解説・全短評

謎の大道詰将棋・詰んだらプロで、謎の大道詰将棋の作者として姿を現した野中謙一さん。

作者「この図は4年程前から改作を続けていました。 年に数回、集中的に検討しては、また時間を置いて頭を空白にしてを繰り返してきました。 余詰と96歩の不動駒が残念ですが、限界かと思い投稿しました。」

70手超えの「謎の大道詰将棋」に満足することなく更に改良を続け、ついに100手超えの大道棋を完成させた野中さん。 大道棋では、無駄合を繰り返すことで長手数になる問題がありますが、それを除けば筆者の銀問題No.179の97手がこれまでの最長でした。

もちろん、大道棋ですから、長ければよいというものではありません。 この作品の元となった「謎の大道詰将棋」は、大阪の大道棋屋黒田さんが実際に出題し、「この図は私の思った通りの大傑作です。最初 33本 2回目 18本 3回目 30本取り正解者なし まだまだ取れます」という実戦価値の高い問題でしたが、本作も、それらしい誘い手、妙防が随所にあり、流石の詰パラ解答陣の猛者も何人も落ち込みました。

作者「本作は、「謎の大道詰将棋・詰んだらプロ」にも書かれていますが、当初に詰パラに投稿して返送された図の改作になります。
香歩問題の改作目標として
 ・100手超え
 ・不動駒ゼロ
を目指して改作していますが、やはり不動駒ゼロは達成できませんでした。
本図には残念ながら余詰があります。(棋譜にも入力しています)
 ・79手目の76桂のところで85歩とする2手長の余詰
 ・91手目の83馬のところで55馬とする同手数の余詰
 ・その他、最終は色々と
87歩の配置も気に入りませんが、終盤の1枚不足を回避するためです。
余詰作ではありますが、香歩問題の100手超えの目標が達成できたことと 終盤に四桂の密集型ができたのが面白いので投稿させて頂きます。」


最初から100手超えを目標として改作を続けるとはすごいですね。後半の余詰は実戦価値上問題ないレベルで、作者の4年に亘る改作への情熱は見事に実を結びました。

手順の解説をすべきところですが、詰パラ解説と重複するのと、細かい変化はとても書ききれないので、前述の解説と棋譜ファイルの分岐手順を参照していただくことにして、ここでは、解答者のみなさんの感想を。 まず、見事正解したみなさんから。

永島勝利さん:
盤上を追い回すのだろうとの予測がビンゴだったので、60手くらいまでは比較的樂でした。しかし、その後が龍と馬(と持駒の桂馬)という微妙な組み合わせでの追いかけっこが、地味で疲れました。
谷口翔太さん:
28手目迄は「謎の大道詰将棋」で勉強済み。
ここから3度の桂の捨合を経て、大海を彷徨います。
78手目、棋将屋さんは何処に逃げるかな?
100手を超える詰手順、大道では、これは観戦ですね。
鈴木彊さん:
馬と龍で裸玉を追う展開まで種々の落し穴が仕掛けられていてたいへん。
それにしても玉が盤全体を逃げ回り変化が多岐に亘りこれまた難渋この上なし。
作意はどれなのか全くわかりませんが、どこに逃げられても詰むようです。
最終91玉を解答としました。
総評:
 序で91玉があり、中盤1筋、2筋3筋4筋と端をめぐり、終盤5筋6筋7筋8筋9筋と移動、最終91玉でジ・エンドとは凄い凄い。

98手目72飛合のところ、81玉以下109手の変別解。収束乱れがあるので正解としました。

前田知弘さん:
素晴らしい。紛れが主題の詰将棋は、自分の力で解いてみないとその真価は分からないと思うが、堪能いたしました。

続いて惜しくも誤解されたみなさんの感想。

Aさん:
合駒の都度変化が多くあり大変疲れました
どうにか70手を越えましたので提出致します
途中図1の筋っぽい22銀に惑わされました。
Bさん:
3三桂合を取って考えること1週間、龍を取って更に1週間。
玉の逃げ方に選択肢が多く、正解の自信が全くありません。
途中図2で29金、49玉、44龍、また71手目89桂、86玉、46龍、56歩合、同龍以下で95手解。
29金のとき47玉で逃れ。 また46龍のとき単に逃げられてつかまりません。
Cさん:
34手目31玉の後の変化が良くわかりませんでした。22銀、同玉、42龍の筋もありそうですが、35香打ちからの手順を中心に考えてみました。ただ、変化が膨大で、むりやり詰むようにしたら100手を越える事になってしまいました。とてもすごい作品なので解説をよく読んで勉強したいと思います。

途中図2で49金、同玉、44龍以下作意解の105手。99%解けているのですが、49金に47玉で逃れ。 惜しい。

そして、白旗解答がお一人。

佐藤司さん:
11月号の他のコーナーを終えてから、そう考えていたら月末になってしまいました。
次回は・・・、少なくとも手は付けます。

難しそうな問題は後回しになりがちですね。 次回はたぶん短手数なので、よろしく。


よもやま話 大道棋26(力試し) 解答:9名 正解5名

正解者、当選者は詰将棋パラダイス(通称詰パラ)2015年2月号をご参照ください。

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