前の2作の95桂配置に対して、本作と次作は75桂配置で、63への圧力が強まっています。
その代わり受方も51龍が配置されており、守備も強くなっています。
本作も73金、93金、74金の三択。 順に考えていきましょう。
73金に対しては、84桂から83金の二段中合で逃れ。
93金に対しては、83金中合でかなり際どいけど逃れ。 51龍のため71飛捨てが利かないので、83飛の中合でも詰みません。
ということで正解は74金。 これに対する受けが問題です。
- 71玉や91玉は香をたたいて83金で簡単
- 82歩合は同香成、同玉、83桂成で、71玉は73香以下、91玉は93香以下、81玉は82歩以下です。
- ちょっと工夫して83歩中合はどうか。 同香不成、92玉、82香成、93玉と逃げだそうとしますが95香で捕まります。
- 82歩と打たれないように82桂合や83桂中合は? これも93桂と打てるので同じ。
- そこで角合ですが、82角合、同香成、同玉と進むので、83角と中合した方が同香不成、92玉、82香成、同玉(93玉は95香で早い)で2手長くなります。
82角合で2手短く詰めた解答もあり、実戦で83角合とされたら詰められると思われるので、今回は甘く見て正解扱いしましたが、要注意ですね。
74金、83角合、同香不成、92玉、82香成、同玉、
83桂成(83金でも同様)と押さえて、81玉に角香の持駒では厳しい。
そこで角以外の駒を入手しようと45角と遠くから打つのが好手です。
54歩(桂)合、同角、同金では82歩(93桂)で簡単なので、香筋を止める63歩合が正解。
ここ63桂合だと同様に攻めて2手短くなります。
この解も何人かいらっしゃいましたが、大道棋屋さんが63歩合とすれば詰められると思われるので、これも甘く見て正解扱い。
また、54歩合、同角、63歩合とする解答もあり、大道棋屋さんは無駄合でも混乱させるために打ってくることもあるので、これも正解です。
83桂成(金)、81玉、45角、63歩合、同角成、同金、
64香の利きが止まったので、52から4筋に逃げられる可能性があるので注意して攻めれば解決します。
82歩、71玉、72成桂(金)、同玉、63香成、82玉、83金、91玉、
92香、81玉、72成香 まで23手
作者「こちらは初手、お決まりの3通りの誘い手順が生きています。
使用駒も9枚で4×5=20の枠に収まっています。
7手目8三桂成は8三金でもよいキズがありますが、以下の手順はほぼ同等のものになります。
9手目4五角打と遠打ちするのが盲点だと思います。」
45角に気づくかどうかがポイントでした。
それでははみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 蛇塚の坂本さん:
- 持ち駒不足を補うのに遠見の4五角は意外性有り
- Estalightさん:
- 少し配置を変えるだけで捨合の駒種が変わるのに感心しました
- 山下誠さん:
- 歩の入手を巡って角合と桂合で抵抗する、大道棋らしい手順。
64香の利きが止まるので、歩合の方が2手長いのでした。
金少桂さん:
- やはりこの配置だと初手73金・74金・93金のすべてで高い中合が登場するのが良いですね。
この形は以前に改作したことがある(詰パラ2019年9月号1番)こともあって一目でしたが、隙間から覗く45角は見えにくそうな好手。
単に角歩交換だと3手で詰んでしまうところ、63歩合で香筋を遮ることで収束が伸びるのはうまい造り。
詰パラ2019年9月の作品(右図)も51龍配置。 こちらは63桂で歩が取れます。
- 安田博信さん:
- ヒントでは20手台となっていて、出題意図と違う解答になっていると思います。
しかし、玉側のうまい受けが思いつきませんでした。正解していることを願っています。
73金、83金合以下9手解。 73金は84桂合から83金合の二段中合で逃れるのでした。
- 占魚亭さん:
- 素直に?香を取る。No.121(金少桂氏作)の路線を元祖が改作した、といった趣きでしょうか。
ドキ展No.121は61飛を取れるので、また違った展開ですね。
- 小山邦明さん:
- 香を5手目で捨てて83金と抑え込めれば、何とかなりそうな形。
9手目45角に54歩合は最後歩余りになるので無駄合でしょうか。
同金と取れないので、無駄合でよいと思います。
- 中村丈志さん:
- なかなか4五角が見えなかった。
- 池田俊哉さん:
- 上部脱出に備えて香を入手する初手74金が重要
角よりも歩が重要なので角歩交換を行えばあとはすんなりと
- ootanowatasi67さん:
- 見事な83角合。7手目 83金、83桂成のいずれも詰。
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